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FGF2と新規ケイ酸カルシウム系材料を用いた生活歯髄切断法の基礎的研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k14533
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Title: FGF2と新規ケイ酸カルシウム系材料を用いた生活歯髄切断法の基礎的研究
Authors: 近, 加名代 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-2021
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 生活歯髄切断法は,冠部歯髄を除去し根部歯髄を存続させる方法で,通常乳歯や幼若永久歯に用いられる.しかし,歯根完成後の永久歯において歯髄に不可逆的な炎症が生じた場合は,生活歯髄切断法では期待された効果が得られず,抜髄処置の適応となることが多い.生活歯髄切断法の利点として,残存歯髄組織による知覚の維持や象牙質への栄養供給,修復象牙質形成が期待されること,複雑な根管治療を行わず根管治療の失敗による根尖性歯周炎を未然に防ぐことができるなどがあげられる.生活歯髄切断法においては,覆髄剤として用いられる水酸化カルシウム製剤により,歯髄切断面に壊死層が生じ,その後誘導された象牙芽細胞によってデンティンブリッジが形成され,歯髄と歯根が分離される.乳歯や幼若永久歯で生活歯髄切断法が成功する理由は,歯髄細胞の増殖活性が高く,血液循環が良好であるためと考えられている.しかし,歯根完成後は歯髄の修復に重要な血流量が減少し,歯髄幹細胞の存在が期待できず,そのため歯髄損傷後の修復が困難であると考えられる.そのため,永久歯の治療においては炎症が歯冠部歯髄のわずかな領域に限局している場合でも,抜髄処置が適応され,歯髄は保存4されない.したがって,歯髄再生作用のある材料を用いた生活歯髄切断法の開発は永久歯の歯髄保存療法における重要な課題となっている.そこで,本研究では,塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growthfactor,以下FGF2)と生体親和性の高い新規ケイ酸カルシウム系材料VericomWell Pulp PT(ペントロンジャパン,以下WPPT)を覆髄材として使用し,ラットの生活歯髄切断後の歯髄修復に及ぼす作用を組織学的に検討した.デンティンブリッジ形成の厚み及び面積は,処置後から経時的に増加したが,処置後30日目では材料間による有意な差は認められなかった.しかし,処置後30日目の歯髄の状態を組織学的に評価したところ,FGF2とケイ酸カルシウム系材料を併用した群でのみ,他の群で観察された歯髄壊死や好中球浸潤が認められず,残存歯髄の血管数および血管腔の面積も他の群に比べ少なかった.なお,生活歯髄切断後7日目では,FGF2とケイ酸カルシウム系材料を併用した群では他の群に比べ血管数が最も多かった.以上の結果より,FGF2とケイ酸カルシウム系材料の併用は,残存歯髄の血管新生ならびに修復を促進し,歯髄保存を可能とすることが示唆された.本研究により,FGF2とケイ酸カルシウム系材料の併用によって,歯根完成後の永久歯にも生活歯髄切断法を応用できる可能性が示唆された.
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第14533号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 歯学
Examination Committee Members: (主査) 教授 樋田 京子, 教授 菅谷 勉, 教授 佐野 英彦
Degree Affiliation: 歯学院(口腔医学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/81245
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 歯学院(Graduate School of Dental Medicine)
学位論文 (Theses) > 博士 (歯学)

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