北方人文研究 = Journal of the Center for Northern Humanities;第5号 = No.5

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Mobilizing against Dispossession : Gold Mining and a Local Resistance Movement in Mongolia

BYAMBAJAV, Dalaibuyan

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/49267

Abstract

2005 年,モンゴルのアルハンガイ県ツェンヘル郡において,牧畜民による金鉱山開発計 画反対運動が発生した。そこでは,採掘予定地域の牧畜民が3 カ月にわたり道路封鎖などの 抗議を行った。この抗議行動は,モンゴルで1990 年代に始まった急速な金鉱山開発によっ て引き起こされた環境問題や土地などの生活資源の収奪をめぐる反対運動の事例である。本 稿は社会運動論を用いてこの反対運動の動員力の展開要因を考察した。主な知見は次のとお りである。①地域牧畜民と都市部の市民組織が連携して行ったその反対運動の発生と動員に は,都市部を拠点とする「同郷会」という組織が大きな役割を果たした。同会は,同郡内で の反対運動に対する行政や鉱山開発会社による阻止・妨害行為を乗り越える重要な基盤とな った。②牧畜民動員のため,インフォーマルな「牧畜民協力グループ」や,社会主義時代に 用いられた「行動記録簿」などの社会・文化資源の利用が有効であった。

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