2024-03-29T06:26:45Zhttps://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace-oai/requestoai:eprints.lib.hokudai.ac.jp:2115/685652022-11-17T02:08:08Zhdl_2115_20136hdl_2115_54835hdl_2115_54823hdl_2115_54822hdl_2115_20124Temporal development of volcanic shallow hydrothermal system during inter-eruptive stages : Quantitative investigation by using numerical simulations非噴火時における火山浅部熱水系の時間発展 : 熱水流動数値計算による定量的検討田中, 良400本研究では,非噴火時における,火山浅部に位置する熱水系の活動の消長とそれをもたらすメカニズムについて,熱水流動数値計算を用いて定量的に検討した.熱水系の時間発展のメカニズムとして火道浅部の浸透率低下(火道閉塞)と深部からの熱水供給率増加を取り扱った.また,熱水流動数値計算との比較のための参照情報として火口での熱活動(温度および噴気放熱率)と全磁力変化に着目した.火道閉塞による熱水系への影響は,十勝岳の2008~2016年の活動を想定した数値モデリングにより検討した.その結果,火口温度や噴気放熱率の低下と火口地下浅部の蓄熱・膨張の同期によって特徴付けられる活動が,火道閉塞によって引き起こされうること,一方で,深部からの熱水供給率の変化のみでは説明できない活動であることを明らかにした.また,難透水性のキャップロックの有無によって圧力上昇領域が変化することから,地下構造の推定に対し,地盤変動観測が有効である可能性を指摘した.深部からの熱水供給率増加による熱水系への影響は,口永良部島火山の2001~2007年の活動を想定した数値モデリングにより検討した.その結果,地下水面付近での間欠的な蓄熱・膨張,火口温度の上昇および噴気活動の活発化の同期によって特徴的付けられる活動は,段階的に増加する熱水供給率変化によって説明されうることを明らかにした.また,熱水供給率増加がパルス的なものである場合,熱水供給率減少とともに山体内の間隙水圧が減少し,やや遅れて火口温度・噴気放熱率が上昇する場合があることを明らかにした.熱水系の活動の消長をもたらす二つの要因(火道閉塞と熱水供給率増加)が同時に起こった場合の,熱水系の応答について検討を行った.火道閉塞・熱水供給率増加はどちらも火口下における蓄熱および増圧を引き起こす.一方,表面活動に注目すると,火口温度・噴気放熱率が低下する閉塞卓越型,それらが上昇する供給卓越型,ほとんど変化しない中間型に分類された.これらを分類する無次元変数として,火道閉塞部の低下後の浸透率と母岩の浸透率の比,初期熱水供給率と増加後の熱水供給率の比を提案した.閉塞卓越型の現象が進行している場合に,深部熱水供給率が増大したかどうかを地上観測から判別する際に,全磁力変化の情報が有用となる場合があることも明らかにした.一方で,地上で観測される全磁力変化の解釈は山体浅部の浸透率分布,山体を構成する岩石の温度–磁化特性の影響を大きく受けることを明らかにした.熱水系の活動の消長をより理解するためには,浸透率構造や初期供給率などを様々に変化させた計算や,火道閉塞,深部からの熱水供給率増加のメカニズムの解明が必要である.火道閉塞のメカニズムは,岩石-水反応とカップリングした熱水流動数値計算を用いて,鉱物の析出や溶脱を考慮したモデリングによって検討できると考えられる.一方,深部からの熱水供給率増加のメカニズムを明らかにするためには,浅部熱水系のみではなく,マグマからの揮発性成分の離溶や上昇を考慮した,深部の熱水供給源付近までを含んだモデリングが必要である.将来,本研究で行ったような数値計算に基づく研究を発展させていくと,火道閉塞や深部からの熱水供給率増加が与える山体内の状態変化と,それを反映した各種観測項目の応答を類型化することが可能となり,地質学的な噴火履歴情報に乏しい火山における噴火事象分岐確率の推定にも,ある種の根拠を与えることに貢献できる可能性がある.165p北海道大学. 博士(理学)Hokkaido University2017-03Thesis or Dissertationapplication/pdfhttp://hdl.handle.net/2115/68565info:doi/10.14943/doctoral.k12695https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/68565/1/Ryo_Tanaka.pdf2017-03-23jpnETD10101甲第12695号2017-03-23博士(理学)北海道大学