2024-03-28T15:52:12Zhttps://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace-oai/requestoai:eprints.lib.hokudai.ac.jp:2115/771462022-11-17T02:08:08Zhdl_2115_54829hdl_2115_20127hdl_2115_54822hdl_2115_54823hdl_2115_20124ラット口蓋腺の加齢変化に関する組織学的研究谷脇, 裕人497唾液はほぼ水分で構成され,タンパク質や電解質を含み,口腔環境や機能を維持する上で重要な役割を果たしている1,2).そのため,唾液が減少することで口腔内に様々な障害が起こることが知られている3,4).唾液分泌量の減少は唾液腺の機能が低下することによって生じ5,6),また,高齢者によく認められる7,8)ことから,唾液腺の加齢変化に関して研究が行われてきた.唾液腺の加齢変化に関する組織学的研究は主に大唾液腺を対象として行われてきた.それらによると,腺実質に関しては,腺房細胞の萎縮9-15)や増殖活性の低下16,17),アポトーシスによる腺房細胞の消失14),腺房細胞内のリポフスチン顆粒の出現18),小葉内導管の管腔拡張9,10,19)などが報告されている.一方,間質においては,脂肪組織の増加9-13,20,21),結合組織の増生9-15,20,21),アミロイドの沈着22)などが認められている.これらの所見はすべての報告で一致したものではなく,少数ながら一部の変化については認められないとしている報告もある22-25).しかしながら,大唾液腺の加齢変化に関しては以上のように比較的多くの研究がなされており,組織学的知見はある程度得られていると思われる.これに対して,小唾液腺を対象とした組織学的研究は大唾液腺のそれに比較すると少ない.初めて小唾液腺の加齢変化を検索したScott によると,ヒト口唇線では腺房細胞の萎縮,導管の拡張,結合組織の増生と炎症性細胞浸潤,軽度の脂肪組織の増生が認められるという26).以後,これらの所見を確認している報告27-29)がみられる一方,脂肪組織の増生は認められない30)という報告もある.以上の報告はすべてヒトを対象とし,検索方法は光学顕微鏡的(光顕的)観察を主体としている.ヒトを対象として加齢変化を観察する方法はそれ自身意義のあることではあるが,その結果には症例ごとに異なる背景が影響していることを考慮しなければならない.この点を補うためには,個体条件や飼育環境を統一した動物実験を実施する必要がある.さらに,ヒト口唇腺以外の小唾液腺の加齢変化についてはヒト口蓋腺に関する研究が2 つあるのみで31,32),データの蓄積がまだ不十分と考えられる.また,これらの研究は光顕的な検索に限られていたため,大唾液腺の加齢変化で検索されているような細胞増殖活性やアポトーシスの発生状況については未だに明らかではない.以上のような背景から,本研究では口蓋腺の加齢変化を明らかにするため,ラットを対象として組織学的検索,免疫組織化学的検索および電子顕微鏡的(電顕的)検索を行った.13p北海道大学. 博士(歯学)Hokkaido UniversityThesis or Dissertationapplication/pdfhttp://hdl.handle.net/2115/77146info:doi/10.14943/doctoral.k13484https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/77146/1/Hiroto_Taniwaki.pdf2019-03-25jpnETD10101甲第13484号2019-03-25博士(歯学)北海道大学