2024-03-29T01:38:41Zhttps://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace-oai/requestoai:eprints.lib.hokudai.ac.jp:2115/812582022-11-17T02:08:08Zhdl_2115_54829hdl_2115_20127hdl_2115_54822hdl_2115_54823hdl_2115_20124Histological observation on the initial stage of vascular invasion into the secondary ossification of murine femoral epiphyseal cartilage [an abstract of entire text]マウス大腿骨骨端軟骨二次骨化における初期血管侵入の組織学的解析 [全文の要約]橋本, 圭司497長管骨の発生および形態形成は、軟骨原器に生じた一次骨化と二次骨化により進行する。一次骨化は軟骨原器中央部から軟骨内部に、また、二次骨化は軟骨原器の骨端軟骨に血管が侵入することによって開始し、その後、血管とともに伴走した骨芽細胞前駆細胞が骨芽細胞に分化し骨形成を誘導してゆく。一次骨化においては、血管内皮細胞が細い指状の細胞突起を伸長させ、MMP-9などの基質分解酵素によって軟骨侵入すること、また、血管侵入部位の軟骨細胞は肥大化し周囲の軟骨基質が石灰化しつつあることが報告されている。ところが、二次骨化においては、血管侵入が一次骨化と同様のメカニズムで誘導されているか詳細な報告がなされていない。近年、骨組織においてCD31/endomucin陽性を示す骨特異的血管が骨芽細胞の活性および骨形成に作用すること、また、CD31/endomucin陽性血管内皮細胞の多くはEphB4陽性静脈系の血管であることが明らかにされている。そこで、本研究では、二次骨化において、骨端軟骨に侵入するCD31/endomucin陽性血管内皮細胞、ならびに、血管侵入に付随する細胞群について、組織学的に明らかにすることを目的とした。生後1、3、5、7、10、12、14日齢野生型マウスを、麻酔下にて安楽死させ、大腿骨を摘出後、4%パラホルムアルデヒド溶液で固定した。左大腿骨は、EDTA脱灰の後、通法にてパラフィン包埋し、厚さ5μmの矢状断パラフィン切片を作製した。これらの切片を用いて、HE染色、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNALPase)、cathepsin K、MMP-9免疫組織化学、ならびに、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)酵素組織化学を行った。一方、右大腿骨は、未脱灰の状態でエポキシ樹脂に包埋し、準超薄切片を用いたvon Kossa染色、および、超薄切片を用いた透過型電子顕微鏡解析に供した。その結果、生後1~3日齢のマウス大腿骨遠位端の骨端軟骨は、関節面の上前面中央部にわずかな窪みを形成し、そこにはendomucin陽性を示す小血管が集積していた。軟骨基質分解に関与すると考えられるMMP-9陽性反応は、endomucin陽性血管が集積していた部位の軟骨表面および軟骨膜にわずかにしか認められなかった。さらに、endomucin陽性血管が局在する領域にはTNALPase陽性細胞が局所的に集積しており、その部位には、軟骨基質は石灰化されていないにも関わらず、少数のTRAP陽性破骨細胞が観察された。準超薄切片観察および透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、生後1日齢では、血管が関節軟骨に接していたが、それら血管は血管周囲細胞を伴っておらず、血管内皮細胞の基底側の細胞壁は平滑であり、軟骨基質に向かって細胞突起を伸長させていなかった。このような血管内皮細胞の周囲には静止層の軟骨細胞が局在しており、その周囲軟骨基質にコラーゲン細線維の網目状構造が観察されたことから、軟骨基質の分解は生じていないと推測された。生後5日齢になると、軟組織塊のendomucin陽性血管が細胞突起を伸ばしながら穿通するように軟骨侵入をおこなうのではなく、endomucin陽性血管を含有する軟組織塊として軟骨に侵入しはじめていた。その軟組織塊が侵入する先端においてMMP-9陽性反応を観察したが、侵入端以外の部位にはMMP-9陽性反応を認めなかった。また、軟骨に侵入する組織塊には、TNALPase弱陽性骨芽細胞系細胞のほかTRAP陽性破骨細胞も局在していたが、これらの破骨細胞はcathepsin K陽性を示さなかった。準超薄切片観察および透過型電子顕微鏡観察を行うと、軟骨基質内部に侵入する一塊の細胞群が観察されたが、侵入端には多数の血管が局在した。しかしながら、これらの血管内皮細胞は細胞突起を軟骨基質に穿下性に伸ばすことはなかった。一方で、血管内皮細胞は血管腔の形を維持しながら、血管壁全体として軟骨基質に接していた。その部位を拡大観察すると、血管壁周囲一層でコラーゲン線維の網目状構造が消失していたことから、軟骨基質の分解が推測された。これらの血管周囲に存在する軟骨細胞は肥大化しておらず、また、石灰化軟骨基質も観察されなかった。生後7~10日齢では、軟組織塊が骨端軟骨中央部に達すると、様々な方向に拡大してゆき、MMP-9陽性反応は拡大する軟組織塊の辺縁部に認められた。生後12,14日齢になると血管侵入部位に骨形成が生じていた。今回のマウス大腿骨遠位端部を用いた解析では、長管骨の二次骨化における骨端軟骨の血管侵入は一次骨化における骨・軟骨移行部における血管侵入とは異なり、血管内皮細胞が細胞突起を軟骨基質に穿下性に貫くのではなく、血管を含む軟組織塊として軟骨に侵入していた。また、軟組織塊の先端部には血管内皮細胞が局在したが、血管腔構造を維持し、血管壁全体として軟骨基質を分解することが示唆された。北海道大学. 博士(歯学)Hokkaido UniversityThesis or Dissertationapplication/pdfhttp://hdl.handle.net/2115/81258https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/81258/1/Keiji_Hashimoto_summary.pdf2021-03-25jpnnone