2024-03-29T02:21:04Zhttps://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace-oai/requestoai:eprints.lib.hokudai.ac.jp:2115/860872022-11-17T02:08:08Zhdl_2115_54833hdl_2115_30172hdl_2115_54822hdl_2115_54823hdl_2115_20124ウトウの採餌行動と給餌・親の体重維持に関する研究 [全文の要約]大門, 純平660海鳥の親は、自身の生存率に関係する体重維持と繁殖成績に関係する雛への給餌を調節して、適応度の最大化を図ると考えられている。理論的予測によると、トリップ(巣と餌場の往復)中の親は自身のためには採餌効率のよい餌を、雛のためには多少採餌効率が悪くても時間あたりエネルギー供給量を最大化する餌を選ぶ。親自身の餌と雛の餌の選択機構、その結果としての親の体重と給餌速度の変動性を明らかにすることで、海鳥の生活史戦略の理解が深まるだろう。
実際、親と雛の餌が異なることは多くの種で報告されている。しかし、複数個体の餌を同時に運ぶ種(複数餌ローダー:くちばし保定型、胃内運搬型など)では、両者の餌に違いがない場合もある。このような餌の違いの有無には、どういった条件が影響しているのだろうか?
また、トリップ中の親は両者のための餌を変える場合、採餌行動をどのように調節しているのだろうか?潜水性海鳥では、採餌深度あるいは採餌場所を変えて異なる餌を採餌するという仮説があるが、十分な検証はされていない。
海鳥の親は、餌の利用可能性の時空間的変動に対して、給餌速度をよく変えるが、自身の体重はあまり変えないと考えられてきた。しかし一部の海鳥では、給餌速度と体重の年変化が一致した傾向を示す。これは、餌の利用可能性の低下に対して、親が体重への投資を妥協する場合があることを示唆する。このような知見を複数種で蓄積して比較することで、海鳥のエネルギー投資配分戦略の決定機構がわかるかもしれない。
本研究では複数餌ローダーのウトウCerorhinca monocerataを材料として、1) 親と雛のための餌選択に影響する条件はなにか、異なる餌選択を行う場合は両者の採餌行動をどのように変えるか、2) 餌の利用可能性の時空間的変動に対する親自身の体重と給餌速度の変化、を明らかにして、他種との比較を行い、育雛期の海鳥の採餌戦略およびエネルギー投資配分について理解を深めることを目的とした。北海道大学. 博士(水産科学)Hokkaido UniversityThesis or Dissertationapplication/pdfhttp://hdl.handle.net/2115/86087https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/86087/1/Jumpei_Okado_summary.pdf2022-03-24jpnnone