2024-03-28T18:26:33Zhttps://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace-oai/requestoai:eprints.lib.hokudai.ac.jp:2115/878672023-02-06T03:08:08Zhdl_2115_87850hdl_2115_122hdl_2115_44589カントのカテゴリー論とヘーゲルの『大論理学』Kantʼs Categories and Hegelʼs Science of Logic安保, 広睦900本稿では,『純粋理性批判』におけるカントのカテゴリー論とヘーゲル『大論理学』との関連性,とりわけヘーゲル自身が彼の体系内において『大論理学』に与えた位置づけとの関連性を論じる。ヘーゲルはたとえば『エンチュクロペディー小論理学』においてそのことに言及しているので,ここでは当該の箇所,特に40節から45節にある記述をひとつずつ解明していくことをもって,その論理学がカントのカテゴリー論の補完であったことを示す。しばしばヘーゲルの形而上学はカントの批判以前的な観念論への退行として語られる。しかし本稿はそのような立場に与せず,その形而上学は「論理学」であって,しかもそれはカントのカテゴリー論の補完としてあったことを主張する。それゆえ『エンチュクロペディー』における当該の箇所の解明は,カント『純粋理性批判』「超越論的論理学」にある記述をもとにして行なわれる。ヘーゲルは実際,カントの論述に沿ってみずからの論を展開しているので,その箇所の解明としてはまったく自然な方法であろう。ここでは特に,カテゴリーと純粋統覚との関係,カテゴリーの超越論的使用と「物自体」を取りあげ,カントが通常「前提」しているとされる「物自体」がその実,カテゴリーのはたらきの産物であって「帰結」であったことをヘーゲルの論述に基づいて示す。ヘーゲルの哲学体系は帰結がもう一度前提に還ってくる円環を描いているのであり,帰結としてのカントの「物自体」もそのように説明されうる。本稿はそれをもってヘーゲル論理学がカントのカテゴリー論の補完であったことを明るみに出すことを目的としている。北海道大学大学院文学院Departmental Bulletin Paperapplication/pdfhttp://hdl.handle.net/2115/87867info:doi/10.14943/rjgshhs.22.l151https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/87867/1/12_rjgshhs_22_p151-168_l.pdf2435-2799研究論集221511682023-01-31jpnpublisher