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HUSCAPダウンロード数、1,000万回を超える

平成23年10月4日に、本コレクションに登録されている文献のダウンロード数が、平成17年7月の学外試験公開から起算して、1,000万回に達しました。
1,000万回目に閲覧された文献は、平成21年に文学研究科の山岸俊男先生らが学術雑誌に発表された、

Yamagishi Toshio, Mifune Nobuhiro:Social exchange and solidarity : in-group love or out-group hate?
Evolution and Human Behavior. 2009, Vol. 30, No. 4, pp. 229-237.

でした。


山岸先生から

Q. 今回の文献はどういった内容のものですか。
「人間には集団間で対立する心理的なメカニズムが備わっているのか」ということについて研究しており、その一連の流れの中で行った実験の一つについての論文です。
この研究の背景には、社会心理学的研究と、人間の進化についての生物学的・人類学的研究の二つがあるのですが、そのうち、社会心理学的研究において、「最小条件集団実験」という手法があります。この実験では、ほとんど差異のない二つの集団を作った場合でも、人間は自分の集団に同一化し、自分の属する集団が有利になるように(他の集団に不利になるように)行動するという結果が出ました。このことから、人間は集団に自己のアイデンティティーの一部を依存しており、そのために自集団を他集団から好意的に区別する傾向をもつ、とする「社会的アイデンティティー理論」が生まれました。この理論から、「集団内の協力」と「集団間の敵対」という二つの行動は表裏一体であり、共進化するという考え方が一般的でした。
これに対して、集団内の協力関係の形成は、「情けは人の為ならず」といったような互酬的な行動原理に従ったものである、とする立場から、これを立証するための証左のひとつとして、この実験を行いました。


Q. どうしてこの研究をはじめたのですか。
人間は社会を形成して一定の規律のもとに生活しているが、ときに不可解な行動をとる。なぜこんな不可解なことをするのか?という疑問が根本にあります。
人間の社会性はどこから培われるのか。たとえば、人間は利他性(自分でコストを払って、他者に利益を与える性質)や互恵性(他者から受けた利益に対してお返しをする性質)を持つ唯一の動物と考えられています。一般の動物が示す利他性・互恵性は、基本的には血縁選択(淘汰)であり、自分の遺伝子を残すための行動であると考えられています。(ただし、ある種の霊長類については、利他的な行動をとることもあるという実験結果もありますが、まだよくわかっていません。)
人間は助け合うことができますが、無条件で助け合うわけではありません。社会から淘汰されないために、利他的行動が進化したのではないかと考えています。


Q. 今後の研究活動について教えてください。
これまで行ってきた実験を、脳科学分野の研究と絡めて考えていきたい。脳の意思決定が人間の行動にどう反映するか、それは文化によって異なるのか、などといったテーマについて、世界のいくつかのグループと協力して研究を深めていきたいと考えています。

Q. HUSCAPに掲載されたあなたの論文をどのような方々に読んでほしいですか。
集団のことに興味のある方に読んでほしいと思います。


山岸俊男(愛知県出身,University of Washington学位(Ph.D. in Sociology)取得。現在 ,文学研究科 行動システム科学講座 特任教授)

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