北海道発バーチャルシンガーが ソラカケルミライ ソーシャルメディア衛星開発プロジェクト SOMESAT t_watanabeアットimc.hokudai.ac.jp Next 50 years フェスに向けて会 2018年1月18日(木)@北見工業大学 渡辺謙仁 初音ミクとは? • 音声合成ソフトウェア および、その擬人化 キャラクターである 「ボーカロイド」の 一つ • CGM(Consumer Generated Media)に 舞い降りた「天使」 • 札幌の企業が開発し 北海道の観光創造にも 活用されている 「初音ミク」はクリプトン・フューチャー・メディア 株式会社の著作物です。 © Crypton Future Media, Inc. 初音ミクとは縁遠いイメージの宇宙開発 • 国家主導で行われてきた • 冷戦の象徴 NASA (1969) Buzz Aldrin on the Moon NASA (1975) Installation of Soyuz Spacecraft at Baikonur SOMESATの概要 ソーシャルメディアなどで 集まった人達で超小型衛星 を開発し、打ち上げる ニコニコ技術部が 発祥 「はちゅねミク」の 宇宙ネギ振り ソーシャルメディアと連動 したミッション 社会の反応を 調べる 宇宙を身近にする ことを狙う 4 1999年、仕様発表 2003年、世界で初めて打上げ 10 cm立方が基本サイズ 人工衛星の開発・打上げ費用を大幅に下げた 多くの大学や企業などが開発 超小型衛星キューブサット 5 アメリカでロケット実験 6 事実上、出入りが自由でメンバーが入れ替わる場 IRC ニコニコ生放送や ツイキャス オフラインの勉強会や 食事会 同人誌即売会や 電子工作の展示会 7 IRCという場 • ニックネームを確認したメンバーは約55人 • オフラインで会ったことがあるメンバーは 約25人 • ログインしなくても過去ログを閲覧可能 8 SOMESATにおける自発的で多発的な実物大模型の制作 9 個人が自発的に 制作した模型たち 動画投稿サイトの イベントで展示 後日、ニュースサイトから インタビュー取材 た ま た ま イ ベ ン ト の 少 し 前 に 作 ら れ て い た 模 型 の 出 来 が よ く イ ベ ン ト で ニ ュ | ス サ イ ト 記 者 の 目 に 留 ま り 自発性や偶発性、流動性といった 野火的活動の側面が、新たなつながりや 多様な文脈からの参加を創っていく 作られ続けたSOMESAT関連の様々なモノ 10 (cf. Engeström 2009 ; エンゲストローム 2013) キューブサット・キット 11 Ardusat DemoSat $600 PocketQube Kit v1.0 EM $10,299 OPUSAT-KIT ARTSAT KIT 80万円 個人に開かれた宇宙開発 • 衛星の自作 12 衛星開発を個人に開かれたものにしようとする 企画の例 13 ID等 主な人の つながり方 コンセプト SOME SAT リアルとネットの ハイブリッド 初音ミクが宇宙でネギ振り ソーシャルメディアとしての衛星 企画J リアルとネットの ハイブリッド 女子学生が主任の衛星開発 宇宙でシャボン玉(膜構造)生成実験 企画A 大学のチーム 広く社会に開かれた「みんなの衛星」 人間の感覚や感情を刺激する「感じる衛星」 衛星本体の機能と外見がトータルにデザインされた「美しい衛星」 企画R リアルとネットの ハイブリッド サラリーマンらが2年以内に衛星開発 誰でも宇宙に関われる場所を作る 企画F 大学のチーム 技術やコスト面でのハードルを下げる 多くの人が衛星創りに参加できる仕組みを作る ニコニコ技術部 • ものづくり系の動画に つけられた「タグ」から 始まった • 部員を自称する者による 自発的な活動 • 組織や入部資格がある わけではない • ニコ動のアーキテクチャが 可能にしたn次創作 (濱野, 2008) • 越境するキャラクター的 身体(濱野, 2011) SOMESATを生み出した社会技術的な条件 15 越境する キャラク ター的 身体 ニコ動の アーキテク チャー 衛星開発の 易化 SOMESAT 「金星ミク」に13,849人のメッセージが集まった • 2010年、打ち上げ • 2015年、金星到達 • ネットワーク社会の島宇宙を 跳躍する(濱野 2011)だけで なく、真の宇宙へも飛翔する キャラクター的身体 16 超小型衛星向けロケット開発@北海道 • 北海道で生まれた 初音ミクが北海道から 宇宙へ飛び立つ未来も 近い? (SOMESATが契約する 打ち上げ機関は未定) 17 まとめ • 「衛星開発の易化」「ニコニコ動画のアーキテ クチャー」「初音ミクの越境するキャラク ター的身体」といった現代の諸条件が 「初音ミク」と「宇宙開発」を結び付け SOMESATを誕生させた • 「初音ミク」というキャラクター的身体は ネットワーク社会の島宇宙を跳躍するに 飽き足らず、本当の宇宙へと飛翔する • 北海道で生まれた初音ミクが、北海道から 宇宙へ飛び立つ未来も近い? 18 謝辞 ソーシャルメディア衛星開発プロジェクト SOMESATの皆様をはじめ、ご協力くださいま した方々と、発表の機会をくださいました春 木有亮先生に心から感謝いたします。 参考文献 Engeström, Y. (2009). Wildfire activities: New patterns of mobility and learning. International Journal of Mobile and Blended Learning, 1(2), 1–18. エンゲストローム Y. (2013). 流動的な組織の場におけるノットワーキングと行為 主体性. In 山住勝広, 山住勝利, & 蓮見二郎 (訳), ノットワークする活動理 論:チームから結び目へ (pp. 319–373). 東京: 新曜社. 濱野智史 (2008) アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか. NTT出版,東京 濱野智史 (2011) 初音ミク、その越境するキャラクター的身体について.S-Fマガ ジン,52(8):84-87 NASA (1969) Buzz Aldrin on the Moon. GREAT IMAGES IN NASA http://grin.hq.nasa.gov/ABSTRACTS/GPN-2001-000013.html(参照 日 2013.2.23) NASA (1975) Installation of Soyuz Spacecraft at Baikonur. GREAT IMAGES IN NASA http://grin.hq.nasa.gov/ABSTRACTS/GPN-2002- 000154.html(参照日 2013.2.23) 20