杉田さま、みなさま、
> 上記の第九条に基づいて、「博士学位論文」は「印刷公表」する義務
> があるので、公表することは前提であり、それを電子化してWeb公開
> することについて、本人の了解さえいただければ搭載してもいいんだ
> ろうと、単純に思っていました。
>
> ・学位論文が「図書資料」なのかどうか
> とか、
> ・「著作権」に当てはめて死後50年としてよいのか
> などと聞かれると、確かに困ってしまいますね。
博士論文の扱いについては、著作権にかかわる問題だけでなく、この「印刷公
表」の「印刷」についてどう扱うかなどの問題があり、とくに、かつて大学局
長通知によって、学位授与大学が博士論文を国立国会図書館に送付するよう依
頼した結果、ほとんどの大学がその依頼にしたがっているため昭和50年だった
か以降の論文は国立国会図書館に所蔵され、書誌もあるなどの状況があるので、
大学図書館と国立国会図書館の間で今後の扱いについて具体的な整理をしなけ
ればならない点であるという認識を共有して、今後、「大学図書館と国立国会
図書館の連絡会」において検討することになっていることをご参考までにお伝
えいたします。
この検討の過程で、機関リポジトリ構築・維持に携わられている方々からのイ
ンプットが必要になると存じますので、随時ご意見をお寄せください。このリ
ストに出た話題については、今後もぼくのほうで整理してこの連絡会に伝達し
たいと思いますが、より直接的な方法が必要であるというような場合には2月
のDRF集会の際にお諮りしたいと個人的には考えています。
ついでながら、学位論文が国立国会図書館において(所蔵する)図書資料として
扱われる結果、全体の複製が許諾なしには作れないという状況が生じています。
おなじ文書を大学の事務室で閲覧し、その判断で全部をコピーできてしまう
(本当によいかどうかべつにして)ような状況にくらべると不便なものです。実
際、人文社会系のわずかの学位論文を除いて商業的に逸失する利益はまったく
ないだろうと思われるものですので、利用者の便を考えると図書資料にしない
ほうがよいのかもしれません。いや、電子的な保存を重視して、その際に当然
許諾をとっておくほうがよいのかもしれません。これからについてはそう決め
ることはできても、過去分についてはどうするのでしょうかなどなど、考える
ことはいろいろあります。
土屋