北大 杉田です。
yama-ir-ml @ yamanashi.ac.jp さんは書きました:
> ところで,先週から話題になっておりますが,
> 1)手元に出版社版しかもっていない場合(著者最終版がない)
> 2)著者最終版が入手できない場合
> また,そもそも著者最終版とは何かと問われると、出版社ごとに・・・
>
> といった事案で,次元が少し違うかもしれませんが,
> 研究者ってのは,やっぱり出版社版が大好きなのでしょうか?
大好きであり、それしか眼中にないのが普通だと思います。
(機関リポジトリ上などにある)著者稿には独立の価値はなく、あくまで、
代替物であり補完的な存在ではないでしょうか。
ただその上で、たとえば千葉大高木先生の「研究者にとってのセルフアー
カイビング」という文献の存在を知ってそれを読んでみたいと思ったとき、
仮に、電子版「情報の科学と技術」がembargo期間中であり、図書館に出向
いてILLを依頼するのも時間もかかるし少々億劫だ、そういう場面でも
http://www.fumikura.net/other/jyohokg.html
に著者稿があれば自分は喜んでそれを読むでしょう。
(で、もしこれを踏まえてなにか責任ある文章を書こうというときは、一
応あらためて出版バージョンにあたった上、出版バージョンを参考文献と
して挙げるでしょう)
#で、高木先生はご自身のサイトをお持ちですが、サイト運営が面倒な先
#生ならCURATORを使えばよい。
> 「・・・学問分野によっては,印刷された論文(中略)を決定稿として,
> それ以外のバージョンの存在を嫌うケースがある。・・・」
(栃内先生を含む)生物学の先生方の集まりに同席したことがあります。
席上、別の先生から、著者稿のセルフアーカイビングについて、
・著者稿と出版バージョンとの間に、生物の種名の誤植校正など、極め
て重要な改善がなされる場合がある。
という点で強い躊躇を感じるとのご意見がありました。
数学で言えば、イコール記号(=)とマイナス記号(−)のタイプミスが
直る、というような重みがあるそうで、たしかに誤植がそのままならその
数式が成り立たないわけです。
(逆に編集が間違えて誤植しちゃうケースもないとはいえないそうですが:-))
以上、参考まで。
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杉田茂樹 <sugita @ lib.hokudai.ac.jp>
北海道大学附属図書館情報システム課システム管理担当
電話番号:011-706-2524,ファクシミリ:011-706-4099
HUSCAP http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/