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Date:  Tue, 10 Jul 2007 13:37:30 +0900
From:  "SUZUKI masako" <jako @ office.otaru-uc.ac.jp>
Subject:  [drf 0925] Re: 説明会質疑応答(7/5北大)
Sender:  masako.suz @ gmail.com

杉田さま
みなさま

小樽 鈴木です。

参考になる上に、すっごく面白いですね!
何人くらいの先生があつまったのですか?
経緯など、よろしければ教えてください。

私たちもはやく説明会をして文系の事例を報告できたらいいな、
こんな雰囲気のよい会になればいいなと思いました。



07/07/10 に SUGITA Shigeki<sugita @ lib.hokudai.ac.jp> さんは書きました:
> 北大 杉田です。
>
> 先週、ある部局の先生の集まりでIRの説明会をしました(普通の)。
> 質疑の記録を作りましたので、参考まで。
> (以下、シス、というのは図書館(情報システム課)のことです)
>
>
> 教員 最終原稿で登録してほしいとのことだが、論文が発表になるのは、最終原稿から、
> そのあとにエディターの校正と著者の校正が入って、それでようやく出る。
> 最終原稿から印刷されたものとの間に、相当な直しが入ることがある。
> 最終的に発表されたものと同じものを送ろうとすると、エディターに送った最終
> 原稿に、更に手を入れないと、不一致が生じる。
> 分野によっては、そこが非常に学問的に問題になる場合がある。
> そこの所の作業が、教員の側としては、非常に煩雑でなのでという事情がある。
> そこをなんとかクリアして欲しい。
>
> シス 動物学会と交渉して、一年前に刊行されたものであれば、Zoological science
> に掲載された論文を、そのままのものをスキャンして使ってよいということになっ
> た。もし、動物分野に関してのみ言えば、校正の間の違いが非常に大きなものであ
> れば、一年待って、出版されたものを載せるという方法がある。
>
> 教員  分類学の場合には、種名の変更というのが極めて大事で、アルファベット一字
> 違っていても、ダブルで情報が出てくると、非常に困る。
> ある学問分野の特殊事情ではあるが、他の分野でも、わずかな変更だと思っても、
> 論文の証拠が、HUACAPからダウンロードしたものと、実際に出ているものと、
> 多少違うということが、発信する側から見ると、かなり気になる。
> どの分野に関しても、そこの所の作業を、なんとか簡便化する方法をこれから考
> えていただきたい。
>
> 教員  最終原稿は、PDFファイルで受け付けてもらえないのか?
>
> シス  受け付けている。
>
> 教員   送るpdfファイルは、出版社からダウンロードしたものではだめなのか?
>
> シス  それはだめ。理由は、想像するしかないが、出版社としては、査読とかレイアウ
> ト編集で手がかかっているので、それは出版者側のものだという版権上の都合が
> ある。
>
> 教員  レイアウトの質はどうなのか?
> こちらでレイアウトすると、図の大きさなども違ってくると思うが、それはそれ
> でよいが、やっていただけるのか?
>
> シス  出版社のようなきれいなレイアウト編集は手をつけていない。編集しているう
> ちにこちらで万一間違えてしまうといけないので、wordなどの原稿と、図表ファ
> イルをばらばらの状態でお送りいただけると、それを連結して、一本のpdfファ
> イルにするところまでやらせていただく。
>
> 教員  本文に埋め込むということはしないのか?
>
> シス  はい。先生がたのなかには、図書館に送ってくださる段階で、自分で好きなよ
> うにレイアウトして、自分でpdfにして送ってくださる方もいらっしゃるが、そ
> れは歓迎する。
>
> 教員  TeXを使っているのだが、大丈夫か。
>
> シス  大丈夫。
>
> 教員  原稿がACCEPTされた段階でも、それ以前でもよいが、HUSCAPをプレプリント
> サーバーとして使うことはできないか? 投稿したものをそこに置いておくという。
>
> シス  いまのところ、図書館では「刊行後」に公開するようにしているので、出版前
> のものを、そこでオープンにすることはしていない。というのは、盗まれるとい
> やだろうということもある。
>
> 教員  本人がそれでよいというのであれば、それはそれでできると思うのだが。
>
> シス  それは、検討させていただく。
>
> 教員  論文にカラーの写真を使いたいということがあるが、印刷物ではぼろぼろになっ
> てしまうが、それをHUSCAPに登録するときはカラーの写真はよいのか?
>
> シス  カラーでもよいし、もともとの公開画像でもよい。
> 電子的なサーバーなので、たとえば、研究の根拠となった元データとか、それも
> 出したければいっしょに…..
>
> 教員  あるいはムービーとか、論文にはなかなか載せることが難しいような、関連する
> ような重要なデータとか……
>
> シス  工学部でロケットの研究をやっている先生が、動画を載せてくださった例もある。
>
> 教員  著者自らがTeXを使って、最終稿に近い原稿をつくることもあるが、そういう場
> 合はどうなのか?
>
> シス  それは著者の原稿であると、われわれも考えている。そのまま、HUSCAPで公開す
> る。それは、コンパイルすると、出版されたものとまったく同じになるのか?
>
> 教員  ほとんど同じ。
>
> シス  ページもついてしまうか?
>
> 教員  ページはつかない。
>
> 教員  スタイルファイルは、だけど… あれは公開されているからかまわない?
> 出版社のスタイルファイルはあってもいいか?
>
> シス  もし心配であれば、TeX原稿そのものの公開というのは、先生方としてはどうか?
> 抵抗があるか? 楽なのか?
>
> 教員  楽である。
>
> 教員  こちらから、最終前の原稿を投稿するわけだが、公開されるファイルは、実際に
> 出た巻を表示するロゴなどは載るのか?
>
>
> シス  図書館の方で載せる。そして、電子ジャーナルへクリックしてとべるようにして
> あるので、もし、HUSCAPで何か論文を見て、これは自分の論文に引用したいと
> いうどこかの先生がいたら、おそらくHUSCAPそのままではなくて、電子ジャー
> ナルを確認して引用するなりすると思う。ただ、HUSCAPは、悪く言えば、ちら
> っと見る役割でもよいのかなと思う。
>
> 教員  そのときは、誰でもその電子ジャーナルにアクセスできるのか?
>
> シス  それがアクセスできない。(教員一同、笑)
> でも、アクセスできなければ、ちらっと見ることもできない。
>
> 教員  内容はまったく同じでも、レイアウトや形式が違っていれば、著作権上問題はな
> いのか?
>
> シス  著作権上は….. 法律上はほんとうはだめなこと。
> というのは、先生方は、Copyright transfer で出版社にサインをしていて、著
> 作権はもう出版社にあるので、先生方としては、ほんとうは手が出せないもの。
> しかし、Copyright transfer の中身に、さっきSpringerの例をご覧いただいた
> が、著作権譲渡契約の条件として、「契約上、著者は自分のホームページ、または
> 自分の大学のホームページで、原稿を公開できる」と、Springerとは、そういう契
> 約を交わしていることになる。そういう著作権譲渡契約上、それが許されている出
> 版社は、Elsevier, Springer など94社ある。
> 絶対だめだと言っている出版社は、アメリカ化学会(ACS)が「いかなる形でも、
> 著者はもう自分の文献を公開する権利はない」とされている。ただ、それはごく一
> 部である。
>
> 教員  そうすると、ACSのジャーナルに関しては、いっさい載せられないということか?
>
> シス  そうである。ACSの影響かどうかわからないが、日本化学会も割と強硬なポリシー
> を持っていて、日本化学会に割増料金を20万円だか30万円を払うと、OKになる。
> そういうところもある。ACSって、低温研の先生がたは…….
>
> 教員  私がそうである。(教員一同、笑)
> それは、タイトルと著者名とアブストラクトくらいを載せることもだめなのか?
> 図とかは一切載せないで。
>
> シス  それは多分大丈夫だと思う。
> HUSCAPでは本文のあるものオンリーとしているので、HUSCAPで公開とはまた別の
> 話になるが、権利上は、タイトルや著者名は誰のものでもないと思う。
> たとえば、研究業績データベースに載せるなど。
>
> 教員  要旨やアブストラクトについては?
>
> シス  あれは微妙だと思う。
>
> 教員  「こういうグループがこういう研究をした」という要約なら問題はないのかなあ
> と。中身をまったく同じにすることには、何か抵触する? 法律的に問題ある?
>
> シス  法律というか、ACSとのCopyright transfer をよく読まないと今はわからない。
>
> 教員  例えば、国際会議のproceedingsみたいなものは、学内の著者ではなくて、学外の
> 著者が論文を書いている場合がある。それは、HUSCAPで一括して公開することは可
> 能なのか?
>
> シス  それは、北大の先生がどこかの会議に行って発表したもの?
>
> 教員  ではなくて、北大で会議をやって、たとえば、北大の誰かがデータを持って発表
> したもので、北大出版会でproceedingsを出したもの。そういったものを公開する
> ことは可能なのか?
>
> シス  以前、本堂先生とお話したことがあるが、低温研主催で開催された国際会議の
> proceedingを一冊まとめて載せようという話をしている。
>
> 教員  それは構わない?
>
> シス  はい。北大が組織として、ある会議を主催して……
>
> 教員  それ、大昔のじゃないか?
>
> 教員  ああ、大昔のやつか。90年ころにやったやつは、北大出版会だったか?
> 著者の全部了解を得られれば、いいと…. どうしてもいやだって言えば…….
>
> シス  以前、1960年代のものを…… あれをすでにもう……
> ここ数年のものは今、相談中。
>
> 教員  今のやつで、たしかHUSCAPに論文を登録するときに、共著論文の場合、共著者
> の了解をとってくれということを、案内があったような気がするが。
>
> シス  はい。
>
> 教員  それは、かなり厳格に?
>
> シス  いいえ。非常にルーズです。(教員一同、笑)
> ある学部のことだが、自分はよそのこの先生と共著したが、実は仲が悪いと。
> で、将来、敵になるかもしれないので、一筆もらっておきたいという話が一回だ
> けあったが、もし、けんかになるようなことがなければ、特にいいと思う。
>
> シス  ほかに(質問は)ないか?
>
>
> ACSについては、後日、以下のようなフォローをしました。
>
> > 附属図書館 杉田です。
> > お世話になっております。本日はありがとうございました。
> > 質疑の内容、私どもにとりましてもたいへん勉強になりました。
> >
> > アメリカ化学会ですが、
> >
> > http://pubs.acs.org/copyright/index.html
> > http://pubs.acs.org/copyright/forms/copyright.pdf
> >
> > に見られるように、
> >
> > A. The undersigned author and all coauthors retain the right to revise,
> > adapt, prepare derivative works, present orally, or distribute or
> > transmit to not more than 50 colleagues, their own paper, provided
> > that copyright credit is given to the source and ACS, that recipients
> > are informed that they may not further disseminate or copy the paper,
> > and that all such use is for the personal noncommercial benefit of
> > the author(s) and is consistent with any prior contractual agreement
> > between the undersigned and/or coauthors and their employer(s).
> > Authors/employers may post the title of the paper, abstract (no other
> > text), tables, and figures of their own papers on their own Web sites,
> > and include these items in their own scholarly, research papers.
> >
> > 原則としては、著者には本文を独自に公開する権利が残されていません。
> > (席上話題になったabstractはOKのようですね)
> >
> >
> > 一方、2006年10月の発表によれば、
> >
> > http://pubs.acs.org/cen/news/84/i36/8436notw9.html
> >
> > In October, American Chemical Society journal authors will have the option
> > of paying to immediately provide free online access to their articles on
> > the society's website. Authors will also be able to post electronic copies
> > of their sponsored articles on personal websites and institutional repositories.
> > Fees for the program will range from $1,000 to $3,000 per paper, depending
> > on whether the author is an ACS member or is affiliated with an institution
> > that subscribes to ACS journals.
> >
> > 一報につき$1,000〜$3,000の追加料金を支払えば、「personal websites」
> > や「institutional repositories」(←HUSCAPのようなシステムのこと)
> > で、自分の文献を公開することが許諾されるようです。
> > これは論文投稿時(受理時?)に選択が与えられるのでしょうか、なにぶ
> > ん私ども事務方は論文投稿の現場がわからず、具体的な手順を目にしたこ
> > とがありません。
> >
> >
> > なお、日本化学会も同様の方針です。
> > http://www.openaccessjapan.com/archives/2005/06/post_16.html
> >
> >
> > 以上、ご参考になればと思います。
> > 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
>
>
> --
> 杉田茂樹 <sugita @ lib.hokudai.ac.jp>
> 北海道大学附属図書館情報システム課システム管理担当
> 電話番号:011-706-2524,ファクシミリ:011-706-4099
> HUSCAP http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/
>
>


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小樽商科大学附属図書館
 参考係   鈴木雅子
jako @ office.otaru-uc.ac.jp