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Date:  Thu, 15 Mar 2007 12:27:14 +0900
From:  SUGITA IZUMI <izumi @ ab.mie-u.ac.jp>
Subject:  [drf 0641] Re: 国内スポーツ関連学会連携会議について(報告)

土屋先生、北大・加藤さま、千葉大・高野さま
皆さま

  杉田@三重大です。

 土屋先生、北大・加藤さま、まさに「学会関係者の説得に疲れて」いたところ
 でした。 心強いコメントをいただき、誠に有難うございます。

 そもそも、国内スポーツ関連学会連携会議の話が出たときに、JISSの知人に
 聞いた話は、以下のような内容でした。

1)NIIには、前々から学会誌の電子化公開(NII-ELS)でお世話になっている。
2)しかし、個々の学会が個別に対応しており(有料/無料、エンバーゴがマチ
  マチ、ELSで電子化していない学会もアリ)、なかなかスポーツ界として統一
  した見解が出せず、トータルとしてのデータベースになっていかないし、
  利用環境が不便である。
3)昨今、ELSだけでなく、各大学から機関リポジトリに関する問合せが増えて
  おり、個別の担当者が対応に困っている状態である。
  また、現行の「学会員のメリット=学会誌がもらえる」というビジネスモデ
  ルでは、到底無料公開などできない。
4)一方、JISSが推進しようとしている「国内スポーツ情報データベースの整備」
  もイマイチ進んでいない。
5)そこで、スポーツ界全体の学術文献情報のデータベース構築に向けて、ぜひ
  NIIと連携し、学会とNIIとのWin-Winな関係を築きたいと考えている。

#上記は話を聞いた私なりの取りまとめであって、そのままおっしゃったわけでは
#ないですので、念のため・・・。

 背景としては、看護の世界と似ているかもしれませんが、エビデンスに基づく
 トレーニングとか、選手やコーチやトレーナーの育成とかが課題になっていて、
 学術文献(情報)を必要とする人口が激増することが予測されている、という
 のも感じました。

 「学会とNIIとのWin-Winな関係」こういう関係がいろいろな分野で出来上がっ
 ていったら、それは素晴らしいことだと思いました。
 ある分野の学会を束ねる上位組織がある分野って、他にもあるのでしょうか?
#上位組織と言っては御幣がありますね。
#JISSにしたって、独立した学会たちになんら強制力は持っていませんし。

 で、学会とNIIとのOAでWin-Winな関係ができると、NIIさんのCiNiiの中にある
 旧ELSの学会誌本文たち(もうNII-ELSとは呼ばないのですよね?)が、長期に
 亘って安定的かつ無料オープンされるのであれば、大学の出る幕はあまりない
 のかな、と思ってしまったのです。

>短期利用と統制には中央集中がよいが、長期利用と保存には分散重複がよい
>というセキュリティ論をどうぞ。

 「分散重複」、なるほど、そうですね!

>・ エンバーゴ以後の雑誌による収入に期待しない
>・ リポジトリに出版社機能を持ってもらう
>のどちらかにして、その他大会・発表会とかで、学会という組織の存在意義を
>アピールするようにする、というのは?
>学会の、雑誌出版以外の機能に注力してはどうですか?という。

 ほんとうに。
 そもそも「エンバーゴ以後の雑誌による収入」が図れるほど、バックナンバー
 をきちんと管理していないと思うのですよね、小さな学会さんは。
 それに、学会関係者がまったく関与しないところで、ILLによる流通が展開され
 ているわけですし。

>のどちらかにして、その他大会・発表会とかで、学会という組織の存在意義を
>アピールするようにする、というのは?
>学会の、雑誌出版以外の機能に注力してはどうですか?という。

 このあたり、千葉大の鈴木さんからもおっしゃっていただいたのですが、
 伝え方が難しいですね。「お前にそんなこと言われる筋合いは無い」の世界に
 なりかねない・・・!?
 ということで、「焦らず気長に」も大事かな、と。
 それと同時に、トップダウンで変わる可能性のあるチャンスは逃さない、と。

 なんだかちょっぴり勇気が湧いてきました。
 有難うございました。
 

Hiromichi KATO さんは書きました:
>加藤@北大図です。
>
>SUGITA IZUMI wrote:
>>> そのほか休憩時間に:
>>> ・オープンアクセスというなら学会として学会誌全体をオープンにすることが考
>>> えられるが、その場合機関リポジトリはそこへのリンクを貼ればいいのでは?
>>> (リポジトリは論文本体を収録するものなので、とはお答えしましたが、学会の
>>> 人にしてみれば学会にリンクを張られたほうが学会としての視認性はあがるし、
>>> リポジトリ登録について学会としてメリットはないと言われれば確かにそうだ、
>>> と変に納得してしまいました)
>> 
>>  そうなんですよね、既にOAな論文を二重三重に大学が持ち、公開することの意義
>>  を問われると、私もイマイチ自信がありません。
>
>短期利用と統制には中央集中がよいが、長期利用と保存には分散重複がよい
>というセキュリティ論をどうぞ。
>
>>> 図書館側から何か言うとすると、大学
>>> は所属教員の成果を集めたいので協力お願いします、というお願いでしかなく
>>> て、機関リポジトリに載せると学会にもメリットがありますよ、という提案は結
>>> 構難しいですね。
>> 
>>  はい、学会にとって機関リポジトリに載せることのメリットという提案は難し
>>  そうなので、素直に、大学図書館からも公開させてちょうだいな、と頼むのが
>>  よさそうな気がしています。
>
>・ エンバーゴ以後の雑誌による収入に期待しない
>・ リポジトリに出版社機能を持ってもらう
>のどちらかにして、その他大会・発表会とかで、学会という組織の存在意義を
>アピールするようにする、というのは?
>学会の、雑誌出版以外の機能に注力してはどうですか?という。
>
>日本の場合、元々雑誌での収入ってのは大したもんじゃないと思うので、
>まあ2番目かな。2年ほど前リポジトリを始めた時、「どうせリポジトリって
>そのうち出版社もどきになるんじゃないの」、少なくともそう期待される
>ことにはなるんじゃないのかな、と思ってました。
>
>-- 
>加藤 大博 :: KATO Hiromichi
>mailto:katze @ lib.hokudai.ac.jp
>北海道大学附属図書館 情報システム課 目録情報第一係
>TEL 011-706-3627 (係代表) / 内線 4100 / FAX 011-706-4099
>
>

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