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Date:  Fri, 16 Mar 2007 10:33:50 +0900 ()
From:  Syun Tutiya <tutiya @ kenon.L.chiba-u.ac.jp>
Subject:  [drf 0659] Re: エンバーゴについて

行木さま、みなさま、

> 単純でない一面の理由は人事です。物理でも数学でも、ポスト一件の公募に百
> 人単位の応募があります。例えば、一年任期のポスドク公募だって海外からの
> 数十名を含め100人弱の応募があります。これは業績リストと推薦状がつきも
> のですが、数百x数十の業績をいちいちチェックするわけにはいきません。そ
> れで、一次選考は掲載ジャーナルで判断されることもある。一次選考で落ちれ
> ば研究の質どころではないので、特に若手は必死です。シリアルズクライシス
> の原因が論文の量にあるのなら、この情況が変わらない限り解決はないでしょ
> う。

「人事」すなわち雇用の問題はかなり本質的です。Peer reviewだって、もと
もとは、教授団(faculty)の仲間にいれるかどうかを自分たち(peer)で決めて
いたことに発っするわけです。この自律的職能集団の維持のために、無報酬で
同輩が評価することが参入資格についても、掲載資格についても共通する理念
です。「理念」といってもそれほどたいしたものではなく、自分たちの雇用機
会を自分たちで管理しようという発想ですから、たんなるわがままともいえま
す。

たしか、2000年に出たARL/AAUのTempe Principlesではこのことの重要性が明
確に指摘されていますが、機関リポジトリ業界であまり話題にならないようで
すね。

まあ、非常におもしろい点は教員=研究者というのは、学術研究教育のいろい
ろな局面に登場しながらあまり一貫した展望をもって行動していないというこ
とです。

土屋