加藤@北大図です。
>> しかし、事務室の判断で全部コピーするというのは、明らかに著作権法
>> 違反ではないでしょうか?
>
> どうしてでしょう。「ちょっとそこの生協でコピーとってきていいですか」
> 「いいですよ、でも身分証明書みたいなものを置いていってください」という
> のが事務室の判断ですが、これは私的複製にすぎません。全部を複写できない
> のは図書館が複製する(もちろんセルフ式コピーも図書館による複製です)から
> で、私的複製にはそういう制限はかかっていません。一部分しか複製できない
> のは図書館だからなので、私的目的のための複製であればいくら複製してもか
> まわないのではないでしょうか。
何ともグレーゾーンですね。
閲覧に来た人自身がコピーした場合、その人は罪に問われません。
閲覧できる状態になっているということが違法であると閲覧者が知っていても、
閲覧者は罪になりません。
罪になるのは「(著作者に無断で)閲覧/コピーできる状態にした人」です。
本来公表されない類のものを公表(事務室で閲覧できる状態は公表と認められる
と思います)するかどうか決定できるのは著作者のみです。
人格権なので、著作権の譲渡を受けてもダメです。
ただ、そのように閲覧/コピーできるという状態は、おそらくは慣行的に
行われるもので、当然執筆者である学生も、執筆する前にそのことを知りえて
いたと推測でき、それを容認していたと看做して「暗黙の了解」が成立すると
いえないこともないでしょう。証拠がないだけです。
(問題視されるとして、1年に1人もいないだろうとは思いますが)
といった点を考慮して、北大では基本的に公表済みのものしか受け入れない
ように(私が)規定を作りました。教育資料は今目の前に著作者がいるわけ
なので問題ないですよね。
確率的には回避するほどではないリスクですが、万一発生したときに対処
できる体制がありませんので。顧問弁護士がいるわけでなし(大学としてなら、
いるのかな?)。
普通こういった事業は法務体制を十全に敷いてからやるものと思いますが、
非営利なだけに、やるほうもやられるほうも「まあいいや」になりがちですね。
リスクマネジメントポリシーとして、「訴訟になったって受けて立ってやるぜ」
というならそれもまた良し、でしょう。
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加藤 大博 :: KATO Hiromichi
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北海道大学附属図書館 情報システム課 目録情報第一係
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