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Date:  Thu, 15 Mar 2007 13:58:06 +0900
From:  Hiromichi KATO <katze @ lib.hokudai.ac.jp>
Subject:  [drf 0646] Re: 国内スポーツ関連学会連携会議について(報告)

加藤@北大図です。

以下の話ですが、ずっと前のメールで書いた、

学会誌の電子ジャーナル化から冊子体の廃止まで―
日本細胞生物学会Cell Structure and Function誌の場合
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/48/1/1/_pdf/-char/ja/

を読んでいたので、雑誌出版から大会重視という道もありだなあと
思ったのです。
ただこの記事からは、それでうまく行きそうなのかどうかの目処が
よく分からないんですが。

実際、どうなんでしょうね? 大会で、直に人と会って喋ったことで
有意義な知見を得たとか、共同研究のきっかけになったとか。
今ではSNSみたいな、物理的接触と実体のある組織化でしか手に入らない
ものを模倣する仕組みが出現したって状況があるわけですけど。
あんまり重要視されないのかなぁ、もはや。

私もいくつか学会に入ってますけど、雑誌購読料だと思って払ってる
だけで、大会には興味ないんです。投稿するネタがないわけじゃない
ので、これから全く機会がないとは言えませんが。
私みたいな人間は、無料雑誌になったらそりゃー退会しちゃうだろうと
思います。

海外の学会は、雑誌出版以外の方法で会員を繋ぎとめる魅力を提供
できているんですかねえ。
まあそもそも、学問というものの地位が全然違うアメリカなんかじゃ
比較にもならないかもしれませんが・・・。
参考:http://d.hatena.ne.jp/sivad/20070129#p1


Syun Tutiya wrote:
> 加藤さん、
> 
>> ・ エンバーゴ以後の雑誌による収入に期待しない
>> ・ リポジトリに出版社機能を持ってもらう
>> のどちらかにして、その他大会・発表会とかで、学会という組織の存在意義を
>> アピールするようにする、というのは?
>> 学会の、雑誌出版以外の機能に注力してはどうですか?という。
> 
> そのとおりだと思いますし、これまでもかなり多くの学会にその趣旨を申し上
> げてきたのですが、ほとんど成果なしです。「学会費 = 学会誌講読料」とい
> う意識の学会員、学会がほとんどであるのが実情で、そこからの意識変革はで
> きていません。だいたい、「雑誌出版以外の機能って何?」というのがふつう
> の返事です。たしかに、研究会(SIG)活動で新しい分野の創成といってみても、
> そのproceedingsの問題がでて同じ(その会員外販売収入で潤っている研究会は
> ずいぶんあります)だし、研修・奨学といっても元手は寄付か雑誌販売収入だ
> し、全国大会のようなものはやはり持ち出しですし、すくなくとおも今のまま
> の日本の学会では、事業収入はみこめません。唯一可能なのは、リクルートの
> 道筋にすることですが、大学としては学会によるクローズドショップなんてい
> うのは認められないでしょうから、けっこう苦しいというわけです。というわ
> けで、会員であることのメリットが見えない以上黙っていても会員は減り、さ
> らに雑誌が売れなくなるとなると、今雇っている事務局職員の給料は払えなく
> なるだけでなので、せめて雑誌収入は維持したい、電子化してもオープンアク
> セスにしたりすると経済的に成り立たないというのが今日本の大方の学会の認
> 識だと思います。
> 
> ちなみに、学会の雑誌関係の収入のかなりを占めるのは、著者による抜刷購入
> です。しかし、ご想像のようにこれが激減しています。われわれからみれば当
> たり前ですが、彼らにとってはその対応ですら大変なようです。
> 
> 
>> 日本の場合、元々雑誌での収入ってのは大したもんじゃないと思うので、
>> まあ2番目かな。2年ほど前リポジトリを始めた時、「どうせリポジトリって
>> そのうち出版社もどきになるんじゃないの」、少なくともそう期待される
>> ことにはなるんじゃないのかな、と思ってました。
> 
> 日本で学会からの持ち出しでなく雑誌を出しているところは、基本的には科学
> 研究費補助金の成果公開費をもらっているところか、製薬会社などがスポンサー
> 然としているところです。製作をしている日本の印刷屋さんや外国の出版者は、
> 日本の学会がその努力(一定部数を学会として買い上げ)をしても英文誌を出し
> たいという向上心をもつことに期待して出版(販売)を請け負ってるだけです。
> 雑誌の収入が学会活動を助けているところは本当にすくない、ほとんどないと
> 思います。
> 
> というわけで、なににつけ学会相手に話すのは大変なのですが、高野さんにそ
> ういう情報を提供するのが今の時期になったことについてはお詫びします。
> 
> 土屋
> 
> 
> 
> 

-- 
加藤 大博 :: KATO Hiromichi
mailto:katze @ lib.hokudai.ac.jp
北海道大学附属図書館 情報システム課 目録情報第一係
TEL 011-706-3627 (係代表) / 内線 4100 / FAX 011-706-4099