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Date:  Wed, 29 Nov 2006 11:28:22 +0900
From:  Hiromichi KATO <katze @ lib.hokudai.ac.jp>
Subject:  [drf 0028] ダウンロード統計分析(D-Lib Magazine記事抄訳)

加藤@北大図です。

D-Lib Magazineに以下の記事がありました。

Download Statistics - What Do They Tell Us?
The Example of Research Online, the Open Access Institutional Repository
at the University of Wollongong, Australia
 D-Lib Magazine. November 2006, Volume 12 Number 11
http://www.dlib.org/dlib/november06/organ/11organ.html

最も興味があるであろう最後の章の抄訳を送ります。
最後は「What do the download statistics tell us?」となっていて、統計から
分かることが書かれています。それ以前の章は、経緯や手法、数字が載って
います。

〜〜〜
オーストラリア、ウォロンゴン(Wollongong)大学のリポジトリである
「Research Online」<http://ro.uow.edu.au/>のダウンロードと利用の
統計に関する研究。調査は2006年1月から6月の半年間。

Research Onlineにはさまざまな方法でアクセスがされている。主要な
ものはGoogle等のサーチエンジンからのアクセス。そういったツール
により調査を行う研究者は増えているようで、研究成果がサーチエン
ジンによって発見でき、すぐにアクセスできるようになっていること
の重要性は増している。
また、要旨や表紙ページへのアクセスよりは、本文ファイルへの直接
アクセスが多い傾向である。

インターネットで全文を無料配布するリポジトリは、かつてないイン
パクトを持っている。例えば、研究者は、自分の研究成果のダウンロー
ド統計結果に影響されて、研究の方向性を変えたと思われる状況が見
られる。外部資金による研究の場合などで、(資金を長く獲得するた
めに)同じ研究でもよりダウンロード数の高い方向へシフトすること
が考えられる。

その一方、Research Onlineの統計からは、従来の引用索引統計では表
れなかったような分野、例えば芸術学や歴史学といった分野が高いダウ
ンロード数になりうることが分かる。

さらなる長期間、あるいはより多くの研究成果を集めた場合の利用統
計の分析が求められる。
〜〜〜

これから私が考えたことは、
・ 閲覧者と研究者のつながりを密にすることで、研究者の研究意欲を
 刺激する役割としてのリポジトリ
です。研究評価という基軸から外されがちな人文系やマイナー分野の
研究は特に。
この役割として、HUSCAPのダウンロード数通知を捉えることができる
と思います。

これを第一に置くならば、すべての文献を集めるという無理難題に
(図書館が)挑戦しなくても済みますし、明示的なメリットとして
研究者に訴えやすいと思います。少なくとも、説明責任とか人類の
共有財産とかいった不明瞭なお題目よりはよほどいい。

DL数通知以外にもいろいろ手法は考えられると思います。システム上
以外でも。私自身考えてることはあるんですが、それも書いたほうが
いいんでしょうかね。>本学杉田さん
-- 
加藤 大博 :: KATO Hiromichi
mailto:katze @ lib.hokudai.ac.jp
北海道大学附属図書館 情報システム課 目録情報第一係
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