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Date:  Fri, 11 May 2007 11:32:26 +0900
From:  yama-ir-ml @ yamanashi.ac.jp
Subject:  [drf 0746] Re: [yama-ir-ml 00033]  Re: 京都大学図書館機構報「静脩」Vol.43. No.3-4紹介

DRFの皆様&山地さま

山梨大学の藤田です。登録が一括メールなので[Thread]回答できません。ごめんなさい。

さて,前提となる会話のやりとり。
[藤田発言] そこで,ふと思いましたことは,「機関リポジトリのセルフアーカイブは,
今後国策として研究者に強制できるものなのでしょうか?」いうことです。
[山地さん] 僕も勉強し始めたばっかりでよくわからないのですが,その「国策」とか
「強制」というのは,図書館員の仕事を減らすためのものなのですか?

欧米では,機関リポジトリ問題において,「セルフアーカイブを国策として研究者
に強制」しようとしています。社団法人日本動物学会事務局長で運営委員永井裕子氏の
京都大学図書館機構報「静脩」Vol.43. No.3-4 2007.3.「学術情報のオープンアクセス―
何が有効な手段なのか」の中でも問題点となっています。

確かに,「図書館員の仕事を減らす」というか,活動のあり方が変質し活動そのものも
促進されるでしょう。下記ワークショップなどで良く言われることをお伝えして回答
とさせていただきますがよろしくお願いします(情報が少し古いかもしれませんし,
熟知されている方には失礼になるかもしれませんが,ご容赦願います)。

(1)米国の政策
国立衛生研究所(NIH)が助成を受けた研究成果をPubMedCentralに公開すべきとしても,
罰則がなく期限もあいまいになりがちである。方法を知らないとか掲載のメリットが
明確でないなどから,2005年度では登録すべき43,000件のうち実際に登録されたのは
1,636件で3.8%と停滞している。一方,オープンアクセス活動を支援する上院議員ら
のFederal Research Public Access Act(FRPAA)法案では,ピアレビュー後の著者最終原稿
を医学に限定せず6ヶ月以内にリポジトリに登録すべきとしている。法律を遵守できなけ
れば資金提供は打ち切って良いとの条項は消えた。これに対し,出版界への悪影響を理由
に法案に反対している団体も存在する。
(2)英国の政策
2004年7月の下院科学技術委員会勧告では,科学出版はすべての人に無料で提供する
ことを狙ったが,政府(貿易産業省)は勧告を拒否し,委員会は政府が断固とした行動に
至らないことに失望を隠せない。国内査読雑誌の半数に資金を提供している英国研究
会議(RCUK)が,掲載全誌と会議発表資料をOAI準拠の主題あるいは研究機関の
リポジトリへの登録を義務化する政策を打出す。ここでは著作権とライセンス契約の
遵守は認め,インターネット未発達でリポジトリにアクセスできない著者は除かれている。

(参照文献)高木和子,機関リポジトリを推進する研究情報公開(オ−プンアクセス),
薬学図書館,Vol.51(4)

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山梨大学教学支援部図書課資料情報グループ
係長:藤田 洋(PHS 7181)