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Date:  Wed, 20 Dec 2006 18:09:40 +0900
From:  "Masamitsu Kuriyama" <mtkuri @ tokiwa.ac.jp>
Subject:  [drf 0204] Re: 教授会における説明会第2弾&質疑応答集(三重大)

杉田さん
>  ・でも、東南アジアの研究仲間はそうではない。月給3万円の彼らに、17万円が
>   支払えるわけがないんだ。所属の機関で購読するのも難しいんだ。
>  ・だから自分は、できるかぎりOAに協力したいんです。
>  というお話を聞かせてくださいました。
> 
>  もう、涙が出るくらい(最近涙もろくて・・・^^;)感動しました。

せっかくの感動に水をさすつもりは毛頭ないのですが、次のような活動も
あることはご存知でしょうか?

AGORA
http://www.aginternetwork.org/en/about.php
HINARI
http://www.who.int/hinari/about/en/
OARE
http://www.oaresciences.org/about/en/index.html

これらは国際機関と出版社が組んで、発展途上国の人たちに電子ジャー
ナルを無料もしくは低価格で提供するプロジェクトのようですね。
先日の国際シンポジウムでは、シュプリンガーのオープン・チョイス(著者
が3,000ドル支払えばその論文はオープン・アクセスにできる)の責任者
ヤン・フェルテロップ氏の講演がありました。この人はシュプリンガーの前
はBiomed Centralで活躍されていたそうで、OAへのゴールドの道の強力な
擁護者ですね。セルフ・アーカイビングはスケーラブルでない(規模が大きく
なると破綻する)というようなことをおっしゃっています。
商業出版社もOAに冷ややかな目を向けているばかりではなくて、むしろ
図書館の先を行こうとしている感さえあります。
私はこれを「帝国の逆襲」と呼んでいます。
オープン・チョイスは建造中のデス・スターのようなものかも。
なお、フェルテロップ氏はシュプリンガーへ移ったことで、ダークサイドに
落ちた、とかOA界のダース・ベイダーとか批判されているようです。
(嘘です。済みません:-)

            栗山 正光
            常磐大学人間科学部現代社会学科
            〒310-8585 水戸市見和1-430-1