DRFのみなさま
村上@NIIです。
12月14日、教育著作権セミナーII@メディア教育開発センター
にいってきました。以下報告というより感想です。
http://www.nime.ac.jp/KENSYU/kensyu_h18/008-01/resume.html
過去の研修資料(セミナーI、e-learning関連)は
http://www.nime.ac.jp/KENSYU/kensyu_h18/category.html#03
とくに「基礎知識」はハンディでよい資料です。
セミナーIは著作権全体にかかるもので、
特にe-learning関連に詳しいように思われます。
著作権契約もカバーしているので、関心のある方は
ウォッチするとよさそうです。
私が出席した方のセミナーIIは判例検討で、最初から
「教育・学術的な判例はほとんど無い」とのことでしたが、
一般的なものを多く見せていただきました。
著作権法はきわめて表層的、限定的なものだと
講義でも強調されましたし、判例からもそれが読み取れました。
気づいたポイント:
★判例では「著作物性」が議論されることが多い。
(例:展覧会のチケットは著作物とは認められなかった。)
★当然のことながら、著作物性が満たされてはじめて、
侵害かどうかが議論になる。
★しかも判例はかなり裁判官の心情が反映される。
#そもそも微妙ではない明らかな事例は裁判にすらならない。
★保護されるのはあくまでも「表現」であって、アイディアではない。
・文書等の形で表現されていないアイディアやノウハウの保護は
不正競争防止法による(というよりどちらかというと社会通念)。
・著作権者が「公開したくない」といえば、理由はどうあれ
どうしようもない(それが間違った「著作権」理解によるもので
あったとしても)
2点目についてはオンライン公開拒否の事例いくつかを
Q&Aに持ち込んだのですが、
全部「著作権法とは関係ない」ではねられました。
とすると、ファカルティ・ディベロプメントで著作権教育を組み込む
としても、それはあくまでも研究者倫理の一環として提示しないと
全体として意味をなさない可能性がありそうです。
以下個人的にショックだったこと2点。
★「要約による引用」は著作権法上では明文化されておらず、
要約を適法引用と認める判決は存在するが批判もある。
#アイディアにクレジットをつけたつもりが、いちゃもんつけられたら
#逃げられない可能性があるとは、まじめに考え始めたらこわくて
#論文なんてかけません(考えないのが身のため???)。
そして、
★誤訳・意訳は適法引用ではない
#やってしまうことは数知れず…うーん。
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Yuko Murakami Ph.D murakami @ nii.ac.jp
Associate Professor by special appointment
Research and Development Center for Scientific Information Resources
National Institute of Informatics
101-8430 JAPAN