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Date:  Tue, 15 May 2007 12:04:30 +0900 (JST)
From:  "NODA, Hideaki" <h_nod @ rekihaku.ac.jp>
Subject:  [drf 0754] Re: OAの論理

土屋先生 栗山先生 皆様

 野田@歴博図書室です.
コメントありがとうございます.
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Syun Tutiya wrote:
> 
> ところで、NIH/PubMed Centralはどこにくるの?
> 
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改めてPMCのOverviewを読み返してみたのですが
	http://publicaccess.nih.gov/overview.htm
「なぜ"Strong recommend"なのか」に対するNIHの答えは

・Archive(←ノダはこの視点を考えていませんでした)
・Advance Science
・Access(患者,医療者,教育者,その他...)

「公的助成関係」ということで,漠然と「説明責任型」と
考えていたのですが,改めて見てみると
(少なくとも表向きは)「研究促進型」でもあるんですね.

 確かに"Bethesda"や"Berlin"も,その名宛人には
研究助成機関等の「スポンサー」が含まれておりますが,
実際にこれらの機関が「公開を条件とする助成」に舵を切るかどうか,
また,その論拠が「説明責任」重視か「研究促進」重視になるか,は
最終的には,その団体の性格によって大きく異なると思います.

 NIHのように,その団体自体に政府のお金が多額に入っていれば
団体の「説明責任」も問われることになりますので,
助成を受けた研究者にOAを強制する根拠としては
ボランタリーな「研究促進」よりも「説明責任型」に近い気がします.

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Masamitsu Kuriyama wrote:
>
> Harnadなどが強調しているのは「(集団としての)研究者」ではなく、
> 個人としての研究者が利益を得るということではないでしょうか?
> つまり、OAによって論文の認知度が上がり、引用される率も高まり
> 昇進にもつながる、ということで。
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リストでは「義務化によって」恩恵を受けるのは誰か
ということで,研究者コミュニティとしたのですが,
「OAによって恩恵を受ける者」とすれば
個人としての研究者も当然受益者になります.

 ただ,北大さんや千葉大さんの海外報告などを拝見しますと
この理論はインセンティブとして機能していないようにも
見受けられるのですが。。。

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> 研究機関が受益者(3行目)ということであれば、図書館もその中に
> 含まれるかもしれませんね。図書館はIRを行うことで学内外での
> 認知度を上げられる(というより生き残りがかかっているのかも)。
>
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仙台メディアテークの元・館長さんが仰っていたのですが,
自治体にとって,適度に規模の大きい「専門家集団としての」図書館は
最も「切り離しやすい」存在とのこと.この点は大学でも同じですよね.
図書館そのものは消滅しないとしても,その中で仕事を続けるためには
IRに限らず,何かしら「図書館職員の」認知度を上げるための
戦略が必要なのかも知れませんね.
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NODA, Hideaki / 野田 英明
国立歴史民俗博物館 研究協力課 図書係
千葉県佐倉市城内町117
Tel:043-486-6491 / Fax:043-486-4080
Mail: h_nod @ rekihaku.ac.jp
http://www.rekihaku.ac.jp/
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