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Date:  Thu, 15 Mar 2007 01:14:04 +0900 ()
From:  Syun Tutiya <tutiya @ kenon.L.chiba-u.ac.jp>
Subject:  [drf 0639] Re: 国内スポーツ関連学会連携会議について(報告)
Cc:  ir-wg @ ll.chiba-u.ac.jp

高野さん、杉田さん、

> >EBSCOのデータベースSPORTDiscusの説明がありました。
> >(国立スポーツ科学センターを通じてSPORTDiscusに学会誌のデータを搭載
> >する事業を始めたそうです。)
> 
>  JISSではスポーツ情報サービス事業の一つに「国内スポーツ情報データベースの
>  整備」を上げていますが、そういう形の事業をしているのですね。
>  http://www.jiss.naash.go.jp/jigyou/jyouhou.html
>  スポーツ関係学会誌は日本語ベースのものが多いと思うのですが、SPORTDiscusは
>  英語文献が対象なのでしょうか?
>  昨今、「学会誌の国際化」というのが、どの分野でも課題になっていると思うの
>  で、国際情報発信力強化の一環なのかもしれませんね?
>  http://www.sirc.ca/products/sportdiscus.cfm

についてですが、これは基本的には英語文献の二次情報データベースです。
Ebscoが来ていたことからわかるように、Ebscoがエージェントになって売って
います。つまり、SIRCのメンバーになる(あるいは、Ebscoと契約する)ようにし
ないと利用できないはずです。フルテキストはもっていないと思いますが、

        1. いまどき二次情報データベースと連携して情報発信といえるのか
           それなりに疑問ですし、

        2. 契約しないとだめだとすると、Google経由で来れるようにフルテ
           キストを置いておくことのほうが賢いような気がします

ということで「事業を始めた」のが最近だとするとまったく時代遅れですね。

> >・オープンアクセスというなら学会として学会誌全体をオープンにすることが考
> >えられるが、その場合機関リポジトリはそこへのリンクを貼ればいいのでは?
> >(リポジトリは論文本体を収録するものなので、とはお答えしましたが、学会の
> >人にしてみれば学会にリンクを張られたほうが学会としての視認性はあがるし、
> >リポジトリ登録について学会としてメリットはないと言われれば確かにそうだ、
> >と変に納得してしまいました)
> 
>  そうなんですよね、既にOAな論文を二重三重に大学が持ち、公開することの意義
>  を問われると、私もイマイチ自信がありません。

フルテキストデータのcurationについて、学会がどこまで責任をもてるかを考
えると、大学のような機関にくらべるときわめて脆弱であるといわざるを得ま
せん。学会としては、会員の研究成果をどのような「見せる」かが大事であり、
データを確実に保存、利用可能としておくのは大学図書館にまかせればよいの
だろうと思います。したがって、データは大学のリポジトリに、学会はその入
り口をきれにみせるという姿でよいのだろうと思います。結局、「リポジトリ
は論文本体を収録するもの」というのがたしかに重要な認識です。

> >感想は、学会関係者もオープンアクセスに対して対応の必要性を感じていらっ
> >しゃるようでした。でも学会と図書館の利害を一致させるのは思ったより難しそ
> >うだなと思いました。「オープンアクセス=機関リポジトリ登録」と図書館とし
> >ては言いたいけれど、学会としてはもし学会リポジトリ的なものを作れば機関リ
> >ポジトリは特に必要ではないでしょうし。
> 
>  「オープンアクセス=機関リポジトリ登録」以外の沢山の道があること自体は、
>  論文を読みたい人、読んで欲しい人の立場に立てば、それだけチャンスが増える
>  のだから、望ましいことと思います。
> 
> >図書館側から何か言うとすると、大学
> >は所属教員の成果を集めたいので協力お願いします、というお願いでしかなく
> >て、機関リポジトリに載せると学会にもメリットがありますよ、という提案は結
> >構難しいですね。
> 
>  はい、学会にとって機関リポジトリに載せることのメリットという提案は難し
>  そうなので、素直に、大学図書館からも公開させてちょうだいな、と頼むのが
>  よさそうな気がしています。

大学の図書館としては、大学という機関にとってなにがよいのかを主張すれば
よいのだと思います。学会がわも同じです。それらについて最終的に決めるの
は、各研究者でなければなりません。学会は、学会誌の出版者でありながら、
学術情報流通についてはこれまでまじめに考えてきていませんでした。それに
対して図書館はちゃんとやってきました。したがって、すくなくともほとんど
の日本の学会については、なにかを主張する権利はないのです。

それにしても重要なのは、著者がそうしないといけないと思うようにさせるこ
とです。その説得に疲れると義務化というのでしょうね。

土屋