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Date:  Tue, 15 May 2007 21:59:17 +0900
From:  "Hiroko Suzuki" <suzuki @ ll.chiba-u.ac.jp>
Subject:  [drf 0755] Re: OAの論理
Sender:  hirokosuz @ gmail.com

野田さん、こんにちは。

鈴木@千葉大です。
義務化について整理していただいて、
ありがとうございました。
おかげで、一口に「義務化」と言っていたものが、
その考え方からいろいろあることがよくわかりました。

> >つまり、OAによって論文の認知度が上がり、引用される率も高まり
> >昇進にもつながる、ということで。

>ただ,北大さんや千葉大さんの海外報告などを拝見しますと
>この理論はインセンティブとして機能していないようにも
>見受けられるのですが。。。

千葉大の海外報告とはどれでしたっけ?
私が行ったオランダならば、確かに、
あれだけ整備されているオランダでさえ、
もっとも苦労しているのは研究者から論文を
収集する事だったと思います。

研究者のモチベーションについて考えてみると、
「OAによって論文の認知度が上がり、引用される率も高まり」
とは考えていないように見えます。(もちろん千葉大の場合ですが)
引用されるかどうかは、論文の質であり、その掲載誌の質である、
と考えている人が(特に理系には)多いように思いました。

私は、研究者の社会への説明責任である、
という方が説得しやすいと感じています。
社会への説明責任だから、研究成果を公開するというのは、
少しづつ、公の場で喫煙しない人が増えていく、
レジ袋をもらわない人が増えていく、のと
同じ意識改革のような感じがします。
実際、少数ですが、そういう先生は居ますから。
意識改革とは実に地道な作業だと思いますが。

研究とは社会に開かれたものになるべきであるとは、
廣井先生@千葉大の提唱するモード2サイエンスですよね、
野田さん。







07/05/15 に NODA, Hideaki <h_nod @ rekihaku.ac.jp> さんは書きました:
>
> 土屋先生 栗山先生 皆様
>
> 野田@歴博図書室です.
> コメントありがとうございます.
> ---
> Syun Tutiya wrote:
> >
> > ところで、NIH/PubMed Centralはどこにくるの?
> >
> ---
> 改めてPMCのOverviewを読み返してみたのですが
>        http://publicaccess.nih.gov/overview.htm
> 「なぜ"Strong recommend"なのか」に対するNIHの答えは
>
> ・Archive(←ノダはこの視点を考えていませんでした)
> ・Advance Science
> ・Access(患者,医療者,教育者,その他...)
>
> 「公的助成関係」ということで,漠然と「説明責任型」と
> 考えていたのですが,改めて見てみると
> (少なくとも表向きは)「研究促進型」でもあるんですね.
>
> 確かに"Bethesda"や"Berlin"も,その名宛人には
> 研究助成機関等の「スポンサー」が含まれておりますが,
> 実際にこれらの機関が「公開を条件とする助成」に舵を切るかどうか,
> また,その論拠が「説明責任」重視か「研究促進」重視になるか,は
> 最終的には,その団体の性格によって大きく異なると思います.
>
> NIHのように,その団体自体に政府のお金が多額に入っていれば
> 団体の「説明責任」も問われることになりますので,
> 助成を受けた研究者にOAを強制する根拠としては
> ボランタリーな「研究促進」よりも「説明責任型」に近い気がします.
>
> ---
> Masamitsu Kuriyama wrote:
> >
> > Harnadなどが強調しているのは「(集団としての)研究者」ではなく、
> > 個人としての研究者が利益を得るということではないでしょうか?
> > つまり、OAによって論文の認知度が上がり、引用される率も高まり
> > 昇進にもつながる、ということで。
> ---
> リストでは「義務化によって」恩恵を受けるのは誰か
> ということで,研究者コミュニティとしたのですが,
> 「OAによって恩恵を受ける者」とすれば
> 個人としての研究者も当然受益者になります.
>
> ただ,北大さんや千葉大さんの海外報告などを拝見しますと
> この理論はインセンティブとして機能していないようにも
> 見受けられるのですが。。。
>
> ---
> > 研究機関が受益者(3行目)ということであれば、図書館もその中に
> > 含まれるかもしれませんね。図書館はIRを行うことで学内外での
> > 認知度を上げられる(というより生き残りがかかっているのかも)。
> >
> ---
> 仙台メディアテークの元・館長さんが仰っていたのですが,
> 自治体にとって,適度に規模の大きい「専門家集団としての」図書館は
> 最も「切り離しやすい」存在とのこと.この点は大学でも同じですよね.
> 図書館そのものは消滅しないとしても,その中で仕事を続けるためには
> IRに限らず,何かしら「図書館職員の」認知度を上げるための
> 戦略が必要なのかも知れませんね.
> --------------------------
> NODA, Hideaki / 野田 英明
> 国立歴史民俗博物館 研究協力課 図書係
> 千葉県佐倉市城内町117
> Tel:043-486-6491 / Fax:043-486-4080
> Mail: h_nod @ rekihaku.ac.jp
> http://www.rekihaku.ac.jp/
> ---<発信力は,競争力。>---
>
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