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Date:  Fri, 8 Dec 2006 05:16:27 +0900
From:  "Yuko Murakami" <murakami @ nii.ac.jp>
Subject:  [drf 0087] 研究者説明会質疑応答例(NII村上@法政)
Sender:  yuko.i.murakami @ gmail.com

DRFのみなさま
村上@NIIです。

きのう法政大学の研究者説明会に行ってきました。
遠隔講義室で3キャンパスに中継されたのですが、
この類のシステムでしゃべるのは初めてで、ちょっと緊張。

文系理系両方とはいえたぶん文系の方が多い私立大学、、
ということで以下の点には特に配慮しました。
実際の参加も40人ほどで理工系キャンパスからは5人くらい。
以下の通り、質問はほとんど紀要電子化関係でした。

IFについては、関係ない研究者の方が実は多い(特に日本の文系)
そういう研究者にとってのポイントはリンク切れ防止とファイル保存
あとは別刷り郵送の手間がはぶけること。
#質問なし

とくに業績リストからリンクするとリンク切れしなくて読んでもらえる
⇒個別ファイル登録だと出版時の文脈が分からなくなるのでは?
→ちゃんと書誌が付くので大丈夫。
#書誌が付くのは当たり前だと思って説明しなかったのは失敗

学術成果なら何でもOK
⇒「なんでものせる」だと質が落ちるのでは?
→「なんでもOK」は概念的。
品質管理については研究者本人のプライドにも依拠するが、
原則は大学経営方針と整合的な収集ポリシーの問題で、
収集対象を査読後論文のみに絞ることも可能。
これは各大学の問題なのでNIIで特定の方式を推奨することはない。

カス論文と自覚している論文を出すのはさすがにはばかられる
と思うのは研究者として当然なので、出したいものだけ出せばよい。
ただしその場合、業績リストからみると業績が俯瞰できるけど
機関リポジトリから見ると業績が少なく見えて腹が立つという
デメリットはある。これは個人の選択。
#質問なし。
#許諾が出なくて業績が少なく見える可能性については触れなかった。

紀要を出している学部・学科が多いことを見越して
コスト削減のためのオーバーレイジャーナル化を提案。
#部局予算削減という背景があり、すごく盛り上がった。

⇒学会と同じような反応。
→「同窓会的学会支援費と紀要出版費の切り分けが可能」とし
同窓会報的紀要(有料、non-OAでも良いが、エンバーゴ付
公開は検討できるはず)と
OA論文誌的紀要の二本立てを提案。
意思決定は出版元ごとにどうぞ、と。

⇒電子化の提案を完全電子化と思い込んだ人が多かった
→紙は継続してよい。コストはかかるので、これもビジネスモデルの問題。

研究不正防止は研究者・大学とも責任ありと述べた上で、
著作権にはいろいろ配慮したシステムであることを強調。
面倒なところは図書館がやる。
タイムスタンプが付くこと・誰でもチェック可能になること
でむしろ盗用には抑止効果あり。
#なんと!このへんはとくに質問がなかった

著者版だけではなく、IEEEのように出版者版を許すものもあるので
実際なにを登録するかは個別には図書館がチェックします、と
明示的に例を出して説明。
#日本の理工系研究者でIEEEに出している人はすごく多いので
#効くかな、と思ったとおり、これは食いついてきた。
⇒ほかに出版者版を許す出版者はあるか?
→あるけど、それだけを抜き出した包括的リストはない
#といってしまったけどありましたっけ?

検索エンジンとの連携によって、今まで自分でも
把握していなかったような読者が発掘できる。
既に立ち上がっているリポジトリの日本語の文献でも、
海外からのアクセスが結構ある。
自分の研究に関心を持ってもらえるメリットは大きい。
#「日本語の文献でも」がポイント。
#うなずいている人はいたけど質問なし。

あと「図書館用語は避ける」という基本にのっとって
やりましたが、向うから「メタデータ」とかいわれてしまって
ちょっとあせりました(笑)。

まだシステムが立ち上がっていないようですし
この説明でどのくらい登録があるのか不明ですが、
あとは法政の方にがんばっていただくことになります。

今日はこれから東北大理学系大学院の若者の
「OA洗脳」にいってきます。

村上
--
Yuko Murakami Ph.D   murakami @ nii.ac.jp

Associate Professor by special appointment
Research and Development Center for Scientific Information Resources
National Institute of Informatics
101-8430 JAPAN