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[drf:3192] Re: eLife誌関連記事(試訳)
- Date: Thu, 26 Jul 2012 18:14:13 +0900
西薗さま
ちょっと最後だけ気になりましたので対案を。
> 11. Both RCUK and the EC demurred, and continue to mandates Green OA as
> well as funding Gold OA.
> 11.RCUKもECも異議を唱えた、そしてGold OAへの資金提供されたGold OAと同
> 様、Green OAを義務付ける。
RCUKもECも異議を唱え、Gold OAに資金提供を続けるとともにGreen OAの義務付
けも継続している。
> 12. The tumult from researchers and OA advocates is about the diversion
> of scarce research funds to pricey Gold OA what Green OA can be provided
> cost-free.
> 12.研究者やOA支援者からの騒動は、既に不足している研究資金を、コストのか
> からないGreen OAで供することができる高価なGold OAに向ける転換についてで
> ある。
研究者やOA支援者が騒いでいるのは、Green OAがコストをかけずに提供できる
ものについて、ただでさえ不足している研究資金を高価なGold OAに振り向ける
ことに対してである。
栗山 正光
常磐大学人間科学部現代社会学科
〒310-8585 水戸市見和1-430-1
(2012/07/26 12:01), 西薗 由依 wrote:
> みなさま
>
> お世話になっております、鹿児島大の西薗@国際連携WG と申します。
> 8/23のSPARC JapanセミナーでeLife誌が取り上げられますが、
> 先日の [drf:3163] eLife誌のFAQ(抄)
> http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drfml/msg03148.html
> に続き、eLife誌について触れられていた下記3記事を試訳してみました。
> ご参照ください。
> #記事は邦訳のみお送りします、原文は各サイトをご覧ください。
> #誤訳も多々あると思います、アドバイザの先生方はじめ、みなさま
> ご指摘くださいませ。
>
> その1:
> Guardian, 9 April 2012
> Wellcome Trust joins 'academic spring' to open up science
> Wellcome backs campaign to break stranglehold of academic journals and
> allow all research papers to be shared free online
> by Alok Jha, science correspondent
> http://www.guardian.co.uk/science/2012/apr/09/wellcome-trust-academic-spring
>
> その2:
> Guardian, 17 July 2012
> "Open access means a bright future for scientific research : Free access
> to British scientific research will give us more and cost us less than
> we realise"
> by Mike Taylor
> http://www.guardian.co.uk/science/blog/2012/jul/17/open-access-scientific-research
>
> その3:
> The Economist, 21 July 2012
> Brought to book : Academic journals face a radical shake-up
> http://www.economist.com/node/21559317?fsrc=scn/tw_ec/brought_to_book
> #コメントのうちMichael MabeとStevan Harnadの分のみ訳出
>
> (以下試訳)
>
> ========【その1 ここから】========
> ウェルカム・トラストが「学界の春」に加わり科学を広げる
> ウェルカムが、学術誌の締め付けを打ち破りすべての学術論文を無料でオンライ
> ンで共有できるようにする運動を支援
>
> 科学の世界最大の資金提供者の一つが、その地位を利用して、学術誌の締め付け
> を打ち破りすべての学術論文をオンラインで共有できるようにするという高まり
> つつある運動を支援する意向だ。
>
> 知の拡大革命の潜在力に起因して支援者らにより行われた「学界の春」と呼ばれ
> る運動の一部として、およそ9000人の研究者らが、無料の共有を制限する雑誌の
> ボイコットに既に署名した。
>
> しかし、ビル&メリンダ・ゲイツ財団に次ぐ大きさの非政府系医学研究資金提供
> 者であるウェルカム・トラストの介入は、資金提供する学界に対してオープンな
> オンラインジャーナルで出版することを迫ることにより、運動の活性化となるだ
> ろう。
>
> ウェルカム・トラストの長であるMark Walport氏が言うには、ウェルカム・トラ
> ストは、eLifeという高品質の科学雑誌を創刊する最終段階にあるとのことだ。
> eLifeは、科学者らから出版の最高峰と見られているNature, Scienceのような一
> 流の出版物と直接競争することとなる。しかしながら、イギリスの大学が年に何
> 億ポンドもアクセス料を支払っている伝統的な雑誌とは異なって、eLifeの論文
> は刊行されるやいなやウェブで無料で見ることができる予定だ。
>
> Walport氏はまたこうも述べた、ウェルカム・トラストは科学研究に年6億ポンド
> 超を費やしているが、資金提供している科学者らに対して、研究成果が必ず出版
> 後6カ月以内に無料で利用できるように公表するよう求める、より強固なアプ
> ローチをまもなく採用するつもりだ、と。
>
> 財団のポリシーに沿って研究成果をオープンアクセスにすることを行わない研究
> 者は、将来の財団への助成申請について制裁措置を受ける可能性がある。
>
> イギリスの一流科学学会Royal Societyの会員であるWalport氏はこう述べた、公
> 的資金や財団の資金が提供された科学研究の成果は、必要とする目的が何であれ
> 読みたいと希望する者誰もが無料で利用できるようにすべきだ、と。彼のコメン
> トは、特に大学予算が縮小している時代に、学術雑誌の価格高騰を拒絶する科学
> 者からの、高まりつつある関心に同調するものである。
>
> 毎年約150万の新しい論文が出版されていると見積もられる世界の科学研究の大
> 多数は、Elsevier、Springer、Wileyを含む少数の大出版社が刊行する雑誌で出
> 版されている。科学者は雑誌に原稿を投稿し、出版前に査読が行われる。それか
> ら通例研究者所属機関の図書館を通した購読によってほかの研究者たちはその研
> 究成果を利用できる。
>
> 大学が1誌ごとに年20000ユーロ(16500ポンド)ものアクセス料を支払っている
> こともある学術雑誌の出版者は、価格は高品質の査読プロセスを維持するのに必
> 要だと主張する。
>
> Elsevierの広報担当者はこう述べた、Elsevier社は、持続可能でかつ現在の品質
> コントロールのレベルを維持するか改善するものである限り、いかなる仕組みも
> しくはビジネスモデルに対してもオープンだと。
>
> 彼はさらにこう述べた、Elsevier社はオープンアクセスのイニシアティブに関し
> て資金提供団体とともに取り組んできた、と。「著者への支援と関与を確立する
> ためウェルカム・トラストとともに取り組んできたような建設的な協力が従来よ
> りある。同時に、私たちは購読モデルにも取り組み続けるつもりだ。私たちは顧
> 客に選択肢を提供したいと考えている、また新しいモデルに加えて購読モデルも
> 依然需要が大変多いと考えている。」
>
> しかし政府もオープンアクセスへの支援を示した。12月の政府の革新戦略着手の
> 際、大学・科学担当の大臣であるDavid Willettsは、政府が資金提供した研究は
> すべてパブリックドメインで出版させることを目指すと述べた。
>
> 「私たちはオープンアクセスへ向かいたい、しかし査読と出版がひとつの機能と
> して必ず続く方法で、だ。それには何らかの支払いが必要だ。」
>
> 科学の資金提供者はこれは問題ではないと言う。「私が考えるに、遠心分離器の
> 購入が研究のコストであるのと同様に、出版は研究のコストだ」とWalport氏は
> 述べた。「私たちは、自分が出版する研究の公益を最大化しなければならない。
> そしてそれは流通することによってしか行えない」
>
> Research Libraries UK(英国研究図書館協会)の専務理事であるDavid Prosser
> 氏によれば、イギリスの大学は電子的データベースや電子ジャーナルの購読にお
> よそ年2億ポンド費やしている、これは各機関が政府から受け取る包括的補助金
> (※訳注 使途を明確に指定しない補助金)の約10%にあたる。大学図書館が支払
> う値段は出版者との機密条項によるが、Prosser氏が言うにはイギリスの大規模
> 大学の多くが「最も大きな出版者のいくつかにそれぞれ年100万ポンド以上費や
> している」。
>
> 雑誌購読費の高騰により世界中の多くの科学者が出版者のビジネスモデルに疑問
> を頂くようになった、このモデルは公的資金を受けた研究の成果へのアクセス権
> 販売により35%以上の利ざやを生み出せるのだ。科学におけるオープンアクセス
> 支持者はこう主張している、研究成果の著者が彼らの研究に支払われる研究助成
> の一部として出版コストを負担することで、研究論文は読みたいもの誰もが無料
> で利用できるべきだ、と。
>
> 「もし、ウェブがどのように役立つか、またどうすればウェブでの効果的な情報
> 拡散ができるかを考えれば、オープンコンテンツが、さらに拡がり、より影響力
> を持ち、その著者の予想より多様な方法で使われることは明白だ」生物物理学者
> でオープンアクセス出版者Public Library of Scienceの支援部門責任者の地位
> に就く予定のCameron Neylon氏は7月にこのように述べた。
>
> 「研究資金提供者、とくに公的資金提供者の視点から見ると、『私たちがこの研
> 究の資金を提供し、それがこれらの特別な成果を生み、そのいくつかは雑誌出版
> 物だ、私たちはどうやってその成果が持つインパクトを確実に最大化できるだろ
> う?』という態度であるべきだ」
>
> ウェルカム・トラストは資金受託者が出版者に金を払って自分の成果を無料で利
> 用できるようにすることに金を使えるようにしている。Walport氏が言うには、
> 問題はウェルカム・トラストが助成した研究者の55%しか順守していないこと
> だ。科学者はしばしばオープンアクセスオプションを利用せず、研究成果をオー
> プンアクセスにすることを拒む雑誌で結局出版しているのだ。
>
> もっと多くの科学者に自分の研究成果をオープンアクセスジャーナルに投稿させ
> るために、ウェルカム・トラストは、財団が助成した研究が無料で利用できるよ
> うになっていなかったらその研究者と大学に制裁措置を取ることを検討している
> とWalport氏は述べた。検討中の1つの選択肢は、助成更新を、オープンアクセス
> を順守しているかの条件付きとすることだ、それにより科学者の以前財団から助
> 成された研究成果が完全にアクセス可能となれば新しい金が拠出されるだろう。
>
> もうひとつの提案は、財団の助成で生み出された論文がアクセス可能であること
> を、その助成が最終支払される前に確認するよう大学に求めるというものだ。
>
> 「もし雑誌が私たちの助成条件に適合していなければ、あなたはその雑誌で出版
> できないと効果的に言うこととなる」と彼は述べた、もっとも財団は有料アクセ
> ス雑誌のボイコットを支援はしていないが。
>
> 6カ月規定ですら元の研究をパブリック・ドメインとあまりに長期間遠ざけてい
> る、とWalport氏は付け加えた。
>
> 「ざっくばらんに言うと、それはGuardianが3週間後に無料になると言うような
> ものだ、その段階ではニュース欄はほとんど価値を持たない。6カ月ですら研究
> にとっては結局はあまりに長いだろう」
>
> 多くの科学者にとってのもう一つの論点は、出版者が査読目的で科学者を無料で
> 働かせていることだ。
>
> 「科学出版の世界全体で最大のコストのひとつは学術コミュニティによって生み
> 出されている、すなわち査読だ」とWalport氏は述べた。「雑誌は、無料で、し
> かし潜在的には非常に高価なコンサルタント業を持つことで利益を得てきた。か
> さねて問うが、最終生産物が有料の壁に閉じ込められようとしているのに、なぜ
> 私たちはそれを行うのか?」
>
> 科学者はNature、Science、Cellのような超一流の雑誌ブランドで出版したいの
> で科学コミュニティにおいては保守主義の傾向がある、とWalport氏は述べた。
> 比較的最近まで、自分の研究成果で大きなインパクトを与えたいと望む研究者に
> はさほど多くの選択肢はなかった - しかしPLoSグループが出版するオープンア
> クセスジャーナルの商業的成功が、オープンアクセスは金になるということを証
> 明した。「PLoS ONEは今や世界で最大の科学雑誌であり、ますます成長してい
> る」とWalport氏は述べた。
>
> 競争の欠如に対応するため、ウェルカム・トラストはドイツのマックス・プラン
> ク協会、アメリカのハワード・ヒューズ医学研究所と共同でeLifeという新しい
> オープンアクセスジャーナルを創刊することにした。「科学出版業界のまさに最
> 高峰となり、NatureやScienceにとっての目に見える目立った競争相手となろう
> というものだ」とWalport氏は述べた。「これは決してそれらの雑誌を締め出そ
> うとする戦争ではない、出版社がすべき最良のことは、その出版モデルを変える
> ことだ」
>
> Willetts大臣は、公的資金提供を受けた研究のオープンアクセス構想がイギリス
> でどうすれば機能するかについて解決するため、研究者や出版者との話し合いを
> 持つようKeele大学の前副総長であるJanet Finch氏を任命した。
>
> Research Councils UKは、Science Research Council(科学研究評議会)を通し
> て政府資金の30億ポンド超の配分を調整する組織だが、オープンアクセスに関す
> る調査を発表した。主な提言は、公的資金の結果として生産された研究論文の最
> 終版は刊行後6カ月以内にオンラインでオープンアクセスにせねばならないとい
> うウェルカム・トラストの方針と一致している。
>
> ========【その1 ここまで】========
>
>
> ========【その2 ここから】========
>
> オープンアクセスは科学研究の明るい未来を意味する : イギリスの科学研究へ
> のフリーアクセスは我々が自覚している以上に、多くのものをもたらし、またコ
> スト減となるだろう
>
> Guardianは、イギリスが助成したすべての研究が2年以内にオープンアクセスと
> なるという最近の政府の発表について、「インターネットの発明以来最も抜本的
> な学術出版の変革」と称した。それは誇張表現ではない:ウェブは、当初作られ
> た目的、すなわち研究の無料交換、を最終的に達成するだろう。結末は文字通り
> 計り知れない:おおよその目安では、その成果を同じようにオープンにするとい
> うヒトゲノムプロジェクトが下した決定はプロジェクトにかかったコストの200
> 倍超の経済的利益をもたらした。従来学者のみが利用できた研究成果が、まだ想
> 像もできない使われ方をされえるようになるので、医学や教育、産業において重
> 要な進展が期待できる。
>
> しかしこのニュースは、発表が示唆する以上のものである。政府の声明はFinch
> レポートへの反応だった、そしてオープンアクセスの学術エコシステムに転換す
> るには年5000-6000万ポンドかかるというレポートの主張を文字通りに解釈して
> いる。一部の方面筋では政府の発表への反応が熱狂的でなかった、この余分なお
> 金を現在の割り当てから工面する必要があるためだ。しかしこのコストは非常に
> 大げさである。本当のコストは1000万ポンド前後だろう。
>
> なぜこのように多く見積もられたのか?その理由は、Finchグループが「正当に
> 様々な関心と様々な優先順位を持った様々な有権者を代表する」メンバーから
> 成っていたからだ。特に、グループの大部分は購読ベースの出版者だったが、彼
> らのビジネスモデルはオープンアクセスによって弱体化させられるのに耐えてお
> り、彼らがレポートを弱体化させるのももっともだった。彼らは3つの方法を
> とった:まず第1に、著者が出版者へ何も支払うことなくその最終稿を公的リポ
> ジトリに登録する「グリーンオープンアクセス」の重要性を弱めた。第2に、著
> 者が論文出版加工料(APC)を支払う「ゴールドオープンアクセス」の標準的コ
> ストをかなり多く見積もった。第3に、増加する購読料を含めることにより転換
> コストをさらにつり上げた。
>
> 結果として、5000-6000万ポンドというFinchレポートの転換コストは、「オープ
> ンアクセスジャーナルでの出版に3800万ポンド、ライセンス延長に1000万ポン
> ド、リポジトリに300-500万ポンド」から構成されている。これらのコストのう
> ち、ライセンス延長の1000万ポンドはすぐに割り引いて考えることが可能だ:な
> ぜなら転換は購読ライセンスの減少につながるはずで、増加にはつながらないか
> らだ。3800万ポンドは、「1500-2000ポンドの間」という平均APCに基づいている
> が、これはナンセンスである。この範囲の一番低額でも、1500ポンドという金額
> は、PLoS ONEが課す1350ドル(870ポンド)の約2倍であり、1370誌の100697報の
> 論文の平均額906ドル(585ポンド)の約3倍もの値段である。1500-2000ポンドと
> いう額は、購読出版者がゴールドオープンアクセスに課したい額を示している
> が、その額は市場が耐えられる額ではない。
>
> ElsevierやWileyのような伝統的な購読ベースの出版者にとってはさらに悪い状
> 態だ(そして公衆にとってはよい状態だ):ゴールドオープンアクセスは読者の
> 代わりに著者の市場をもたらすだろう、そのため出版者は現在得ている独占を保
> つことはもうできないだろう。Cell掲載論文を読みたい研究者は、Elsevierから
> Elsevierの価格で購読するだけでよいが、一方Cellでの論文出版を考えている著
> 者は、価格が魅力がなければ単純によそに行くこともできる。
>
> そして価格はおそらく魅力がないだろう。新しいオープンアクセス出版者はひっ
> きりなしに新しい雑誌を創刊している、例えば、PeerJは査読論文を99ドル(63
> ポンド)という低額の料金で出版することを約束し、eLifeは最初の数年間はみ
> な出版料を免除している。新しい公平な場では、これらの活発な電子ジャーナル
> が恐竜を打ち負かしそうだ。効率的な市場ができれば、APCを下げる強い圧力と
> なり、おそらく平均300-400ポンドとなるのではないか。これはFinchレポートで
> 「平均APC」とされる額の約1/5である。これにより、年総額のAPCは3800万ポン
> ドから760万ポンドに下がる。Finchレポートでは300-500万ポンドがリポジトリ
> にあてられているので、転換コストは年1000万ポンド前後と考えられる、これは
> イギリス国民6000万人の各人あたり約16ペンスである。そして数年以内に、購読
> キャンセルで浮くお金は、APCに費やされる額を上回るだろう。
>
> 昨日もイギリスではオープンアクセスに関する2つの発表がさらに行われた、
> もっともこれらはFinchレポートへの政府の反応によってやや影が薄くなったよ
> うだが。イギリスの最大の研究資金提供機関の共同体であるResearch Councils
> UKは、新しいオープンアクセス方針を発表した、その方針は自由に商業的に再利
> 用できる真のオープンアクセスを求める点で、広範な政府の方針よりもさらに率
> 直である。また、長期的に見てとりわけ重要なことは、目立たないように行われ
> たが、Higher Education Funding Council for EnglandがResearch Evaluation
> Frameworkで評価されたすべての出版物をオープンアクセスにすることを求める
> 計画を発表したことだ。これは、伝統主義者がオープンアクセスを避けてきた主
> な理由を取り除くだろう:主な理由と言うのはすなわち、新しいオープンアクセ
> スジャーナルでの出版物は長い伝統のある購読誌での出版物と同等に一流だと考
> えられないのではないかという恐れである。オープンでない出版物がまったく重
> 視されなければ、その恐れは解消するだろう、そして「名声をオープンアクセス
> へ移す」というハーバードの目標は達成されるだろう。
>
> ========【その2 ここまで】========
>
> ========【その3 ここから】========
>
> 学術雑誌は抜本的改革に直面している
>
> もしその成果が自由に利用可能であるべき努力があるとしたら、その努力とは間
> 違いなく公的助成を受けた科学である。道義的には、希望する納税者はその成果
> を追加支出することなく読めるべきである。また科学はプロジェクト間の交流を
> 通して発達する。その交流への障壁は科学の発達を鈍化させる。
>
> この交流を過去数世紀もの間仲介してきた雑誌出版者が、その障害となりつつあ
> るという感覚が広まってきている。最新の転向者のひとつがイギリス政府であ
> る。(2012年)7月16日にイギリス政府はこう発表した:2013年以降、公的資金
> の注入された研究は、無料かつオンラインで、誰でも読めて再配布できるように
> する、と。
>
> イギリス政府だけではない。(2012年)7月17日にはヨーロッパ連合も続いた。
> ヨーロッパ連合の提案は、次の科学向け支出ラウンド(期間は2014年から2020年
> で、拠出金額はおよそ800億ユーロあるいは1000億ドル)によって支払われる研
> 究を同様に入手しやすくする、というものだ。アメリカでは、国立衛生研究所
> (NIH, 世界において唯一最大の公的研究資金源)が2008年以来オープンアクセ
> ス出版を求めてきた。また、イギリスの財団で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団に
> 次いで世界で2番目に大きな公益の科学資金源であるウェルカム・トラストもま
> た、資金を得た者はその成果を無料で利用できるようにするよう主張している。
>
> 雑誌出版者批判は大抵2つのことに要約される。1つは、インターネットで数日
> でできることのはずなのに、論文出版のプロセスに何か月もかけていることであ
> る。もう1つは、各論文はミニ独占企業のようで、その分野に従事している者た
> ちが自身の研究を発達させるつもりであれば読まねばならない、従って価格下落
> を維持するインセンティブが存在しないということである。出版者たちはそう
> やって、科学者たちを、いやより正確に言うと購読料を支払っている彼らの所属
> 大学を、アームロックにかけるのである。それによって、原料(論文の原稿)は
> 無料であるという事実とあいまって、豊かなリターンがもたらされる。2011年に
> オランダの大規模出版者であるElsevierは20.6億ポンドの収入に対し7億6800万
> ポンドの利益を上げた、利ざやは37%である。実際、Elsevierの利益については
> 多くの人がひどいと考えており、12000人もの研究者らがElsevierの雑誌ボイ
> コットに署名した。
>
> 黄金の未来?
>
> 出版者はサービスを提供する。彼らは査読を管理する、その査読において論文は
> 専門家によって匿名で批評される(だがこれらの専門家たちには、論文著者同
> 様、報酬が支払われることはめったにない)。また、出版者は、どれをどこで出
> 版するかを決めて、科学の羊をヤギから選り分ける。
>
> このことで出版者は大きな力を得ているのである。研究者や役人、助成団体はみ
> な、どの研究成果がこのフィルター構造を通過したかに注目しているので、一番
> 良い雑誌で出版するための競争は熾烈であり、このシステムは、自己強化し、そ
> れらの雑誌の価値をさらに高めることとなっている。
>
> しかし、おそらく、もう長くは続くまい。オープンアクセスによる科学出版への
> 支援が増加してきている:つまり、オンラインで出版し、論文を誰でも無料で読
> めるようにするのである。この動きは科学者たち自身の間で始まったが、今やイ
> ギリス政府の発表から明らかなように政府が(オープンアクセスに)注目してお
> り、政府もこの変化から利益を得られないか問うている。
>
> イギリス政府の発表はマンチェスター大学の社会学者であるJanet Finch氏によ
> るレポート刊行を受けたものである。Finchレポートは、オープンアクセス出版
> のパイオニアのひとつであるPublic Library of Scienceが採用しているビジネ
> スモデルを奨励することを提言している。PLoSはサンフランシスコを拠点とする
> 非営利団体で、著者に課金し(1350-2900ドルの間。だが支払いが困難な場合は
> 免除される)、論文をインターネット上で無料で利用できるようにする。PLoSは
> 非営利団体として広く知られているので、この仕組みはうまくいっている。PLoS
> は2000年の創始以来、7つの広く高評価を受けている電子ジャーナルを創刊して
> きた。歴史に埋もれた諸理由のため、このビジネスモデルはゴールドモデルとし
> て知られている。
>
> NIHの取り組みは異なるものである。NIHは研究者に伝統的な雑誌で出版させる
> が、1年以内に研究者が自分の論文をPubMedと呼ばれる無料の「リポジトリ」Web
> サイトに投稿することを条件としている。雑誌はこれに同意せねばならない、そ
> うしなければプロセスから除かれてしまう。これはグリーンモデルとして知られ
> ている。
>
> ゴールドモデルもグリーンモデルも出版前の査読を含めている。だが第3のモデ
> ルは査読すらも排除している。多くの科学者、特に物理学者は、いまや論文の原
> 稿を、公益のために大学のネットワークによって賄われている公的アーカイブに
> アップロードしている(もっとも有名なのはarXivとして知られている、文字列
> の真ん中の文字はギリシア文字のchiである)。ここでは、原稿はオープン査読
> という非情なプロセスにさらされる、伝統的な出版者が採用している内密の査読
> ではない。arXivに登録された論文は最終的には伝統的な雑誌へ行くかもしれな
> い、しかしそれは単にその論文を書いた研究チームに対して許可を与えるという
> だけである。論文の実際の出版と、他の科学者たちにとってのその論文の価値
> は、その論文が最初にオンラインで出現したときから始まるのである。
>
> PLoSの成功、ならびにオープンアクセスへの政治的シフトは、ほかの新しい企て
> も促している。前兆を見ると、いくつかの商業出版者がゴールドモデルの出版を
> 試している。一方、今年後半には、ウェルカム・トラスト、マックス・プランク
> 研究所(ドイツの優れた研究所の多くを運営している)、ハワード・ヒューズ医
> 学研究所の連合がeLifeの初号を刊行する予定だ。eLifeは、数ある中でももっと
> も著名な雑誌Natureと競争する野心を持ったオープンアクセスジャーナルであ
> る。これらの団体の豊富な資金のおかげで、少なくとも最初の数年は、eLifeは
> 出版料を課すことすらしない予定である。
>
> 解決すべきことはまだたくさんある。中には伝統的な雑誌による研究成果のキュ
> レーションと検証が失われることを恐れる者もいる。ウェルカム・トラストの長
> でオープンアクセス出版の強い支持者であるMark Walport氏ですら、グリーンモ
> デルに基づいたシステムは崩壊する可能性があると心配している。新しく解放さ
> れた論文が、NIHの主張する方法で集約されるのではなく、異なる場に行き着い
> たらその崩壊も起こりうるかもしれない。しかし、BMC Medicine(Springer刊行
> のオープンアクセスジャーナル)で出版された研究だけをとっても、オープンア
> クセスジャーナルの論文は伝統的な刊行物でと同様に広く引用されることを示し
> ている。
>
> 改革は始まった。技術によってその改革が可能となる。研究者と政治家も改革を
> 望んでいる。もし科学出版者らが恐れているのでなければ恐れるべきである。
>
> 【記事本文 ここまで】
>
> 【comments(2件のみ抜粋) ここから】
> ●Michael Mabe CEO Int Assoc STM Publishers
> July 23rd, 10:42
>
> Once again the Economist pronounces on the imminent demise of scientific
> publishing without any attempt to talk to the industry. Had you
> contacted STM or the UK PA, or even read our press releases issued last
> week on the EU, Finch and Willetts policy announcements, you would have
> discovered an industry forging ahead with innovation on the back of 98%
> digitisation, one that has embraced open access and welcomed the UK
> Government support for Gold pay to publish models. We share Sir Mark
> Walport’s view of Green Open Access as inadequate and messy. Quaking in
> our boots? Hardly. Science publishers were the first to see the benefits
> of digital and the first in the publishing sector to embrace the
> internet. If anyone should be worried about the digital revolution, it
> is those newspapers and magazines that have not yet made the transition
> from print to electronic.
>
> Michael Mabe, CEO, International Association of Scientific, Technical
> and Medical Publishers, Oxford, UK
>
> またもやEconomist誌は、業界と話そうともせずに科学出版の終焉が差し迫って
> いると宣告している。STMやUK PAにコンタクトをとるか、EU、フィンチ、ウィ
> レットのポリシー発表について先週出した私たちのプレスリリースを読みさえす
> れば、業界が98%のデジタル化を背景に革新しながら前進しており、オープンア
> クセスを採用し、イギリス政府が出版するのに支払いを行うゴールドモデルを支
> 援するのを歓迎していることが分かるだろう。私たちはグリーンオープンアクセ
> スは不適当であり面倒であるというMark Walport氏の見方を共有している。私た
> ちが恐れている?否。科学出版者がデジタルの利益を最初に理解し出版分野でイ
> ンターネットを最初に採用したのだ。もし誰かがデジタル革命を恐れているのな
> ら、プリントから電子への転換をいまだ行っていない新聞や雑誌こそがそうだろう。
>
> ●Stevan Harnad
> July 20th, 13:41
> WHAT IS OPEN ACCESS, AND WHAT IS THE TUMULT ABOUT?
>
> 1. "Open Access" does not mean "Open Access Publishing."
>
> 2. "Open Access" (OA) means free online access to peer-reviewed,
> published journal articles.
>
> 3. OA comes in two "degrees": "Gratis" OA is free online access and
> "Libre" OA is free online access plus various re-use rights. (Most of
> the discussion right now is about Gratis OA, which is the most
> important, urgent and reachable degree of OA.)
>
> 4. Authors can provide OA in two ways: (4a) by publishing in a
> subscription journal and making their final, peer-reviewed drafts free
> for all online by self-archiving them in their OA institutional
> repositories immediately upon acceptance for publication ("Green OA") or
> (4b) by paying to publish them in an OA journal that makes them free for
> all online ("Gold OA").
>
> 5. Both Green OA and Gold OA is peer-reviewed: no difference there.
>
> 6. But Gold OA costs extra money (which the Finch Report proposes to
> take out of already-scarce research funds).
>
> 7. Green OA is free of extra cost (because subscriptions are still
> paying in full -- and handsomely -- for publication).
>
> 8. About 60% of journals officially recognize their authors' right to
> provide immediate Green OA, but about 40% impose an embargo of 6-12
> months or longer before their authors may provide Green OA.
>
> 9. All the UK Research Councils (RCUK) mandate that their authors
> provide Green OA with a maximum allowable embargo of 6 months (12 for
> AHRC and ESRC). They also make some funds available to pay Gold OA fees.
>
> 10. The Finch report, under very strong lobbying pressure from
> publishers, recommended that cost-free Green OA be phased out and that
> only funded Gold OA should be provided.
>
> 11. Both RCUK and the EC demurred, and continue to mandates Green OA as
> well as funding Gold OA.
>
> 12. The tumult from researchers and OA advocates is about the diversion
> of scarce research funds to pricey Gold OA what Green OA can be provided
> cost-free.
> ※文献リストは割愛
>
> オープンアクセスとは何か?何に大騒ぎしているのか?
>
> 1.「オープンアクセス」は「オープンアクセス出版」の意ではない。
> 2.「オープンアクセス」(OA)は、査読済の出版された雑誌論文に、無料でオン
> ラインでアクセスできることを意味する。
> 3.OAは2つの「程度」がある。「Gratis」OAは無料でオンラインでアクセスでき
> ること、「Libre」OAは無料でオンラインでアクセスでき、かつ様々な再利用の
> 権利が追加される。(以下のほとんどの議論はもっとも重要で緊急で達成しうる
> Gratis OAについてである)
> 4.著者は2つの方法でOAを供することができる。(4a)購読誌で出版しその査読
> 済著者最終稿を出版がアクセプトされるやすぐにOAの機関リポジトリにセルフ
> アーカイブして、無料で全ての人がオンラインでアクセスできるようにすること
> (Green OA) (4b)オープンアクセスジャーナルで論文を出版するのにお金を
> 支払って、その雑誌が論文を無料で全ての人がオンラインでアクセスできるよう
> にすること(Gold OA)
> 5.Green OA, Gold OAともに査読される。この点で違いはない。
> 6.しかしGold OAは余計なコストがかかる(Finchレポートは研究資金は既に不足
> しているのにそこから出すと提案している)
> 7.Green OAは余計なコストはいらない(出版物の購読料はまだ-気前の良いこと
> に-全額支払われているから)
> 8.雑誌の約60%が、著者がGreen OAを供する権利を公に認めている。しかし40%
> は、著者がGreen OAを供する前に6-12カ月もしくはそれ以上のエンバーゴを課し
> ている。
> 9.UK Research Councils (RCUK) はすべて著者がGreen OAを供することを義務付
> けているが、最長6カ月(AHRCとESRCは12カ月)のエンバーゴを認めている。
> RCUKはいくつかの助成金をGold OAの料金支払いにあてられるようにしている。
> 10.出版社からの非常に強いロビー活動の下で作られたFinchレポートは、コスト
> がかからないGreen OAは廃止し、資金提供されたGold OAのみが供されることを
> 推奨した。
> 11.RCUKもECも異議を唱えた、そしてGold OAへの資金提供されたGold OAと同
> 様、Green OAを義務付ける。
> 12.研究者やOA支援者からの騒動は、既に不足している研究資金を、コストのか
> からないGreen OAで供することができる高価なGold OAに向ける転換についてで
> ある。
>
> 【comments(2件のみ抜粋) ここまで】
>
> ========【その3 ここまで】========
>
> ---
> 鹿児島大学学術情報部(附属図書館)
> 情報管理課学術コンテンツ係 西薗
> 〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-35
> TEL:099-285-7445 FAX:099-285-7413
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> 月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/
> 2012年7月号(30号)を発行しました!
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