みなさま お世話になっています。 琉球大学附属図書館の稲永です。 The Scientistのインタビュー記事の以下2名の翻訳を担当しました。 ●Stuart Taylor: Commercial Director, The Royal Society 英国王立協会コマーシャルディレクタ ●John Vaughn: Executive Vice President, Association of American Universities 米国大学協会(AAU)副理事長 こちらの誤訳を栗山先生に誤訳を見つけていただきましたので 訂正した部分のみ、ご確認ください。 来る山先生、ありがとうございます。 ========================= 問2 現在の査読システムに問題はあるか。 Stuart Taylor氏の回答 Occasional mistakes have made it through the process, but the self-correcting elements of the system, such as post-publication criticism, have put them right in the end. たまに起こる誤りは何とかプロセスを切り抜けてきたが、出版後の批評のような、システムでの自己修正の要素は完全にそれを終わりにした。 ↓ たまに誤りがこのプロセスをすり抜けることがありましたが、出版後の批評のようなシステムの自己修正の要素が、最後にはそれらを正してきた。 John Vaughn氏の回答 peer review is not impervious to error or bias 査読は誤りや先入観に余地がある。 ↓ 誤りや先入観の入り込む余地がある。 ============================ Q3 オープンアクセス(OA)出版は将来の潮流か。現在のOA出版を悩ます問題は何か。 John Vaughn氏の回答 If the costs of publishing can be fully met at the front end of the process, through author payments or by other means, the extraordinary advances in digital technology and online dissemination make it possible for the final published article to be immediately freely available to all. 前置き条件として、出版費用を、著者支払いを通じて、あるいは他の手段によって、完全に賄うことができる場合、ディジタル技術およびオンライン普 及の中での抜きんでた進化が、最稿として出版された記事を直ちに自由に利用可能な状態へとなることを可能とするだろう。 ↓ もし出版費用が、著者支払いあるいはその他の手段を通して、そのプロセスの前段階で完全に賄うことができる場合、デジタル技術とオンライン配布の 素晴らしい進歩が、最終的な出版物としての論文を直ちに無料で誰でも利用できることを可能としている。 ============================== 問5 研究資金提供元は、論文の出版方法を決めるべきか。 Stuart Taylor氏の回答 However, the guiding principle should not be about what the funder wants but that the results are made as open and transparent as possible. しかしながら、その研究指針は資金提供者が何を望むかに関係しているべきではない。しかし、その結果はできるだけ誰でも見ることができる、透明な 状態であるべきだ。 ↓ しかしながら、公開を進める指針は資金提供者が何を望むかではなく、研究結果をできるだけオープンで透明なものにするということであるべきです。 ===================== Q6今、論文出版方法を一つだけ変えるとすれば、それは何か。 John Vaughn氏の回答 The one discrete change that could be implemented in the existing system would be to focus pricing policies on the public purposes of scholarly publishing, setting prices based on costs rather than income generation. Many publishers do this; all should. 既存のシステムで実施することができる1つの独立した変更は、収入生成からではなくコストに基づいた価格を設定して、学術出版の公共の用の価格決 定方針を集中させることだろう。 ↓ 既存のシステムで独立して実施することができる一つの変更は、学術出版の価格決定方針を公共の目的に絞り、収入生成ではなくコストに基づいた価格 を設定することだろう。 Many publishers do this; all should. 多くの出版者がこれを行っていますし;すべての出版社が行うべきだ。 ↓ 多く出版社がこれを行なっていますが、すべての出版社が行うべきだ。 みなさま いつもお世話になっております。 北海道大学附属図書館の城と申します。 The Scientistのインタビュー記事の ④Patrick Taylor氏: 米国ハーバード大学医学部・ボストン小児病院助教授 ⑤Alicia Wise氏: エルゼビア社ユニバーサルアクセス担当ディレクタ 上記二人のコメント(問3以降)の試訳を担当しました。 まず、訳に誤りがありましたので、訂正させてください。 #栗山先生、ありがとうございました。 ---------------- ■アリシア・ワイズ氏の問3に対するコメント わが社がオープンアクセス化に対応するための事務管理システム改修に用意した 投資は十分なのか?世界中の他の中小出版社は、この変革にどのように対応するのか!? →わが社が行った投資のスケールを考えた場合、果たしてもっと 小さな出版社は同様のことを行う余裕があるだろうか? ■パトリック・タイラー氏の問5に対するコメント 素人、ジャーナリスト、同業者、もしくは政策担当者のいずれによってなされたか に関わらず、公的助成を受けた研究成果は、いかなるアクセス制限や内容の搾取 からも、可能な限り自由であるべきだと私は考えている。 内容の搾取→内容の利用 自分の研究がその分野の先行研究と効果的にコミュニケーションを取ることができるように、 →自分の研究を効果的に伝え、その分野を発展させるために ■アリシア・ワイズ氏の問6に対するコメント 質の高い科学的な出版物に対する普遍的なアクセスを不都合なく 提供するにはどうすればよいか、といった大きな問題を解決する →「質の高い科学的な出版物に対する普遍的なアクセスをどのように 提供するかといった大きな問題と、すべての小さな不都合に対する解決策」 (訂正ここまで) --------------- アリシア・ワイズ氏はイギリスのJISCから エルゼビア社のユニバーサル・ディレクターに転身された方で、 DRFメーリングリストでも何度かお名前が出ていますので、 聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。 「今論文出版方法を一つだけ変えるとすれば、それは何か。」 という問いに対して、 「すべてのステークホルダー(著者、助成者、図書館、出版者、研究者、大学) が一堂に会し、オープンアクセスの実現について話し合うための場所を 設けたい」というコメントが、彼女のキャリアと相俟って、印象に残りました。 -----Original Message----- Date: Thu, 16 Aug 2012 10:17:35 +0900 From: "TSUCHIDE, Ikuko" <tsuchide @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx> To: drf @ xxxxxxxxxxxxxxxx CC: Subject: [drf:3252] Re: 8/23開催 第4回SPARC Japanセミナーへのお誘い(eLife誌やイギリスの最新OA事情について特集します)おはようございます。 土出@阪大です。 The Scientistのインタビュー記事、 「現在の科学研究成果出版システムの主要問題点は何か。」 という問いにたいして、Michael Eisenが 「すべて。」 というのが面白かったです。 のっけから「全出版産業が明日消えてくれたら」とか(笑) しかしこれらもインターネットが発達して実現していることなのだ なあと思うと面白いです。。情報配布のためのコストは下がった。 あと、科学研究成果のpublishに必要なコストはなんなのでしょう (営利を抜きにして)。 私はこのインタビューのうち、問6と7の間の解説を担当しました。 訳に間違いがあったので訂正します。(汗) あと感想など。 「オープンアクセスの香り」 →もとのタイトルはFlavors of Open Access でした。 つまりアイスとかのいろんな「味」ということだろうと。ということで 「オープンアクセスあれこれ」 にします。 「1997年には米国医学図書館が,包括的な生物医学研究文献 目録でPubMed経由で自由にアクセスできるMedlineを作った.」 Medlineはその前からありました;; 医学系の文献索引「Index Medicus」をコンピューターデータベー ス化したのがMEDLARS(1964-)で、それをオンラインで検索でき るようにしたのがMedline(1976-)、ですので、 「1997年には米国医学図書館(NLM)が、包括的な生物医学研 究文献目録であるMedlineをPubMed経由で自由にアクセスでき るようにした。」 です。 「猶予つきOA」 原文は「Delayed Open Access」で、出版者からみると「猶予」で すが、OA推進の立場からすると「遅延」ですね。 日本物理学会誌があがっていましたが(embargo15年てほんとか) ちょっと見てみたら著者投稿規定では図版の再利用も許諾つきで 可としているし、著者自身によるセルフアーカイブ(査読後著者版) にはEmbargo1ヶ月でOKを出しているので、著者がその気になれ ば論文単位のOAは可能ですね。 http://scpj.tulips.tsukuba.ac.jp/detail/journal/id/J001001 このScientistの記事は、「出版者」による「OA」の視点がやはり強 いと感じました。 「出版者」とはプラットフォームをもつもの、インフラになりうるもの、か なとおもうのですが、 そうすると、大学等の各機関リポジトリは、「出版者」にな(れ)るの、 どうなの?? という問いに戻るかと… 個人的には 「なるよ」 と答えたいと思います。 となると他の敵を知らねばなりません。 知るための場のひとつが、本セミナーになると考えています。 ------------- 2012年8月16日 9:12 杉田茂樹 <ssugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx>:小樽商大 杉田です。 SPARC Japanセミナー、参加します。この雑誌の注目すべき特徴は、 ・研究助成機関が刊行する ・当面の間、投稿料は無料つまり、 ・研究者は研究助成団体によって評価=資金助成される ・研究成果の流通は当面無料(購読料も投稿料も要さない) とすると、大学ってなんなんでしょうか。居場所? 大学図書館って?また、関連記事の試訳を行いました: "Whither Science Publishing?"(科学出版はどうなる)それぞれ言うことの違う人たちを並べて見るのは面白いですね! 私は、Michael Eisen: Howard Hughes Investigator and Associate Professor of Genetics, Genomics, and Development, University of California, Berkeley 米国カリフォルニア大学バークレー校遺伝子学部准教授 ◆Randy Schekman and Mark Patterson: Editor-in-Chief and Managing Executive Editor of forthcoming open-access journal eLife 近刊予定のOA誌"eLife"編集長およびManaging Executive Editorこの2者3名の訳を担当しました。 前者Michael Eisenは、(あとで気付きましたが)バークレー准教授という より、PLoSの共同設立者のひとりといったほうが通じがよいかも知れません。 つまり、Michael Eisenと、今回来日するMark Pattersonはもともと同僚で、 [drf:2911]によれば、このふたりこそPLoS設立時の「熱情的な過激分子」 (flame throwing radicals)であったようです。 この仮想座談会でもあれこれ刺激的ですが、中でも、問2.現在の査読システムに問題はあるか。で、ともに査読システムへの否定的見解を述べていたのが印象的でした。 「eLifeは科学のベリーベストな部分を取り扱いたい」というようなことを 聞いたことがありますがこのあたりどうなるんでしょう。 -- 杉田茂樹 <ssugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx> 小樽商科大学学術情報課長(附属図書館) 電話番号:0134-27-5269,ファクシミリ:0134-27-5278 http://www.facebook.com/OtaruUniversityofCommerceLibrary ──────────────────☆──────── 月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/ 2012年8月号(31号)を発行しました! DRF(Digital Repository Federation) http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/ ─────★─────────────────────-- ★---☆---*LSL20*---☆---★ 2012年4月,生命科学図書館は 20周年を迎えます!! http://www.library.osaka-u.ac.jp/ http://www.library.osaka-u.ac.jp/lib_lsl -------------- 土出郁子 (TSUCHIDE, Ikuko) tsuchide @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx 大阪大学附属図書館 生命科学図書館 フロアサービス主担当 ______________________________________________________________________ ──────────────────☆──────── 月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/ 2012年8月号(31号)を発行しました! DRF(Digital Repository Federation) http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/ ─────★─────────────────────--- 城 恭子 北海道大学附属図書館学術システム課(システム管理担当) TEL: 011-706-4025 FAX: 011-706-4099 MAIL: k-hama @ xxxxxxxxxxxxxxxxx HUSCAP: http://eprints.lib.hokudai.ac.jp -- =============== 琉球大学附属図書館 情報サービス課 情報サービス企画係 稲永 晶子 <Shouko Inenaga> 〒903-0214 沖縄県西原町千原1 tel=098-895-8167 fax=098-895-8169 mail=shouko @ xxxxxxxxxxxxxxxxxx |
──────────────────☆──────── 月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/ 2012年8月号(31号)を発行しました! DRF(Digital Repository Federation) http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/ ─────★─────────────────────