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[drf:1121] Re: 紙媒体の書籍は無くならないとぐだぐだ述べる



高橋さん、

> 土屋先生お久しぶりです、こんにちは。
>  で、先生、国会図書館が蔵書の電子化やるってのは別次元での話ですよね。
> あそこの役割として別形態での保存と活用ってことで。あ、ネットで中を見せ
> てるか...。いや、でも、例え蔵書全部を電子化する、今後は電子化納本に
> するてことになったとしても、出版社の紙媒体での販売は無くならないと思い
> ますが、どうですか。

はい、国立国会図書館の電子化は別次元です。しかし、日本で出版された図書
の電子ファイルが存在するようになるという事実は重要です。税金で作ったそ
れを使わないという手はないのですから。書協も以前より軟化しているという
ような情報もあります。われわれとしては、それを利用できれば、復刊.comな
んて悠長なことを言っていないで、どんどんキャンパスで使えるようになるの
ですから。たとえば、授業の参考書として使いたい大学が許諾をとってくれば、
国立国会図書館として使うことを拒む理由はないのでは?拒むことは国民が許
しません。

「出版社の紙媒体での販売」かどうかということについてですが、なくならな
いと思います。しかし、たとえば、50人のクラスで学生の全員に読ませたい参
考文献があったとき、デジタルと紙とではどちらよいでしょうか。紙を50冊書
いますか? つまり、図書館が趣味で紙の本を買うことに異議はありませんし、
出版者が趣味で紙の本を出すことにも異議はありませんが、電子的に頒布され
るならばそっちのほうがはるかに便利であり、日本の高等教育に資するものだ
と思います。

>  妻が小出版社に勤務しています。友人の何人かはそこそこの出版社に勤務し
> ています。翻訳家や作家もいます。なんか、みんな、図書館を敵対視するし、
> ブックオフだとかもやり玉にあげる連中に囲まれて、公共図書館に勤務してい
> る友人ふたりは、すっとこどっこいのあんぽんたんで、図書館員の風上にもお
> けない発言を平気でする輩で話にならんのですが、こういう連中と話をしてい
> ると、紙媒体の出版文化てのは、容易には無くならないんじゃないかなぁと感
> じます。いや、みんなそこそこの年齢なんで、爺と婆が何の繰り言を、と思わ
> れても仕方が無いんですが、紙媒体の出版文化が衰退していくのは、電子媒体
> が増えたからってのも一因でしょうが、もっと根本は、単に人が文字を読まな
> くなっていっているから、なんじゃないですか。

現在の日本の商業的出版流通が、委託販売制と再販価格制です。再販制度は法
的根拠をもちますが、委託販売制は、取次の金融力が弱くなると簡単に崩壊し、
今まさにその直前のようです。再販制も実際にはさまざまなディスカウントが
なしくずしに導入され形骸化の一歩手前です。したがって、出版「文化」が容
易になくならないとしても、それを支える経済構造が崩壊すれば、「文化」な
んて脆いものです。出版社だとか図書館だとかは、そういう脆弱な(古い言葉
ですが)下部構造に支えられてきたにすぎないのです。

「人が文字を読まなくなった」かという点については、まさにその逆だと思い
ます。マニュアルとか、契約書とか、古きよき昔は読む必要はなかったのに今
はいっしょうけんめい読んでいませんか。学問だって、先生とのふれ合いが大
事だったのに、いまはともかくたくさん読むようになっているのではないでしょ
うか。

というわけで、

>  あれれ? えーと、ぐだぐだになりました。何を言いたかったかな、と。
> 
>  機関リポジトリなんか図書館がやらんでもいい。

これは賛成ですが、

>  紙媒体の書籍は無くならない。
>  人は文字をたくさんは読まなくなっていく。

以上の理由から、この2点は間違っていると思います。

>  自分が何が言いたいのか、わからん。失礼しました。

いえいえ、お互いさまです。

土屋
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