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[drf:839] Columbia University 訪問 Re: [drf:833] 北米訪問(SPARC後)の報告
- Date: Fri, 26 Dec 2008 18:38:11 +0900
みなさま
お世話になっております。大阪大学の土出です。
11月の北米出張について,最後の報告をお送りいたします。
>11/19 午前 Baltimore → Washingtonへ
>11/19 午後 NLM/NIH
>11/20 午前 George Mason University (Fairfax) Johnson Center Library
>11/20 午後 Washington → NYへ
>11/21 午後 Columbia University Butlar Library および C.V. Starr East
>Asian Library 訪問
>11/22-3 帰国
George Mason University の翌日に訪問いたしました,Columbia University
についてです。
訪問したのは"Butler Library" です。再三綴りを間違えておりましたので,
ここで訂正をさせていただきます。失礼いたしました。
Butler Library : Columbia University の人文学系図書館・学部図書館。
元々は本館で今も本館機能は有しているが,「図書館の肥大により」,
社会科学系はLehman Library が担っているとのこと。
ちなみにButlerを含め,Columbia University には25の図書館があるそう
です。
◎リポジトリご担当の方からお話を伺いました。
Digital Repository Coodinator の方。
この役職は,今年になってあたらしくできたとのこと。
CDRS(Center for Digital Research and Scholarship) の一部。
専ら,教員へのリポジトリ説明やコーディネートを行う。
リポジトリの概念として,広義にはベルリン宣言,狭義にはリンチ定義を
引いており,教員などに学内で説明する場合は,リンチ定義を用いている。
リポジトリを行うにあたって,図書館が学内すべてのコンテンツを集める
集中型でやるべきか,各部局でたてるべきか,などのリサーチを行った。
教員へもリサーチをしたところでは様々な意見が出たとのこと。とにかく
デジタルアイテムを管理しておく必要性を認識している意見もあったが,
不要論もあった。
(このあたりの議論や意見をどうまとめて最終的にサービスを開始するこ
とにしたのかは,不明。尋ねそこねました)
システムは,アメリカではDspaceかBepress(商用)が多いが,コロンビア
はFedoraを使っている。システムについては情報部門系のスタッフに協力
してもらっている。
コンテンツを入れるにあたってのきまり2つ:
1.デジタル化はしない。リポジトリに入れたければデジタルファイルを
持ってくること。(デジタル化自体は,ITセンター??みたいな部署があ
り,スキャンするなど学内で容易にできる)"available online"と
"digitization" は違う。
2.コンテンツを集める対象は,現在在籍している教員,学生の学術成果
物。卒業生のものなどは対象としていない。
ちなみに博士学位論文はメタデータのみをリポジトリに入れている。本文
はProQuest(UMI)の方でもっている。ので本文を見ようと思えば結局
ProQuestに頼むこととなる。
教員に話をするときに,直接先生に話す前に,その分野のSelector
(Bibliographer)と話をして理解してもらうと早い。実際,メタデータを
作るときに相談したりできる。
他の協力者として,Technical Services 担当(図書館外でIT関係の人),
図書館長などに話をして,啓蒙することが大事。
Copyright Officer (これも今年からできた役職)の方にもお話を伺う
ことができましたが,教員に対してCopyrightやFair Use について理解
してもらうための活動や啓蒙が中心で,始めたばかりとのことです。
◎Butler Library の見学とサービスについて伺いました。
Butlar library は1934年に今の場所に定礎。中心に書庫層(15層)があ
り,その周りに閲覧室やオフィスの部屋があり,間に回廊が走っている,
という形になっています。
閲覧室側は9階で,書庫層とフロアは一致していません。利用者が利用
できるのは6階まで。書庫層は古い製本雑誌,古い図書などを保管。
入口は入ると2階。入ってすぐ横に売店,ラウンジがある。入った正面が
大階段。
昔は飲食禁止だったが,3,4年前に売店ができた。
2階には,他にコピーセンター,Reserve Center, Reading Room
など。2階のReading Room は試験期間になると24時間開館する。
3階:Circulation Desk, Reference, Catalog Room(目録冊子とカード
目録のみの部屋)など。Reeding Room もある。Circulation Deskは平日
夜23時まで開いている。
4階:雑誌とマイクロフィルムの部屋,ILLの部屋など。雑誌は,人文系
でオンライン版を契約していないタイトルについて,カレント分を配架
している。マイクロフィルムは膨大な数があり,リーダーもたくさん配
置している。メディア変換を考えたときに,digitizeはその媒体がどれ
くらいもつかまだ検証されておらず不安定なので,紙媒体を変換すると
きにはとりあえずマイクロにしているとのこと。
5階:Area studies の部屋が中心。院生対象の勉強部屋という感じ。ジ
ャンルごとに分かれている。他にスタッフや館長の部屋。
6階:貴重図書の部屋。展示も定期的に行っている。展示はRare bookの
担当者と,preservationの担当者が相談して行う。# preservation専門
の職員がおり,貴重書などの展示を行う際の展示台などを作成する(資
料をいためないような)技能も必要とされる。
◎(主に学部生への)サービスについて
オンラインメニュー,サービスが充実している。e-learningのメニュー
が1000コース以上ある。このメニューは基本的に情報部門系のスタッフ
や教員が作成している。コンピュータリテラシーに関するものが多い。
bibliographyのツールに関するものもある。
図書館のトップページからリンク。
ホームページの内容もわかりやすく充実している。
図書館員による各分野のResearch Method, 基本的な工具書などを一覧に
したページなどがある。オンラインシラバスにはコースリザーブ図書の
データも反映するようになっている。図書館トップページの1行検索窓は
図書館員によるもので,CLIO(コロンビア大OPAC),データベース,EJ,
Webとタブで切替,データベース「名」,EJ「タイトル名」(個々の論文
レベルではなくて)で検索できる。データベースは学外からも利用可能。
EzProxyを使用。リゾルバのKBを利用して自動的に作成されたEJの書誌を
OPACにローカルで持っている。
コロンビア大独自のカリキュラムで「Core Curriculum」というものがあ
る。
このカリキュラムがあるためにコロンビア大に入る人も多いらしい。新入
生は必修または選択必修で授業を選ぶが,外国語とWritingは必須。
writingなどは,授業を受けられなかった学生のために,図書館員がフォ
ローのためのグループワークショップを持つこともある。また,主題別,
各コースと関連するResearch method のレクチャーを図書館員が行うこ
ともある。
◎C.V. Starr East Asian Library の見学とお話を伺いました。
1962年に,それまでLaw Library の中にあったのを現在の場所に移転。
扱っている分野は日中韓+チベット(=CJKT)。各言語で書かれた図書と,
各エリアの研究所(各言語で書かれたものを含む)を購入している。
日本古典文学研究は有名な研究者が多く出ている。
閲覧室にはレファレンスツールと新聞雑誌,端末があり,多くの図書は
地下の書庫(4層ほど)にある。書庫も増設を繰り返しているが,既に
限界が見えている。
プリンストン大,NYPL,コロンビア大で共同出資してプリンストン大の
敷地内に「オフサイト」という共同保存書庫をもっており,あまり利用
されないと判断された図書はオフサイト送りとなる。直接行くには郊外
で不便なので,circulation desk から注文して取り寄せる。目録を取
ってすぐ,コロンビア大の図書館には並ばずにオフサイト送りとなる図
書もある。
図書館ではPh.Dの院生に対しては論文等で相談を受けたらそれに応じる
ことになっている(来る人と来ない人がいるが)。
以上です。
お世話になった方々:
Ms. Noguchi, Sachie (C.V. Starr East Asian Library)
→今回の訪問にあたって,館内のアポイントを含め,トータルにコー
ディネートをしてくださり,Butlerの見学説明もしてくださいまし
た。
Ms. Holsted, Sarah (Digital Repository Coodinator ; CDRS)
→リポジトリについての説明。
Mr. Crews, Kenneth D. (Director of Copyright Advisory Office)
→Copyrightに関する活動についての説明。
Ms. Stuveras, Junko S (French and Italian Literacure Librarian)
→学部生へのサービスについて詳細にご説明くださいました。
今回の出張に関しまして,多くの方からのサポート,ご紹介,ご助言
をいただきました。
お一人ずつのお名前を挙げることができませんが,関わってくださっ
た方,快く送り出してくださった職場の皆さま,その他全ての方に改
めて心より感謝申しあげます。
今年1年大変お世話になりました。
どうぞよいお年をお迎えください。
来年もよろしくお願い申しあげます。
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土出郁子 (TSUCHIDE Ikuko)
大阪大学附属図書館
学術情報整備室 (電子コンテンツ担当)
tsuchide @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
〒560-0043 豊中市待兼山町1-4
TEL:06-6850-5071
FAX:06-6850-5052