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[drf:976] International Repository Workshop 2009報告



北大 杉田です。

> 以前にもお知らせしましたが,オランダで月,火と国際リポジトリ基盤ワークショップ
> (Int'l Repositories Workshops)が開催され,DRFから北大杉田係長が参加しています。

3月16日から17日にかけてアムステルダムで開催された、「International
Repository Workshop 2009」に出席しました。同会議は、

・JISC(英国の情報基盤を司る組織)
・SURF(蘭国の情報基盤を司る組織)
・DRIVER(欧州のリポジトリ連携推進プロジェクト)

が主催したもので、参加招請をうけ、日本から5名(根岸先生、山地先生、
杉田さん(以上NII)、土屋先生、北大杉田(以上DRF))が参加しました。

以下、長くなりますが様子を報告します。

金沢大学内島課長から[drf:973]で紹介があった通り、

・Organization
・Repository Handshake
・Citation Services
・Identification Infrastructure

の4つのテーマについて分科会形式でのディスカッションによって、今後
当面のアクションプランを見定めようというのが会議趣旨でした。どの分
科会も問題解決方策を具体的に議論するのでなく、問題解決の方針とスケ
ジュールを定めることが目的とされました。

自分は初日は「Identification Infrastructure」、第二日は「Repository
Handshake」に参加しました。

Identification Infrastructure分科会のブレインストーミングでは、

・もっとも識別管理が重要なのは文献、著者、著者所属機関。
・文献はもっとも簡単、著者はその次に簡単。
・ただし著者の識別管理は、原理的には容易であるのだが、実現の工数は
 膨大。
・また、著者所属機関との関係ではメンテナンスがたいへん。
  :
 (以降、話は著者の識別管理に集中します)
  :
・identifier、metadata、objectは別層のものとして明に認識してかかる
 必要がある。
・OAI-PMHメタデータ(への適用は当然のことではあるが)は、ソリュー
 ションのひとつの選択肢。なぜなら、研究、文献執筆の過程の中で、リ
 ポジトリの占める位置はvery small partでしかない。
・not tied to harvesters, but tied to business model
・学術コミュニケーションの5過程(registration、certification、
 awareness、archiving、rewarding)の全域を通じて、Identification
 は機能せねばならない。
・世の中にはToo many solutionがあるともいえるし、Too fewともいえる。
・誰を信じればいいのか。(典拠として採用すべき相手をどう見定める?)
・世界でひとつの典拠、という考え方はあり得ない。国ごと、など。
・もっとも、particular purposeに基づいて考える、という行きかたもある。
 それであれば、central control modelが適しているかもしれない。
・相互運用性確保のためには、検討先のサービスについて何をどこまで知
 ればいいのか。
・すでに存在する、各機関のinternalな人管理との関係は?
・とりあえずは、metadataもobjectもpublicであるようなものを相手とす
 るが、△のような状況にある情報が時間を追って○の位置に移動するケー
 スも考えないといけない。
  +−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+
  |       |public metadata |private metadata|
  +−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+
  |public object |   ○    |   △    |
  +−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+
  |private object|   △    |   −    |
  +−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+
・objectは移動することもあるので、それに対応した管理上の状態変更、
 レゾルーションサービスの切り替えも必要。

といった議論がなされました。

「Repository Handshake」は、SWORDに代表される、複数リポジトリ間の
文献複製機構によって著者の文献投稿負荷をどう軽減していけるか、と
いうテーマでした。つまりたとえば、NIH方針による義務としてPubMed
Centralに文献を納め、ついでに所属機関のリポジトリにもポンと入れら
れたらいいね、というような。
初日にこちらに参加した山地先生からご配慮いただき、座長から5分の時
間をもらえたので、日本のプロジェクトとしてAIRwayとその現況のプレ
ゼンをしました。
Handshakeというテーマは、結果的に、各地に同じ論文が複数存在するこ
とにつながります。それに対し、複数バージョンを同定し、アプロプリ
エイトな版にナビゲートするシステムという観点でAIRwayを紹介しました。
ただ今回は、AIRwayはA mass of hard-codingであり、Not sustainable
であるとあえて話しました。各地のリポジトリが吐くOAIレコードはセマ
ンティックなレベルでは標準化されておらず、そこがAIRwayのようなサー
ビスプロバイダの、実装上の難点となっていること。このあたりをお互い
明確に意識して、相互運用性の向上を目指すことで、(AIRwayに限らず)
もっといろいろなアプリケーションが可能になるはず。

「Organization」と「Citation Services」の分科会には残念ながら顔を
出せませんでしたが、会議の最後の全体討議では、それぞれ、国際的な
基盤推進組織の形成、サウサンプトン大学を中心としCrossRefとも関係
を築いての引用情報のデータ化について構想が示されました。

今回の会議の成果として、アクションプランのまとめが出てくると思い
ます。とくに、国際的リポジトリ基盤組織については、今後、その実現
に向け、DRFは、NIIさんと協力して、一定の役割を果たす場面が出てく
るかと思います。
各IRの、すなわち、各機関の学術研究の、国際的視認性の向上につなが
る重要な動きですので、ぜひウォッチ+インプットお願いします。

2009/03/18 14:00 uchijima hideki <uchijima @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxx>:
>
> DRFの皆様
>
> 金沢大の内島です。
>
> 以前にもお知らせしましたが,オランダで月,火と国際リポジトリ基盤ワークショップ
> (Int'l Repositories Workshops)が開催され,DRFから北大杉田係長が参加しています。
>
> 4つのアクションプランが提示されたようで,近々公開されるものと思われます。DRF,
> NIIからも,国内のプロジェクトやハーベスターを紹介しており,4つのアクションプラン
> にどのようにわが国の状況が反映されるのか(されないのか),注目されるところです。
>
> ことしの12月にはDRFによる国際会議(第二回)を東工大で開催する予定であり,その
> 中でもこうした海外との連携を踏まえたご報告ができれば,とも考えています。
>
> 下記が,ワークショップのHPで,DRFも日本のリポジトリイニシャチブとして紹介されて
> います。
>
> http://www.ukoln.ac.uk/events/ir-workshop-2009/
>
> 来年では,アメリカSPARCによるリポジトリミーティングも第三回目が開催されることが
> 決まっており,リポジトリについては,オープンアクセスの趣旨通りに国境を越えた連携も
> 今後模索されていく状況かとも思います。
>
> 下記はアクションプランがまとまったという,イギリス情報合同システム委員会(JISC)の
> (イギリスのリポジトリ等を担当してきている)エグゼクティブのNeil Jacob氏のメールです。
>
> ちなみに,4つの分野とは,Organization,Repository Handshake,Citation services,
> Inentification Infrastructureとのこと。詳細はまたお知らせできるものと思います。
>
> Hello, as many of you know the international workshop on repositories infrastructure has just
> finished and, as a result of your hard work, there were four action plans drafted in important
> areas (organisation, "repositories handshake", citation services and identifcation infrastructure).
> These were considered by a group of some 20 or so funding organisations this afternoon.  Alma is
> writing the notes from that meeting, but I do think it's safe to say that all the plans were well
> received, and there was a lot of support for international coordination for work in these areas.
> We'll be in touch very soon with some ideas on how this might be done.
> Thanks again for giving up your time for this.
> Best wishes
> Neil Jacobs (JISC)
>
>
>



-- 
SUGITA Shigeki <sugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxx>
Hokkaido University Library, JAPAN