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[drf:237] Re: ベルリン5(長文)



北大 杉田です。

> また、Big dealを亨受できない人についての問題ですが、大半
> の研究はわずかの大学で行なわれているのであり(あまりこれ
> を強調したくありませんが)、そのような大学ではまず必要な
> タイトルは購読できているのが実態です。したがって、
>
>      those who can not enjoy big deals
>
> は、あまりいないというのがわれわれの推測です。

折々拝見する、ILL複写処理件数の推移の図ですが、
                
□洋雑誌ILL複写処理件数      ※
■和雑誌ILL複写処理件数
                ※

             ※

700000       □  □ 
600000    □  □  □  □ 
500000    □  □  □  □  □■
400000 □  □  □  □  □■ □■
300000 □  □  □  □■ □■ □■
200000 □  □■ □■ □■ □■ □■
100000 □■ □■ □■ □■ □■ □■
        1995 1997 1999 2001 2003 2005

※のように推移しかねなかった洋雑誌ILL複写処理件数が、現実には□の
レベルに収まってきている。Big Dealさまさまと思います。
しかし一方、有利な包括契約で洋雑誌を享受できている輪の外に、それで
もまだ50万件/年の文献需要があるように見えます。

#もっともこの50万件の中身は精査しないといけないのでしょう。ただ、
#つきつめると、その、あまり強調したくない議論になってしまいますかね。

> toll free なアクセスを考えるとき、gold路線でいくと、1論
> 文$3000とすれば、日本から出ているものが毎年10万論文以上
> はあるわけですから、300億円以上になり、大学図書館全体の
> 外国雑誌支払い総額300億円をはるかに越えます。
> (3000*120*100000=360億円) いくらGreen路線をわれわれがが
> んばっても、逆に世界の論文の10%強をtoll freeにすることが
> できるだけです。というわけで、International journalにつ

>> これはしかし、世界各国がそれぞれ自国の分を行うことで、100%に
>> > 近づけるというのが運動の趣旨ではないのでしょうか?
>> > 10%の国際貢献(^^;)をすべきではないのでしょうか?
> 
> しかし、50%の論文を生産しているアメリカがちゃんとself archiveしてくれ
> るならば別、つまり、努力と費用に見合うと思いますが、そうでないとすると、
> イギリスと日本とドイツ(でも、Max Planckぐらいでしょうか)ががんばっても
> せいぜい30%強です。したがって、運動としては、あまり成算のある運動とは
> いえないのではないでしょうか。

マスとしてのオープンアクセスの成否とは別に、所属の先生の著作が世界
中の津々浦々に届くべく、やはりIR担当者としてはがんばりたいです。
10%の国際貢献、というフレーズに比べて格段に下世話な別の話ですが、

 「日本の各大学が機関リポジトリを作るのをやめてくれれば、北大の文献
 だけが世界の津々浦々に届く。それはそれで北大はハッピーだね」

と内部で立ち話したことがあります:-)




Syun Tutiya さんは書きました:
> 杉田さん、
> 
>>> #土屋先生と竹内の名前で行った報告は、まあ、10分と短かったし、質問の時間
>>> もなしで言いっぱなしでしたが、「さっき日本の同僚が言っていたように」とい
>> 「言うなればジャパンは満足なんだけど…」
>> と締められていますが、読者の立場としてはそうなのだけど、著者の
>> 立場からいうとまだまだなんでないでしょうか。
>> ちょっとへんな図を描いてみましたので、Wikiにあげておきます。
>>
>> http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=howaboutdissemination.pdf&refer=Repository
> 
> 拝見しました。ぼくの感想としては、
> 
> International journals published by commercial publishers
> International journals published by societies: ACSはたしかにリストプラ
>               イス平均8.3%値上げのようですが国大図協コンソーシアムとし
>               ては、これよりも有意に低い値上げ率で押えました。また、こ
>               れまで何タイトル購読しているかにかかわらず全タイトルへの
>               アクセスが保証されています。他のコンソーシアムを利用され
>               ている方々もいらっしゃると思うのであえてパーセンテージは
>               記しませんが、まったく同じ条件です。どうも商業出版社を含
>               めて、こういう条件になっていくのは趨勢のようだというのが
>               われわれの認識です。
> 
>               また、Big dealを亨受できない人についての問題ですが、大半
>               の研究はわずかの大学で行なわれているのであり(あまりこれ
>               を強調したくありませんが)、そのような大学ではまず必要な
>               タイトルは購読できているのが実態です。したがって、
> 
>                 those who can not enjoy big deals 
> 
>               は、あまりいないというのがわれわれの推測です。
> 
>               toll free なアクセスを考えるとき、gold路線でいくと、1論
>               文$3000とすれば、日本から出ているものが毎年10万論文以上
>               はあるわけですから、300億円以上になり、大学図書館全体の
>               外国雑誌支払い総額300億円をはるかに越えます。
>               (3000*120*100000=360億円) いくらGreen路線をわれわれがが
>               んばっても、逆に世界の論文の10%強をtoll freeにすることが
>               できるだけです。というわけで、International journalにつ
>               いては、現状はとりあえず満足。ただし、研究資金が今後とも
>               増大する以上は、研究成果の増大、発表論文数の増大は不可避
>               であるが、これは図書館がどうこうできる問題ではないという
>               判断です。
> 
> 国内学会誌
> 大学紀要
>               これが問題なわけです。これをなんとかすることが日本の高等
>               教育、研究の基盤を脆弱化していくものだと思います。そして、
>               これらが日本語であることについては、日本国内で消費する以
>               上はとくに問題はないと思います。英語で書けといわれても困
>               る著者が多いことでしょう。        
> 
> というわけで、(できるだけ多くの人に読まれたいというよりは、ともかく論文
> を発表すればよいというの立場の)著者からみればそれほど不満足ではないと思
> いますし、また、そこそこのレベルの研究者にとっては、読者としても著者と
> して不満足とはいえない環境があると思います。
> 
> 土屋
> 
> 
> 

-- 
杉田茂樹 <sugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxx>
北海道大学附属図書館情報システム課システム管理担当
電話番号:011-706-2524,ファクシミリ:011-706-4099
HUSCAP http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/