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[drf:431] リポジトリ運用2年目の感想



入江@慶應メディアです
みなさま

大阪大学での「うらぎりもの」入江です。

リポジトリを運用して2年経過するわけですが、最近、リポジトリ窓口へ
の問い合わせ内容が変わってきたので感想を書きます。

慶應のリポジトリ運用は、図書館におけるデジタル蔵書として、継続性や
メタデータの整合性、収集資料の網羅性に重点をおいて運用してきました。
サービス提供時には、このPDFはダウンロードしてもいいんでしょうか、
という質問が多かったのですが、
1年くらいして、研究履歴書にリポジトリのURLを記載してもいいかと
いう質問や、学生が論文掲載依頼を閲覧窓口にもってくるという変化がありました。

最近は、紙はすでに出版されているが、まだデジタルで掲載されないのかとい
クレームや、メタデータが掲載されているが、紙の全文のサービスが受けたいと
いう要望、
公立図書館からの印刷して提供していいかという質問(皆さまも受けていると思
いますが)
があります。少しは、定着してきたということでしょうか。

最近感じることは、デジタルで公開している資料と紙の資料のアクセス性の絶望
的な格差と、
紙だけでは、読んでもらうチャンスがどんどん無くなっているということです。
(いまさら当たり前のことなんですが、リポジトリ運用の実感として感じていま
す。)

特に、文系のように古い資料の価値が維持されている分野では、デジタルで
全文を公開することは最大の課題ですが、紙の資料へのアクセスをできるだけ容
易にする
仕事も図書館にとって大きな課題だということです。
 もっともいいことは、紙をデジタルデータにして公開することですが、予算や
著作権の
壁があるので、難しですよね。
(デジタルには図書館が他の組織に対して優位性を発揮できる著作権を制限
できる権利がないことは、図書館の存在の根本的なことだと思うのですが。)
 すべてをデジタル化できないまでも、メタデータから利用者が資料の存在を知って
その所蔵館や発行者や著者から簡単に全文を手に入れるという古典的図書館的な方法
も重要なんだと思うことがあります。
紙へのアクセスをデジタルへできるだけ近づけるために、メタデータだけでも公
開する
ことや、費用の精算やロジスティックを容易にして全文を提供する工夫をすると
いう、
古典的な図書館サービスをもっとユーザに近づけていきたいということです。

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108-8345 東京都港区三田2-15-45
慶應義塾大学メディアセンター本部
入江 伸 / 03-5427-1648(22511)
Shin IRIE(Keio University library)