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[drf:227] Re: [drf:226] Re: ベルリン5(長文)



杉田さん、

> > #土屋先生と竹内の名前で行った報告は、まあ、10分と短かったし、質問の時間
> > もなしで言いっぱなしでしたが、「さっき日本の同僚が言っていたように」とい
> 
> 「言うなればジャパンは満足なんだけど…」
> と締められていますが、読者の立場としてはそうなのだけど、著者の
> 立場からいうとまだまだなんでないでしょうか。
> ちょっとへんな図を描いてみましたので、Wikiにあげておきます。
> 
> http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=howaboutdissemination.pdf&refer=Repository

拝見しました。ぼくの感想としては、

International journals published by commercial publishers
International journals published by societies: ACSはたしかにリストプラ
              イス平均8.3%値上げのようですが国大図協コンソーシアムとし
              ては、これよりも有意に低い値上げ率で押えました。また、こ
              れまで何タイトル購読しているかにかかわらず全タイトルへの
              アクセスが保証されています。他のコンソーシアムを利用され
              ている方々もいらっしゃると思うのであえてパーセンテージは
              記しませんが、まったく同じ条件です。どうも商業出版社を含
              めて、こういう条件になっていくのは趨勢のようだというのが
              われわれの認識です。

              また、Big dealを亨受できない人についての問題ですが、大半
              の研究はわずかの大学で行なわれているのであり(あまりこれ
              を強調したくありませんが)、そのような大学ではまず必要な
              タイトルは購読できているのが実態です。したがって、

                those who can not enjoy big deals 

              は、あまりいないというのがわれわれの推測です。

              toll free なアクセスを考えるとき、gold路線でいくと、1論
              文$3000とすれば、日本から出ているものが毎年10万論文以上
              はあるわけですから、300億円以上になり、大学図書館全体の
              外国雑誌支払い総額300億円をはるかに越えます。
              (3000*120*100000=360億円) いくらGreen路線をわれわれがが
              んばっても、逆に世界の論文の10%強をtoll freeにすることが
              できるだけです。というわけで、International journalにつ
              いては、現状はとりあえず満足。ただし、研究資金が今後とも
              増大する以上は、研究成果の増大、発表論文数の増大は不可避
              であるが、これは図書館がどうこうできる問題ではないという
              判断です。

国内学会誌
大学紀要
              これが問題なわけです。これをなんとかすることが日本の高等
              教育、研究の基盤を脆弱化していくものだと思います。そして、
              これらが日本語であることについては、日本国内で消費する以
              上はとくに問題はないと思います。英語で書けといわれても困
              る著者が多いことでしょう。        

というわけで、(できるだけ多くの人に読まれたいというよりは、ともかく論文
を発表すればよいというの立場の)著者からみればそれほど不満足ではないと思
いますし、また、そこそこのレベルの研究者にとっては、読者としても著者と
して不満足とはいえない環境があると思います。

土屋