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[drf:1212] Re: 交流会のパネルディスカッションにて
- Date: Tue, 14 Jul 2009 13:27:27 +0900
入江伸@慶應です
みなさま
ひさしぶりに発言させてもらいます。緊張しますね。
私としては、一ツ橋大の考え方を基本的に支持する立場からの発言のつもりです。
ですが、慶應の活動では人社系の紀要、学会誌については直接的にペーパーレス
化を進めていません。
それは、図書館でのデジタルデータの長期(50年を越える)保存に対して自信がな
いからです。
あと、なんだかんだ言っても学会、学部が、紙の雑誌を中心にコミュニティーが
成立しているので踏み切れないということもあります。
CSIの中で行ったデジタル出版(ボーンデジタル)実験で、
編集用データを最終的なPDFにするために、印刷所で行われている小規模の修正
を、フィードバックするために、それなりに手間があるって問題になりましたし、
印刷という工程の中で行われる校正っていう工程も無視はできない部分があります。
紙という文化からデジタルという文化へ移行するためには、まだまだ総合的に検
討しないといけない問題は多いです。
デジタルデータの信頼性、長期保存については、まだまだ実験的な段階を越えて
いないという認識ですが、流通におけるデジタル、インターネットの有効性は疑
いはないので、有効性をのばしながら、問題点の克服をしていかないとだめですね。
まだ、図書館でのデジタルデータへ対する安定投資が確保されていない不安は大
きいです。
図書館は紙の世界では書庫問題の解決を問われています。その上にデジタルデー
タ保存のためのディスク問題を背負うことになります。
(もし、保存フォーマットがPDFでよくて、そのくらいのディスク容量なら、な
んとかなる範囲かもしれませんが。)
私達は、貴重書のデジタル化も定常的な業務として動いていて、1年間に数テラ
のデータが増えています。
これらの長期保存については、紙(貴重資料)の保存を前提としてデジタルデー
タを保存しています。といっても、それなりのコストといろいろな方法を実験し
ながらやっていますが。
てなことで、紙とデジタルの間で揺れ動いている現状です。
Nanako TAKAHASHI 一橋大学学術システム課(コンテンツ主担当) さんは書きま
した:
> 民博 高橋様
> みなさま
>
> 一橋大学の高橋です。
> 本学でも、もちろん何重かのバックアップの体制はとっています。
> 今回、発言させていただいた背景を少し説明します。
> 実は、社会学研究科から紀要雑誌『一橋社会科学』を
> ペーパーレス化したい、ついては、リポジトリにファイルをおいて
> 公開という形をとって欲しいという要望がありました。
> 打合せをしていく過程で、編集委員長の先生が最も心配されたのが
> マスターデータの保存という点です。
> 研究科とリポジトリと両方でファイルを持っておくことで
> 危険分散するのはもちろんなのですが、
> 研究科側としては、リポジトリは大学のアーカイブでもあるのだから
> 最終的な保存の責任を持ってほしいという要望でした。
> ただ、災害のような想定外の事態が発生すれば、
> 「絶対に大丈夫」とは言い切れないというのが率直なところです。
> 「プリントアウトして保管しておいたらどうでしょう」というのも
> もちろん考えていて、少部数印刷・製本して図書館に納めておく
> 可能性についても先生とは話あっております。
>
> 種々の検討の中で、国会図書館には納本制度があるのだから
> 国としての出版物の保存の最終責任者は国会図書館だよね、
> という意見も出てきておりました。
> 今回の川西様の報告を聞いて、インターネット情報収集の義務化と
> 著作権を制限しての大規模デジタル化は
> どちらも国会図書館が電子的データの保存をするという
> 制度改正だと思いましたので、ボーンデジタルこそ保存すべきではないかと
> 問題提起させていただきました。
> ARGの岡本さまにフォローしていただきましたとおり
> 電子的出版物の納本のという考えに近いです。
> なお、各リポジトリの母体である大学が潰れる可能性のほうは
> 川西様の報告でも触れられていて、機関そのものが潰れたら国会図書館が
> 引き取ってくれるということだと理解しましたが、一橋は潰れたくないです。
> 機関として存続し、IRで提供中のものでも、
> 雑誌全体が登録されているようなケースでは
> 国会図書館で収集・保存してもらいたいというのが私の意見です。
> 今、資料を見直していると、送付の要求があったデータについて、
> 国会図書館に複製を送付することになっているようなので、
> 送付の要求をしてもらえばいいような気がしてきました。
>
>
>
> okamoto makoto さんは書きました:
>
>> 岡本@ARGです。
>>
>> 2日目は東京国際ブックフェアに行ってしまったので、
>> 議論の内容がわからないのですが、高橋さんの問題提起
>> について、幾つか。
>>
>> もちろん、各機関がデータの保全に最大の配慮をするのは
>> 当然、とした上で、もしリポジトリの運営機関が発行者の
>> 立場をとりうるならば、収録コンテンツを電子媒体での
>> 出版物ととらえ、国会図書館に電子納本するということは、
>> 決して間違いではないと思います。
>>
>> リポジトリがハード・ソフト的に潰れることは運営者の
>> 責任として最大限の回避策を講じるべきだとは思いますが、
>> このご時世、そもそも各リポジトリの母体である大学が
>> 潰れる可能性もあるわけで、そこはより高次のリスクヘッジ
>> が必要ではないでしょうか。
>>
>>
>>
>> On Mon, 13 Jul 2009 17:59:54 +0900
>> Yasushi TAKAHASHI <taka8441 @ xxxxxxxxxxxxxxxxx> wrote:
>>
>>
>>> 一橋大学さんから「ボーンデジタルをリポジトリに登録して、失う
>>> ようなことがあったら取り返しがつかないので、国会図書館でバック
>>> アップを保管するような仕組みを考えて欲しい」というような趣旨の
>>> 発言がありましたが、私はその考えは間違っていると思います。
>>>
>>> 自分とこで預かったものは自分とこで責任を持つべきで、国会図書
>>> 館にそのような責務を負わせるのは筋違いだと考えます。その考えを
>>> 進めていくと、全ての国内機関リポジトリで扱うボーンデジタル全部
>>> を国会図書館が保管しなければ不公平が生じる、とかそのような理由
>>> ではありません。
>>>
>>> 人様のデータを預かるということは、それなりの責任が生じます。
>>> 他力本願はいけません。自分とこで責任を持って万一に備えるべきで、
>>> それが出来ない(出来ていない)ところに、誰が搭載しようとするで
>>> しょうか。
>>>
>>> コンピュータみたいな不安定なもん、扱うデータはバックアップを
>>> 定期的に取り、世代管理をしなければいけないことは常識です。当然
>>> リポジトリシステムもそうあるべきですから、してますよね。それが
>>> あれば、よほどのことがない限り、他を頼る必要はないはずです。
>>>
>>> それと、ボーンデジタルだけ特別扱いってのは如何なものでしょう。
>>> 他のデータだって失ったら戻すの大変でしょ。ボーンデジタルは元が
>>> デジタルだから紙媒体がないから、とかいうのは理由になるんでしょ
>>> うか。そんなに心配だったら、プリントアウトして保管しておいたら
>>> どうでしょう、とか言ってみたくなるのは私だけでしょうか。
>>>
>>> 失ったら永遠に失われてしまうボーンデジタル、それはわかります。
>>> だったら、維持管理する自分のとこで責任を持つべきです。国会図書
>>> 館なんか当てにしてはいけません。
>>>
>>> リポジトリサーバーを設置している所に雷がすぽこらみん!と落っ
>>> こちるとか、裏山が崩れて建物が土砂にうずもれるとか、阪神淡路や
>>> 宮城沖クラスの大地震があるとか、O大学図書館で昔あったように大
>>> 雨で水没するとか、きりがないないので止めますが、なんでもあり得
>>> ます。そんなんがあったら、たいていの場合何をやっていても無駄で
>>> す。それは想定外でいいと思います。
>>>
>>> どっかそれなりの公的機関でタダで預かってくれないか、なんて独
>>> 立した法人が言うことだとは思えません。虫が良すぎます。
>>>
>>> もしもに備えてというのは自分のとこでやるべきです。それでデー
>>> タが素っ飛んだり、潰れたりしたら、それはそれだけのことです。
>>>
>>> と、言おうと考えていました。
>>>
>>> --
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>>> 国立民族学博物館 情報管理施設 情報サービス課
>>> 高 橋 安 司 ( TAKAHASHI, Yasushi )
>>> TEL:06-6878-8227 FAX:06-6878-8249
>>> E-mail: taka8441 @ xxxxxxxxxxxxxxxxx
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