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[drf:229] Re: [drf:227] Re: [drf:226] Re: ベルリン5(長文)
- Date: Wed, 24 Oct 2007 18:32:07 +0900 ()
栗山さん、
> 最近の状況に疎いので頓珍漢なことを言っていたらご容赦いただき
> たいのですが、低い値上げ率であっても、図書館予算の伸び率より
> は大きいということはないでしょうか?
> 外国雑誌の予算が図書購入予算をどんどん食って行くという状況は
> 改善されているのでしょうか?
多分、図書館予算が伸びているようなところはほとんどないと思います。しか
し他方で、外国雑誌予算が図書館予算にはいっているところもほとんどないの
ではないかと思います。外国雑誌を予算化していたところはほとんどなく、教
員、講座、学科、学部の判断で勝手に購読やキャンセルをしていたというのが
実情だったと理解しています。したがって、外国雑誌「支出」と図書館予算は
独立だったと思われますので、「食う」という意味がよくわかりません。
> > また、Big dealを亨受できない人についての問題ですが、大半
> > の研究はわずかの大学で行なわれているのであり(あまりこれ
> > を強調したくありませんが)、そのような大学ではまず必要な
> > タイトルは購読できているのが実態です。したがって、
> >
> > those who can not enjoy big deals
> >
> > は、あまりいないというのがわれわれの推測です。
>
> そうかもしれません。
> しかし、これはロングテールを切り捨ててしまう考え方ですよね?
> それとも、こと研究に関する限り、そもそもロングテールにはならない
> とお考えでしょうか?
ロングテールになっていると思いますが、その場合は一部の人がほとんどの研
究成果を生産しているという形だと思います。つまり、ロングテール部分とい
うのは、人数は多いがあまり論文生産をしていない人々です。論文生産の多寡
は、研究能力にほかなりませんから、能力のある研究者の環境を向上させるこ
とによって、研究をより振興し、その環境向上の経費についてくる間接経費で
基盤を充実させ、そのような研究者の多い大学はさらに研究成果をより多く算
出するということになるのだと思います。
> > toll free なアクセスを考えるとき、gold路線でいくと、1論
> > 文$3000とすれば、日本から出ているものが毎年10万論文以上
> > はあるわけですから、300億円以上になり、大学図書館全体の
> > 外国雑誌支払い総額300億円をはるかに越えます。
> > (3000*120*100000=360億円)
>
> しかし、たとえば1論文$2000であれば、はるかに下回るわけですよね?
> 私には$3000というのは高すぎるように思えるのですが、、、
Springer、Blackwellなどが$3000といったときにはずいぶん高いと思ったもの
ですが、すでにBioMed CentralやPLoSに1論文あたり$2500くらいの雑誌が出る
ようになり、また、PLoSについてはそれに加えて、やたらに寄付依存している
というNatureの記事(http://www.nature.com/nature/journal/v441/n7096/full/441914a.html)
がでたりしているところからみると、あの$3000は妥当なところなのではない
でしょうか。とくに、rejection rateが高くなると、論文をrejectする費用を
採択掲載された人が払うという構図がみえみえになってくるわけですから、な
んとなく変な感じになるだろとも思います。
また、10万論文というのは少なめの見積りで、Harnad流に2.5M論文だとすると
全然話はひどいことになります。
> > いくらGreen路線をわれわれがが
> > んばっても、逆に世界の論文の10%強をtoll freeにすることが
> > できるだけです。
>
> これはしかし、世界各国がそれぞれ自国の分を行うことで、100%に
> 近づけるというのが運動の趣旨ではないのでしょうか?
> 10%の国際貢献(^^;)をすべきではないのでしょうか?
しかし、50%の論文を生産しているアメリカがちゃんとself archiveしてくれ
るならば別、つまり、努力と費用に見合うと思いますが、そうでないとすると、
イギリスと日本とドイツ(でも、Max Planckぐらいでしょうか)ががんばっても
せいぜい30%強です。したがって、運動としては、あまり成算のある運動とは
いえないのではないでしょうか。
土屋