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[drf:239] Re: [drf:237] Re: ベルリン5(長文)



杉田さん、

> ※のように推移しかねなかった洋雑誌ILL複写処理件数が、現実には□の
> レベルに収まってきている。Big Dealさまさまと思います。
> しかし一方、有利な包括契約で洋雑誌を享受できている輪の外に、それで
> もまだ50万件/年の文献需要があるように見えます。
> 
> #もっともこの50万件の中身は精査しないといけないのでしょう。ただ、
> #つきつめると、その、あまり強調したくない議論になってしまいますかね。

この中身の一端については、小山憲司(三重大学人文学部)、佐藤義則(東北
学院大学文学部)、土屋俊(千葉大学文学部)、竹内比呂也(千葉大学文学
部)、逸村裕(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)「日本の大学図書
館におけるILL需給状況の変化とその要因− NACSIS-ILLログデータ
(1994-2006)の分析−」(第55回図書館情報学会研究大会、2008年10月14日)で分
析しています。基本的には依頼件数が減少した個別のタイトルについて依頼館
を分析したものです。ひとことでいえば私立大学がそのほとんどを占めていま
す。しかし、さすがに集中しているわけではないので、タイトルを購入するよ
りはPay per viewのほうが経済的でしょう。もちろんILLのほうが安いでしょう
が、日本のILLは安すぎるということになっています。

また、依頼された雑誌タイトルではなく論文のタイトルの分析はできていませ
んが、外国雑誌については日本発論文10%を大幅に越えることは考えられませ
んので、日本発論文がすべてどこかの機関リポジトリにのったとしても、10%
の寄与ということになります。これが大きいのか、小さいのかはわかりません。

> マスとしてのオープンアクセスの成否とは別に、所属の先生の著作が世界
> 中の津々浦々に届くべく、やはりIR担当者としてはがんばりたいです。
> 10%の国際貢献、というフレーズに比べて格段に下世話な別の話ですが、
> 
>  「日本の各大学が機関リポジトリを作るのをやめてくれれば、北大の文献
>  だけが世界の津々浦々に届く。それはそれで北大はハッピーだね」
> 
> と内部で立ち話したことがあります:-)

しかし世界的にみて、トップの大学の研究者は機関リポジトリをみないでも掲
載誌から利用できるはずですので、「津々浦々」といっても、引用されない論
文をかくような人が利用できるようになるだけですから、被引用数は増えませ
ん。となるととくに北大の研究評価の向上に寄与するようにも思えませんが、
いかがでしょうか。

土屋