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[drf:754] Berlin6会議初日〜二日目午前



北大 杉田です。

デュッセルドルフで開催されている、「Berlin6」会議に参加しています。いま
二日目午前のポスターセッションがおわったところです。

初日午前は"2.0"的な話題を取り扱うセッションでした。
ブログをやってる若い世代の研究者とその研究活動について論じたプレゼンで、

When I'm blogging out loud, every information will (immediately,
and later on) find its reader.

Even original research data may someday be blogged (not only
blogged about). The tools are already there.

とありました。全ての情報は読者を見つける、という言い回しが印象的でした。

eScienceやバーチャル研究環境の話題は、ひとつにはこういう方向に行くので
しょうか。オープンアクセス思潮の基本は、研究者の、主体的なアウトプット
活動なのだということをあらためて感じました。こちら欧州ではそれが明確に
底流として存在しているように思います。

初日午後には発展国事情のセッションがありました。
中で、ROARに60ものアーカイブが登録されているブラジルからの発表がありま
した。
1997から、ラテンアメリカのジャーナル(Thomson非収録)の価値向上のため、
オープンアクセス出版プロジェクト「SciELO」をスタートしたとのことでした。
中南米全体のジャーナルを相手にしており(573誌、188,740論文、3,720,916引
用データ)、中でもブラジルでは約200誌をこのプロジェクトで電子ジャーナル
化しているそうです。そういえば、ブラジルは、ROARでもe-Journal/Publication
カテゴリに登録されたアーカイブが多いですね。アクセスは中南米のほか、ス
ペイン、ポルトガルなどからが多いが、それに限らず世界中からあるとのこと
でした。
SciELOではまた独自に引用DBも構築しているそうです。盛り沢山でつかみきれ
ませんでしたが、手広くて、なんかもう猛烈に面白そうでした。

ほか、同セッションの他の発表で、worldmapperというサイトの、各国の科学
研究の規模を可視化した地図の紹介がありました。
とても如実に偏っています。日本は大きいですね。
http://www.worldmapper.org/display.php?selected=205
余談ながら、このサイトは他にもいろいろな地図があり興味深いです。
http://www.worldmapper.org/textindex/text_index.html

ところでこの発展国事情セッションのチェアは、1月のDRFIC2008で来日したイ
ンドのアルンチャラムさんでした。こちらを覚えていて、「大阪はGood meeting
だった」とおっしゃってくれました:-)

初日最後の、オープンアクセスモデルのセッションでは、冒頭のスピーカーが
冒頭のスライドで「われわれは最もcost-effectiveたることを求めたいのであっ
て、cheapestであることを求めるのではない」と仰っていたのが印象的でした。

ポスターセッションには「A Commedy Skit "Author Right"」という写真満載の
ポスターを出しました。なんというか笑われどおしで、うーん、ともあれ、面
白がってはもらえたようです。「あなたの大学でも上演しませんか?」と何人
かの方に聞いてみましたが、常に笑ってごまかされました。

――とても面白いアイディアだ。観客は?
――研究者だ。
――たくさん見に来てくれるのか?
――なかなかたくさん来てもらうのは難しい。
――うちも同じだ。難しいよね。

というような話をしました。
あ、それから、YouTubeの著作権人形劇はみな知っていて、「似たアイディアだ
よね」と盛り上がりました。でもあれの作者は当地でも謎のようです。
http://jp.youtube.com/watch?v=7giW7efQggo

機関リポジトリそのものについては、ドイツの大学の機関リポジトリ担当の方
から「日本語の文献が英語キーワードでヒットするようにしているか? 英語
の文献が日本語キーワードでヒットするようにしているか?」と尋ねられまし
た。よく聞いてみるとつまり、システム内に英日/日英の自動的な翻訳検索機能
が備わっているか?とのことでした。本学のリポジトリには残念ながらそうい
う機能はないのでないと答えましたが、独英/英独についてそういう悩みをかか
えていてそういう機能がほしいのだそうです。

ここまでは機関リポジトリに焦点が絞られたコマはなく、プログラムでは、こ
れ以降も比較的大きな話がつづくようです。

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杉田茂樹 <sugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxx>
北海道大学附属図書館情報システム課システム管理担当
電話番号:011-706-2524,ファクシミリ:011-706-4099
HUSCAP http://eprints.lib.hokudai.ac.jp