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[drf:1619] Re: AWStatsの設定とXooNIpsのログ(Re: Re: 国立国会図書館によるインターネット資料の収集について)



みなさま、

竹内です。土屋先生に呼ばれたような気がするので出てきました。

> なお、関係する展開としては、ROATの森さん、武内さんと 
> 千葉大学の竹内比呂
> 也先生が調査してきて、とくに、Saarland大学のOA-Statistics 
> と、JISC/Surf
> が母体のKnowledgeExchangeとの連携も今後視野にいれない 
> とけないことがわ
> かってきました。いずれちゃんとした報告がでるはずですが、こ 
> の分野におい
> ては、一応日本としてはROATのような道具をもっているの 
> がちょっとは強みに
> なるのかなと期待しているところです。

ザールラント大学やゲッチンゲン大学などが行っているOA- 
StatistikはROATと同じような考え方にたって、一定の共通 
ルールに従った利用統計を出せる環境を提供しようとするプロジェ 
クトです。ファンディングをしているのはDFGなので、ここに 
knowledgeExchangeとの接点がでてくる訳ですが、COUNTER標 
準のみならず、他の標準にも準拠する利用統計をも並行して出して 
います。いずれきちんとした報告を書かないといけないのですが、 
一つのコンテンツ(論文)へのアクセス数をなるべくきちんと出す 
ための工夫においてROATよりも先に行っている部分があります。

ザールラント大学、あるいはそのあとパリで会ったリール第3大学 
の研究グループとの議論の中で確認できたことの一つは、とにか 
く、何をどのように数えているのかをきちんと説明できるようにし 
ておくことがいかに大事であるかということです。ROATの調 
査の中でも東北学院大学の佐藤先生が明らかにしていますが、重複 
アクセスを取り除く処理、ロボットによるアクセスを除く処理を行 
う前と後では、ログファイルの大きさが全く異なっており、また興 
味深い事にどれくらい減るかはリポジトリによって大きく異なって 
いるのが現状です。また、機関リポジトリに登載された論文といっ 
ても、同じものが出版社版として電子ジャーナルに含まれていると 
か、あるいは別の主題リポジトリに含まれているとか、さまざまな 
状況が考えられる訳ですから、それらへのアクセス数を合算できる 
ようにしたければ、数え方の「標準」が絶対に必要で、COUNTER 
は一つの有力なよりどころということができます。特に英国では研 
究評価(RAE)の影響がもろにあるので、電子情報資源全体を 
対象とした利用統計としての整合性を強く意識しているでしょう。

なお、土屋先生もすでに書いていらっしゃいますが、ROATは別に 
AWStatsありきで始めたものではありません。開発にあまり時間をか 
けずに一定のアウトプット評価ができるツールとして使えそうであ 
るから使ったに過ぎないといってよいと思います。XooNipsに 
係る問題は信州大学の岩井さんが書かれている通りです。当面の対 
処として、XooNipsのログとJAIROに出ている本文 
URLの不一致を解決するということはあると思いますが、より原理的 
に論文タイトルレベルでの統計をきちんととれるようにするための 
仕組みとしては何が必要なのかを考える必要があるだろうと思って 
います。また東北大学の加藤さんからAWStatsの問題点が 
JISCのレポートを引用する形で指摘されていますが、ダブルクリッ 
ク排除については、ROATではCOUNTER準拠のダブルク 
リック排除のフィルタを別途開発してAWStatsにログファイル 
を投入するまえにフィルタリングすること、またロボットリストの 
バージョン問題については、処理系の共有によってどの機関のログ 
も同じロボットリストに基づく処理を可能にするとともに、新たに 
出現したロボットについては、それをログのなかから見つけ出して 
アラートする仕掛けを開発することによって対応しようとしていま 
す。この辺りはROATがOA-Statistikよりも先を行って 
いるところです。

日本の個々の機関リポジトリをみれば、すでに実績のあるところ、 
まだコンテンツ数を増やすことに注力しなければならないところな 
どいろんな状況にあると思いますが、世界の中での日本という見方 
をすれば、日本の機関リポジトリの状況は世界のトップランナーの 
一つと言えると思います。また学術研究の成果の生産という点にお 
いて日本の役割は非常に大きいのはいまさら言うまでもありませ 
ん。学術雑誌による学術情報の流通においては海外で出版される雑 
誌に依存する割合が高いために、ついつい未だに「輸入」に依存し 
ているような錯覚をしてしまいますが、実際にはそうではありませ 
ん。それゆえ学術情報発信において、国際的な動向を追うとか、海 
外から誰かに来てもらってありがたがって話を聞くだけではなく、 
国際的な活動に積極的に参画する覚悟も必要なのではないかと考え 
ます。その意味でDRFがCOARの主要なメンバーとなって 
いることはとても大事なことでしょう。ROATも精緻さではOA- 
Statistikに負けてる気がしますが、実際に動いているという強みも 
ありますし、佐藤先生のおかげでログファイルについて様々な分析 
がなされている点にもアドバンテージがあると言ってよいのではな 
いかと思っています。

竹内 比呂也
千葉大学文学部
〒263-8522
千葉市稲毛区弥生町1−33
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