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[drf:2967] Re: 公共利用か研究利用か
- Date: Tue, 10 Apr 2012 09:51:47 +0900 (JST)
池田さん、
> ということは、「機関リポジトリはオープンアクセスの実現の一つの手段」で
> はなく、「たまたま別目的で設置されたものがオープンアクセスの助けになる
> (かもしれない)」ということですかね。なんか変な感じです。
えーと、「機関リポジトリはオープンアクセスの実現の一つの手段」であると
いうことと、「たまたま別目的で設置されたものがオープンアクセスの助けに
なる」ということとは同じことだと思います。「たまたま」とか「(かもしれ
ない)」とかというのでややこしくなるだけで、
1. 機関リポジトリはさまざまにあるオープンアクセス実現手段のひ
とつである
2. オープンアクセス実現手段のひとつである機関リポジトリは別の
目的にも役立つ
ということは同じだということです。ひとつのものが複数の目的に役立つこと
はよくありますし(現実として、理念としても)、複数のものが一つの目的を実
現することもあるのですから、ぼくはそれほど変な感じがしません。むしろ、
これらの理念、構想、社会的圧力が調和した偶然を喜ぶべきだと思います。
> いや、違いますね。社会的説明責任のほうは、「リサーチアクセス」と対比さ
> せたときの「オープンアクセス」を確保するためにあるということですかね。
> つまり、
> 社会的責任=>誰もがアクセスできる
> ということですね。では、機関リポジトリが「リサーチアクセス」に役にたっ
> ているか、というと、
> ここにあるように、研究者はそう思っていないということですよね。
>> で、一般市民にもアクセスしてもらえる、というのがそれを上回るイン
>> センティブになるかというと、きわめて難しいと言わざるを得ないので
>> はないでしょうか。
> いやー、ほんとそうですよね。
> #リポジトリを設置する機関のインセンティブにはなるかもしれませんが
いや、インセンティブというよりも、それが理由になっているのだと思います。
>> 理屈から言うと、やはり研究利用、広い意味での研究者のためのOAと
>> いう方が現実的なように思うのですが、いかがでしょう?
> OA が「機関リポジトリによる」ということであれば、ここはそうは思わないで
> す。もっというと、機関リポジトリはリサーチアクセスの邪魔をするかも、と
> も思えます。というのは、アクセスの一番最後のところがタダなので、その上
> 流、例えば、編集段階とかの成果に対してお金をとるようなビジネスモデルが
> 作れないと思うんですよ。例えば、Closed なサイトを作って、「よい論文のリ
> スト」みたいなことを closed にシェアしたとしても、論文を載せた人は業績
> として公開しちゃうので、「この論文は○○リポジトリでただでアクセス可能」
> となれば、ペイしないわけですよ。
まったく賛成です。付加価値を実現するためにはやはり商業的な仕組み(儲け
を追求できる仕組み)が一番楽なわけで、それが、財力の範囲内で実現可能で
あればそれに越したことはないわけです。研究者もただどんどん実験したり、
論文書いたりして、がんばっていればいいということであれば、それに越した
ことはないわけです。ところがそうはいかない事情が、社会、経済、政治的に
出てきているところでどうするかというのが今の問題なのでしょう。
> 逆にいうと、編集作業などのコンテンツの付加価値でお金をとっているビジネ
> スモデルを、「コンテンツへのアクセス」で実現しているためですね。なので、
> 「よい論文を集める」という作業が、ボランティアとかでしかできなくなるの
> で、結局、専門家が「Google のキーワード検索で論文を探す」ということにな
> りかねないのでは、と。
最後のGoogle中毒自体は、それはそれでおもしろいことだと思います。しかし、
前の2行の「著作権ライセンシングの収益が(おそらく必要十分な)コンテンツ
利用を実現してきた」という認識は重要な点です。そして、これがうまくうま
くいかなくなっているのが最大の問題なのでしょう。著者は著作権を無償で譲
渡していますから、いわば出版社に資産を渡して、それをつかって金を稼いで、
論文出版をやってくださいという形できたのですが、オープンアクセスはそう
いう形に根本的変更を求めるわけですので、さてどうしたものか。
土屋
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