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[drf:3094] Re: アーキビストとライブラリアン
- Date: Mon, 25 Jun 2012 04:52:23 +0000
- Accept-language: ja-JP, en-US
- Thread-index: AQHNUo2o+xQgGkAcTUKDpkGazb0QEg==
- Thread-topic: RE:アーキビストとライブラリアン
国立民族学博物館
高橋 様
お世話になっております。
山形大学の土屋と申します。
図書館とアーカイブズの役割分担ないし棲み分けについて、私の個人的興味関
心事項ですので僭越ながら摘記させていただきます。
私の意見ないし違和感も、高橋様とほぼ同じなのですが、
理想:「図書館とアーカイブズ(文書館)の役割は根底から違うものなので、
きちんとした棲み分け・人材育成が必要である」
現実:「図書館が現状追認的にアーカイブズの仕事を請け負うことはやむを得
ない面もある」
…のように考えています。
理論面で同意見、実践面で妥協的と見ていただいて結構です。
DRF地域ワークショップ(環日本海)でリポジトリのアーカイブズとしての活
用について、本学の事例に基づき、お話をさせていただいたこともありました。
それで、前者について、図書館と文書館では役割も方法論も異なるということ
は大方の同意が得られるとおもいますので、後者について少しお話します。
「図書館が現状追認的にアーカイブズの仕事を請け負うこと」を容認する理由
ですが
(1)大学図書館には現実として、アーカイブズ資料(古文書等)がある。
(2)公立の公文書館がなかなか設立されないので、所蔵機関としての大学が
その役割を担わざるをえない。
(3)図書館職員がテクストについて学ぶきっかけないし名目として有効。
(1)については、歴史学や国文学の専攻がある大学の方であれば状況が同じ
かもしれませんが、先生が研究を進めるに当たってフィールドワークによって
収集(寄贈・寄託・購入)した史資料が必然的に大学図書館に集まってくるよ
うになっています。
(2)山形県を含む17の都道府県で、改正公文書管理法が施行された現在で
も、公文書館が未設置です。その役割を果たす機関がない以上、放置して地域
の歴史・文化・伝統が失われるとなれば代替としてやらざるを得ないという見
方です。
(3)この点が図書館としての「メリット」と思えるのですが、リポジトリ登
録にせよ、古文書の目録作成にせよ、その史資料への理解がないとその業務が
できません。そのため、必然的にその古文書(テクスト)について、勉強する
機会なり名目を与えてくれます。テクストを対象とする学問は、何もアーカイ
ブズ資料だけでなく、文学・哲学・法学といった分野に及びます。全ての学問
について学ぶことはできないにせよ、その意識を喚起してくれるだけでもライ
ブラリアンとしての成長が期待できるように思います。
高橋様言及の、公文書管理法について言えば、法律が成立した2009年ごろ
には、国立公文書館で単年度で60名のアーキビスト増員予定、九州大学や学
習院大学にアーキビスト養成修士課程を新設と、希望あふれる感じで拝見して
いましたが、その後の現状はどうなのでしょうか。
便乗的かつMLの趣旨と離れ恐縮ですが、個人の疑問として記します。
なおまた、大学図書館とアーカイブズで共通性のあるのは古文書系統で、
震災アーカイブズとなると公文書系統になると思われますので、また違うよう
にも思いますね。
------------------------------------------------
土屋 直之
山形大学農学部図書館
農学部事務室図書担当係長
Tel 0235-28-2810
Fax 0235-28-2815
nayktsuchiya @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
997-8555 山形県鶴岡市若葉町1-23
http://www.lib.yamagata-u.ac.jp/nougaku/
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________________________________________
差出人: drf-bounces @ xxxxxxxxxxxxxxxx [drf-bounces @ xxxxxxxxxxxxxxxx] が次の人の代理で送信しました: Yasushi TAKAHASHI [taka8441 @ xxxxxxxxxxxxxxxxx]
送信日時: 2012年6月25日 12:03
宛先: drf @ xxxxxxxxxxxxxxxx
件名: [drf:3091] アーキビストとライブラリアン
国大図協のマネジメント・セミナーに出席しました。
このセミナーへの出席は強制ではないはず、と私は認識していますが、
国大図協総会に付随して開催されるため、総会参加者のほとんどが出席
されます。
今回のテーマは「一歩先の大学図書館戦略を描く〜知識イノベーション
をめざして」というものでした。
DRFとは関係無いようなテーマでしたが、大滝則忠国立国会図書館長の
基調講演「科学技術とイノベーションの基盤としての国立国会図書館」
のなかで、お話の最後の方で「(7)東日本大震災アーカイブの構築」と
いう項目があり、
大学における大震災関連情報(例)、大学図書館への期待と題して、
「記録・研究成果の公開」では『大震災に関連する記録の収集と整理、
記録後、研究成果報告等の作成の推進とウェブサイト・機関リポジトリ
での公開』が、
「記録・研究データの保存」では『インターネット資料収集保存事業
(WARP)への協力、生の記録、基礎データの保存』が語られました。
ここで何かひっかかりを覚えたのですが、それが何か形にならないまま
質問用紙にも書けず、休憩をはさんでオープン・ディスカッションへと
移りました。コーディネーターは高橋隆行福島大学附属図書館長、コメ
ンテーターは大滝国立国会図書館長、江夏由樹一橋大学附属図書館長で
した。
このオープン・ディスカッションの終わりも近づいた頃になってやっと
気が付きました。ぼんくらな私です。
慌てて発言しようとしたのですが、横山滋賀大学附属図書館長の発言で
時間が来てしまい、その場では言うことができなかったので、一応アン
ケートには書いておきました。
これです。
「Archivistの育成なしに、Librarianにアーカイブズの仕事をさせるの
は間違いだと考えます。」
つまり私は「東日本大震災アーカイブの構築において、大学図書館に期
待する」にひっかかったわけです。
おいおいそれは無茶だ、と。なんでもかんでも図書館やったら出来ると
思わんといてくれ、と。
遡ること数年前、平成20年頃だったと記憶していますが、「公文書館
法に基づき、地方公共団体で公文書館を設置しなければならないが、箱、
人、金で問題がある。だったら同じ紙資料だし、既にある図書館に、併
設するなり機能を持たせるなりしてしまえばいいじゃないか」と考えて
いるのだがどう思うか、と意見調査に来られた文科省の方から聞いて、
私はびっくりしました。
そんな乱暴な話は無い、図書館と公文書館とでは設立趣旨も活動の方向
性も違う、そもそも根本的に資料の取り扱いに対する考え方が違う。そ
れに、図書館員はアーカイブズ資料の取り扱いについて、なんの教育も
受けていない。公文書を図書資料と同じ扱いでやれと? それはおかし
い。とお答えしたところ、「実は昨日、京都大学附属図書館長からほぼ
同じことを言われました」とのことでした。
その後どうなったかなぁ、と思っていたのですが、このマネセミで人材
育成の話も無しに「アーカイブの構築において大学図書館に期待する」
なんて話が出てくるとは思いませんでした。しかも、図書館関係者から、
国大図協で。
神戸大学さんでは「大学文書資料室」を図書館の組織内に設置されてま
すが、もともと「震災文庫」というアーカイブの構築の経験があるし、
ノウハウもあるし、教員も付けてもろて、人材的にも可能であるわけで
すが、本来、「文書館」なんてもんは、京大はんや阪大さんのように、
別物として設置すべきものです。図書館で引き受けたらアカンと思いま
す、私は。
でもね、機関リポジトリ、こいつが曲者です。リポジトリは何でもかん
でも呑み込める代物です。
だったら、アーカイブ資料を片っ端からデジタル化して突っ込んじゃえ
ばいいじゃないか、ということも考えとして出てくるわけです。
そして、リポジトリは「図書館主体」で推進されている、と。
じゃあ、大学図書館に「期待」して事業としてやってもらえばいい...
てこと?
おかしくないかそれ。私は何か、こう釈然としません、納得できません。
リポジトリに携わる図書館職員の皆さん、どうですか?
アーキビストとライブラリアンとは、相通じるものがありません。
似て非なるものです。
定年間近の頭の固い爺ぃなので、この考えに絶対的な自信はありません
が、もいっぺん書きます。
『Archivistの育成なしに、Librarianにアーカイブズの仕事をさせる
のは間違いだと考えます。』
気を付けて。
おだてあげられていいように使われないでね。
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国立民族学博物館 情報管理施設 情報サービス課
高 橋 安 司 ( TAKAHASHI, Yasushi )
TEL:06-6878-8227 FAX:06-6878-8249
E-mail: taka8441 @ xxxxxxxxxxxxxxxxx
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月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/
2012年6月号(29号)を発行しました!
DRF(Digital Repository Federation)
http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/
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