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[drf:875] 生物医学分野のOA



土屋先生,皆さま

土屋先生,論文の紹介をありがとうございます。
私なりの簡単な解説をさせていただきます。

目的:2005年でのOAの状況を知ること
方法(対象):PubMedに収録された2005年刊行論文約5千件
  PubMed Central, Google, OAI-sterなどで本文全文が無料で
  読めるかを検索した(2006年春)
結果:1)調査対象論文の27%がOAだった
   2)OAを実現している手段は以下の5種類に分けた(多重選択)
      雑誌が提供(OA雑誌,エンバーゴ,サンプル含む)72%
      PubMed Central                26%
      IR                      5.9%
      著者ウェブ                  4.8%
      雑誌プラットフォーム/何らかのウェブサイト  17%
   3)OA論文を提供している出版社と価格モデル
      ここはちょとごちゃごちゃしているのですが,単純化すると
      学会出版社が刊行する論文の4割はOA
      OA論文の6割は購読誌(OA雑誌の占める割合は4割)
結論としては,2005年の生物医学分野のOAは,OA雑誌,機関リポジトリ
などの新しい試みによって実現されているというよりも,既存の伝統的な
購読誌が,部分的にOAにすることによって成立している。

ちなみに著者が日本の機関に所属している論文では,OA率20%,OA論文のうち
IRが占める割合は6.1%です。全体の印象としては,J-STAGEによる提供が
多かったというところです。

このテーマに関しては継続調査を行っており,2007年の調査結果は,昨年の
三田図書館・情報学会で発表させていただいています。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/mslis/am2008yoko/09_kurata.pdf
OA論文の割合は4割を超えたのですが,IRの占める割合はさらに減って4%
でした。




-- 
倉田 敬子
E-mail: keiko @ xxxxxxxxxxxxxxx
慶應義塾大学文学部人文社会学科