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[drf:1858] Re: 商業出版された図書のリポジトリ登録にあたっての出版社への許諾様式(ご教示お願い)



龍谷大学図書館
芝野 様

はじめまして、山形大学図書館の土屋と申します。

タイミングを逸しましたが、これまでのところ、出版契約の中味についての情
報が少ないようでしたので、情報共有・意見交換のお願いの意味も含めてポス
トします。

当館では、リポジトリではないのですが、「紅花の歴史文化館」というサイト
を構築した際にHP上に公開する書籍について、出版社から許諾を得たことが
あります。
その際、「出版契約がこうなっているからどうこう」というようなやりとりは
しなかったと思いますが、予備知識として知っておこうと思い、少しだけ調べ
ました。

むしろ、リポジトリ業界であまり話題にならないのが不思議に思っていました。

さて、日本書籍出版協会のサイトに出版契約の雛形があります。
http://www.jbpa.or.jp/publication/contract.html

また、下記の著作権分科会 契約・流通小委員会の配付資料で「出版界におけ
る契約実態について」の調査結果を見ることができます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/014/05092701/005.pd

上記の雛形では、著者は出版社に電子的公開に際し優先的に使用することを許
可するとしています。また、著者が独自に電子的公開をする場合は両者が協議
するとしています。

では、この契約はいつまで有効なのかということですが、雛形では初版発行後
○年間、以後どちらかから申し出がない限り、○年ずつ自動更新、となってい
ます。この○年間に何年が入るかということですが、「出版界における契約実
態」によると、3年が最も多くついで5年となっています。また、自動更新さ
れる期間は1年間が最も多くなっています。

もちろん、これは雛形やアンケート調査ですから、個別の書籍について、どの
ような契約が結ばれているかはケースバイケースだということは申すまでもあ
りません。

以下は私見(試見)です。

具体的な個々の出版契約を確認できなくても、おおむね上記のような内容での
出版契約が結ばれていると想定して、対処するのがまずはいいだろうと考えま
す。

また、仮に契約が結ばれていなくても、上記のような契約は、出版社・著者の
権利を守るために設定されているので、有無に関わらず同様の配慮をしたほう
がいいかと思います。

それでですが、上記の中の自動更新というところは、実態上は増刷や再版を念
頭に置いての条項だと思います。常に無条件で自動更新されてしまうのでは、
著者のセルフアーカイブ権を含む著作権が不当に侵害されていると思わざるを
えないからです。

なので、おおむね初版発行後3〜5年以降、または再版後1〜3年以降でかつ
絶版になるまでは原則として出版社の許可が必要と考えていいと思います。(
協議する、となっているので)

電子化条項は、昔の書籍にはもちろん盛り込まれていないでしょうけれど、そ
の有無によって、図書館として配慮するべき内容が変わることはない、という
ふうに考えます。(契約の有無と同じですね)

それで、問題はこの実態をふまえて、どう対応するかということです。

個人的には、絶版後相当期間が経った書籍は、特に人文社会系分野では、貴重
なリソースであるにもかかわらず、人目に触れることが少なくなるため、積極
的にIR搭載したほうがいいと思います。

しかし、著者・出版社に何らかの損害を与える可能性がある時点においては、
慎重になった方がよいのではないでしょうか。

また、「セルフ」アーカイブですから、著者の意向を尊重するのはもちろんの
ことですが、図書館として、著者と出版社の関係が悪化するようなことがない
ように、との配慮は当然必要だと思います。

以上、長文失礼しました。
ご参考になりましたら幸いです。


しばのともこ さんは書きました:
>DRFメーリングリストの皆様
>
> 龍谷大学 図書館事務部の芝野と申します。
> 
> 本日は、皆様にご教示をお願いしたいことがあり、
> メールさせていただきます。
>
> 現在、本学では博士学位論文のリポジトリへの許諾を
> 博士論文執筆者に依頼し、許諾の回答があれば、
> リポジトリで公開を進めております。
>
> その中で、博士論文を商業出版図書として、
> 印刷公表された場合で、博士論文執筆者がリポジトリ
> 登録を希望し、商業出版社にリポジトリ公表の可否を
> TELで確認した所、「当初の出版年月から、相当の期間が
> たっているため、リポジトリに登録してもかまわない。」
> 旨の回答を得ました。
>
> 本学としては、出版社にリポジトリ登録の許可を
> 文書でいただきたいと考えていますが、
> 出版社から「大学で、必要事項を記入できるフォーマット
> の文書を送ってくれたら提出します。」と言われました。
>
> そこで、大変お恥ずかしいのですが、
> 出版社に許可をいただく際の確認・必要事項は何と何か、
> 注意すべき点はあるか、DRFの皆様にご教示願いたいのです。
> あわせて、出版社向けのひな形を作成されていれば
> 是非見本として見せていただきたく存じます。
>
> 
> 以上、長くなりましたが、どうかどなたかご教示くださいますよう
> 宜しくお願い申し上げます。
>
>
> 追記:現在まで、許諾権処理を行ってきまして、
>  博士論文をリポジトリに登録しない旨の回答をされた博士論文執筆者の
>  大半は、「博士論文に加筆訂正を加えたものを商業出版しているから
>  登録・公開はできない」ということでした。
>  今回はじめて、商業出版しているにもかかわらず、登録を希望され、
>  出版社も現在もその図書を販売されているのに、リポジトリ登録をOK
>  していただけるのは、大変驚きです。
>
>  
>  追加の質問になりますが、現在、博士号申請時にリポジトリ登録
>  の許諾手続きをされている大学様では、リポジトリ登録申請後に
>  博士論文を商業出版された場合は論文執筆者からアクションなり
>  あるのでしょうか。もし事例などありましたら、こちらもお教え
>  願いたく存じます。

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土屋  直之  
山形大学小白川図書館 
小白川図書ユニット
図書チーム(情報サービス担当)
サブリーダー
Tel 023-628-4908
Fax 023-628-4915
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Address 990-8560 山形市小白川町1-4-12
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