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[drf:2385] Re: Open access in 2010を翻訳しました(4)



DRFの皆さま

地震で被災された方の無事と,一日も早い復興をお祈りします。
こちらでもオープンアクセスも購読アクセスも十分提供できな
い日が続いて,他大学図書館様やベンダー様からのアクセスや
来館利用提供のご連絡を嬉しく思います。ありがとうございます。

 * * * 

さて,2010年の世界各地でのオープンアクセスの動向をまとめた

>Peter Suber氏の「Open access in 2010」
>http://www.earlham.edu/~peters/fos/newsletter/01-02-11.htm
>(SPARC Open Access Newsletter issue #153,)

の翻訳記事紹介リレーの4回目です。間があいてしまいまして
すみません。

この記事では,様々な切り口から2010年の世界中のオープンアクセス
に関する取り組みが紹介されていますが,最後のパートで残っていま
すのが,著作権とライセンス,不況の影響,そしてまとめです。


(8)著作権とライセンス

ここではまず,オープンアクセスをめぐる著作権とライセンスに関する
話題が幅広く紹介されています。項目を挙げますと

・Creative Commonsのパブリックドメインマーク
・公共セクターのオープンライセンシングの動向
・英国での取り組み(法整備,議会,声明や報告書類)
・ドイツでの著作権法改革をめぐる議論
・欧州,EU,Europeanaの取り組み
・米国での動向(Copyright Principles Projects, ARL, 大規模デジタ
  ル化についても)
・Opening Australia's Archives projectによるオープンアクセス原則
・図書館コンテンツにおける「著者の権利」のモデルライセンス
・デューク大学,ミシガン大学の事例
・米国の判例,WIPO報告書
・ブラジル,南アフリカの事例
・ウェブサイトの二次利用
・カナダ 公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスに関して

などが,あります。

その後,Creative Commonsのライセンス採用の動向について,

・DOAJのジャーナルのうちCCライセンスは19%。CC-BYを要求されるSPAR
  Europe認証取得が11%弱。いずれも前年比増だけれどもlibre OA
(許諾不要の無料OA)採用の割合は低く,OAリポジトリにも影響あり。
・SOAPの調査。大手OA出版社14のうち半分はCCライセンス(うち82%が
  CC-BY,CC-BY-NCが18%)を採用。
 小規模OAジャーナルではCCライセンス採用は1/5程度。
 CCライセンスを採用する7大OA出版社のシェアは,SOAPが調査した雑
  誌論文の7割程度。その他の出版物の1/4以上が著作権の情報を開示し
  ていない。つまり小規模OA出版社のロングテールが問題。
・コミュニケーション分野の研究者への調査。著作権の問題が研究の障
  壁となることも。

などの調査結果が紹介され,続いてパブリックドメインにある書籍や作
品に関して

・パブリックドメインブックの割合とその経済価値の研究
・IFLAの動向
・ドイツやフランスでのOAブックの著作権ガイド
・オープンソースリポジトリとしてのGoogle Code
・スタンフォード大学博士論文のCCライセンス採用状況
・南アフリカや米国のパブリックドメイン作品のリスト

といった話題が紹介されています。

そして,著作権・オープンアクセスに関する記念日がいくつかでてきま
す。Open Access Weekは日本でも随分と広まったことかと,思いますが,
その他に,

・1月1日はパブリックドメインの日
・1月12日はFair Use Day
・2010年5月4日はInternational Day Against Digital Restrictions
  Management(DRM)
・2010年3月31日は、Document Freedom Day(DFD)←今年は3/30?

と,いろいろあるようです。


(9) 不況の影響

「大部分の研究アクセスが未だ有料アクセス」であるため
「図書館の予算削減=研究者のアクセス減少」となっている各地の傾向
が数多く紹介されています。電子リソースのライセンシングの話題,た
とえばカリフォルニア大学とNPGとの協議の話題,またCOPEの話題など,
日本でも話題になった事例もみられます。

またこれに対比するようにオープンアクセスの経済的メリットについて,
John Houghton氏やAlma Swan氏らの分析と,それらに対する出版社サイ
ドの反論も紹介されています。


(10)ハイライト+まとめ

レポートの締めくくりとして,2010年世界のオープンアクセス10大ニュ
ース(ワースト10とベスト10)が挙げられています。また追伸やまとめ
として,数々の参考リンクがついています。

ちなみにこの記事による2010年のベスト3は,
(3) カリフォルニア大学。NPG価格提案への抗議。
(2) EUR-OCEANSコンソーシアム。コンソーシアムレベルでOA義務化を採用。
(1) 17か国38助成団体によるOA義務化と,15か国72-105(数え方で変わ
    る)の大学レベルでのグリーンOA義務化。
とのことです。

2011年もたくさんのオープンアクセスストーリーが生まれると思います。
以上です。間違いなどあるかもしれませんのでご指摘ください。

リレー紹介も以上です。お読み頂きありがとうございました。


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   徳田 聖子   筑波大学附属図書館 情報管理課 電子図書館係
   T:029-853-2471  F:029-853-6052  E:tokko @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
 
 


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