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[drf:2883] Re: 話題提供:Elsevier publish Boycott



土屋 先生
みなさま

前田 です。


お忙しいところ早速のご解説、ありがとうございます。
今、先生が冷静になれといって紹介してくれた

Rick Anderson
http://scholarlykitchen.sspnet.org/2012/02/02/mysteries-of-the-elsevier-boycott/

↑これを読んでいました。以下、" "で括った英文の箇所は紹介して
もらった上のサイトにあるフレーズです。

研究者からの公になされた抗議という点が重要です。私を含む図書館員
は電子ジャーナルの購読の状況について学内の教員に理解してもらう
ため、何かにつけて学内の教員に会ってコンタクトしようとしています。
そのときに、今回みたいなケースはとても教員を励ますでしょう。

・自分だけが思っていたのではなく、そう考える研究者もやっぱり他に居た
 のか

とか、

・研究者として、自分の専門分野の発展を願う思いを行動に移さなければ

とか思って、Timothy Gowers さんと全く同じ道ではないにせよ、何か
行動を起こす、これは契機になるでしょう。私がこの件を"囃し立て"たい
気になり、また土屋先生に"囃し立てるのには好感を持てない"と言われた
らなおのこと囃し立てたいのは、そういう理由です。

"All Elsevier journals are available as individual subscriptions."
(他の出版社を指して)"Why are they not being boycotted as well?"

とかの、Rick Anderson さんの反論は正当(しかしその individual subscriptions
たるや、コアジャーナルにおいてはたまったものではない高額です)で、

"And if you object to the behavior of any publisher, then refusing to
provide
content or services to its journals is an absolutely legitimate means of
protest"

とかはよく分かりますが、こういう個々の点が、Timothy さんの意見公表の
意義を吹き飛ばす致命的な何かには、ならないと思います。

以上、思ったことです。



On 2012/02/03 10:58, Syun Tutiya wrote:
> 前田さん、
>
> (行木さん、ごめんなさい。その他、この段落に不快感を感じられた方は忘れて
> ください。) 一般論として、数学の先生はこれが好きなのです。十数年前の
> Gordon & Breach(今T&Fの一部)のときもがんばっていました。しかし、実効性
> はなかったといってよいでしょう。しかもそのあと、電子ジャーナルの普及で
> 状況は大幅に変わり、ビジネス・モデルも変わりましたが、それがちゃんをちゃ
> んと知らないと考えられます。ということで、この署名運動は、なんか事情が
> わかっていない人が言いだしただけのくだらないものなので、事情がわかって
> いるはずの図書館の方が囃し立てるのには好感を持てないということです。つ
> まり、前提となる事実認識がちゃんとできていないということです。数学とか
> 物理の先生たちは、自分達のアカデミックな成功から飛躍して、なんでも自分
> にはわかると思ってしまうという悪い癖ないし傲慢さがあるのでこういう行動
> につい出てしまうのだとぼくは分析しています。
>
> さて、GowersのブログであげらているElsevierの問題点ごとに言うと、
>
>   
>>> ・雑誌価格高すぎる
>>>       
>    別にエルゼビアの話だけではない。おまけに、商業出版者だけでなく、
>    Physical Reviewなど考えれば、学会出版者の雑誌も十分に高い(ACSのコス
>    トパーフォーマンスのよさは認めるが)。
>
>    さらに、高いのは物理とか数学だけど、なぜかその世界ではOAがかなり実現
>    している(たとえば、arXiv)のに雑誌に権威を求めているというのは不可解
>    なコミュニティだとしかいえない。
>
>   
>>> ・いらん雑誌と価値のある雑誌の抱き合わせ販売(図書館はいら
>>> ん雑誌まで買わなければいけない,と図書館が苦慮している点に
>>> も言及)
>>>       
>    これはいらぬお世話。現在のbundling, Big Dealをやめたほうがアクセスが
>    悪くなるのは図書館にはわかっているので、やめられないだけ。アクセスが
>    わるくなって文句言うのは、どうせ研究者。自分が使わない雑誌は、誰も使
>    わない雑誌ではない。もしそうならば、そもそも出版されていないはず。
>    こんな単純な論理的間違いを理解できないで数学やるなんて、なぜ?(ぼく
>    の解釈では数学は論理的ではないからだと思います。)
>
>    Elsevierだって、Bundleで買えとは言ってないし、強制もしていないけど、
>    価格とアクセスを冷静に検討するとBundleが一番効率的だと判断している
>    だけのことだと思います。
>
>   
>>> ・自社の全雑誌論文へのアクセスをかんたんにカットしたりする
>>> (パッケージ内のタイトルチェンジや出版者変更でしょうか?)
>>>       
>    これは、Transferが多いでしょう。しかし、Transferが生ずるのは学会提
>    携雑誌の場合が普通。学会が勝手に契約相手の出版者を変えるからそうい
>    うことになるわけで、悪いのは学会。つまり、研究者の集団。
>
>    さらに、「かんたんに」と言っても、金を払わない人にものを売らないとい
>    うのは当り前のことではないでしょうか。フリーダム・コレクションを契
>    約していて、買えなくなったら、全部読めなくなるのはあたり前。タイト
>    ルごろに買うことにしたのだったら、そのタイトルは読めるはず。過去
>    の契約がどのように尊重されるかは、契約に書いていあるので、それを履
>    行しただけですが、契約は相対なので、外からはわかりません。
>
>   
>>> ・the Research Works Actに代表される,OAを妨げるようなもの
>>> を支持・推進してる
>>>       
>    これは、もちろん正しい。しかし、PubMed Central上のarticleのかなりの
>    ものが、(embargoはあるが)Elsevierによるvoluntary depositによるもの
>    であり、その意味ではOAを推進しているようにも見えるに工夫はしている。
>    それは、ElsevierのAlicia Wiseの投稿からもわかる
>
> ということで、要するに、何をやりたいのか、わからないのです。
>
> これについての図書館の立場からの分析としては、Rick Andersonによる、The
> Scholarly Kitchen ブログの記事が便利です。DRF国際連携WGが翻訳してくれ
> ることを期待しつつ、URLは以下のとおり。
>
>         http://scholarlykitchen.sspnet.org/2012/02/02/mysteries-of-the-elsevier-boycott/
>
> 土屋
>   
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