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[drf:3625] Re: D論のPDFのセキュリティ



森下さん、

> セキュリティのお話に突然横から入って申し訳ないのですが、
> 実務に携わる者として、セキュリティーの件、一筋縄ではいかないと
> 感じています。
> 
> というのは、著者ご本人ではなく、論文に掲載されている
> 画像の著作権者がインターネットから、画像をダウンロード
> できないようにしてほしいというケースが存在するからです。
> (私が知っているケースは博士論文ではないのですが、
> 有名な研究施設なので、博士論文にもそのようなケースは
> あるのではと思います。)

博士論文の場合には、その公表が法令的に義務付けられていますので、その義
務を学位取得者が履行するだけです。なんらかの研究機関が、その責任におい
て著作物を公表するのは、別に法令的義務によるものではありませんので、当
然、権利者が公衆送信権の行使を主張した場合、つまり、自分だけが公衆送信
できると主張した場合には、それに従わなければなりません。公表が義務づけ
られているのに、公表できない内容を含む論文によって学位審査したのは、学
位授与機関の責任ですので、著者が「やむを得ない理由」を主張していると見
なして、論文の要約を公表するということになるでしょう。それだけのことで
す。

> 著者ご自身がパスワード云々とおっしゃった場合は
> 説得するもしくはリポジトリ規程等で対応することができますが、
> 画像の著作権者が言ってこられた場合はどうしようもないですよね。

いえ、学位規則を盾にして、対応することは可能です。それでも納得できない
場合には、訴訟してもらうしかないでしょう。その場合には、省令を出した文
部科学省もいっしょに訴えてもらうしかないですね。

> マスキングするか、画像部分が重要な位置を占める論文などは、
> やむを得ない事情で公開できないになってしまうかと。

そうであろうと思いますが、すくなくとも、それは想定ずみですので、とくに
今更騒ぐことでもなかろうと思います。まあ、画像を全部消したものを「要約」
と呼んで公表すればいいだけではないでしょうか。それはもったいないとおっ
しゃるかもしれませんが、その判断は学位取得者の判断なので、別にまわりか
らどうのこうの言う必要はないでしょう。

> NDLもそういった個別の事情に対応しきれないのでしょうが、
> 一括で、パスワード不可、セキュリティ設定不可とされてしまうと、
> リポジトリで公開している論文でも、NDLからは公開できず、
> 残念です。

しかし、この点はわかりません。リポジトリで公表されているならば、NDLから
公表する必要はもともとないはずです。NDLが収集するのはあくまで保存のため
であり、公表することは副次的な目的です。しかし、自動収集するときにアク
セス、ダウンロードの制限があるのは大変不便ですので、それはやめてほしい
し、運よく保存できたとしても、パスワードを別に保存しないといけないとい
うことになると、将来的にはパスワードの管理に問題があった場合には、ファ
イルはあるけど内容にアクセスできないという冗談のような話になってしまう
ので、保存した意味がなくなるということだと思います。いずれにせよ、ぼく
には、リポジトリで公表されていれば、別にNDLからの公開できなくても全然
かまわないと思うのですが。

土屋
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