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[drf:3196] フィンチレポート Re: Re: eLife誌関連記事(試訳)
- Date: Fri, 27 Jul 2012 16:02:37 +0900
旭川 鈴木です。
# それにしても、どれにもフィンチレポートが出てきますね。
eLifeセミナーのためにフィンチレポートもちょっと押さえておきましょ、
というわけで、フィンチレポートの
(1) 事務局のウェブサイト
http://www.researchinfonet.org/publish/finch/
(2) Nature掲載記事
Open access: Let's go for gold
Michael Jubb (Research Information Network, London, UK.)
Nature 487, 302 (19 July 2012) doi:10.1038/487302a
Published online 18 July 2012
を訳してみました。下手な訳ですみません。
間違い等、ご指摘いただければ幸いです。
--- (1) ---
出版された研究結果へのアクセス強化ワーキンググループ
- フィンチグループのレポート
政府は2012年7月16日、デイム・ジャネット・フィンチ率いる「出版された
研究結果へのアクセス強化ワーキンググループ」の提言を受理したと発表した。
RIN(訳注1)は、この事務局を務めている。レポート「アクセスビリティと
サステナビリティと卓越性:研究出版物へのアクセス強化方法」は、
6月18日に出版されている。全文と要旨を末尾に添付する。
(訳注1)RIN = Research Information Network = 英国の研究情報ネットワーク
本レポートは、より多くの人々が研究出版物を読み、使うことができるための、
そして、完全なオープンアクセス環境に向けて加速するための、均整のとれた
アクションプログラムを提言した。
同レポートは、研究結果をやりとりする幾つかの異なったチャネルが、今後
数年間にわたって重要であり続けるだろうと明言している。
しかし、中でも、「ゴールド」オープンアクセス出版(出版社が読者よりむしろ
著者から収入を得て、それによって、研究論文が出版後すぐに誰もが自由に
アクセスできるようになるもの)のための支援にむけた、英国における明快な
政策の方向性を提言している。
同時に、本レポートは、高等教育機関、保健衛生や他部門における現在のライ
センシング協定の拡張を提言している。リポジトリのインフラを改善し、公的な
図書館にある大多数のジャーナルへのアクセスを提供しようとする出版社による
動きを支援しようというものだ。
政府のこのレポートに対する反応は、全てのレポートの提言を受理し、ファン
ディングカウンシルとリサーチカウンシル(訳注:ともに英国の研究資金提供機関)
が、大学や研究機関、研究者や出版社と協議して実行に移すのを期待している
ように見える。
英国リサーチカウンシル(RCUK)は、また、7月16日に、2013年4月1日から
RCUKの助成に応募した全ての研究論文のために新しいオープンアクセス
ポリシーを発効すると発表した。
このポリシーは、ゴールドオープンアクセスに伴う論文加工料(APC)の支払いを
支援するために、英国の高等教育機関、認定独立研究組織、リサーチカウンシル
機関に、塊の形で助成金を払うという新しい方式だ。
大学およびその他機関は自身の出版資金を設定し管理することが期待される。
高等教育機関ファンディングカウンシルは、要件の実現のために提案を発展させ
ていると発表している。要件とは、REF(訳注2)やそれに近い課題に2014年以降
に応募した研究のアウトプットが、その時点で合理的に達成可能な限り、広くア
クセス可能となるようにしなければならないことである。高等教育機関ファン
ディングカウンシルは、この計画を仕上げる前に、ファンディングパートナーや、
関心を持つその他多くの関係者と相談していくつもりだ。
(訳注2)REF = The Research Excellence Framework = 研究卓越性フレームワーク
:RAEを踏まえ2014年から開始する研究評価事業
フィンチグループの提言の推進は、研究・学術コミュニケーション全体における
全ての関係者間の連携が必要だろう。フィンチグループ自身は、1年ごとに進捗
状況を見直すつもりだと言っている。
フィンチのグループの付託権限についての情報はこちら。会合のメモがあります。
(http://www.researchinfonet.org/publish/finch/wg/)
フィンチレポートの最終版はこちら。
(http://www.researchinfonet.org/wp-content/uploads/2012/06/Finch-Group-report-FINAL-VERSION.pdf)
フィンチレポート最終版の要旨はこちら。
(http://www.researchinfonet.org/wp-content/uploads/2012/06/Finch-Group-report-executive-summary-FINAL-VERSION.pdf)
2012年7月16日
--- (2) ---
オープンアクセス: ゴールドへゴー
英国のフィンチグループから出たレポートは、オープンアクセス論文
へのルートとして、「グリーン」よりも「ゴールド」を推奨している。
ゴールドは、ジャーナルが出版するための料金を(著者に)課すもので、
グリーンは、リポジトリにより著者原稿を利用可能にするものだ。
(参照 Nature 486, 439; 2012)
このレポートの著者フィンチ委員会の事務局として、なぜ、ゴールドが
研究の出版を促進させる方法だと信じているのかを説明したい。
グリーンルートによるオープンアクセスは、エンバーゴ期間の後にしか
認められないし、出版されていない版しか認められないし、ウェブアプリ
ケーションのためのリンクやセマンティックな応用の可能性を提供しない。
利用・再利用の権利は厳しく制限されている。購読料に頼っている商業/
非営利出版のジャーナルは、収入を守るためにこれらの制限をつけるのだ。
購読ベースの出版である限り、いかなる制限もないグリーンオープンアク
セスは有り得ない。
ゴールドオープンアクセスはこれらの問題をクリアする。ジャーナルは、
収入を先払いで受け取るため、査読され、リッチな情報がつき、利用・
再利用についても最小限の制約のみで、出版された論文を直ちに、無料
でアクセス可能にできる。
著者にしてみれば、ゴールドでは、論文をどこにどのように出すかを、
コストとサービス品質をはかりにかけて決定できるというわけだ。
それは、多くの市場の働き方であり、質と価格の競争が効果的に働くこと
を保証するものである。
学術雑誌にとってはまた、現在の、透明性のない市場よりずっと望ましい。
ゴールドオープンアクセスの主な障壁は、APC(論文加工料)のシステマ
ティックな支払い協定がないことである。英国リサーチカウンシル(RCUK)
は、分かりやすく柔軟性のある支払いメカニズムを提供しているウェル
カムトラストに追随すべきだ。コストは、研究における現在レベルの出費
に対して、ほんの少ししかかからないはずだ。
グリーンオープンアクセスはより安価であろう、しかし、それが問題では
ない。お気に入りのサッカーチームの試合をライブで見るか、後からテレ
ビでハイライトを見るか、ということだ。
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