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[drf:593] Re: [drf:589] Re: [drf:583] Re: [drf:578] (代理投稿)学位論文概要書・審査書



森@千大です。

ちょうど木曜の午後から金曜に休暇をいただいており,お返事が遅くなり
ました。(今日は,その間に溜まったものの処理にかかっておりました。
これから某電子ジャーナルの調査を仕上げなきゃ!! ハァ!)

さて,今回,山本さんが書かれていることと,引用(?)いただいている
メールで,わたしが書いていることとで,それほど隔たりがあると思って
いないのですが ...!

ところで,一連の投稿で問題になっているは,学位論文そのものではなく,
その要旨ですが,提出時の状況によっては“ネット上”以前に,そもそも
「契約」が成立しないと認定される可能性も完全には否定できないような
気がしないでもありません。

逆に言えば“今のご時世では”「契約」にネット上での公開を含むという
判断が下される可能性だってあるかと思います。

このあたりは,裁判所の判断次第というところかと思います。

 ...で,提出の際に「契約」が成立するような状況になっているので
あれば,「契約」の中にネット上での公開も含めておけば解決ということ
ですね。ただ,「契約」の内容に納得しない学生がいた場合にどうするか
ってことですが ...!?

#1点,重箱の隅をつつかせていただくなら,「契約」ということで
#あれば許諾であって,権利制限ではないと思います。

> 森@千大 様、
> 
> 山本@東大総図です。
> 
> 一週間も前の話で恐縮ですが、
> 
> > 学位規則は省令にすぎませんから,別の政令や法律の規定で,異なる規定
> > があれば,政令や法律の規定が優先されます。
> 
> ここで問題にしているのは学位論文ですが、
> 当然のことながら学位規則を前提として論文を執筆・提出して
> 学位を授与されたわけですよね。
> 契約行為の観点からは、省令にすぎなくとも学位規則による
> 著者の権利制限は有効と考えるべきなのではないでしょうか。
> 
> その上で、(少なくとも現時点では)
>  学位規則における公表規定は、インターネット上に公開することまで
>  含まれるとは考えにくい。
>  しかも公衆送信に関しては別の法令が存在している。
>  学位規則を根拠にネット公開するのは、拡大解釈のしすぎ?
> とゆーことで、
>  電子化公開に際して著者許諾を求める必要がある。
> と考えたほうがすっきりしそうですが、いかがでしょう?
> 
> ---
> 山本和雄 <yamamoto @ xxxxxxxxxxxxxxxxx>
> 東京大学附属図書館総務課専門員
> 03-5841-2615
> 
> 
> 森 一郎 wrote:
> > 森@千大です。
> > 
> > いつもながら,ネット上で法解釈の話はしたくないのですが ...。
> > 
> >> 早稲田大学の荘司です。
> > 
> >> 学位規則には,
> >>
> >>   第八条 大学及び独立行政法人大学評価・学位授与機構は、博士の
> >>   学位を授与したときは、当該博士の学位を授与した日から三月以内
> >>   に、当該博士の学位の授与に係る論文の内容の要旨及び論文審査の
> >>   結果の要旨を公表するものとする。
> >>
> >> とありますので,大学が(著者の意向によらず)インターネット上に公
> >> 表することは可だと思えますが,著者はネット上の公表を強く拒絶して
> >> いるようです。
> > 
> > 残念ながら「可」とはできないと思います。
> > 
> > 学位規則は省令にすぎませんから,別の政令や法律の規定で,異なる規定
> > があれば,政令や法律の規定が優先されます。
> > 
> > ご承知のように,インターネットに著作物を載せるという行為は,法律で
> > ある著作権法において公衆送信という行為になり,公衆送信に関しては,
> > 
> >   著作者は,その著作物について,公衆送信(自動公衆送信の場合に
> >   あっては,送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。(23条)
> > 
> > と規定されていますので,論文の執筆者本人が書いているのであれば,
> > 提出時にインターネット上で公開することに関して許諾を得るなどして
> > おく必要があると思います。
> > 
> > また,土屋先生がおっしゃるように,博士論文の要旨を実際に“大学”が
> > 書いているとしても,内容が概括できるような博士論文の要旨を“大学”
> > が書く場合,翻案にあたると解釈されていますので,その要旨は二次的
> > 著作物となり,
> > 
> >   二次的著作物の原著作物の著作者は,当該二次的著作物の利用に関し,
> >   この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと
> >   同一の種類の権利を専有する。 
> > 
> > と,条文を読んだだけでは何のことだか解りにくいのですが,要旨の元に
> > なった論文の執筆者も,(“大学”が書いた)要旨の公衆送信権を持つと
> > いうことになります。
> > 
> > したがって,結局のところ論文の執筆者の許諾が必要ということになるか
> > と思います。


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森,一郎@千葉大学附属図書館
mori @ xxxxxxxxxxxxxxxx TEL:043-290-2253