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[drf:3951] 博士論文の予備審査経験から



北大の行木です。何年ぶりかの投稿です。

この一ヶ月ほど副査候補として二件の博士論文の予備審査に加わりましたので、
公開に関わる議論を紹介します。何かの役に立ちましたら幸いです。MLの以前の
議論を読みましたが、出版社側のポリシーが問題となる例ではなく、極めてラッ
キーだったと思います。

その1 論文博士 主査候補1名、副査候補3名、学科主任1名で予備審査

- 3名共著の雑誌論文に掲載された成果をもとに博士論文を作成。

- 通常の手続きとして、共著者からは該当の雑誌論文をもとに学位論文を作成す
ることはない旨の書面を受領済み。

- 雑誌論文はOpen ChoiceによりCC-BYのもとOpenAccessとなっている。出版社版
としても問題はない(はず)。

- 予備審査の結果、雑誌論文に掲載された成果については問題ないものの、研究
の背景や基本的なレビューを追加して博士論文とすることが求められ、再提出。


その2 課程博士 主査候補1名、副査候補3名、学科主任1名で予備審査

- 単著の雑誌論文に掲載された成果をもとに博士論文を作成。

- 雑誌論文の掲載誌はSCI誌となっている当教室発行の国際誌(学外含む査読
有)。著者による成果利用は自由。版面はgreenであるけれども、博士論文は雑
誌論文の成果に研究の背景や歴史的経緯等のレビューを含めた版面とは異なる構
成でもあり、公開に関しては問題ないと判断。

- 無事に通過し、博士論文提出の手続きに進むことになった。


学位論文の公開については、今ひとつ自信を持って判断できない部分があるのは
確かです。あらぬことが起きた場合、損害は学生が被りますので、できればFD講
習会などで図書館との協力関係を築きたいと思ったところです。

予備審査の際には著作権委譲のコピーがあるべきだと痛感しました。

また、いわゆる紀要と呼ばれてしまう刊行物が正しく著作権ポリシーを設定すれ
ば学位論文を提出する要件となる雑誌論文の投稿対象として光が当たる可能性が
あるのだろうかとも考えました。
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行木孝夫 (NAMIKI Takao)
北海道大学 大学院理学研究院 数学部門
060-0810 札幌市北区北10条西8丁目 理学部3号館514室
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