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[drf:1307] Re: 著作権が出版社にある場合、共著者の公開同意が必要か



北海道大学
杉田 様

エルゼビアの高橋です。

エルゼビアの例を取り上げていただいてありがとうございます。
実は別のドキュメントで、共著者による著者原稿のウェブ掲載について
より明確に記載しているものがありますので、ご紹介いたします。

Library Connect Pamphlet No.4
Ways to Use Journal Articles Published by Elsevier (2008, 3rd Ed.)  
http://libraryconnect.elsevier.com/lcp/0403/lcp0403.pdf
エルゼビアから出版されたジャーナル論文の利用方法 (2008. 第3版) 
http://japan.elsevier.com/news/lc/lcp0403jpn.pdf

4ページの第8パラグラフに以下の説明があります。
If an article has multiple authors, each author has the same posting rights.
論文が複数著者による共著の場合、それぞれの著者が同じくウェブ掲載の権利を有します。

杉田さんに紹介していただいたページにもこの記載があるべきだという
ご指摘は予想されますが、とりあえずご紹介まで。

-----------------------------------------------------
エルゼビア・ジャパン株式会社
マーケティングマネージャー 高橋 昭治
〒106-0044 東京都港区東麻布1-9-15 東麻布一丁目ビル4階
TEL: 03-5561-5994(直通) 5034(代表) FAX: 03-5561-5047
E-mail: s.takahashi @ xxxxxxxxxxxx
http://japan.elsevier.com
-----------------------------------------------------


-----Original Message-----
From: drf-bounces @ xxxxxxxxxxxxxxxx [mailto:drf-bounces @ xxxxxxxxxxxxxxxx] On Behalf Of SUGITA Shigeki
Sent: Thursday, October 01, 2009 11:25 PM
To: drf @ xxxxxxxxxxxxxxxx
Subject: [drf:1306] 著作権が出版社にある場合、共著者の公開同意が必要か

北大 杉田です。

> 出版社がリポジトリへの掲載を(条件をクリアして)許可しているとします。
> 複数著者の中の一人が所属機関のリポジトリに論文を掲載したい場合、他の
> 著者には、許諾を取る必要がありますか。理由も教えてください。

というご質問を頂きましたので、この場を借りてお返事します。もっとも、著作
権譲渡契約の専門家ではありませんので、以下断言調で書きはしますが、あくま
で素人の発言としてお読みください。フォローよろしく>識者各位

よくある状況を前提としますと、たとえばエルゼビアさんの場合、

 許諾をとる必要はない。

となるものと思います。

まず前提として、著作権はエルゼビア社に譲渡されており、著者が自分の論文を
機関リポジトリで公開できるか否かは、著作権法でなく、エルゼビア社との著作
権譲渡契約に基づいて、それが著作権者(エルゼビア社)によって許容されてい
るか否か、という問題として解釈されるべきです。

http://www.elsevier.com/wps/find/authorsview.authors/copyright#whatrights

What rights do I retain as a journal author?
- the right to post a revised personal version of the text of the final
  journal article (to reflect changes made in the peer review process) on
  the author's personal or institutional web site or server, incorporating
  the complete citation and with a link to the Digital Object Identifier (DOI)
  of the article;

著者は自分の所属機関のウェブサイトで著者稿を公開できる、という説明です。
「共著者の総意のもとに」とか「筆頭著者に限る」とかいった限定はありません。
すなわちすべての著者が自分の著作(の著者稿)を所属機関のウェブサイトで
公開することができる(エルゼビア社はそれを許容する)というわけです。

逆に言えば、著作権者(エルゼビア社)が許容していることに対し、他人(共著
者)が異議をとなえる権利はありません。


以上、あえて非常にドライな書き方をしました。

補足としては、当然ながら、上記はエルゼビアさんの例にすぎず、そもそも一般
化できる話ではありませんので、実務的には各社の権利規定をご確認ください。
エルゼビアさんのような方針は実際多いですが、中には国内の学会のごく一部に
は、共著者全員の同意、を課しているところもあります。
また、ご質問の趣旨から、著作権が出版社に譲渡されている例を書きましたが、
著作権が著者に存する場合は、共著者全員がそれを共有しているとみるべきで、
無許諾の場合、共著者は、公開した一著者に対して異議をとなえることができる
ものと思います(ご注意頂きたいのですが、「だから必ず共著者全員の明示的許
諾を確実にとるべき」と言っているのではありません)。

(ところで、セルフアーカイブは著者の主体的意志による権利行使です。こうい
う議論の中での「許諾をとる」という言い方には自分は非常に違和感を覚えます)

--
杉田茂樹 <sugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxx>
北海道大学附属図書館学術システム課システム管理担当
電話番号:011-706-2524,ファクシミリ:011-706-4099
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp

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