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[drf:2968] Re: 公共利用か研究利用か



土屋先生、池田先生

>> では、機関リポジトリが「リサーチアクセス」に役にたっ
>> ているか、というと、
>> ここにあるように、研究者はそう思っていないということですよね。

そもそも役立つほど機関リポジトリに論文が集積されていませんよね。
これもハーナッドの受け売りなんですが、著者としての研究者の多くは
セルフアーカイブの意義は認識していて、義務化されれば従う、という
調査結果があります。自発的にやらないのはハーナッドがinertiaとか
Zeno's paralysis(ゼノンのパラドックスのもじり?)とか呼んでいる
まあ、怠け心ですよね(非常によくわかります)。
なんだかんだ言っても先進国の研究者はビッグディールなどで必要な
論文へのアクセスは保証されていて、OAは切実な問題ではないような
気がします。

>> す。もっというと、機関リポジトリはリサーチアクセスの邪魔をするかも、と
>> も思えます。というのは、アクセスの一番最後のところがタダなので、その上
>> 流、例えば、編集段階とかの成果に対してお金をとるようなビジネスモデルが
>> 作れないと思うんですよ。例えば、Closed なサイトを作って、「よい論文のリ
>> スト」みたいなことを closed にシェアしたとしても、論文を載せた人は業績
>> として公開しちゃうので、「この論文は○○リポジトリでただでアクセス可能」
>> となれば、ペイしないわけですよ。
>
> まったく賛成です。付加価値を実現するためにはやはり商業的な仕組み(儲け
> を追求できる仕組み)が一番楽なわけで、それが、財力の範囲内で実現可能で
> あればそれに越したことはないわけです。研究者もただどんどん実験したり、
> 論文書いたりして、がんばっていればいいということであれば、それに越した
> ことはないわけです。ところがそうはいかない事情が、社会、経済、政治的に
> 出てきているところでどうするかというのが今の問題なのでしょう。

釈迦に説法になってしまうのですが、グリーンOAの理屈としては、付加価値
のついたものをお金を出して利用できる人は利用すればいい、経済的理由で
それができない研究者に対して機関リポジトリで付加価値のつく前の著者
最終稿を提供しましょう、ということですよね。
ほとんどの著者最終稿が無料で見られて、現在の商業的な仕組みが続くので
あれば、それはそれでまったく構わないというわけなので、ビジネスモデル
に変更はありません。
ただ、もちろん、ほとんどの論文が著者最終稿であれ機関リポジトリで無料
で見られてしまえば、誰も購読に高いお金を払わなくなることは十分考えら
れて、だからこそRWA騒動みたいなことが起こるんでしょうね。
ハーナッドが、グリーンOAが成果を上げて商業出版社が撤退したら、ういた
購読料を使ってピアレビューの仕組みを維持すればいい、と言っていること
はご存知の通りです。
そうかもしれませんね、としか言えないのですが。。。

   栗山 正光
   常磐大学人間科学部現代社会学科
   〒310-8585 水戸市見和1-430-1
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