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[drf:350] Re: [drf:345] DRFIC2008に想う
- Date: Mon, 4 Feb 2008 09:28:15 +0900
DRFの皆様
DRFIC2008で発表の機会を頂きありがとうございました。アジア経済研究所の高木です。土屋先生より、大学の外側であり新鮮であったとのお言葉を頂きました。良かったのか悪かったのか判断に苦しむところですが、次の機会では同じ手は使えないぞという戒めであることは解りました。
当研究所では、業務として研究をしていますので、どのような研究がなされているか100%把握されています。研究業務の成果物である職員の論文は、職務上作成する著作物に相当しますが、著作者の名前で発表されるので著作者は著作者人格権を、研究所は著作権を持つことになります。研究所は機関リポジトリに論文を登録できます。具体的には、図書館の機関リポジトリ事務局が登録していますので、研究所が研究を持続して限り、いわゆる「Sustainabilityの問題」は生じません。この点が大学と研究所の最も大きな違いと思われます。
発表の中で、RePEc(Research Papers in Economics)に論文を登録していることに言及しました。日本では294の機関(大学の経済学部等)がRePEcに機関登録をしていますが、論文を登録している機関が少ないのが実情です。当研究所は、英語経済論文を登録しています。RePEcはFTPでデータを取得しに来ますが、そのデータは機関リポジトリメタデータをプログラムで変換し作成しています。RePEcへの参加手続きは、RePEc
Step-by-Step Tutorial http://ideas.repec.org/stepbystep.htmlが参考になります。次の機関が論文を登録しています。一橋大学、神戸大学、大阪大学、京都大学、関西学院大学、日本銀行、経済産業研究所、アジア経済研究所
DSpaceのItem表示画面に、OPAC著者名検索と機関リポジトリ著者名検索のボタンを付けたことで、技術的な質問がありました。アイデアを簡単に紹介します。Display-item.jspにボタンを表示するFormを追加する。そのCGIにハンドルを渡す。CGIでそのハンドルに対してPMHを実行し、その結果から著者名を抽出し、OPACサーチ、DSpaceサーチのURLを作成するというものです。Messages.propertiesにボタン名を追加しています。http://hdl.handle.net/2344/659をご覧ください。
DRFIC2008ではOAや機関リポジトリの知識を増やすことができました。また、多くの方と話をする機会も得られ大変有意義でした。事務局の皆様大変だったろうと思います。感謝しています。Sustainability、DRFIC2009が開催されることを願っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
アジア経済研究所図書館
高木敏朗
----- Original Message -----
From: "Syun Tutiya" <tutiya @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx>
To: <drf @ xxxxxxxxxxxxxxxx>
Sent: Thursday, January 31, 2008 10:19 PM
Subject: [drf:345] DRFIC2008に想う
みなさま、
1月30日、31日の1日半にわたり、大阪大学吹田キャンパス銀杏会館をお借りし
て、DRFIC2008の会合を持ち、出席してまいりました。DRFは、たしかにNIIの
CSI事業の展開なしにはその出発は考えられないものではありますが、すでに
それを越えた展開となっていることを如実に感じさせるものでした。とくに、
海外からの講演者の招聘があったために、原則として英語を使った会議運営と
なったことは、主催者、参加者にとってはストレスでありましたが、なかなか
意味のある刺激になったように思います(教員としては、日本で開催した国際
会議は山ほど経験していますが、少数の海外招聘講演者がお客さまになるこ
とはあとを絶たず、今回のように最後まで積極的に会議そのものに参加される
ことは珍しいと思います)。
今回の会議に参加して感じたことを以下雑感として記します。みなさんからの
議論(参加された方からは「そりゃ違う」、されなかった方からは「よく意味
がわからない」というもの)の切っ掛けとなることが目的です。
1. (原則)英語でやったのはよかった。慶應入江さんとか小樽鈴木さんとかの
裏切り者はいましたが、少数とはいえ海外からの人々を含めた「議論」が
できたのは大変よかったと思います。「議論」と鍵括弧をつけたのは、ほ
かもなく、多分、「外人」同士、日本人同士のものでない議論になってい
たということです。
2. 機関のリポジトリということを考えたとき、機関リポジトリがその機関に
所属する人の研究成果を対象とするものであることを考えると、「人」の
同定が重要な意味をもち、どのような機関リポジトリ開発のコンテクスト
でも、この問題に取り組もうとする時期になっているということを感じま
した。たとえば、一旦は機関内で同定し、唯一識別子を付与できたとして
も、その人が他機関に異動したり、身分を変えたりしたときに追跡するた
めには、キャリアを一貫した同定、識別の方法が必要なわけですが、どの
国でもその問題への取組みを喫緊の課題としているということが理解でき
ました。
3. Sustainabilityということが話題のひとつではあったのですが、解の方向
性は明白で
・ 機関としてのコミットメント
・ 定常コストの削減
・ 教員(研究者)との連携のありかた(「お願い」ではなくパートナーシップ)
・ 機関リポジトリ運営主体間の相互協力・連携の必要性
あたりに収斂しているように感じます。
4. 収集したコンテンツの将来への保存の体制について考えておくことの重要
性がちらちらと、しかし、いたるところで示唆されていたいたように感じ
ました。しかし、保存ということを考えないまでも、現在の日本において、
電子的資源(digital object)の管理をどのように考えるのかが議論できて
いないことを痛感しました。DOIだからといって別にCrossRefだけがすべて
ではないのにと思うばかりです。
5. Findabilityの問題(つまり、どうやって機関リポジトリにあるということ
を知らせるか、いや、知らせる必要はなく、そこにどのようにナビゲート
していくのか)が共通の問題であることがわかりました。われわれのところ
にも、JuNii+とかCiNiiとか、AIRwaysとかがありますが、それらが本当に
どの程度ユーザの役に立っているのかは不明です。
6. ポスター・セッションについては、ベスト・ポスター賞を設定したのです
が、なんと1位は当日朝になってやっととどいた筑波大学斎藤さんほか
(この「ほか」がやたらに多い)による、機関リポジトリ評価のための統計
の標準化に関するポスターでした。あたりまえのことしか書いてなかった
のですが、栗山さんが、"artisitcally best poster design"を選ぶのでは
ないというアナウンスをされた効果か、高い評価を受けました。つまり、
われわれは、ウェブによるコミュニケーションの可能性を信じつつも、そ
の効果の評価方法を独自に作り、普及させることを重要性について思いを
新たにしました。
7. 著作権の問題が世界どこでも問題になっていることについて納得するとと
もに唖然ともしました。著作権についてありがちな誤解をいまだにもって
いる人と会談したりして、有意義でした。
8. どうやってよいのかまったくわからないのですが、日本、韓国、台湾が似
ているような似ていないような状況にあり、将来にむけてなんらかの対話
が重要であると感じました。
9. 要するに、機関リポジトリはもはや(2002年と比べると隔世の感があります)図
書館の付加的な機能ではなく、本質的な活動となったことは印象的でした。
10. 核融合研、アジ研など大学の外側の人々の話が大変新鮮でした。
11. 研究者コミュニティの形成という問題が前面で出てきてしまったようでし
た。
とりあえず以上。