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[drf:817] 北米訪問(SPARC後)
- Date: Wed, 10 Dec 2008 18:44:43 +0900
DRFのみなさま
お世話になっております
大阪大学の土出です。
11月に行かせていただいた海外出張の後半についてご報告します。
SPARC Meeting 後の日程(金沢大学川井さま+土出)
11/19 午前 Baltimore → Washingtonへ
11/19 午後 NLM/NIH
11/20 午前 George Mason University (Fairfax) Johnson Center Library
11/20 午後 Washington → NYへ
11/21 午後 Columbia University Butlar Library および C.V. Starr East
Asian Library 訪問
11/22-3 帰国
それぞれの訪問先でかなりたくさんの内容を伺ってきましたので,機関毎にご
報告したいと思います。リポジトリに関係ないこともありますが,ご笑覧いた
だければと思います。
今回はNLM(National Library of Medicine)です。
・日本語でNLMの紹介ビデオをみる
アウトリーチプログラム(ネイティブアメリカンへのコンピュータを使ったト
レーニングなど)
Telemedicine(テレビ?を用いた遠隔地診療。高齢者,障害者などの診断に用
いる)
・図書館内の見学
職員は約4,000人
利用者はIDカードの提示のみで自由に利用できる。開架にはPC,よく使うレフ
ァレンス,雑誌などごく一部で残りはB1-B3までの書庫層にある。利用者はPC
(カタログ)から雑誌や図書をリクエストして,出納やコピーをしてもらう。コ
ピー代は無料。「Taxpayerには…」と言っておられました。OAと同じか。
・貴重書の部屋(History of Medicine)
http://www.nlm.nih.gov/hmd/index.html
世界中の医学,自然科学の貴重図書を扱うセクション。インキュナブラや貴重
なイスラムの自然科学の図書,日本の図書も拝見しました。
日本の図書は,順天堂大学の酒井シヅ先生(医史学)が目録等をお取りになっ
たそうです。一番古い日本の図書で1498年,まだ中身を誰も読んでいないとの
こと。民間の薬の処方箋のようでした。
Locator Plus (NLMの目録)
http://locatorplus.gov/cgi-bin/Pwebrecon.cgi?DB=local&PAGE=First
でHMDJPNと検索するとヒットするとのこと,現物はまたいつでも見においでと
言われました。(^^;)
また貴重書のいくつかは電子化されており,上記URLから見ることができます。
・PMC (PubMed Central) についての説明 <<本丸>>
NCBI (The National Center for Biotechnology Information)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/
説明の内容:
PMCの定義は,「Dgital Archive of life sscience journals.」
フリーで無制限なアクセス。今,アーカイブを充実させることに力を入れている。
PMCに登録するには,まず出版者の方が参加を申し出て,基本的な合意を交わす。
バックナンバーももらえることや,Embargoを設けるならどれだけにするかなど。
#基本的にはPMCはEmbargoなしで全ての論文公開でお願いしているが,出版者次第?
出版社ごとの大きな固まりでは,Springer Open Choice, Blackwell Online Open,
OUPの75+αタイトルなど。ACSも近々予定がある。
NCBIでは、NIHのファンド研究(全部または一部を直接NIHが出しているもの)成果
の雑誌論文について、著者版をもらって電子化してPMCに載せている。図書の章や
会議録などは対象外。
著者の手間を最低限にするために、電子ファイルであれば種類は問わない。NCBIの
ほうでPDF化する。
PubMedにあるものはそのままcitationが使えるが,そうでないもの(物理分野など
ジャンルの違うもの)についてはPMCでcitationを作成する。
doiがついているが、これはauteor manuscript と出版社版とで同じ。
中身は同じで版だけが違うため。doiをキーにして、とにかくその内容のものに辿り
つかせるため。
「中身が重要なのであって,版の違いはそれほど大きなことではない」とのこと。
PMCとしてIDFに機関登録するとかはまったくない。
2005年5月,ファンド研究について「ボランタリーで」データを下さいというのが決
まった。が,いまいち集まらなかった。
07年1月にエルゼビアが著者版をくれたので、そこで少し大きく増えた。
その後,2008年4月に義務化。7月にACSが著者版をくれて激増した。
PMCでいま28,363件くらい。"author manuscript[filter]"で検索すると表示される。
・MEDLARS(MEDLINE)作成セクションの説明
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=pubmed
細かいデータポリシーがあり,オンラインジャーナルと紙媒体とそれぞれで異なる。
PMCがmandateの影響でバックナンバーが増えたため,そことつながるデータの整備も
課題となっている。
PubMedのページは近々変わる予定。サマリー、詳細検索などが変わる。サマリーは論
題名が上に。(今までは著者名が上に表示)
NLMのTechnical bulletin を参照のこと。DM(ML)も毎週配信している。
#お話を聞いたときには「変わる」でしたが現在すでに変わっています
その他:
NLMのあるNIH(National Institute of Health) の敷地に入るときにはビジターセンター
でパスポートをコピーされ,一度はいるとそのビジターセンターからは一方通行で敷地
へ入ります。外部者の入口はここに集約されています。
NLMの人は,「ここ(図書館)にはだれでも,紹介状なくても歓迎だけど,他の施設がそう
はいかないからねー」と言っておられました。
お世話になった方々:
Ms. Janet Zipser(MEDLARS) …トータルコーディネート
Mr. Michael North(History of Medicine Division)…貴重書閲覧
Mr. Bart Trawick(NCBI)…OA, Public Access とNIHのmantateの説明
Ms. Carol Myers(NCBI)…PMCの説明
Ms. Lou Knecht(Bibliographic Services Division)/ Ms. Zipser…MEDLINEの説明
他,閲覧室を案内してくださった皆さま
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土出郁子 (TSUCHIDE Ikuko)
大阪大学附属図書館
学術情報整備室 (電子コンテンツ担当)
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〒560-0043 豊中市待兼山町1-4
TEL:06-6850-5071
FAX:06-6850-5052