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[drf:227] Re: [drf:226] Re: ベルリン5(長文)
- Date: Wed, 24 Oct 2007 08:01:32 +0900 ()
杉田さん、
> > #土屋先生と竹内の名前で行った報告は、まあ、10分と短かったし、質問の時間
> > もなしで言いっぱなしでしたが、「さっき日本の同僚が言っていたように」とい
>
> 「言うなればジャパンは満足なんだけど…」
> と締められていますが、読者の立場としてはそうなのだけど、著者の
> 立場からいうとまだまだなんでないでしょうか。
> ちょっとへんな図を描いてみましたので、Wikiにあげておきます。
>
> http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=howaboutdissemination.pdf&refer=Repository
拝見しました。ぼくの感想としては、
International journals published by commercial publishers
International journals published by societies: ACSはたしかにリストプラ
イス平均8.3%値上げのようですが国大図協コンソーシアムとし
ては、これよりも有意に低い値上げ率で押えました。また、こ
れまで何タイトル購読しているかにかかわらず全タイトルへの
アクセスが保証されています。他のコンソーシアムを利用され
ている方々もいらっしゃると思うのであえてパーセンテージは
記しませんが、まったく同じ条件です。どうも商業出版社を含
めて、こういう条件になっていくのは趨勢のようだというのが
われわれの認識です。
また、Big dealを亨受できない人についての問題ですが、大半
の研究はわずかの大学で行なわれているのであり(あまりこれ
を強調したくありませんが)、そのような大学ではまず必要な
タイトルは購読できているのが実態です。したがって、
those who can not enjoy big deals
は、あまりいないというのがわれわれの推測です。
toll free なアクセスを考えるとき、gold路線でいくと、1論
文$3000とすれば、日本から出ているものが毎年10万論文以上
はあるわけですから、300億円以上になり、大学図書館全体の
外国雑誌支払い総額300億円をはるかに越えます。
(3000*120*100000=360億円) いくらGreen路線をわれわれがが
んばっても、逆に世界の論文の10%強をtoll freeにすることが
できるだけです。というわけで、International journalにつ
いては、現状はとりあえず満足。ただし、研究資金が今後とも
増大する以上は、研究成果の増大、発表論文数の増大は不可避
であるが、これは図書館がどうこうできる問題ではないという
判断です。
国内学会誌
大学紀要
これが問題なわけです。これをなんとかすることが日本の高等
教育、研究の基盤を脆弱化していくものだと思います。そして、
これらが日本語であることについては、日本国内で消費する以
上はとくに問題はないと思います。英語で書けといわれても困
る著者が多いことでしょう。
というわけで、(できるだけ多くの人に読まれたいというよりは、ともかく論文
を発表すればよいというの立場の)著者からみればそれほど不満足ではないと思
いますし、また、そこそこのレベルの研究者にとっては、読者としても著者と
して不満足とはいえない環境があると思います。
土屋