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[drf:529] メールで全文を送ることに関する南さんのコメント



森@千大です。

国立国会図書館の南さんが,昨日の「メールで全文を送る可能性」について
同僚からお聞きになり,わたしにコメントを転送して欲しいとの依頼があり
ました。下記のとおり転送します。

なお,オリジナルのコメントで丸付き数字をお使いでしたので,半角数字+
半角ピリオドに変換しています。

また,メールアドレスを記載されていました。システム的にアドレスの後半
が省略される可能性がありますし,省略されない場合には迷惑メールのもと
になりますので,@の部分を書き換えています。(これで100%安全かは
保障の限りではありませんが!)

以上,2点,申し添えます。

------------- ここから -------------------
はじめまして。国立国会図書館の南と申します。
先日のINFOSTA著作権セミナーでの私の発言がこのMLで話題となっているとあ
る方からお伺いしまして、早速ウェブ上で公開されているやりとりを読みました
ら、そのときいただいたご質問を若干私が誤解をして受け止めた結果、誤解を生
むような結果になったように思えましたので、そのときの回答の真意につき、千
葉大学の森さんのご協力を得まして、投稿させていただきます。

あのときいただきましたご質問がこのような趣旨であるとは受け取っておりませ
んでして、単に、
1. 資料をデジタル化してデジタル媒体で利用者に提供することは可能か。
2. この場合の「利用者」の範囲に限定はあるのか。
という2つのご質問であると受け取ったのでした。

そこで、以下のとおり回答しました。
1.について:著作権法31条では複製の手段について限定を設けていないので、デ
ジタル媒体に固定して利用者に渡すことは可能。(もちろん複製の範囲は著作権
法31条で定める上限内)
2.について:「利用者」の範囲も限定されておらず、図書館の運用の範囲内。当
該図書館の通常の利用者として想定されていないような種類の利用者であったと
しても、その図書館が「この種類の利用者も当館では利用者として認定します」
と決めてしまえば、著作権法31条1号にいう「利用者」に含むことは可能。

その先の、利用者に対して電子メールで送付することについては、特段回答して
いなかったように記憶しています。もし「可能である」と回答したとすれば、そ
れは完全な誤りですので、撤回します。

理由は、以下のとおりです。
・ たとえ送付先が特定の個人であっても、その個人以外の人から同じ申込がな
された場合でも送付されるのであれば、著作権法にいう「公衆」に該当する。
・ そうであれば、この送信行為は「公衆送信」となり、公衆送信権が働く。
・ 著作権法31条では、公衆送信権まで権利制限を行っていないので、当然許諾
が必要となる。

もし必要なら、INFOSTA事務局や研修委員会を通じ、何らかの対応を検討させて
いただきます。
誤解を生むような発言をしまして申し訳ございませんでした。

以上のことにつき、何かご質問やご意見等ございましたら、国立国会図書館の南
(cgms [at] ndl.go.jp)までお送りいただけると助かります。

以上、よろしくお願いいたします。

------------- ここまで -------------------


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森,一郎@千葉大学附属図書館
mori @ xxxxxxxxxxxxxxxx TEL:043-290-2253