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[drf:3725] Re: 適当訳 A CHORUS of Boos: Publishers Offer Their 'Solution' to Public Access



みなさま

鈴木さんの訳文を手直ししました。ご参考までに送付します。

加藤信哉(筑波大学附属図書館)

------------------------------ここから-------------------------------
ブーイングのコーラス:出版社がパブリックアクセスに対する「解決法」を提案
マイケル エイゼン (2013年6月4日)

案の定、購読モデルジャーナルの出版社の連合が、ホワイトハウスの義務化(連
邦政府関係機関が助成した研究成果をパブリックアクセスにするシステムを開発
し、その実現のため実装を提案すること)に反応した。
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/ostp_public_access_memo_2013.pdf

出版社がCHORUS(Clearing for the Open Research of the United States)と
呼ぶこのシステムは、政府機関が助成した論文を探すサイトを作るもので、(そ
の論文を)オリジナルの出版社サイトから取りだす。[これは]正式な提案ではな
く、一連の原則が出版社のブログ「スカラリーキッチン」にポストされ、数編の
ニュースて流通しているにすぎないので、詳細なコメントは控えようと思う。け
れど、これは全くひどいアイデアだと思う。政府が取り上げないことを望む。

この提案の影で動いているアメリカ出版協会(AAP)は、パブリックアクセス方
針について声高に反対し続けている。彼らは、NIHのパブリックアクセス方針を
ずっと以前から押し戻そうとしているし、政府レベルや州レベルの新しいパブ
リックアクセス方針の開始を全部つぶしにかかっている。そしてCHORUSは、彼ら
の側の心変わりを反映していない。つい先月、彼らは、カリフォルニア議会が州
の助成した研究成果のパブリックアクセスを規定しようとした法案に対して、長
い(そしてとんでもない虚偽の)提訴をしたばかりだ。

アメリカ出版協会(AAP)をパブリックアクセス方針の実装に携わらせること
は、したがって、銃器購入におけるバックグラウンドチェックを課す法律と論理
的に等価であり、全米ライフル協会(NRA)をそのデータベース作りと運用に携
わらせるようなものである。彼らは最低限の機能しか持たないシステム構築にし
か関心がないだろう。つまり、パブリックアクセス方針がビジネスの邪魔になる
と考えれば、アメリカ出版協会(AAP)は、非常に使いづらく、可能な限り役に
立たないシステムを実装することで、利用もされないようにし、結局パブリック
アクセス方針が失敗であったかのように見せかけるだろう。
あなたは、既にこの実際上の影響を見ることができる。CHORUSのドキュメント
は、公的資金に基づく研究成果についてテキストマイニングを可能にせよとも、
可能にすることが望ましいとすら言っていない。新方針は出版された論文へのア
クセスとテキストマイニングを可能にすることをホワイトハウスが明文化してい
るにもかかわらずだ。購読モデル出版社たちは、コンテンツの再利用を可能にす
る件でひどい前科を持っている。だから、CHORUSは全く違うと言われても誰もそ
んな幻想を持たない。

CHORUSが助成機関に対して示している主張の要点は次のようなものである。自分
たちにソリューションの実現を許してくれれば、助成機関のお金を節約できるだ
ろう。なぜなら、助成機関は自分たちのシステムを開発・維持する必要が無く、
お金を払って著者原稿を共通の配布可能なフォーマットにコンバートする必要が
無いからだ。しかし、これはコストを極めて限定的にとらえた場合にしか当ては
まらないものだ。。

まず、独自のシステムを開発するエージェンシーは必要ない。政府機関には既に
PubMed Centralがある。高機能で広く使われ非常に評判のよいシステムだ。
PubMed CentralはCHORUSがサポートしようとしている全てを既に実現している
し、シームレスな全文検索(CHORUSの本文には触れられていないけど)も提供し
ているし、さらに国立医学図書館の非常に多くの他のデータベースとの統合も実
現している。他のエージェンシーからの論文を扱えるようにPMCを改造すること
にコストはかからないが、投稿された論文ひとつひとつの処理には多少のコスト
は発生する。しかしながら、これらのコストは、問題になっている助成額に比べ
れば取るに足らないし、公的には素晴らしい価値を生むものだ。さらに言えば、
出版社が論文の最終出版バージョンをPMCに直接登録することに同意すれば、コ
ストのほとんどが削減できるだろう。彼らはこれまで断固として拒否してきたが。

しかし、仮に、エージェンシー自身が経費がかかる自前のシステムを運用するこ
とを規定したとしても、CHORUSなら無料だというアイデアには笑える。ほとんど
の購読モデル出版社はパブリックアクセス方針に反対している。それは、彼ら
は、無料で利用できる論文が増えることにより、図書館との価格交渉での立ち位
置が弱くなり、結果として購読料収入が減ることを恐れているからだ。これら購
読料収入の大部分(およそ10%または年間約10億ドル)は図書館への間接経費と
して連邦政府の懐から出ている。連邦政府は、いくらうわべだけのパブリックア
クセスシステムの構築と運用にコストがかかるとしても、それよりもっともっと
もっと巨大な、購読料を節約したい立場にあるからだ。

CHORUSは明らかに、出版社側が、パブリックアクセス方針によって最終的に連邦
政府、他の助成団体、大学のお金になる節約額を最小限にするための取り組だ。
もしCHORUSが導入されたら、出版社たちは間違いなく、彼らの購読/サイトライ
センス費用にシステムの構築・維持費用を組み込もうとするだろう。そして当た
り前のように図書館に全部の「付加価値」サービスに対する支払を要求するだろ
う。このようなことは、節約が絶対に実現しないだけでなく、結局は政府が間接
的にCHORUSのコストを払うことになる。

出版社は、ホワイトハウスのパブリックアクセス方針が適用される政府機関が、
CHORUSを何か新しい違ったものとして見ることを是が非でも望んでいる。長く待
ち望まれた、パブリックアクセスの義務化に対する出版社からの「建設的な」反
応だというように。しかし、新しいものはここには何もない。出版社はこの「リ
ンクアウト」モデルを、PMCが開始された時にも、NIHパブリックアクセス方針が
成立した時にも提案し、そして両方とも却下された。出版社たちはPMCを憎んで
いる。高価だからではなく、広告収入が落ちるからでもない。彼らが憎むのは、
PMCが機能し、評判がよく、実際に活用している多くの人が、出版社が自分たち
しかできないと主張しているにも関わらず、この種の作業を行うのにまったく不
要であることに気付くからだ。

CHORUSは、現状を取り繕っただけに過ぎない。提案は、ホワイトハウスの立派な
目標を台無しにするだけでなく、相変わらず政府の金を費やさせることになる。
このCHORUSコーラスが静かになることをみんなで望みましょう。

- See more at: http://www.michaeleisen.org/blog/?p=1382#sthash.s5LJi3pn.dpuf
------------------------------------ここまで----------------------------



(2013/06/17 23:15), Masako Suzuki wrote:
> 旭川医大 鈴木です。
> 
> Michael Eisen氏(PLOSONEの人)のブログ
> 「A CHORUS of Boos: Publishers Offer Their 'Solution' to Public
> Access」(http://www.michaeleisen.org/blog/?p=1382)を訳してみました。
> 話題騒然?の、CHORUSに対するご意見です。
> 
> # なんとなく内容が知りたくて訳したのですが、翻訳自信ありません。
> # 得意な方、修正お願いします!
> # 得意な方、他のCHORUSへの意見や、CHORUSに対抗して出てきた
> # SHAREについて、内容紹介していただけると嬉しいですー。
> 
> CHORUS: http://www.michaeleisen.org/blog/?page_id=1383
> 
> 参考) 情報管理webより
> 「米国: 公的助成研究成果OA化のための官民連携イニシアチブ"CHORUS"、
> 出版社・学協会がOSTPへ提案(記事紹介)」
> http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2013/06/008597.html
> 
> 
> ---
> ブーイングのコーラス:出版社、パブリックアクセスへの彼らの「解決法」を提案
> マイケル エイゼン (2013年6月4日)
> 
> 案の定、購読モデルジャーナルの出版社たちが、ホワイトハウスの義務化
> (連邦政府関係機関が助成した研究成果をパブリックアクセスにすること
> になったやつ)に反応した。
> http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/ostp_public_access_memo_2013.pdf
> 
> CHORUSと呼ぶこのシステムは、政府機関が助成した論文を探すサイトを
> 作るもので、(その論文を)オリジナルの出版社サイトから取りだす。正式な
> 提案ではなく、出版社のブログ「スカラリーキッチン」等にポストされて
> 流通しているにすぎないので、詳細なコメントは控えようと思う。けれど、
> これはひどいアイデアだと思う。政府はかわないだろう。
> 
> アメリカ出版協会(AAP)がこの提案の後ろにいて、パブリックアクセス
> 方針に対してずっと声高に反対し続けている。彼らは、NIHのパブリック
> アクセス方針を押し戻そうとしているし、政府レベル州レベルの新しい
> パブリックアクセス方針を全部つぶしにかかっている。そしてCHORUSは、
> 彼らの責任における心変わりを反映していない。つい先月、彼らは、
> カリフォルニア議会が州が助成した研究成果のパブリックアクセスを
> 規定しようとした法案に対して、長い(そしてとんでもない虚偽の)
> 提訴をしたばかりだ。
> 
> アメリカ出版協会(AAP)をパブリックアクセス方針の実装に携わらせる
> ことは、したがって、銃器購入におけるバックグラウンドチェックを課す
> 法律と論理的に等価であり、全米ライフル協会(NRA)をそのデータベース
> 作りに携わらせるようなものである。彼らは最低限のことしかしないだろう。
> つまり、パブリックアクセス方針がビジネスの邪魔になると考えれば、
> アメリカ出版協会(AAP)は、非常に使いづらく、機能的にも可能な限り
> 拙劣なものとなるような実装をすることで、利用もされないようにし、
> 結局パブリックアクセス方針が失敗であったかのように見せかけるだろう。
> 
> あなたは、既にこの結果を見ることができる。CHORUSのドキュメントは、
> 公的資金に基づく研究成果についてテキストマイニングを可能にせよとも、
> 可能にすることが望ましいとすら言っていない。新方針は出版された論文
> にアクセスできるようテキストマイニングを可能にすることとホワイト
> ハウスが明文化しているにもかかわらずだ。購読モデル出版社たちは、
> コンテンツの再利用を可能にする件でひどい実績を持っている。だから、
> CHORUSは違うと言われても誰もそんな幻想を持たない。
> 
> CHORUSが助成機関に対して示している主張の要点は次のようなものである。
> 自分たちにソリューションの実現を許してくれれば、助成機関のお金を節約
> できるだろう。なぜなら、助成機関は自分たちのシステムを開発・維持する
> 必要が無く、お金を払って著者原稿を一般的な、分配可能なフォーマットに
> コンバートする必要が無いからだ。しかし、これは非常に限定的な可能性に
> おけるコスト問題だ。
> 
> まず、システムを開発するエージェンシーは必要ない。政府機関には既に
> PubMed Centralがある。高機能で広く使われよく知られているシステムだ。
> PubMed CentralはCHORUSがサポートしようとしている全てを既に実現して
> いるし、シームレスな全文検索(CHORUSのテキストには触れられていない
> けど)も提供しているし、さらに国立医学図書館の非常に多くの他のデータ
> ベースとの統合も実現している。他のエージェンシーからの論文をPMCに
> 追加することにコストはかからないが、論文ひとつひとつの処理には多少
> のコストは発生する。しかしながら、これらのコストは、問題になって
> いる助成額に比べれば取るに足らないし、公的には素晴らしい価値を生む
> ものだ。さらに言えば、出版社が論文の最終出版バージョンをPMCに直接
> 登録することに同意すれば、コストのほとんどが削減できるだろう。
> 彼らはこれまで断固として拒否してきたが。
> 
> しかし、仮に、エージェンシー自身が自前のシステムを持つことは経費
> がかかるとしても、CHORUSなら無料だというアイデアには笑える。
> ほとんどの購読モデル出版社はパブリックアクセス方針に反対している。
> それは、彼らは、無料で利用できる論文が増えることにより、図書館
> との価格交渉の強みが減り、結果として購読料収入が減ることを恐れて
> いるからだ。これら購読料収入の大部分(10%のオーダーまたは年間
> 約10億ドル)は図書館への間接経費として連邦政府の懐から出ている。
> 連邦政府は、いくらうわべだけのパブリックアクセスシステムの構築に
> コストがかかるとしても、それよりもっともっともっと巨大な、購読料を
> 節減したい立場にあるからだ。
> 
> CHORUSは明らかに、出版社側が、パブリックアクセス方針によって
> 最終的に連邦政府、他の助成団体、大学のお金になる節約額を最小限
> にするよう努力した試みだ。もしCHORUSが導入されたら、出版社たち
> は間違いなく、彼らの購読/サイトライセンス費用にシステムの構築・
> 維持費用を混ぜ込もうとするだろう。そして当たり前のように「付加
> 価値」サービスだと図書館に言うのだ。このようなことは、節約が
> 絶対に実現しないだけでなく、政府が間接的にCHORUSのコストを
> 払うことになる。
> 
> 出版社たちは、是が非でも、ホワイトハウスのパブリックアクセス
> 方針が適用される政府機関が、CHORUSを何か新しい違ったものとして
> 見ることを望んでいる。長く待ち続けた、パブリックアクセス方針に
> 対する出版社からの「建設的な」反応だというように。しかし、
> 新しいものはここには何もない。出版社たちはこの「リンクアウト」
> モデルを、PMCが立ち上がった時にも、NIHパブリックアクセス方針が
> 成立した時にも提案し、そして両方とも却下された。出版社たちは
> PMCを憎んでいる。高価だからではなく、広告収入が落ちるからでも
> ない。彼らが憎むのは、PMCが機能しているからである。評判がよく、
> 多くの人が実際、出版社の助けなしで利用しているからである。
> 
> CHORUSは、現状の体制にうわべを飾っただけに過ぎない。提案は、
> ホワイトハウスの立派な目標を台無しにするだけでなく、相変わら
> ず政府の金を失わせることになる。このCHORUSコーラスが静かに
> なることをみんなで望みましょう。
> 
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> 月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/
>  2013年6月号(41号)を発行しました!
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