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[drf:3091] アーキビストとライブラリアン
- Date: Mon, 25 Jun 2012 12:03:40 +0900
国大図協のマネジメント・セミナーに出席しました。
このセミナーへの出席は強制ではないはず、と私は認識していますが、
国大図協総会に付随して開催されるため、総会参加者のほとんどが出席
されます。
今回のテーマは「一歩先の大学図書館戦略を描く〜知識イノベーション
をめざして」というものでした。
DRFとは関係無いようなテーマでしたが、大滝則忠国立国会図書館長の
基調講演「科学技術とイノベーションの基盤としての国立国会図書館」
のなかで、お話の最後の方で「(7)東日本大震災アーカイブの構築」と
いう項目があり、
大学における大震災関連情報(例)、大学図書館への期待と題して、
「記録・研究成果の公開」では『大震災に関連する記録の収集と整理、
記録後、研究成果報告等の作成の推進とウェブサイト・機関リポジトリ
での公開』が、
「記録・研究データの保存」では『インターネット資料収集保存事業
(WARP)への協力、生の記録、基礎データの保存』が語られました。
ここで何かひっかかりを覚えたのですが、それが何か形にならないまま
質問用紙にも書けず、休憩をはさんでオープン・ディスカッションへと
移りました。コーディネーターは高橋隆行福島大学附属図書館長、コメ
ンテーターは大滝国立国会図書館長、江夏由樹一橋大学附属図書館長で
した。
このオープン・ディスカッションの終わりも近づいた頃になってやっと
気が付きました。ぼんくらな私です。
慌てて発言しようとしたのですが、横山滋賀大学附属図書館長の発言で
時間が来てしまい、その場では言うことができなかったので、一応アン
ケートには書いておきました。
これです。
「Archivistの育成なしに、Librarianにアーカイブズの仕事をさせるの
は間違いだと考えます。」
つまり私は「東日本大震災アーカイブの構築において、大学図書館に期
待する」にひっかかったわけです。
おいおいそれは無茶だ、と。なんでもかんでも図書館やったら出来ると
思わんといてくれ、と。
遡ること数年前、平成20年頃だったと記憶していますが、「公文書館
法に基づき、地方公共団体で公文書館を設置しなければならないが、箱、
人、金で問題がある。だったら同じ紙資料だし、既にある図書館に、併
設するなり機能を持たせるなりしてしまえばいいじゃないか」と考えて
いるのだがどう思うか、と意見調査に来られた文科省の方から聞いて、
私はびっくりしました。
そんな乱暴な話は無い、図書館と公文書館とでは設立趣旨も活動の方向
性も違う、そもそも根本的に資料の取り扱いに対する考え方が違う。そ
れに、図書館員はアーカイブズ資料の取り扱いについて、なんの教育も
受けていない。公文書を図書資料と同じ扱いでやれと? それはおかし
い。とお答えしたところ、「実は昨日、京都大学附属図書館長からほぼ
同じことを言われました」とのことでした。
その後どうなったかなぁ、と思っていたのですが、このマネセミで人材
育成の話も無しに「アーカイブの構築において大学図書館に期待する」
なんて話が出てくるとは思いませんでした。しかも、図書館関係者から、
国大図協で。
神戸大学さんでは「大学文書資料室」を図書館の組織内に設置されてま
すが、もともと「震災文庫」というアーカイブの構築の経験があるし、
ノウハウもあるし、教員も付けてもろて、人材的にも可能であるわけで
すが、本来、「文書館」なんてもんは、京大はんや阪大さんのように、
別物として設置すべきものです。図書館で引き受けたらアカンと思いま
す、私は。
でもね、機関リポジトリ、こいつが曲者です。リポジトリは何でもかん
でも呑み込める代物です。
だったら、アーカイブ資料を片っ端からデジタル化して突っ込んじゃえ
ばいいじゃないか、ということも考えとして出てくるわけです。
そして、リポジトリは「図書館主体」で推進されている、と。
じゃあ、大学図書館に「期待」して事業としてやってもらえばいい...
てこと?
おかしくないかそれ。私は何か、こう釈然としません、納得できません。
リポジトリに携わる図書館職員の皆さん、どうですか?
アーキビストとライブラリアンとは、相通じるものがありません。
似て非なるものです。
定年間近の頭の固い爺ぃなので、この考えに絶対的な自信はありません
が、もいっぺん書きます。
『Archivistの育成なしに、Librarianにアーカイブズの仕事をさせる
のは間違いだと考えます。』
気を付けて。
おだてあげられていいように使われないでね。
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国立民族学博物館 情報管理施設 情報サービス課
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