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[drf:1333] Re: DRIVERサミット報告



北大 杉田です。

DRIVERサミットは、12月に第二期活動を終えるDRIVERプロジェクトの、

・参加機関が分担して行ってきたさまざまな研究開発テーマの成果報告
・欧州各地のOAリポジトリの現況報告
・将来展望(=COAR)

というラインナップの会で、わがほうのCSI成果報告交流会と目的も内容も
よく似たものでした。
ただし、オープンなシンポジウムではなく、参加者はDRIVERメンバー+友好
関係にある組織(DRFなど)で、専門家の集まりという感じでした。
中身は鈴木さんの報告に詳しいですが、全般に、Enhanced Publication、
eResearchといったキーワードが目立ちました。
昨年参加したBerlin6会議では、千葉大武内さんの報告([drf:763])にもある、
reproducible researchという言葉がよく出ていましたが流れなのでしょう。

> 3.SURFから
> ・subscriptionの国からthe commonの国への「シュプリンガー・トンネル」

シュプリンガーがマックスプランク協会やゲッティンゲン大学、カリフォルニア
大学などと結んでいる、OA包括契約(SpringerLink購読契約に若干の上乗せで、
当該機関の発表文献をすべてOpenChoice扱いにする)を指した言葉です。
学術情報流通の市場規模において最大の効率を生みだすには、結局どこから
どこへどう金を流すのが最適なのか、という問題の答えを探る途上に私たちは
あるのだなとあらためて感じました。

> 1.DRIVERネットワークサービス(ノッティンガムお姉さん)
> ・Mentorサービス=リポジトリ運営者のための出会い系サイト(DRIVERが仲人)
> ・To introduce developpers and managers OA repositories to their peers

発表ではつかみきれなかった部分を、昼食のときに詳しく聞きました。
http://www.driver-support.eu/mentor.html
自分のリポジトリのこと、仕事の内容、悩みごとなどを書き込むと、同じような
立場であったり、同じような悩みごとを持っている別のリポジトリ管理者を
紹介してくれる、いわば友達作りの仕組みであるとのことでした。
ヘルプデスクやMLで消化しきれない相談事の相手を見つけられる場として、
日本にもこんなのがあるといいかなと思いました。

> 2.DRIVERガイドライン
> ・Validator→the DRIVER score(統計あり。仕様への整合性は年々向上)

ウェブ管理者の方はHTMLlintをご存知と思います。目録担当の方は「要領良く
目録を採って定時に帰ることを目指す会」さんのCATLINTをお使いかもしれません。
ああいうものです。
OAIのサービスプロバイダ登録のためのvalidateサービスはOAI-PMH仕様への
準拠度合いをチェックできますが、こちらはメタデータの中身の外形的評価を
してくれます。junii2のValidatorもあるといいかもしれませんね。

> 3.エンハンスド・パブリケーションと、その長期保存への道
> ・リサーチデータ付の出版物等について、相互運用性と実証をすすめる。

アクセス性向上のためのシステムと長期保存のシステムとがはっきりと分けて
構想されているようでした。Enhanced Publicationとか、ひいてはeサイエンスとか、
そういう局面では、DSpaceなどの、単なるハコとしての機関リポジトリ用ソフトウェア
では表現力がまるで足りません。VRE(Virtual Research Environment)という
言葉も聞かれましたが、そういう中にデータ置き場としてのリポジトリをどう位置づけ
ていくか、課題だと思いました。自分はまだぜんぜんイメージがわきません。

> 4.閲覧利用者のための機能性
> ・MUST SEEサービス、検索セット保存、ソーシャルサービス、可視化、…

パーソナライゼーションは世の流れなのでしょうか、しかし、自分はこれに諸手を
挙げてはうなずけませんでした。
単一リポジトリでの集客はどだい無理があるように思えます。

> 5.D-Net
> ・地域拠点の構築のためのソフトウェアツールキットであるD-Netを配付

日本にはIRDB(とそのハーベスタ)とJAIRO、CiNiiが既にありますが、そうした
一切をこれから構築する国々にとっては重宝するのでしょう。



[drf:1332]で報告された通り、COARも無事発足しました。
上のような話題もこれからますます身近、というか、世界と直結して考えていく
ことになっていくと思います。
現在のDRFを支えているCSI第二期はまもなく終わりますが、ここまでの流れを
先へつなげられるようがんばりましょう。

-- 
SUGITA Shigeki <sugita @ xxxxxxxxxxxxxxxxx>
Hokkaido University Library, JAPAN

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