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[drf:3689] Re: 博士論文の要旨・本文のアイテム分け



富田さん、

> 電子ジャーナルに掲載された論文が「公表」に該当するか、については
> 前任の大学図書館係長に何度か確認したのですが、文部科学省の見解と
> しては「公表」にならないとのことでした。個人的には少なくともオー
> プンアクセスジャーナルに掲載されたものは該当するのでないかと思っ
> ているのですが、原則として機関リポジトリへの掲載のみが該当する、
> ただし書きの条項はオーバーレイジャーナルぐらいしか該当しないので
> はないかというのが、一貫した見解でした。6月7日には、大学院係長
> さんが来られますので、再度確認したいと思っています。

まあ、この件について、前任の大学図書館係長があまりに原則論にとらわれて
いるだけだと思って無視することにしていました。「公表とはオープンアクセ
スである」という定義がどこにあるわけでもなく、ただ、機関リポジトリから
公表すればオープンアクセスになるということにだけだったわけです。これま
で、雑誌に掲載すれば「印刷公表」であるという解釈をとってきたわけで、そ
の「印刷」をはずしただけですので、そこで公表の解釈を一気にオープンアク
セスにもっていくのは所詮無理な話で前大学図書館係長(周辺)の思い入れのレ
ベルだと解釈していました。

改正9条の読み方としては、

        1. 公表の義務の規定および除外される場合の規定
        2. やむを得ない理由によって要約のみの公表が可能であるという規定
        3. これらの公表は、(意味をとれば)機関リポジトリからの公表であ
           るという原則の提示

となります。問題は、この1.の「除外される場合の規定」の規定の中にある
「公表」が3.で使われている「公表」であるかどいうかということです。これ
を前図書館係長は、ある意味で厳密に読んで、3.の規定するところによって
「公表とは機関リポジトリによるもの」を考えているのだと思われます。

しかし、これは現実的には、著作権が譲渡されてしまったものについて、鈴木
さんが克明に混乱されていたように、大変あつかいにくくなり、また、強行し
ようとすれば、大学ないし文部科学省として出版者とのあいだに了解をとる必
要がでてきます。(とってもらえばよいのですが、誰もやりたくない。)一旦電
子ジャーナルで公表されたものそのものを機関リポジトリ登載するということ
は、学位論文の内容として一部含めたという微妙な場合を除けば、権利者すな
わち譲渡を受けた出版者の許諾を要するでしょう。

ということで、この件で議論が深まることを期待します。

土屋
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