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[drf:2135] SPARC DR Meeting 2010参加報告



みなさま
お世話になっております。大阪大学の土出です。
先週,11/8-9に米国ボルチモアで開催されたSPARC Digital Repositories 
Meeting 2010に参加させていただきました。遅くなりましたがご報告い
たします。

SPRAC DR Meeting 2010
http://www.arl.org/sparc/meetings/dr10/

名簿によると参加者は226人で,大半は北米です。あとは英国からJISC,
BMC,EPrintsの人(EPrintsは今年10周年だそうです),スウェーデン,
オランダからSPARC Europe,SURFの人,南米から数名,日本から3名,
といった感じで1割程度でしょうか。EPrintsや@mireの人はスポンサー
枠と思います。

プログラムは「学内出版サポート」「データの共有・公開」「グロー
バルネットワーク」「財政的持続性」で,学内コストの話はほとんど
出ませんでした。が,参加者同士で話していると,それが結構苦労し
ている点のようです。
状況はかなり日本と似ていると思います。特に学内出版のサポートで
は,恐らく日本で「紀要」といっているものを普通に「Journals」と
称して,その,出版ルートに乗らないものをOAにしてサポートするん
だとか言っていました。日本ももう少し厚かましくアピールしたほう
がいいかもしれません。
ヨーロッパと違って「学術雑誌論文をいかにうまく集めてリポジトリ
に入れるか」という内容はありませんでした。学術雑誌論文は個々の
機関で粛々と取り組んでいる程度なのかも。

各セッションで事前のスライド配布はなく,みんなその場で見ながら,
気になるところはばんばん質疑で質問し,議論をしていました。スラ
イドを配布しろという声もなかったようです。

今年のOpen Access Week をとりまとめておられたSPARC のJennifer
さん,Heatherさん,PLoSのDonnaさん,新しくSPARC EuropeのDirector
になられたヨーロッパの Astrid van Wesenbeeck さんにもお目にか
かりました。皆素敵な人たちでした。


------以下は各セッションの内容です--------

Opening Keynote:Michael Nielsen
http://michaelnielsen.org/blog/michael-a-nielsen/
Linuxやwikipediaの例のように,誰かが思いつきを発信して,それを
他の誰かも含めて実現していくことができるのはインターネットのお
陰。
その一方で,プロジェクトの長期間にわたる維持,モチベーション継
続はインターネット以外の枠組みがないと難しい。
これまでJournalでの交流をしていたScientist,その周囲にはScientist
候補の人々,社会全体,といくつかの社会のレイヤーがあり,インタ
ーネットによって,その交流のエリアが少しずつScientistのコミュニ
ティから広がりつつある。Open Access, Science blogs, News sites...
社会全体への影響,個々人だけでは全体の流れは変わらないが,多く
なれば変わってくることもある。適切なタイミングでそれがどのよう
にコントロールされていくかが重要。リポジトリのコミュニティは,
Open Science のためのロビー活動や意識啓蒙が可能であり,(より
よい思いつき実現のための)新たなツールを開発する助けにもなる。
【具体的な話題:Polymath Project, Galaxy Zoo, GenBank】

初日のセッション1
REPOSITORY-BASED PUBLISHING SERVICES: STRATEGIES FOR SUCCESS 
(OR FAILURE)
所謂Campus Publishing の話,学内の成果物をいかにリポジトリに
掲載するか。日本でおもにやっていることに非常に近いです。WPな
どを中心に,学際領域や小さな需要に応える,ということを言って
いました。「humanity や social science の先生はまだボーンデジ
タルやOAにナーバス」などというコメントも。
【キーワード:small market, interdisciplinary, faculty】

初日のセッション2
OPEN DATA
研究データ類の扱いについて,イギリスのDigital Curation Centre
での例,コーネル大学がResearch Data Management Service Group
(RDMSG)を設けた話・メタデータによる研究データ特性管理(DataStaR),
カナダでのnational data preservationについて,でした。DataStar
の話で,研究データの層がPrivate > Shared > Public と存在し,
同一データが各層を移動する,というとらえ方が興味深かったです。
【キーワード:DCC,DMP/ RDMSG,DataStaR,eSLib/ 】

Innovation Fair
夕方のちょっとしたドリンク付ポスターセッション。2分間のスピー
チと会場にポスターという形でした。各大学が応募するものですが,
内容としては,DRFの技術サポートWGメンバーが軽井沢ワークショッ
プで作っているようなものの紹介,が多かったです。
自動でSHERPA/RoMEO検索,自動でリゾルバから雑誌書誌同定するDB
ThomsonのWoSデータ活用
大学当局の広報と研究者との間でIR活用
リポジトリがtwitter,facebook
などが披露されました。若干,「それ本でもやってるやん」つっこ
み。
DRFIC2009に来ていただいたロチェスター大「IR+」もありました。

2日目のセッション1
GLOBAL REPOSITORIES NETWORKS
ここでは,"Global" のとらえ方がかなり幅広く,人的ネットワー
クや世界で協働するためのシステム(仕組み),glogal-localの対
比,一方で南米の状況報告などがありました。日本からNIIの安達
先生がプレゼンターでご発表,最初にJANUL+PULCの大きなコンソー
シアム立ち上げ,国内のネットワーク強化という話題をされました。

「ideal vision の共有,それを模索・実現するための様々なプロ
ジェクトが現在進行中であること」などのコメントが印象に残りま
した。決してできあがったものを享受するのではなく,システムを
使いつつよりよいものに発展させるための活動に,わたしたちも参
加している,ということです。

2日目のセッション2
MAKING THE CASE FOR FINANCIAL SUSTAINABILITY
ここでの発表は,部局単位でMandate(構成員に対する研究成果の
リポジトリ公開義務化)を行っているHarvard大学,arXiv,香港
大学Scholars Hub でした。Harvardは部局方針で義務化した結果,
それに伴う予算要求も多少しやすくなった,という程度のようで
す。。arXivは利用者に費用負担を求める分,コスト分析を厳しく
されているようでした。ちなみにDL数の多い国は上位からUS,ド
イツ,UK,日本,よくDLされる分野は数学と高エネルギー物理だ
そうです。

あとはさくっと閉会挨拶,主催者のSPARC Japan, SPARC Europe,
SPARCからあり,終了しました。

以上です。


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土出郁子 (TSUCHIDE Ikuko)
大阪大学附属図書館 (電子コンテンツ担当)
tsuchide @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
TEL:06-6850-5071 FAX:06-6850-5052

 
 
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11月19日 DRF地域ワークショップ in 広島(DRF-CityOfHiroshima)開催!
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