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[drf:693] Re: ブリスベン宣言




九州大学附属図書館の星子です。

> > 同会議に出席された方、レポートをお願いできますか。

ご報告が遅くなりまして申し訳ありません。
下記のとおり内容をまとめましたので、ご覧ください。

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Open Access and Research Conference 2008
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開催日:2008年9月24日-25日(ワークショップは26日開催)
場所:Stamford Plaza Hotel, Brisbane, Australia
参加人数:約200名(参加者名簿による)
公式サイト:http://www.oar2008.qut.edu.au/

主催:
 Open Access to Knowledge (OAK) Law Project
 The QUT Division of Technology, Information and Learning Support
 The QUT Faculty of Law

会議概要:
 オープンアクセスの現状と将来、オープンアクセスに関する法的な話題、
 研究データの共有、研究業績の評価指標など、広範なテーマを扱う。

主な発表者とコメント:

○John Wilbanks (Science Commons)
「The Future of Knowledge」
 ・knowledgeは、レゴブロックのようなもので、個々のknowledgeを組み
  合わせることで大きくなる。だから、共有することが大切。
 ・従来のの学術コミュニティはギルド文化であったが、今後ギルド文化
  は崩壊し、ネットワーク文化が創造されるであろう。
 ・学術分野にはAmazonやeBayのようなマーケットプレイスがない
  →将来的な可能性

○Dr Alma Swan (Key Perspectives)
「Open Access : The Next Five Years」
 ・著作権は著者を守るためのものであるはずなのに、逆にOAの障害に
  なっているという矛盾がある。→大学が組織としてサポートする重要性
 ・リポジトリへの登録義務化ポリシーを持つ機関が増えている→義務化の有効性

○Dr Tony Hey (Microsoft)
「Computation Technology and the Power of Open Access」
 ・学術コミュニケーションのライフサイクル…収集・分析→論文執筆→
  発表→保存→収集…
 ・Microsoftは、このライフサイクルのそれぞれの局面をサポートする
  ことを意識している。

○Maarten Wilbers (CERN)
「A Legal Framework Supporting Open Access」
 ・CERN(欧州原子核研究機構)…研究成果のopennessについて、昔から意識
  していた。例)1950年代からのプレプリントの歴史、WWWの無料一般開放

ワークショップ:
 3つの分科会のうち、「Open Access: Making It Happen」に参加。
 機関リポジトリの運営に関する情報共有。

 (主な意見等)
 ・Book Chapterについて…機関リポジトリに登録すると売上が向上する
  というデータがある。
 ・新しいものを早めに登録する事が大事…引用数が伸びる
 ・機関が定める登録ポリシーは、著者が出版社に交渉する際の後押しと
  して重要。
 ・「著作権を主張すると論文がリジェクトされる」と心配する研究者も
  いるが、著者とエディターとの交渉ではなく、著者と出版社の交渉な
  ので、心配には及ばない。
 ・映像・立体物・音楽・実験データ等の扱い…どこまで各大学で持つか
  の線引きが難しい。国家的に進めるべき領域もある。
 ・違う性質のデータを、一つのリポジトリに入れる必要はない。役割に
  応じて別々のリポジトリに分け、互いにリンクしたり、統合検索でき
  るようにすればよい。
 ・「リポジトリ」に代わる、もっといい言葉はないか?
 ・EPrintsの入力支援機能
   ・論文タイトルを入力すると、既に登録済みのアイテムが表示され、
    重複入力を防ぐ。
   ・雑誌タイトルを入力すると、SHELPA/RoMEOのポリシーが表示される。
 ・Digital Commons…OA誌の出版用に導入している機関がいくつかある。
 ・ミシガン大学の事例…出版社と交渉し、出版者版PDFをリポジトリに登
  録している(約10,000件)。出版社にいくら支払っているのかは機密事項。

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     九州大学附属図書館 コンテンツ整備課 電子化係
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