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[drf:2835] Re: 訳してみました:APCの損益分岐点は600ドル? (Re: Re: Fwd: [GOAL] Re: op-ed on Research Works Act in today's NYT)



杉田さま,皆さま

  森いづみ@NIIです。コメント有難うございます。

> 私見:
>
> (1)まず、業界の事情通が「600ドル」と言っている、ということに注目したい。
>  これは、現在、いくつかの出版社が設定している3000ドルのハイブリッド料
>  金(訳者注:購読モデル誌におけるOA選択オプション料金)について考える
>  ときに、心に留めておくべきだろう。この発言をされたジョエ氏が商業出版
>  サイドの方であることを考えると、より安い論文出版加工料の設定は、非営
>  利出版陣営の可能性を拓くものかもしれない。

 妥当なAPCとは? という問いに対する答えは,それこそ考慮すべき
 要素が多くて,図書館からは計り知れないのだろうか,と悩んでおり
 ましたが,そういう試算があったのですね。

>
> (2)ピアレビューのレベルダウンという案件を、出版社事業の一部として議論
>  することはナンセンスである。ピアレビューを行うのは研究者である。出版
>  社はそれにコストをかけていない。
>  (訳者感想:でも進行管理の事務コストもそれなりのもんなのでは?)

 はい,進行管理の事務コストもばかにならないだろうと推測します。
 だから,そういうコストはちゃんと賄えるように,誰かがどこかでお金
 を出さなくてはならないのだろうと考えます。
 このコストの妥当性というのも,やっぱり図書館からはなかなか図り
 しれず・・・

>
> (3)競争的市場においては、生産者は、価格のみならず、品質でも勝負するも
>  のだろう。

 品質とは,論文の中身の部分と,EJの使い勝手・機能拡張の部分とが
 あるのでしょうか。

>
> (4)従って、市場が開かれていくにつれ、発展途上国らに参入の余地がある。
>  私の見るところ、いくらかの商業出版社が安価な労働力を求めて進出してい
>  く一方、第三世界側で、高品質な学術出版産業が生まれ発達するというシナ
>  リオも考えられる。そしてそれはわれわれ全てにとって、わるくない。
>
> 少数の巨大出版社に並外れた富が集中している現行の出版システムにあって、
> オープンアクセス市場には競争出来の余地がある、ということは注目に値する。
> 私が思うに、学術出版において、オープンアクセスか値ごろ感か、という二者
> 択一で考える必要はなく、どちらも手にすればいいのではなかろうか。

 競争の余地があるということは大事ですよね。
 競争と言えば,皆さまはSCOAP3についてはどのように考えておられますか?

 既に国公私立大学図書館協力委員会,KEK,NIIで,関心表明書にサインを
 したわけですが,この次のプロセスは,購読費を確実に引き下げつつ,OA
 ジャーナル出版経費を賄うための,分担モデル検討に行かねばならないの
 ですが,なかなか難しそうだなぁ・・・と思っております。

 




(2012/01/12 13:42), 杉田茂樹 wrote:
> 国際連携WGの杉田(小樽商大)です。では私も。
>
> (2012/01/12 13:38), Izumi MORI wrote:
>>  購読費をAPCにすれば,「読者が限定されている格差問題」が誰もが
>>  読めるという解決にはなりますが,「APC高騰化(するであろう)問題」や,
>>  「学術情報流通基盤をだれがコントロールするのか」問題が残ること
> ちょっと古いですが、LIBLICENSE-Lリストの2か月前の話題、
>
>  600 dollar OA article processing fees is breakeven?
>  (APCの損益分岐点は600ドル?)
>  http://listserv.crl.edu/wa.exe?A2=LIBLICENSE-L;57c83611.1111
>
> です。
>
>
> ジョエ・エスポシトさんが、以前、オープンアクセス出版における論文出版
> 加工料について語った中で、曰く、
>
> 「1200ドルの著者負担金は、市場の圧力によって将来1000ドルに落ちることも
> あるだろうか。あるいは800ドルまで? ことによると600ドル? 業界人の中
> には、600ドルあたりが損益分岐点だろうという声もある。私はそのへんよく
> わからないのだが、仮にその見込みが正しいものとしよう。としたら、安値競
> 争の渦中の出版社たちは、より安価な労働力を得ようと、やがて先進国を飛び
> 出していくということもあるのではなかろうか。また仮に、さらなる安値に向
> けた市場圧力が続くとすると、どんな要素の切り捨てが俎上に上がりうるだろ
> う? ピアレビューの厳正さのレベルダウンとか?」
>
> 私見:
>
> (1)まず、業界の事情通が「600ドル」と言っている、ということに注目したい。
>  これは、現在、いくつかの出版社が設定している3000ドルのハイブリッド料
>  金(訳者注:購読モデル誌におけるOA選択オプション料金)について考える
>  ときに、心に留めておくべきだろう。この発言をされたジョエ氏が商業出版
>  サイドの方であることを考えると、より安い論文出版加工料の設定は、非営
>  利出版陣営の可能性を拓くものかもしれない。
>
> (2)ピアレビューのレベルダウンという案件を、出版社事業の一部として議論
>  することはナンセンスである。ピアレビューを行うのは研究者である。出版
>  社はそれにコストをかけていない。
>  (訳者感想:でも進行管理の事務コストもそれなりのもんなのでは?)
>
> (3)競争的市場においては、生産者は、価格のみならず、品質でも勝負するも
>  のだろう。
>
> (4)従って、市場が開かれていくにつれ、発展途上国らに参入の余地がある。
>  私の見るところ、いくらかの商業出版社が安価な労働力を求めて進出してい
>  く一方、第三世界側で、高品質な学術出版産業が生まれ発達するというシナ
>  リオも考えられる。そしてそれはわれわれ全てにとって、わるくない。
>
> 少数の巨大出版社に並外れた富が集中している現行の出版システムにあって、
> オープンアクセス市場には競争出来の余地がある、ということは注目に値する。
> 私が思うに、学術出版において、オープンアクセスか値ごろ感か、という二者
> 択一で考える必要はなく、どちらも手にすればいいのではなかろうか。
>
> では。
>
> ヘザー・モリソン
>
>
>
>
> From: Heather Morrison <hgmorris @ xxxxxx>
> Date: Fri, 18 Nov 2011 10:06:28 -0800
>
> Joe Esposito, commenting on the open access article processing fee
> earlier, said:
>
> "Will the $1,200 author fee drop to $1,000 under market pressure?  Why
> not to $800?  Why not $600?  Some people working in this field believe
> that $600 is breakeven.  I don't know about that, but suppose it's
> true.  Doesn't this mean that all these competitors move out of the
> First World to get less expensive labor? And if prices still have
> downward pressure, what kind of temptation will there be for reducing
> some of the services?  Will there be even less rigorous peer review?"
>
> Comments:
>
> First, I would like to highlight that this an industry insider telling
> us that some in the field believe a $600 OA article processing fee
> would be breakeven for current production practices. This is something
> to keep in mind when considering the $3,000 hybrid fees offered by
> some. Considering that Joe was from the for-profit sector, it seems
> likely that lower article processing fees could be a possibility for
> the not-for-profits.
>
> Second, it is nonsense to think that rigorous peer review has anything
> to do with publisher services. It is scholars who perform the peer
> review, at no cost to publishers.
>
> Third, in a competitive market producers compete on quality as well as price.
>
> Fourth, there is indeed room for the developing world as the market
> opens up. My perspective is that while some current companies may go
> there for cheaper labour, there is room for quality scholarly
> publishing services to be developed by people in the third world, and
> this a good thing for all of us.
>
> The above-average profits of a few large publishers under the current
> system do indeed suggest that there is room for competition for an
> open access marketplace. To me, this suggests that we do not need to
> choose between open access and affordability in scholarly publishing:
> we can have both.
>
> best,
>
> Heather Morrison, MLIS
> Doctoral Candidate, Simon Fraser University School of Communication
> http://pages.cmns.sfu.ca/heather-morrison/
> The Imaginary Journal of Poetic Economics
> http://poeticeconomics.blogspot.com
>


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国立情報学研究所 学術基盤推進部 学術コンテンツ課 専門員
(SPARC担当) 森 いづみ

〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2−1−2
Tel: 03-4212-2302,Fax: 03-4212-2375
E-mail: izumi @ xxxxxxxxx
Web: http://www.nii.ac.jp/content/, http://www.nii.ac.jp/sparc/

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