[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[drf:3208] Re: フィンチレポート Re: Re: eLife誌関連記事(試訳)



土屋先生、みなさま、

土屋先生によろしくお願いされてしまった鈴木雅子です。

2012年7月29日 22:59 Syun Tutiya <tutiya @ xxxxxxxxxx>:
したがって、RINのサイトの説明と(かなりの人々がこの結論の背後にあるいく
つかの勢力のひとつとして想定している)NPGの雑誌にRINの人が書いた記事を
紹介するしただけでは、間違いがなかったとしても、このリストの読者におい
てやや誤解や混乱が生まれるのではないかと危惧します。

この点へのご対応について、鈴木雅子さんにはよろしくお願いしたいと存じま
す。

えーそんな。。。と涙しつつ、がんばって、フィンチレポートの周辺について
大まかなところをまとめてみました。

英語ほんとにダメなんで、遅いんです。私よりか得意な方の応援求ム!


★フィンチレポート

・2012年6月17日に公表された、英国の出版済み論文のOA推進に関する
ワーキンググループ(主査 デイム・ジャネット・フィンチ)のレポート。
 「Accessibility, sustainability, excellence: how to expand access
  to research publications」
 全文PDF:http://www.researchinfonet.org/wp-content/uploads/2012/06/Finch-Group-report-FINAL-VERSION.pdf
 要旨PDF:http://www.researchinfonet.org/wp-content/uploads/2012/06/Finch-Group-report-executive-summary-FINAL-VERSION.pdf

・英国研究情報ネットワーク(RIN)が事務局。 http://www.researchinfonet.org/406/
・一言で言えば、公的助成研究成果のアクセス拡大のためには、
 グリーンOAではダメだ、ゴールドOAだーという内容。



■SPARCヨーロッパ

・2012年7月11日に、「フィンチレポートへの見解」を公表。
 http://sparceurope.org/sparc-europe-response-to-the-finch-report/

・一言で言えば、政府がOAにポジティブなのは歓迎するが、レポートの
 提言の結論と方向性には重大な懸念があるという内容。
・政府に以下を求める。
 i)アクセスの拡大のための妥協でなく、OAの達成を目指してほしい。
 ii)フィンチレポートのいいとこ取りはして、良い事例から学べるよう学術
  コミュニケーションの発展をモニターする、純然たるゴールドOA出版を
  奨励する、大学と連携して大学が研究成果のアウトプットへのアクセ
  シビリティを増すポリシーを追求できるよう奨励する、は推進してほしい。
 iii)英国の研究成果を自由に利用できるようにしている機関リポジトリ・
  分野リポジトリへの投資とその成長発展を評価し、そして、英国の
  大学、資金提供機関によるポリシー策定を奨励することで、この進歩
  を継続・拡大してほしい。
 iv)助成金をOA出版のために支払うことができるというRCUKの研究
  助成条件のもとで、純然たるゴールドOA出版が完全なOAに移行
  していくよう資金を提供してほしい。
 v)公的資金を受けた英国の研究成果はすべて適切なクリエイティブ
  コモンズまたは同等のライセンスを必須としてほしい。
 vi)RCUKの新しい、強化されたOAポリシー案を支援してほしい
 vii)他の国や地域、とりわけOAを遂げる実際の成功の証拠を示す国
  や地域と調整し、英国のポリシーを発展させてほしい。
 viii)英国の大学のポリシー、とりわけOAを遂げる実際の成功の証拠
  を示すような大学のポリシーと調整して英国のポリシーを発展させて
  ほしい。



■英国政府

・2012年7月16日に、フィンチレポートの内容を基本的に受け入れると公表。
・BIS(事業革新・技能省)は「政府は公的資金を受けた研究成果を開放する」
 と題して、「学術界、ビジネス界、そして国民は公的資金を受けた研究結果
 により容易くアクセスできるようになるだろう、と大学・科学担当大臣デイビット
 ウィレットが本日発表する予定」とし、
 「政府は、デイム・ジャネット・フィンチによるOAに関するレポートにおける、
 公的資金を受けた数多くの研究論文を国民が自由に利用できるようになる
 状況が大幅にアップするという方策の提言を広く受け入れる」と報じた。
 http://news.bis.gov.uk/Press-Releases/Government-to-open-up-publicly-funded-research-67d1d.aspx
・また、政府の見解をまとめ、大臣からフィンチへの書簡として公表した。
 「Letter to Dame Janet Finch on the Government Response to the Finch
 Group Report: “Accessibility, sustainability, excellence: how to expand
 access to research publications」
 http://www.bis.gov.uk/assets/biscore/science/docs/l/12-975-letter-government-response-to-finch-report-research-publications



■英国研究会議(RCUK)

・2012年7月16日に、2013年4月1日から新しいOA方針を適用すると公表。
http://www.rcuk.ac.uk/media/news/2012news/Pages/120716.aspx
(内容)
*RCUKの助成を受けた研究成果は、
  ・RCのOAポリシーに準拠したジャーナルで出版しなければならない。
  ・データやサンプル、モデルといった基本的な研究素材にもアクセス
  できるようにしなければいけない。
*ジャーナルの基準はRCのOAポリシーを満たすものでなければならないが、
 “pay to publish”の意見に応じ、命じられた最大エンバーゴの後に、
 機関リポジトリまたは分野リポジトリに登録することでもよいものとする。
・加えて、APCが課せられる場合は、クリエイティブコモンズのCC-BYを
 使用することを義務付ける。
・'pay-to-publish’(ゴールドOA)に伴うAPCの支払いを支援するため、
 資格のある英国高等教育機関等に塊の形で助成金を配付する。
 RCUKは、資金を管理するための場所を設置する等のふさわしいメカ
 ニズムを確保するために関係各所と議論を重ねていく。
・ポリシーはこちら http://www.rcuk.ac.uk/research/Pages/outputs.aspx

#鈴木補足
・杉田さんがこのスレッドで紹介していた、
 ハーナッドが「RCUKポリシー一瞬いいと思ったけど、ダメだわ」と意見を
 翻したポイントになったのが、この上の*ですね。これでは、ジャーナルが
 ハイブリッドOAで応じることになるだろうからダメだと。
 ハイブリットOAといったら、購読モデルの雑誌の中で自分の論文を
 OAにするために著者がオプション料金を払う方式のことだから、そりゃ
 二重取りじゃんって今でも腹立たしいですもんね。

・栗山先生、内島さんがこのスレッドでお話されている「RCUKはエン
 バーゴを6ヵ月としている」というのは、上のポリシーはこちらURLから
 辿れるPDFの中にあります。
 http://www.rcuk.ac.uk/documents/documents/RCUK%20_Policy_on_Access_to_Research_Outputs.pdf



■欧州委員会(EC)

・2012年7月17日に、2014年から2020年に実施される助成プログラム、
「Horizon 2020」による助成を受けた研究成果についてのOA方針を公表。
 「Scientific data: open access to research results will boost Europe's
 innovation capacity」
 http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/12/790&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
(内容)
・2014年以降、「Horizon 2020」による助成を受けた研究成果は
 ・(「ゴールド」OA)出版社により直ちにオンラインでアクセス可能とするか、
  - 出版時のコストはEC助成金から支払ってよい
 ・(「グリーン」OA)出版後6か月(社会科学・人文系は12ヵ月)以内に
  OAリポジトリを通してアクセス可能とするか、
することを義務付ける。
・2016年までにヨーロッパの公的資金を得た研究論文の60%をOAとする
 ことが目標。



■米国SPARC

・2012年7月18日に、議長がオバマ大統領に対し、公的助成研究の
パブリックアクセス方針について訴える文書を出した。
http://www.arl.org/sparc/bm~doc/sparc-ata-wh-copy.pdf
(内容)
・ECがOA方針を公表したのよ、こうした動きには各国が同調していく
 でしょう。しかし、米国は、主要11研究助成機関のうち、OA方針を
 たててるのはNIHしかない。
・2012年5月に、オバマ政権が開始したオンライン嘆願書
"We the People"に公的助成研究のOA化を求める嘆願を出したけど、
 28,000人以上が署名しているよ。
・NIHのパブリックアクセス方針を拡張し、あらゆる連邦政府研究機関
 における公的資金による研究への、自由で、機を得た、公共アクセス
 のための単純明快な、合衆国としての方針を発令してください。





--
鈴木雅子 <msuz @ xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx>
旭川医科大学教務部図書館情報課
TEL:0166-68-2221 FAX:0166-68-2229
AMCoR  http://amcor.asahikawa-med.ac.jp/
──────────────────☆────────
月刊DRF http://drf.lib.hokudai.ac.jp/gekkandrf/
 2012年8月号(31号)を発行しました!

DRF(Digital Repository Federation)
http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/ 
─────★─────────────────────