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Die Heiligen in Lienhart Scheubels Heldenbuch

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/53599

Title: Die Heiligen in Lienhart Scheubels Heldenbuch
Other Titles: 「リーンハルト・ショイベルの英雄本」における聖者
Authors: Terada, Tatsuo1 Browse this author →KAKEN DB
Authors(alt): 寺田, 龍男1
Issue Date: 1-Nov-2013
Publisher: 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
Journal Title: メディア・コミュニケーション研究
Journal Title(alt): Media and Communication Studies
Volume: 65
Start Page: 1
End Page: 12
Abstract: 小稿は、「リーンハルト・ショイベルの英雄本」(以下「英雄本」)に現われる聖者を考察した ものである。すべての作品が同一の筆者によって書かれ、15世紀末に成立したこの「英雄本」には、いずれも成立が13・14世紀に遡ると推定される『ヴィルギナール』・『アンテロイ』・『オルトニート』・『ヴォルフディートリヒ』・『ニーベルンゲンの歌』・『ロレンゲル』の6作品が掲 載されている。 これらで名前が挙げられる聖者の例を集めると二つの点が目につく。すなわち ①聖ヨハネが4作品で言及されること ②『ヴォルフディートリヒ』では聖者の言及(ないし登場)回数が抜きん出て多いこと である。 聖ヨハネは「英雄本」冒頭の『ヴィルギナール』、『ヴォルフディートリヒ』、『ニーベルンゲ ンの歌』、そして末尾の『ロレンゲル』で登場する。注目したいのは『ヴィルギナール』と『ロ レンゲル』である。どちらの作品でも主人公が出陣する前に「聖ヨハネの慈愛を飲む」という 記述がある。これは一般的には、無事な帰還を願いつつ酌み交わす別れの盃であり、西洋の中 世社会では広くおこなわれていた。実際『ロレンゲル』の記述はそう解釈できる。しかし『ヴィ ルギナール』では、聖ヨハネのワインを飲むことでいかなる相手にも負けない力が与えられる ことが強調されている。Johannesminne trinkenという表現の多様な側面を示す事例といえよう。 調査できた範囲内ではあるが、他のいくつかの英雄本や『ニーベルンゲンの歌』の他写本で はヨハネを確認していない。現段階では、「ショイベルの英雄本」に聖ヨハネが合計10度登場す る事実をもって、この写本が持つ特徴のひとつと考えてよいと思われる。(それらが各作品の典 拠となった写本ですでに記載されていたかもしれないが、検証は困難である。)ちなみに上記以 外の用例の多くは「聖ヨハネの日」としてである。これは通常、日付を別の形式で表現したも のにすぎない。しかしそれでも、聖者にちなむ日が多数ある中、「聖ヨハネの日」に偏る傾向は 認められる。 『ヴォルフディートリヒ』では聖ゲオルギウス、聖ヤコブ、聖パンクラティウス、そして聖女 クリスティナが言及される。中でも聖ゲオルギウスは作中人物としても登場し、主人公が誕生した際の洗礼に立ち会うなどしている。聖ゲオルギウスもヴォルフディートリヒも竜を退治す る点が共通する。これらの聖者は同じ『ヴォルフディートリヒ』の他写本でも見られるが、「ショ イベルの英雄本」のようにしばしば言及されるものからまったく言及がない写本、および中間 形態とみなすべきものまでさまざまである。 『ヴォルフディートリヒ』は多くの写本や印刷本で、脈絡上大きなつながりのある『オルトニー ト』に後続して掲載されており、この「英雄本」もそのひとつである。しかしここでは『オル トニート』に聖者が一度も言及されない。またいくつかの語彙の現われ方を見ても、『ヴォルフ ディートリヒ』とは本来異なる系統だった可能性が高く、何らかの理由でそれらが引き寄せら れたと推測される。 この2点や同様の諸相をさらに追求することで、「リーンハルト・ショイベルの英雄本」を編 纂した(ないし書いた)人物の嗜好性を少しでも明らかにしたいと考えている。しかし問題も 多かろう。ご批判を賜れれば幸いである。
Rights: http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/
Type: bulletin (article)
URI: http://hdl.handle.net/2115/53599
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Submitter: 寺田 龍男

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