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鉛プラグ入り積層ゴムの水平二方向加力時の力学挙動に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k11132
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Title: 鉛プラグ入り積層ゴムの水平二方向加力時の力学挙動に関する研究
Other Titles: Mechanical Behavior of Lead Rubber Bearings under Bi-directional Loading
Authors: 仲村, 崇仁 Browse this author
Issue Date: 25-Sep-2013
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 近年、超高層免震建物の実地震応答特性を調べる目的で実大積層ゴム支承の水平二方向加力試験が実施され、主要な免震支承の一つである高減衰積層ゴム(以下、HDR)を水平二方向に加力すると、破断限界ひずみが水平一方向加力時よりも低下する現象が確認された。本来、地震動は三次元的に建物に入力されることから、水平二方向加力時における破断限界ひずみの低下現象は免震建物の安全性に直接的に関わる課題であるとの認識により、HDR の水平二方向力学挙動の解明が精力的に進められ、限界性能評価方法が確立されるに至った。一方、HDR とともに主要な免震支承の一つである鉛プラグ入り積層ゴム(以下、LRB)については、未だ水平二方向加力に関する検討事例はわずかであり、蓄積された知見も非常に少ない。LRB はHDR と同様に支承と減衰機能が一体となった免震支承である。減衰機能を有する免震支承が水平二方向に変形した場合、復元力の方向が変位の原点を向かないことによって、鉛直軸まわりにねじれモーメントが発生する。ねじれモーメントは積層ゴムに付加的なせん断ひずみを発生させ、それが破断限界ひずみの低下の要因とされている。HDR の破断限界ひずみの低下現象が減衰機能の発揮に起因していることから、LRB でも同様の現象が生じる懸念がある。本論文では、鉛プラグ入り積層ゴムの水平二方向力学挙動を解明しており、全5 章で構成されている。各章の概要は以下の通りである。第1 章「序論」では、本研究の目的として免震構造に供用される積層ゴム支承の基本原理と要求性能を示した。また、近年の研究で課題となった水平二方向加力によるHDR の履歴ループ面積の増大や破断限界ひずみの低下現象に関する知見をまとめた。続いて、LRBの水平二方向力学挙動の解明に必要とされる検討項目を整理し、それらの具体的な検討方法について示した。第2 章「実験計画」では、LRB の水平二方向特性を詳細に把握するための実験計画を策定した。初めに、LRB の水平二方向力学挙動に影響する設計因子を抽出し、試験体パラメータを設定した。試験体パラメータは丸型、角型の2 種類の断面形状、ゴム層の構成、鉛プラグの断面積、角型断面のLRB については鉛プラグの配置と本数とした。次にLRB の水平二方向加力試験を行うため、三軸試験機を新たに設計し製作開発した。同試験機は鉛直軸、水平主軸、水平副軸の計三軸で構成され、これらを高精度に同時制御する水平二方向加力試験が可能である。最後に、加力試験に使用する水平二方向変位波形について検討を行い、一方向、楕円、真円の変位軌跡を統一的に表現可能な位相差入力を採用することで、積層ゴムに与えるエネルギー量が加力パターンによらず同等となる加力プログラムを作成した。第3 章「水平二方向加力時の復元力特性」では、LRB の水平二方向加力試験を行い、復元力特性の分析および解析を行った。水平二方向加力によるLRB の履歴曲線には、HDRで確認された履歴ループ面積の顕著な増大は生じなかった。また、試験体断面形状による差も少なかった。復元力特性値に関する検討においては、降伏荷重においてLRB の設計で従来用いられている評価式が、水平二方向加力時の履歴曲線にも概ね適用できることが明らかとなった。しかし、降伏後剛性は水平二方向加力の影響により、一方向、楕円、真円加力の順に剛性が低下した。続いて、水平二方向加力の加力オービット上の復元力ベクトルを原点方向に向かう力を弾性力、接線方向に生じる力を減衰力として分析した結果、弾性力は積層ゴムのゴム部弾性剛性から計算される荷重に、減衰力は鉛プラグの降伏荷重に対応することが明らかになった。最後にLRB の水平二方向加力特性のシミュレーション解析を行い、試験結果を良好に再現できた。第4 章「水平二方向加力時の限界特性」では、LRB が破断あるいは座屈するまでの限界加力試験を行い、試験体形状パラメータによる限界特性の変化を明らかにした。試験の結果、LRB の限界ひずみは鉛プラグの無い天然ゴム系積層ゴム(以下、RB)と同等であり、水平二方向加力による限界ひずみの低下はあまり見られなかった。また、角型、丸型の断面形状および鉛プラグの配置や本数などの試験体形状による限界ひずみの差も見られなかった。LRB の水平二方向加力における限界ひずみの変化は、積層ゴムの幅と高さの比を表す二次形状係数の違いによってのみ生じ、限界ひずみは二次形状係数が大きくなるほど増大する。ねじれモーメントの最大値とひずみレベルの関係については、鉛プラグの配置と本数および断面形状の違いによる差は楕円加力、真円加力ともに小さい結果となった。次に、LRB のねじれ変形を画像解析により計測し、二方向加力によって生じる局部ねじれせん断ひずみと主軸せん断ひずみの関係について検討した。局部ねじれせん断ひずみは、低せん断ひずみ領域では試験体パラメータによる違いが影響するが、せん断ひずみ400¥%以上の限界ひずみ領域ではその影響が小さくなる傾向が見られた。最後にLRB とRB の限界ひずみ領域における復元力ベクトルを分析し、LRB の限界ひずみが水平二方向加力において大きく低下しない要因について検討した。LRB は水平二方向加力時においても履歴ループ面積が増大せず、せん断応力も過度に増加しない。したがって、せん断ひずみが増加しても復元力ベクトルの方向は原点方向に収束するために、限界ひずみ低下の要因とされるねじれモーメントは増大せず、ねじれ変形も少ないことが原因であると結論づけた。第5章「結論」では、本論文の成果をまとめ、今後の課題と展望について述べた。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第11132号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 工学
Examination Committee Members: (主査) 教授 菊地 優, 教授 緑川 光正, 特任教授 林川 俊郎
Degree Affiliation: 工学院(建築都市空間デザイン専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/53884
Appears in Collections:学位論文 (Theses) > 博士 (工学)
課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 工学院(Graduate School of Engineering)

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