HUSCAP logo Hokkaido Univ. logo

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
文学研究科  >
研究論集 = Research Journal of Graduate Students of Letters >
第13号 >

書き直しによる脱イデオロギーと,イデオロギーの再構築 : 大江健三郎『水死』論

フルテキスト
023_SHI.pdf825.77 kBPDF見る/開く
この文献へのリンクには次のURLを使用してください:http://hdl.handle.net/2115/54082

タイトル: 書き直しによる脱イデオロギーと,イデオロギーの再構築 : 大江健三郎『水死』論
その他のタイトル: Realizing Deconstruction and Reconstruction of Ideology through Rewriting : Reading Kenzaburo Oe’s Death by Water
著者: 時, 渝軒 著作を一覧する
キーワード: 脱イデオロギー
イデオロギー
大江健三郎
水死論
発行日: 2013年12月20日
出版者: 北海道大学大学院文学研究科
誌名: 研究論集 = Research Journal of Graduate Students of Letters
巻: 13
開始ページ: 17(右)
終了ページ: 34(右)
抄録: 本稿では大江健三郎の「後期の仕事」の一部としての『水死』(二〇〇九)を取り上げる。『水死』は、自作と他作家の作 品を言及しながら、それらの作品が辿り着いた主題、または結論をひっくり返し、書き直したのである。本稿はこの書き直 しの方法を中心に、『水死』がどのようなテクストなのかを考察していく。 『水死』における書き直しは主に、『こころ』、『みずから我が涙をぬぐいたまう日』、『臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ 身まかりつ』についてである。まず、『こころ』に対するイデオロギー的解釈をウナイコの演劇で批判し、先生の自殺を先生 個人の問題に帰結するという脱イデオロギー的解釈を提示する。次に、父親の問題を描いた『水死』は、先行作品『みずか ら我が涙をぬぐいたまう日』における天皇のために死んだ父親像を天皇殺害の計画者として書き直し、丸山真男の超国家主 義論理に対する作家の批評を具体化したのである。第三に、同じ「メイスケ母」の材料を使い、前作『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』の主題「民衆の精神」を国家の強姦に書き換えた。『こころ』の書き直しで実現した脱イデオロ ギー作業と違い、父親の問題と「メイスケ母」への書き直しはイデオロギーの再構築をテクストの中心に据えさせる。脱イ デオロギーとイデオロギーの再構築はいずれも、日本の近代精神で各時代を貫いた国家犯罪という命題を表現している。こ のような書き直しの方法によって、成立した『水死』は各時期を横断する先行作品を現代のコンテクストで再解釈し、延長 させた点で、読者に新しい読み方を提示してくれたと考えられる。
資料タイプ: bulletin (article)
URI: http://hdl.handle.net/2115/54082
出現コレクション:第13号

 

本サイトに関するご意見・お問い合わせは repo at lib.hokudai.ac.jp へお願いします。 - 北海道大学