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PEG修飾半導体性クラスターの水中における光学特性と応答挙動 [全文の要約]

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/62117
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Title: PEG修飾半導体性クラスターの水中における光学特性と応答挙動 [全文の要約]
Other Titles: Optical properties and response behaviors of PEG-modified semiconductor clusters in water
Authors: 福永, 直人 Browse this author
Issue Date: 24-Mar-2016
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 現代の社会においてさまざまな汚染物質が引き起こす環境問題に適切に対処し、持続可能な発展を持続するためには対象となる物質を選択的に検出・除去するシステムを構築することが重要である。この目的のために、特定の化学物質を定性的、定量的、選択的に検出・分析するための化学センサーの開発は極めて重要であり、中でも簡便な光学的手法を用いた検出は、環境モニタリングやサンプリングから分析までその場で行うことができるオンサイト分析に適用可能であると期待される。硫化カドミウムやセレン化カドミウムのナノ粒子は、半導体としての性質に由来する特徴的な発光を示すことから、無機クロモフォアとして魅力的であり、表面に汚染物質に対する認識部位を導入することで様々なセンシング系が構築されている。一方、ナノ粒子より一回り小さいサイズを有する明確な組成・構造を有する分子性のカドミウムカルコゲニドクラスターも知られている。こうしたクラスター化合物は、ナノ粒子と類似した半導体性に起因する特徴的な光化学特性を示すうえ、構成原子のほとんどが無機コア表面に位置することから、表面近傍の変化に対して鋭敏に応答することが期待され、高感度な化学センサーとして利用できる可能性がある。本学位論文では、水系媒体中でのセンシングを想定して、高い親水性を有するポリエチレングリコール(PEG)を 表 面 に 導 入 し たカドミウムカルコゲニドクラスターを用い、基礎的な光学的性質を表面近傍の構造的な観点から考察するとともに、発光センシング系構築のための方法論の開拓を行った。著者は半導体性のCd10E4(SR)12(E = S or Se)の組成を有するクラスター群に着目し、有機部位RにさまざまなPEG誘導体を導入することで水に可溶な発光性クラスターを合成した。単純なPEGユニットを無機コアに直結させたCd10Se4(SR)12型クラスター(R = S(CH2CH2O)nCH3, n= 3, ~7, ~17, ~46)の紫外可視吸収スペクトルにおいて、PEG鎖長が長くなるにともなう吸収帯のブルーシフトが観察されている。一方、発光スペクトルでは発光極大のブルーシフト、発光励起スペクトルではスペクトルパターンの変化が観察された。PEG鎖の双極子モーメントは鎖長とともに増大することが知られており、鎖長の長いPEGが提供する極性の高い周辺化学環境が無機コアに電子的な摂動を与えたものと考えられる。実際、比較的鎖長の長いPEG(n=17)と無機コアの間に十分に長いアルキルスペーサーを導入すると、短いPEG鎖を直結させた場合とほぼ同じスペクトル挙動が観察された。無機コアとの空間的距離を物理的に引き離すことで、PEG部位の摂動効果が弱まったためと解釈される。続いて、アミド部位を無機コア近傍に持ちアルキル鎖をスペーサーにはさんだPEG修飾Cd10S4(SR)12型クラスター(R = S(CH2)2CONH(CH2)8(CH2CH2O)~7CH3)をデザインし、水中で各種中性有機ゲストに対する応答性を検討した。その結果、内分泌攪乱の可能性が指摘されている親油性フェノール類に対して選択的なturn-on型の発光応答を示すことを見出している。水中に微量に溶存した親油性フェノールが疎水性相互作用によってアルキル鎖が提供する疎水場に効率的に抽出され、さらにアミドとフェノール部位との水素結合によって無機コア近傍に捕捉されることで発光が増大したものと考えられる。比較的親水性のフェノール類や親油性アルコール・カルボン酸に対して発光応答は観られなかったことから、親油性フェノールとの特異的相互作用による表面有機部位の固定化が運動性の低下をもたらし、結果として励起エネルギーの無幅射失活の抑制を引き起こしたものと結論した。さらに、親油性フェノールを過剰に添加することで二段階の発光応答を示すことが見出し、その機構についても検討を加えた。以上のように、本学位論文では一連のPEG修飾半導体性クラスターを合成し、PEGの鎖長が及ぼす微細な極性変化が半導体性クラスターの無機コア由来の電子的な状態に影響を与え、光学的性質が変化することを明らかにするとともに、適切なゲスト捕捉サイトを設置することで親油性フェノールに対する選択的な発光応答を実現した。本研究では、半導体性クラスターの化学センサーとしての有用性を示すとともに、従来相互作用能に乏しいと考えられてきたPEGの修飾部位としての可能性の基盤を明示することに成功した。
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Description URI: https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 乙第6985号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 環境科学
Examination Committee Members: (主査) 教授 小西 克明, 教授 松田 冬彦, 教授 八木 一三, 准教授 七分 勇勝
Degree Affiliation: 環境科学院
Type: theses (doctoral - abstract of entire text)
URI: http://hdl.handle.net/2115/62117
Appears in Collections:学位論文 (Theses) > 博士 (環境科学)
論文博士 (Doctorate by way of Dissertation) > 環境科学院(Graduate School of Environmental Science)

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