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Evaluation and characterization of leaf litter decomposition patterns in ecological succession

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.r6999
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Title: Evaluation and characterization of leaf litter decomposition patterns in ecological succession
Other Titles: 生態遷移におけるリター分解パターンの評価と特徴
Authors: 大瀧, みちる Browse this author
Issue Date: 26-Sep-2016
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 生態遷移は、地上部環境と地下部環境の相互作用の変化により進行する。リター分解は、その地上部と地下部をつなぐ重要な鍵である。即ち、地上部の植物群集によってもたらされたリターの分解は土壌形成の原動力となり、土壌養分の蓄積が地上部植生に還元され生態遷移が進行する。遷移の進行にともない地上部の植物群集が多様化するにつれ、生産されるリター組成も多様化するが、リター組成の変化とリター分解過程の変化の関係には議論の余地がある。さらに、遷移系列に沿ったリター分解過程の変化に関する研究は少なく、リター分解と遷移の関係には未詳の点が多い。そこで、本研究では北海道における裸地から極相林までいくつかの遷移段階にある植生について、リター分解過程を植生と環境の変化と共に調査した。同時に、リター分解特性を把握するために、同位体元素分析を用い、リター中の炭素量(C)・窒素量(N)と各安定同位体比を測定しリター分解過程におけるリター特性の変化を調べた。発達した生態系では、リターの生物的分解は、主に菌類および細菌類によってなされる。そこで、各生物群が特異的に生産するリン脂質脂肪酸(PLFA)を分析し、主な分解者とその生体量の時間的変化を特定した。リター分解測定に広範に用いられているリターバッグ法は、撹乱地における測定に不向きであったため、リターバッグ法によらないリター分解量の測定方法を考案した。さらに、その方法を用いて火山遷移上でのリター分解特性を調べた。遷移しつつある森林におけるリター分解特性を明らかとするために、シラカンバ林およびミズナラ林において調査を行った。植生調査から、シラカンバ林からミズナラ林に移行しつつあることが示された。これらの2森林において、リターの混合効果と拠点効果を検証するために、シラカンバ、ミズナラおよび両者を混合したリターの3種類を用意し、それらの分解特性を3年間にわたり測定した(第1章)。リター分解は、リターバッグ法によって測定し、あわせて、各森林の夏期の関空度・林床光量・土壌水分量・温度と、リターの種組成・堆積量を調査した。林床におけるリター組成や光量・温度が2つの森林では異なるにも関わらず、リターは最初の1年間で大部分は菌類により分解され、リター中の炭素減少と相対的な窒素増加が起こることが明らかとなった。一方、細菌類は、初期リターにはほとんど見られないが、3年の間に徐々に増加した。PLFA組成をもとにしたE準対応分析は、リター分解量は、細菌量よりも菌類量に規定され、また、リター種は細菌類に生産されたPLFA組成と相関があり細菌組成はリターの質に規定されていることが示唆された。混合リターの分解速度は、単一種リターと異なるが、その応答は森林により異なった。即ち、混合リターの分解は、シラカンバ林では減速したが、ミズナラ林では減速が見られなかった。これらのことから、リターの混合効果は、遷移段階により異なり、また、拠点効果は明瞭ではないことが明らかとなった。リターバッグ法によるリター分解測定は、撹乱地などにおいては、リターバッグの消失や動物による持ち去りなどによる継続調査の困難性、細粒混入などによる異常値の発生などの問題点が指摘されている。そこで、火山遷移上でのリター分解を測定するために、リターバッグを用いないリター分解率の推定式を関発した。これまでも、リター分解率とC/N比やN含量には高い相関があることが知られていたが、本研究では、複数の測定変量をもとにした重回帰分析によるリター分解量推定を試みた(第2章)。調査は、環境の大きく異なる湿原と森林に、リターバッグを敷設し定期的に採取し、リターの重量減少率とリター含有炭素量・窒素量と安定同位体比を分析した。リター重量減少率は、C/N比と相関が高かったが、さらにC・Nとそれらの安定同位体比を加えたモデルによりリター分解率の推定精度が大きく向上した。湿原においては、生息地やリター種を変量に加えると予測精度は、さらに高くなった。したがって、植生やリター種の組成が大きく異なる生態系間の比較研究においては、これらの変量を考慮することで、リター分解推定が可能であることが示された。本知見を活用し、北海道南西部に位置する有珠山において3つの噴火跡地において、クロノシークエンス法によりリター分解を測定した(第3章)。1910年噴火跡にはドロノキ林、1977-78年噴火跡にはオオイタドリ草地、2000年噴火跡には裸地が発達しており、裸地、草地、森林という遷移系列に沿ったリター分解特性の変化が観察できる。そこで、各噴火跡地から前年に落葉したオオイタドリとドロノキのリターを採取し、それらのC、N含有量とPLFAによる微生物量の解析を行い、あわせて土壌層発達度を測定した。その結果、遷移が進行した植生ほどリター中のC/N比は低く、土壌層は厚くなることが明らかとなった。特に、森林において腐植層の発達は著しかった。リター付着微生物量は遷移の進行に伴い増加していたが、いずれの遷移段階においても、リター種を問わずにリターに付着する菌類量は細菌量よりも多かった。以上のことから、冷温帯において落葉広葉樹が極相を形成する地域では、遷移初期から極相に至るまで、菌類がリター分解の主体をなすこと、遷移の進行にともない菌類量は増加するが細菌類量には大きな変化が見られないが種組成が変化していること、が明らかになった。さらに、遷移に伴う植生やリターの発達などの地上部で見られる現象よりも、地下部の環境変化がリター分解に強く関与していることが示唆された。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 乙第6999号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 環境科学
Examination Committee Members: (主査) 教授 露崎 史朗, 教授 大原 雅, 特任教授 田中 俊逸, 准教授 根岸 淳二郎, 准教授 高田 泰弘 (大学院理学研究院)
Degree Affiliation: 環境科学院
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/63806
Appears in Collections:論文博士 (Doctorate by way of Dissertation) > 環境科学院(Graduate School of Environmental Science)
学位論文 (Theses) > 博士 (環境科学)

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