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複素振幅制御を用いた仮想位相共役技術による光情報処理に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k13082
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Title: 複素振幅制御を用いた仮想位相共役技術による光情報処理に関する研究
Other Titles: Study on Optical Information Processing by Virtual Phase Conjugation Technique using Complex Amplitude Control
Authors: 後藤, 優太 Browse this author
Issue Date: 22-Mar-2018
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 散乱物体を通過し位相歪みを受けた光波の位相共役波を再度同じ散乱物体に通過させると,その位相歪みが打ち消される.このような位相共役光の動的な位相補正効果は光ファイバ中を伝搬する画像の画質回復,生体計測,適応光学,レーザ共振器など様々な分野に応用されてきた.通常,位相共役光はLiNbO3に代表される非線形光学媒質中において,縮退4光波混合を行うことで発生させる.しかし,縮退4光波混合は複数の光波を用いることによる高いアライメント精度の要求,低い生成効率,及び低い忠実度により光学系の自由度が大幅に制限されてしまう.対して,デジタルホログラフィによって位相歪みを受けた光波の位相分布をコンピュータに記録し,その反転した分布を持つ光波を空間光変調器によって再現することで位相共役光を生成するデジタル位相共役技術が提案されている.特に,生体イメージングへの応用に向けて,デジタル位相共役技術を散乱体中でのフォーカススポットの生成に応用する研究が盛んに行われている.さらに,デジタルホログラフィを用いて記録された位相歪みを持つ光波に対して回折伝搬計算行うことで,計算機上においてその位相共役波の挙動を再現した結果が報告されている.このような仮想的な光学系では大気揺らぎやアライメント誤差の影響を受けず高い精度を保つことができる.しかし,これらは実際的なアプリケーションに応用された例は現状では報告されていない.もし,仮想的な光学系と物理的な光学系を組み合わせた新しい位相共役光学が完成すると,従来と比べ高安定・高精度・小型,ひいては従来より格段に自由度の高い光情報処理システムを創出できる可能性がある.そこで本研究では,高安定・高精度・小型かつ自由度の高い新たな光情報処理の創出を目的として,仮想位相共役技術を用いた幾つかの光情報処理システムを提案する.初めに,仮想位相共役技術を実現する要素技術の一つとして,反復計測による参照光不要型ホログラフィックダイバーシティ干渉法を提案・実証する.本手法は位相型空間光変調器を用いて計測された位相画像を内部参照光にフィードバックすることで,外部参照光を用いることなく高精度に複素振幅分布を計測することが可能となる.二つ目に,仮想位相共役技術の基礎特性の一つとして,光学ノイズ除去効果を検討する.この特性はプローブ光の空間位相を事前変調した後に任意の物理的な光学処理を行い,その後取得された光波に対して位相共役伝搬を介して事後復調を施すことで得られ,ノイズに埋もれた信号のみを抽出する.この事前変調と事後復調は全て計算機上で解析的に行われるため,付加的な光学系を用いることなく種々の光学ノイズを除去することができる.最後に,仮想位相共役技術による光情報処理システムとして,以下に示す3つの具体的な応用を検討する.まず,スキャニング不要な深さ計測を可能とする仮想位相共役技術及び仮想4f光学系を用いたデジタル共焦点顕微鏡を提案する.本手法は計算機上の数値ビーム伝搬による仮想4f光学系の位相共役伝搬を用いたデジタル共焦点顕微鏡を提案する.この仮想4f光学系をデフォーカスさせながら位相共役光の逆伝搬過程を反復的に計算することで,スキャニングをすることなく一括計測のみで深さ方向の情報が得られる.よって,機械的な駆動部を廃したデジタル共焦点顕微鏡を実現することができる.次に,スキャニングなしに完全な3次元断層像の取得を実現する仮想位相共役技術を用いた光断層イメージング技術を提案する.本手法は仮想位相共役技術による光学ノイズ除去特性を効果的に用いることで計測物体の特定層の情報を抽出する.このとき,自由空間伝搬計算を組み込むことで,スキャニングなしに完全な3次元断層像の取得が可能となる.最後に,高記録密度ホログラフィックメモリの実現に向けて,仮想位相共役技術を用いたデジタル画像の多重分離を提案する.本手法は予め複数の信号光をビームスプリッタで合波しておき,それを記録媒質に記録する.そして,仮想位相共役技術による光学ノイズ除去特性を効果的に用いることで多重された画像データから特定のデータのみを抽出することが可能となる.よって,従来のホログラフィックメモリにおける多重化方式とは異なり,一度の露光で複数の画像データを記録することで,媒質ダイナミックレンジの消費を抑制されて記録密度が向上する.以下に各章の要旨を示す.第1章では,本研究の背景及び目的・意義について述べた.第2章では,まず,仮想位相共役を実現する要素技術である光複素振幅制御技術の概要について述べた.また,従来の光学的な位相共役光の生成方法及びデジタル位相共役について述べた.第3章では,仮想位相共役を実現する要素技術の一つとして,反復計測による参照光不要型ホログラフィックダイバーシティ干渉法を提案し,その基本動作や特長を述べた.また,実験により従来の参照光不要型ホログラフィックダイバーシティ干渉法と比べ本手法が高精度な複素振幅分布計測が可能であることを示した.さらに,位相画像のフィードバック回数と内部参照光の波面精度が向上度合いの関係性を明らかにした.第4章では,仮想位相共役技術基礎特性の一つとして,光学ノイズ除去効果を検討し,その基本概念や特長を説明した.また,レンズで構成される結像系が正しく結像されている状態を所望の信号成分,結像系をあえて正しく結像させなかった状態を不要なノイズ成分とした基礎実験を行い,本ノイズ除去手法を実行した場合に信号成分だけが精度よく取り出せることを明らかにした.第5章では,仮想4f光学系の位相共役伝搬を用いたデジタル共焦点顕微鏡を提案し,その基本動作や特長を説明した.また,実験によってカバーガラスの深さ方向計測を行い,本手法はスキャニングすることなく深さ方向の計測が可能であることを原理的に明らかにした.さらに,本手法における仮想的なピンホールの径と深さ方向の分解能を明らかにした.第6章では,仮想位相共役技術を用いた光断層イメージング技術を提案し,その基本動作や特長を述べた.カバーガラスおよびカエル血球が封入されたプレパラート試料の計測実験を行い,本手法が機械的なスキャニングを実行することなく完全な3次元断層像の取得が可能であることを示した.加えて,本手法の空間分解能および計測速度について考察した.第7章では,仮想位相共役技術を用いたデジタル画像の多重分離手法を提案し,その基本動作や特長を述べた.そして,数値解析により従来のホログラフィックメモリの多重方式と比べ媒質ダイナミックレンジの消費を低減できることを示した.また,2枚のデジタル画像を多重した実験を行い本手法の動作を実証した.加えて,媒質厚さ方向に多重記録する多層ホログラフィックメモリに本多重分離手法を適応した系も検討し,その動作を数値解析によって確認した.第8章では,本論文の総括と今後の課題について述べた.
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第13082号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 情報科学
Examination Committee Members: (主査) 教授 富田 章久, 教授 末岡 和久, 准教授 池辺 将之
Degree Affiliation: 情報科学研究科(情報エレクトロニクス専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/70523
Appears in Collections:学位論文 (Theses) > 博士 (情報科学)
課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 情報科学院(Graduate School of Information Science and Technology)

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OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

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