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Singing experience-dependent gene regulation for the critical period of vocal learning

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k13387
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Title: Singing experience-dependent gene regulation for the critical period of vocal learning
Other Titles: 自発的な発声練習が制御するソングバード学習臨界期に関する研究
Authors: 早瀬, 晋 Browse this author
Issue Date: 25-Dec-2018
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 本研究の目的は発声学習臨界期の終了をもたらす脳内分子基盤の理解である。脳内神経回路における臨界期は、生後未発達な脳に正常な機能を持たせ、維持するために重要である。これまで臨界期に関する研究は視覚系で主に進められ、その感覚経験依存性が明らかになってきた。しかし一般に感覚系の臨界期よりも後に来る運動系(言語の発音・スポーツ技能・楽器の演奏等)の学習臨界期が脳のどこで、何が引き金となり、どういった分子メカニズムにより制御されるのかわかっていない。そこで本研究では感覚運動学習に明確な臨界期をもち、なおかつ分子生物学的な研究が可能なソングバードを対象とし、運動系の臨界期における経験依存性および脳内分子基盤を調べた。第一章において、キンカチョウの脳内の「どこ」で学習臨界期が制御されているのかを検討した。まず行動学的にキンカチョウの発声パターンが「どの時期・時間帯」に発達するのかを調べ、臨界期中、それも1日の囀り始め3時間に歌が最も発達することを示した。次に神経可塑性に重要な遺伝子Arcをマーカーとし、歌が発達する発達時期・時間帯のみ神経可塑性が活発な脳部位を探索した。結果、歌に特化した脳内歌神経核の中でも、特にRAの興奮性投射ニューロンにおいて、Arcの発声行動に対する発現誘導率と歌の可塑性に相関が観察された。第二章においては、何が引き金となり臨界期が終了するのかを調べた。幼鳥の発声練習行動を阻害することで、臨界期が単に加齢により制御されるのではなく、日々の発声経験の積み重ねにより終了することを示した。この発声阻害個体を用い、学習能力の調節に重要な脳内遺伝子発現調節を、単なる加齢による変化から切り離すことが可能となった。私は第一章で見つけた脳内神経核RAに着目し、ゲノムワイドな遺伝子発現解析により経験依存的に制御される遺伝子群を調べた。その結果、臨界期を通じて発現変動する1811遺伝子のうちわずか119個の遺伝子だけが、経験依存的に発現調節されていた。逆に、これまで学習臨界期に関わると考えられてきた幼鳥から成鳥にかけての数千の遺伝子発現調節のうち殆どは単に加齢による変化であり、学習臨界期調節とは無関係であることが示唆された。キンカチョウで見つかった候補遺伝子群と学習臨界期との関係を、臨界期を毎年繰り返すカナリアを用いて確かめた結果、予想通り、カナリアでは歌に可塑性がある時期特異的に、これら遺伝子がRAにおいて再誘導されていた。以上から、脳内神経核RAにおける活動依存的な遺伝子の発現調節により学習臨界期が制御されていることが強く示唆された。第三章では、キンカチョウ幼鳥の発声行動練習量および二次性徴発達の個体差に着目し、それらの相関を調べた。その結果、キンカチョウ幼鳥の発声練習経験が、二次性徴の1つ、オレンジ色の頬への換羽にも影響を与えている可能性を示した。以上の研究により、発声練習行動という自発的な行動が、発声パターンの発達のみならず、脳内特定領域の遺伝子発現変動やそれに伴う発声学習の臨界期終了、そして二次性徴の発達に極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第13387号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 生命科学
Examination Committee Members: (主査) 准教授 和多 和宏, 教授 松島 俊也, 教授 小川 宏人
Degree Affiliation: 生命科学院(生命科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/76368
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 生命科学院(Graduate School of Life Science)
学位論文 (Theses) > 博士 (生命科学)

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