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高速スイッチング電力変換器が発生する電磁ノイズの抑制手法に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k14140
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Title: 高速スイッチング電力変換器が発生する電磁ノイズの抑制手法に関する研究
Other Titles: Study on Suppression Technique of Electromagnetic Noise Produced by High-Speed-Switching Power Converters
Authors: 髙橋, 翔太郎 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-2020
Publisher: Hokkaido University
Abstract: SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いた次世代パワーデバイスの実用化により,電力変換器の高速かつ高周波駆動化が進んでいる。この傾向は,電力変換器の高効率化・小型化という観点からは望ましいが,電力変換器のスイッチングに伴う電磁ノイズの増加を招く。また,製品の小型化に伴い,電力変換器と情報通信機器などの弱電機器の配置が近接する。これらの傾向により,電力変換器が生じる電磁ノイズに起因する電磁障害(EMI; Electromagnetic interference)の深刻化が懸念されている。従来,電力変換器の生じる電磁ノイズについての研究は,主に150 kHz から30 MHz で規制規格が設けられている伝導ノイズを対象として盛んに行われてきた。しかし,次世代パワーデバイスの高速スイッチングに起因する電磁ノイズは,30 MHz 以上で規制規格が設けられる放射ノイズの周波数帯域に達する。その一方で,先行する研究において,放射ノイズを対象としている研究は非常に少ない。従って,電力変換器が生じる放射ノイズの発生メカニズムの解明やそれに基づいた効果的な高周波電磁ノイズ抑制手法の早期の確立が求められる。本論文では,広帯域に渡り大きな減衰量を有するEMI フィルタの設計法の確立,高周波領域でのEMI フィルタの減衰量の向上,放射ノイズの発生メカニズムの解明とそれに基づいた効果的な抑制対策の確立を目的とし,以下の検討を行った。はじめに本論文では,EMI フィルタを構成する受動素子のうち,最も複雑な周波数特性を有すると考えられるインダクタに着目した。インダクタは,広く知られているように,浮遊容量に起因する自己共振によって,高周波領域におけるインピーダンスが大きく低下する。従って,高周波領域におけるインダクタのインピーダンスを評価するためには,設計段階における浮遊容量の推定が重要となる。しかしこれまでに,コモンモードインダクタ(CMI)を対象とした実用的な浮遊容量推定法はほとんど検討されていない。本稿では,先行研究において提案されている空芯ソレノイドインダクタを対象とした浮遊容量推定法を,トロイダルコアを用いたCMI に適用可能な形式に改良した。実際にCMI を製作し,インピーダンスアナライザを用いたインピーダンス測定を通じ,本手法が簡易な計算であるにも関わらず,実用上問題ない精度でCMI の浮遊容量を設計段階で推定できることを実証した。また従来,磁性材料の複素透磁率の周波数特性に起因するインダクタのインピーダンス減少は,浮遊容量に起因する自己共振に対して,ほとんど注目されていなかった。本論文では,フィルタインダクタの磁性コア材料として広く採用されるMnZn フェライトの複素透磁率の周波数特性が,選定したコアの寸法に依存することを実験的に指摘し,それがインダクタインピーダンスに与える影響を明らかにする。また,トロイダル形状のコアを磁路に水平な方向で分割し,積層することで,MnZn フェライトの複素透磁率の寸法依存性を緩和し,フィルタインダクタのインピーダンスを高周波領域で増加できることを実証した。加えて,本論文ではジャイレータを用いることで,CMI の幾何学的形状を反映したCMI の回路シミュレーションモデルを提案する。提案モデルは,1 kHz から100 MHz の広帯域に渡ってCMI のインピーダンスを再現できる。また,従来のビヘイビアモデルとは異なり,インダクタの各部に生じる浮遊成分に対する直感的な理解が容易である特徴を有している。提案モデルに基づき,LTspice などの汎用シミュレータを用いて,広帯域に渡り大きなインピーダンスを有するCMI のフロントローディング設計を実現できる。これまでに,電力変換器が生じる放射ノイズについての検討はほとんど行われていない。そこで本論文では,一次コモンモード(PCM)と二次コモンモード(SCM)という2 つの高周波ノイズ電流伝搬経路に着目し,電力ケーブルを伝搬するSCM 電流が主要な放射ノイズ源となることを実証した。また,SCM 電圧源が,PCM 電流と電源系統側のインピーダンスの不平衡によって生じることを明らかにした。この結果は,従来多くの試行錯誤を要した放射ノイズ対策を容易にすることが期待される。さらに,本論文では,アクティブフィードバック回路を用いた受動フィルタの高周波領域での減衰性能向上について検討している。従来検討されたアクティブ方式のノイズフィルタは,低周波領域の電磁ノイズ低減を目的としており,使用する能動素子の耐圧がボトルネックとなっていた。本論文では,アクティブフィードバック回路がMHz 帯域のノイズのみを抑制するように設計した点で他の方式に対して独創的である。また,使用した能動回路の出力飽和を避けることで,実際の電力変換器に実装可能であることを,実験データを基に示した。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第14140号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 工学
Examination Committee Members: (主査) 教授 小笠原 悟司, 教授 北 裕幸, 准教授 竹本 真紹
Degree Affiliation: 情報科学研究科(システム情報科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/78382
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 情報科学院(Graduate School of Information Science and Technology)
学位論文 (Theses) > 博士 (工学)

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