HUSCAP logo Hokkaido Univ. logo

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers >
Theses >
博士 (歯学) >

次亜塩素酸ナトリウムによる象牙質表面の長時間処理が4-META/MMA-TBBレジンの接着に及ぼす影響

Files in This Item:
Ami_Yachida.pdf821.23 kBPDFView/Open
Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k13869
Related Items in HUSCAP:

Title: 次亜塩素酸ナトリウムによる象牙質表面の長時間処理が4-META/MMA-TBBレジンの接着に及ぼす影響
Authors: 谷内田, 愛巳 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-2020
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 歯内療法では,根管の無菌化が必要であり,そのためには薬剤を用いた化学的清掃が推奨されている。臨床では次亜塩素酸ナトリウムが広く用いられているが,長時間の使用により象牙質面が浸食され,レジンの接着に影響をおよぼす可能性がある。そこで本研究では, 次亜塩素酸ナトリウムの長時間処理による象牙質表面の構造の変化と,4-META/MMA-TBB レジンの微小引っ張り強さにおよぼす影響を検討した。実験1では,牛歯から象牙質ブロックを作製し,象牙質表面を10%次亜塩素酸ナトリウム(NC)で0,1,3,10,15,20,30,60 分処理した。0 分処理以外は.芳香族スルフィン酸塩(AC)にて10 秒間処理後水洗した。その後,すべての象牙質面を10%クエン酸3%塩化第二鉄溶液(G)で10 秒処理,5 秒間水洗してエアードライし,4-META/MMA-TBBレジン(SB)を塗布後,即時重合レジンブロックを接着した。37℃湿度100%で24 時間保管後,微小引っ張り試験を行った。統計処理は,Kruskal-Wallis test およびDunnet 法による多重比較検定を行った。また,微小引っ張り試験後の破断面をSEM 観察およびEDS分析を行った。その結果,NC 処理時間が15 分を超えると微小引っ張り強さは有意な低下が認められ(p<0.05), 処理時間が20~60 分ではいずれも著しい低下を示した(p<0.01)。また,微小引っ張り試験後の破断面は,NC0 分~15 分処理ではレジンの凝集破壊や混合破壊であったのに対し,処理時間20 分を超えると界面破壊のみとなった。SEM 観察では,NC 処理した象牙質ブロックの管間象牙質表層は,数μm の無構造な層で覆われており,その表面性状はNC 処理時間が長くなるにつれて粗造になった。EDS 分析の結果,NC0 分とNC3 分処理では表層からCa が検出され,象牙質深層部とほぼ同様のスペクトルを示した。しかし処理時間が20 分を超えると,象牙質表層はC とO の強度が強くなりCa は検出されなかったことから,管間象牙質表面の無構造な層は有機成分で構成されていることが示された。実験2 では実験1 と同様に象牙質ブロックを作製し,NC20 分処理後,AC 処理10 秒,1,5 分を行い,G 処理10 秒,水洗乾燥し,SB 塗布後レジンブロックを接着して,微小引っ張り試験を行った。その結果,AC 処理時間を延長しても微小引張り強さに影響はなかったことから,NC 処理時間が長くなることで微小引っ張り強さが低下する原因として,NC の残存による重合阻害の可能性は低いと考えられた。実験3 では,象牙質ブロックをNC 0,20,60 分処理後に,G 処理10 秒を行って水洗乾燥,またはメタクリル酸エステル(TP)20 秒処理後に乾燥して,SB を塗布,レジンブロックを接着し,微小引っ張り試験を行い,破断面のSEM 観察を行った。また,同様の処理を行った象牙質面を割断し, SEM 観察およびEDS 分析を行った。その結果,NC20 分処理後にTP 処理を行うと微小引張り強さはNC0 分と有意差(p>0.05)がない値となった。また,NC 処理TP 処理後のSEM 観察では,実験1と同様に表層に無構造な層が観察され,EDS 分析では,NC60 分AC10 秒G10 秒処理とNC60 分AC10 秒TP20 秒処理はほぼ同様の結果で,表層はC やO の強度が高くCa はほとんどみられなかった。以上の結果から,10%次亜塩素酸ナトリウムによる象牙質処理時間が長くなると,溶解された有機質が象牙質表面に付着し,G 処理では除去できずレジンの浸透阻害を起こして接着強さが低下するが,TP 処理を行うことでレジンが浸透して接着強さが得られる可能性が示唆された。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第13869号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 歯学
Examination Committee Members: (主査) 教授 菅谷 勉, 教授 佐野 英彦, 教授 吉田 靖弘
Degree Affiliation: 歯学研究科(口腔医学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/80725
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 歯学院(Graduate School of Dental Medicine)
学位論文 (Theses) > 博士 (歯学)

Export metadata:

OAI-PMH ( junii2 , jpcoar_1.0 )

MathJax is now OFF:


 

 - Hokkaido University