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Development of Novel Orthodontic Adhesive for Protecting Teeth at Debonding [an abstract of entire text]

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Please use this identifier to cite or link to this item:http://hdl.handle.net/2115/81187
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Title: Development of Novel Orthodontic Adhesive for Protecting Teeth at Debonding [an abstract of entire text]
Other Titles: ブラケット撤去時に歯を保護する新規矯正歯科用接着材の開発 [全文の要約]
Authors: 松本, 愛子 Browse this author
Issue Date: 25-Mar-2021
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 成人の矯正治療において、マルチブラケット装置による矯正治療は最も一般的な治療方法である。ブラケットは矯正用接着材によって歯面と強固に接着しており、ブラケット撤去時に伴う歯面への物理的負荷による疼痛やクラック、また、ブラケット撤去後に歯面に残存する接着材の過度な切削除去による歯質の損傷などが問題となっている。そこで、装置撤去時の歯質への負担を少なくするため、①接着材を可視化することで接着材の過剰な切削を予防する、②装置撤去に要する力を軽減することで歯質の損傷を予防する、という2つの方法を考えるに至った。①接着材を可視化することで接着材の過剰な切削を予防する方法として、蛍光特性をもつEu錯体を矯正歯科用接着材に添加し、その蛍光特性を評価した。Euは代表的なランタノイドで、励起すると鮮やかな赤色の蛍光発光を示す。また、ユーロピウム錯体は限りなく可視光に近い近紫外光によって励起、蛍光発光するため、人体への影響が少ない。Eu錯体として、トリスジベンゾイルメタンフェナントロリンユーロピウムEu(DBM)3Phenを用いた。Eu(DBM)3Phen錯体を4-メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物/メチルメタクリレート-トリブチルボラン(4META/MMA-TBB)系レジンおよびポリメチルメタクリレート/メチルメタクリレート-過酸化ベンゾイル(PMMA/MMA-BPO)/アミン系レジンに添加し、重合体(外形寸法:20×20×1mm;Eu錯体添加率:0、0.5、1.0、1.5、2.0wt%)を作成した。自然光下・近紫外光照射下での試料外観の比較およびフォトルミネッセンス法にて蛍光測定を行った。Eu錯体含有4META/MMA-TBB系レジンでは、添加率によらず鮮黄色を呈し、近紫外光下では、蛍光発光は視認できなかった。蛍光測定においても吸光スペクトルでは、290?350nmに励起極大波長を認めたが、蛍光スペクトルでは、Eu錯体添加率に関わらず、Eu3+による蛍光が極めて低かった。一方、Eu錯体含有PMMA/MMA-BPO/アミン系レジンでは、自然光下ではEu錯体添加率に伴い薄褐色化がわずかに増し、近紫外光照射下では、Eu錯体を添加したものはいずれも鮮やかな赤色の発光を認めた。蛍光測定では、吸光スペクトルでは395nmに励起極大波長、612nmに蛍光極大波長が強く現れた。また、蛍光強度は、錯体添加率に比例して増加した。次に、Eu錯体含有PMMA/MMA-BPO/アミン系レジンでは蛍光発光を認めたことから、Eu錯体含有PMMA/MMA-BPO/アミン系レジンの試料を用いて、ヘーズコンピュータによる全光線透過率測定およびデジタル顕微鏡を用いたCIEL*a*b*表色系の測定行った。全光線透過率およびヘーズは、Eu錯体添加率によらず同等に高い透明度を示す値であった。L*a*b*の値は、自然光下ではそれぞれ102,0,1付近の狭い範囲に収束したが、近紫外光照射下では63-81,7-43,-49-56と大きな変動が認められた。近紫外光下では、錯体添加率0.5wt%、1.0wt%の試料で青みがかった赤色を示し、錯体添加率1.5wt%、2.0wt%の試料で鮮やかな橙色?赤色を示した。また、Eu(DBM)3Phen添加4META/MMATBB系レジン重合体の?発光の原因を究明するため、Eu(DBM)3Phenの溶解性の比較を行った。MMAとBPOを混合したもの、MMAと4METAを混合したもの、およびn-TBB単独にEu(DBM)3Phenを溶解させ、自然光下、近紫外光下での外観を比較した。MMAとBPOを混合したものおよびMMAと4METAを混合したものにEu(DBM)3Phenを添加すると、自然光下で薄褐色を示し、近紫外光下では赤色の蛍光発光を認めた。しかし、n-TBB単独にEu(DBM)3Phenを添加すると、自然光下で鮮黄色を呈し、近紫外光下では、蛍光発光は視認できなかった。このことから、?発光の原因はTBBであることが推測される。今回の実験から、BPO/アミンによるレドックス開始剤系で得られるEu(DBM)3Phen添加PMMAは、近紫外光下で鮮やかな赤色の蛍光を発する無色透明なボンディング材の実現に有効であることを明らかにできた。②装置撤去に要する力を軽減することで歯質の損傷を予防する方法として、加熱により物性が変化し、急激に軟化する温度応答性ポリマーに着目した。本研究では、温度応答性ポリマーを矯正歯科用接着材に添加し、ブラケット撤去時に加熱することで軟化して、機械的負荷の軽減が可能な新たな矯正歯科用接着材の開発に向け、その物性を評価した。まずは温度応答性ポリマーであるステアリルアクリレート/アクリル酸共重合ゲル(poly(SA-co-AA))およびメチルアクリレート/アクリル酸共重合ゲル(poly(MA-coAA))を合成した。モノマーとしてステアリルアクリレート(SA)もしくはメチルアクリレート(MA)とアクリル酸(AA)を用いた。架橋剤としてメチレンビスアクリルアミドを添加した。ラジカル開始剤としてαーケトグルタル酸を添加した。上記をエタノールで溶解混合したものを、ガラス製の型に注入しアルゴン雰囲気下で紫外光を8時間照射し、poly(SA-co-AA)とpoly(MA-co-AA)を合成した。合成したゲルは純水に投入し、未反応の原料等を取り除いた。得られたのゲルを凍結乾燥し、粉砕機ビーズショッカーを用いて、粗粉砕した。粗粉砕したゲルを乳鉢でさらに粉砕し、粉末のゲルを得た。粉砕したpoly(SA-coAA)およびpoly(MA-co-AA)を、矯正歯科治療において多用される4META/MMA-TBB系レジンに添加し、重合体(直径10mm厚さ1mm;添加率:10wt%)を試験片として作成した。コントロールとして4META/MMA-TBB系レジン単独の重合体を作成した。計測は、動的粘弾性測定装置を用いて粘弾性試験を行った。コントロールでは温度が上昇するに従い貯蔵弾性率は緩やかに減少するが、45度で減少速度がわずかに速まった。poly(SA-co-AA)では、10~20℃の貯蔵弾性率はコントロールよりも高いが、温度が上昇するにつれて減少し、23度の時点でコントロールよりも貯蔵弾性率が下回った。その後も温度の上昇に従い貯蔵弾性率は減少するが、コントロールに比べ、減少する速度も速く、最終的な貯蔵弾性率も著しく低い結果となった。一方、poly(MA-co-AA)は、すべての温度で貯蔵弾性率が著しく低かった。歯髄は42度以上の温度により基質的変化を起こすが、42度以上の温度に30分間曝されても、その後体温に戻ることで歯髄細胞も回復する。今回の結果では、42度の時点で、4META/MMA-TBB系レジンのみと比較すると、貯蔵弾性率が2/3まで減少していることから、歯髄に影響を与えることなく十分に軟化が可能でありブラケット撤去時の疼痛やクラックを予防できる可能性があると考えられた。以上より、温度応答性ポリマーは矯正歯科用解体性接着材の開発に有用であることが示唆された。
Description: この博士論文全文の閲覧方法については、以下のサイトをご参照ください。
Description URI: https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第14525号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 歯学
Examination Committee Members: (主査) 教授 吉田 靖弘, 教授 佐藤 嘉晃, 教授 井上 哲
Degree Affiliation: 歯学院(口腔医学専攻)
Type: theses (doctoral - abstract of entire text)
URI: http://hdl.handle.net/2115/81187
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 歯学院(Graduate School of Dental Medicine)
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