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Study on tantalum oxide resistive memory operation using different nano-material compositions

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k14726
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Title: Study on tantalum oxide resistive memory operation using different nano-material compositions
Other Titles: 異なるナノ材料で構成したタンタル酸化物抵抗変化メモリの動作特性に関する研究
Authors: 李, 遠霖 Browse this author
Issue Date: 24-Sep-2021
Publisher: Hokkaido University
Abstract: 近年、人工ニューラルネットワーク(ANN)の応用はさまざまな分野において情報処理の効率を改善する可能性を示している。しかし、現在のコンピュータの性能を律速するトランジスタの微細化が限界に達し、ANN の性能向上が制限されている。さらに性能(汎用性)を上げるために、より多くのニューロン(perceptron)とシナプス(weight)を集積したデバイスの創出が必要になっているが、このときアナログ値を記憶できる超微細化可能な新型メモリ素子の開発が不可欠である。一つの重要な候補である抵抗変化メモリは、金属・絶縁体・金属のシンプルな構造を有し、作製が簡単で微細化に有利である。外部から正(set)、または負電圧(reset)を印加することで、素子に可逆的な導電率の変化が生じる。しかし、不揮発的な抵抗スイッチ動作のメカニズムには不明な点も多く、特性の評価に系統性が欠けている現状にある。そこで、本研究では、ANN に必要となる人工シナプスの特性の実現を目標とし、抵抗変化メモリの動作とデバイス構造との相関について詳細に検討した。まず、電気特性の視点から本研究の成果を述べる。先行研究では、二値または多値(multi-value/analog)の複雑な抵抗スイッチング特性を示す上に、材料や作製方法が異なるため、報告された電気特性の統一的・客観的比較が困難である。本研究では、比較的安定な材料として知られるTa 酸化物をスイッチング材料として選定し、多値・アナログ動作の実現することだけを目標とするのではなく、初期状態(デバイス作製直後の状態)の評価から始まり、続いてデバイスのスイッチ特性との関連も系統的に調べることとした。初期状態では、透過電子顕微鏡(TEM)および元素マッピング実験によって断面の状態の違いを調べ、電極の酸化作用についての知見を得た。その後のデバイスのスイッチング特性は作製条件によって大きく異なり、安定な多値・アナログ動作を実現するためには、電極構成を含めた作製条件の最適化が重要であることが分かった。これらの結果を踏まえて、生物シナプスのようなスパイクタイミング依存可塑性(STDP)特性を実現できた。上記の検討より、材料物性の視点が重要であると言える。これに関する本研究の成果を述べる。電圧印加による抵抗変化は導電フィラメントの形成と破断によるものと推測され、使う電極によって、絶縁膜中の酸素欠陥生成によるフィラメント (VCM)、あるいは、電極がイオン化して導入される金属の析出によるフィラメント(ECM)が報告されている。本研究では、二種類のモデルの違いを比較するために、VCMを誘起するscavenging金属(Ta, Ti, Al)、またはイオン化しやすいactive金属(Cu)を上部電極として使用した。さらに、Ta 酸化物絶縁体に含まれている初期酸素欠陥の濃度を制御した。この二段階に制御した作製条件が初期状態を決定し、電極界面付近の酸素濃度の勾配が変わる、あるいは金属イオン濃度の勾配が変化することで、その後のスイッチング特性に影響を与えることを明らかにした。次に各章の概要を述べる。第1章では抵抗変化メモリの歴史、ANNへの応用の経緯および近年の研究をレビューする。第2章では本研究の目的、意義および流れを述べる。第3章では本研究で使用した手法をまとめている。まずは全体として、デバイスの作製において、重要なプロセスおよび関連する装置について述べ、電気特性およびTEMの評価方法を紹介する。本研究の成果を三つの部分に分け、以下の三章で述べる。第4 章ではデバイスの初期状態に着目し、初期抵抗の測定、最初の抵抗スイッチであるforming 特性を評価すると共に、TEM 観察および元素マッピングによる評価を行った。デバイスの作製条件として、上部電極およびTa酸化膜の初期酸素欠陥濃度を変化させ、典型的なscavenging金属のTa、Ti、AlとTiN電極を選んで評価し、5桁以上の初期抵抗の違いを示した。これらの結果は、Ta酸化膜中の酸素欠陥分布が、電極や初期酸素欠陥濃度で大きく変わるために生じることを明らかにした。すなわち、電極のscavenging効果が大きく働いていることを示す。また、forming 特性に関しては、電極材料の化学的性質に依存した独特の特性を示すことが判明し、これまで言われている酸化物の形成されやすさなどで一義的に決まるわけではないことを示した。第5章ではリソグラフィーとドライエッチングにより微細化したデバイスで、初期特性、アナログ動作、およびその作製条件(初期酸素欠陥濃度、膜厚及び電極の種類)との関連について評価した。デバイス材料は前章と同じとし、典型的なECM電極としてCu電極を追加した。まず、Taを上部電極としたVCMとCuを上部電極としたECMの初期状態を比較した結果、Ta酸化膜の初期酸素欠陥濃度が、VCMのみならずECMの初期特性にも大きく影響することを見出した。また、アナログ動作に関しては、Ta上部電極のVCMデバイスでは作製条件への依存性が小さく、Cu上部電極のECMデバイスでは作製条件に固有性を示した。これは、Ta 電極においてはスイッチング時に主にscavenging 効果が作用することに対し、Cu電極では作製条件に依存した電気化学的な反応が作用すると考えられる。また、Ta、Cu、Ti、Al 電極を用いたデバイスにおいてそれぞれ違った多値動作特性を示した。これらの結果を基にANN への応用性を比較し、各電極の有利/不利な点を精査し、Ta/Ta2O5が一番適切な構造であるとの結論に至った。第6章では前章で得られた結果をベースにして多値・アナログ動作の改善を目標とする。そのための方策として極薄SiO2層を下部電極とTa2O5の間に挿入し、forming 時の電流制限、つまりスイッチングのパワーの最適化を試みた。結果として、set 時、reset 時の双方において緩やかな抵抗変化を得ることに成功し、安定なアナログ動作を実現できた。さらに、set側の電流制限(Icomp)およびreset側の電圧制限(-Vmax)を系統的に変化させることで、動作特性を制御できることを示した。すなわち、Icomp と-Vmax の二つのパラメータがフィラメント形成と破断の強弱をそれぞれ決め、set とreset に安定なアナログ抵抗変化ウィンドウを実現できる。これらを最適化することで、再現性の高いアナログ動作を実現でき、生物シナプスを模擬したSTDP特性を実現できることが分かった。また、各章において得られた知見に基づいて、動作時のfilamentの変化を討論する。第7章では、本研究の内容をまとめる。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第14726号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 工学
Examination Committee Members: (主査) 教授 植村 哲也, 教授 本久 順一, 高橋 庸夫 (北海道大学名誉教授), 准教授 有田 正志
Degree Affiliation: 情報科学研究科(情報エレクトロニクス専攻)
(Relation)haspart: Li, Y., Tsurumaki-Fukuchi, A., Arita, M.&Takahashi, Y. Initial electrical properties of tantalum oxide resistive memories influenced by oxygen defect concentrations. Japanese Journal of Applied Physics vol.60, SCCE03 (2021).
Li, Y.,Tsurumaki-Fukuchi, A., Arita, M., Morie, T. & Takahashi, Y. Initial states and analog switching behaviors of two major tantalum oxide resistive memories. Japanese Journal of Applied Physics Vol. 59, 044004 (2020).
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/83277
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 情報科学院(Graduate School of Information Science and Technology)
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