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モータ駆動システムのコモンモードノイズを抑制するスイッチング制御に関する研究

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Please use this identifier to cite or link to this item:https://doi.org/10.14943/doctoral.k14728
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Title: モータ駆動システムのコモンモードノイズを抑制するスイッチング制御に関する研究
Other Titles: Study of Switching Control to Suppress Common-mode Noise in Motor Drive Systems
Authors: 埴岡, 翔太 Browse this author
Issue Date: 24-Sep-2021
Publisher: Hokkaido University
Abstract: パワーエレクトロニクス技術の発展により,スイッチングインバータによってモータを駆動するモータ駆動システムは,優れた制御性やエネルギー変換効率を有し,家電,産業機器,自動車,航空機器といった様々な用途で広く普及している。さらなる高効率化,高出力密度化の観点から,SiC(Silicon Carbide)やGaN(Gallium Nitride)といった次世代パワーデバイスによるスイッチングの高周波化や高速化が推進されている。しかしながら,この傾向はスイッチングに伴う電磁ノイズを増加させるため,同じ電磁的環境にある他の機器への電磁障害(EMI: Electromagnetic Interference)が深刻化することが懸念されている。 電磁ノイズは,電源に高周波電流が漏洩する伝導ノイズと,電磁波として空間を伝搬する放射ノイズとに分類される。一般的に,伝導ノイズは受動フィルタで対策される。スイッチングの高周波化に伴って増大する伝導ノイズは,数MHz以下の低い周波数帯域から高レベルとなるため,対策のための受動フィルタが大型化し,電力変換器の大型化,重量増加,コスト増大が問題となる。本論文では,受動フィルタを追加せずに伝導ノイズを抑制する手法として,インバータのスイッチング制御によるノイズ抑制法を提案した。現在広く普及している1モータ駆動システム,2モータ駆動システムのそれぞれに対し,伝導ノイズを効果的に抑制可能なスイッチング制御方式を提案し,有用性を実機検証した。また,提案するスイッチング制御方式において,ノイズ抑制効果を低下させる主要因となるスイッチングタイミングのずれを補償する制御方式を提案し,二重三相モータ駆動システムに適用する場合の有効性を実機検証した。第1章,「序論」では,モータ駆動システムで生じるEMIの問題を言及した。また,フィルタサイズの小型化による電力変換器の高効率化,小型・高出力密度化といった高性能化と電磁ノイズ規制の満足とを両立するための,電力変換器のスイッチング制御によるノイズ抑制制御の必要性と,研究目的,本論文の概要について述べた。第2章「モータ駆動システムで生じる電磁ノイズと対策」では,一般的な1インバータ・1モータ駆動システムを対象に,電磁ノイズの発生原理を説明した。また,モータ駆動システムにおいてフィルタサイズを小型化するためには,数MHz以下のコモンモードノイズを抑制することが効果的であることを示した。さらに,本論文で提案するスイッチング制御によるノイズ抑制原理を述べた。第3章「1モータ駆動システムのノイズ抑制制御」では,1モータ駆動システムに適用可能なノイズ抑制制御の提案と有効性を実機検証した。三相のうち,二相間で端子電圧の立ち上がり,立ち下がりを同期することで,三相インバータ駆動時のコモンモード電圧を一相分に抑制する制御方式を提案した。また,三相モータを三相インバータで駆動する1 インバータ・1 モータ駆動システムを制御対象として,インバータ駆動時のコモンモード電圧の変動を一相分に抑制できることをシミュレーションおよび実機で検証した。さらに,ノイズフィルタのサイズへの影響が特に大きい数MHz以下の帯域にて,ノイズ抑制効果が得られることを実測で示し,モータ駆動システムのノイズ抑制法として有用であることを示した。第4章「2モータ駆動システムのノイズ抑制制御」では,2モータ駆動システムに適用可能なノイズ抑制制御の提案と有効性を実機検証した。2台のモータのそれぞれに電力を共有する独立した2台のインバータ同士で,端子電圧の立ち上がりと立ち下がりを同期させることで,電源に伝搬するコモンモードノイズを抑制する制御方式を提案した。また,2台のインバータの全ての相で端子電圧の立ち上がりと立ち下がりを同期するための条件式を明らかにした。提案方式により,2台のインバータに異なる電圧指令を与える場合においても,端子電圧の立ち上がり,立ち下がりを同期可能であることを実機検証した。また,2モータ駆動システムにおけるコモンモード電圧の変動を抑制可能であることを実機検証した。さらに,従来方式であるキャリア比較PWM(Pulse Width Modulation)に対して,提案方式によるノイズ抑制効果を実機評価し,提案方式の有用性を示した。第5章「同期補償制御によるノイズ抑制効果の改善」では,二重三相モータ駆動システムを対象とした,同期ずれの補償方式の提案と有効性を実機検証した。従来検討されているノイズ抑制制御では,異なる二相間の端子電圧の立ち上がりと立ち下がりのタイミングの同期ずれが,ノイズ抑制効果の悪化を招く問題があった。まず,ノイズ抑制制御適用時の端子電圧の立ち上がりと立ち下がりの同期ずれとノイズ抑制量の関係を理論式で示し,実機評価で理論式の妥当性を検証した。また,端子電圧を検出し,フィードバック制御によって同期ずれ時間を補償する方式を提案し,同期ずれの補償精度を実機検証した。さらに,提案する補償制御の適用有無でノイズ抑制効果を比較し,提案方式の有用性を実機検証した。第6章「結論」では,提案したインバータのスイッチング制御によるノイズ抑制技術に関して,得られた知見を整理した。また,提案技術が年々発展するパワーエレクトロニクス技術の進化とともに,電力変換器の高効率化,小型・高出力密度化といった高性能化と電磁ノイズ規制の満足とを両立して実現し,モータ駆動システムの発展に貢献できる,と結論付け,今後の課題と展望を述べた。
Conffering University: 北海道大学
Degree Report Number: 甲第14728号
Degree Level: 博士
Degree Discipline: 工学
Examination Committee Members: (主査) 教授 小笠原 悟司, 教授 北 裕幸, 教授 五十嵐 一
Degree Affiliation: 情報科学研究科(システム情報科学専攻)
Type: theses (doctoral)
URI: http://hdl.handle.net/2115/83297
Appears in Collections:課程博士 (Doctorate by way of Advanced Course) > 情報科学院(Graduate School of Information Science and Technology)
学位論文 (Theses) > 博士 (工学)

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