メディア・コミュニケーション研究 = Media and Communication Studies - 69

オランダにおける新聞成立と普及、その特性について

江口, 豊

Permalink :  http://hdl.handle.net/2115/61066

Abstract

1605年にストラスブールでヨーロッパ最初の印刷形態の新聞が刊行されて以降、ドイツ語圏には燎原の火の如く新聞が各地に普及していった。この動きは当然のことながら他の言語での新聞発行をも促すことを意味した。言語を共有する地域、言い換えれば神聖ローマ帝国の版図の中核地域であるドイツ語圏内であれば、大きな文化的障害は考えにくい。イギリスやフランスのように言語も政治体制もまったく別個の「異国」で国境という壁が厳然として存在する場合も、普及が容易とはならないことも推測できる。実際両国での新聞発行には若干の時間差が生じている。では言語そのものの近親性も高く、地理的にも陸続きで隣接し、さらには情報通信としての駅逓制度も接続され、政治体制上も公共コミュニケーションに対する許容度が高い印象をもたれているオランダの状況はどのようなものだったのだろうか。拙稿では、17世紀前半の早い段階で新聞発行が確認されている隣国オランダの状況を、先行研究に依拠しながらいくつかの点に絞って紹介する。また最古の現存新聞資料なども例示してみたい。


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