Permalink : http://hdl.handle.net/2115/83662

KEYWORDS : 拡張された外部報告;拡張外部報告;EER;非財務情報;保証業務

本稿は，2021年4月に国際監査・保証基準審議会（IAASB）から公表された，「拡張された外部報告に対する保証業務へのISAE3000（改訂）の適用に関する規範性のない指針」を検討することで，質的・将来指向的な性質を有する非財務情報の保証のあり方への示唆を得ることを目的としている。検討の結果，適合する規準の要件を十分に満たしているとは言い難い規準から作成される非財務情報が少なくない現在の状況において，当該指針で示された考え方で対応しようとすれば，多くの非財務情報が保証不可能なものと見なされるか，その有用性の低下に繋がる危険性のある作業を受けざるを得ないことが指摘される。また，このような事態を避ける一つの方法として，当該指針で想定されているような，質的・将来指向情報それ自体を保証するのではなく，当該情報が作成されるプロセスを保証することを指向し，この観点から統一的な規準を策定していくことが提案される。