子ども発達臨床研究 = The Annual Report of Research and Clinical Center for Child Development;第16号

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新人保育者の早期離職と職場実態に関する一考察 : 保育労働研究の視点から

市原, 純

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/84754
JaLCDOI : 10.14943/rcccd.16.21
KEYWORDS : 新人保育者;早期離職;一斉退職;幼稚園;認定子ども園

Abstract

新人保育者の早期離職について、研究上でどのようなアプローチを取るべきか。保育労働研究の成果を参照すると、早期離職は、保育政策で形成される保育労働市場の構造上の帰結として、過去から継続的に発生している可能性があった。そこで本稿では、ある新人保育者の早期離職事例を、職場実態に注目して分析を行った。すると本事例は、①「園長の保育運営のあり方」が基底要因となって、②「保育方針の不一致」と③「仕事量の多さ」が職場で発生して早期離職に至っており、以上の三要因も①子ども子育て支援新制度、②保育労働法制度という二つの制度的問題の影響によって生じていた。研究上でも、制度的問題の解決に向けたアプローチを取る必要がある。そして、新人保育者の内部に生じ得る、「保育の質」の向上を求めさせる「専門性」の核を集団的に育てて、「労働環境」の改善にまで社会的に開く過程を解明することが、今後の研究課題として見出された。

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