地域経済経営ネットワーク研究センター年報 = The Annals of Research Center for Economic and Business Networks;第11号

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社会起業家の事業構築プロセスと経験学習能力 : 「食べチョク」の事例

松尾, 睦

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/84843
KEYWORDS : 社会起業家;事業構築;経験;経験学習能力;食べチョク

Abstract

本研究は,オーガニック食材の直販サイト「食べチョク」,およびその運営会社であるビビッドガーデンの創業者,秋元里奈氏の事例を通して,社会起業家によるビジネス構築プロセスを検討することを目的としている。分析にあたっては,事業創造論および経験学習論をフレームとして用いた。事例分析の結果,以下の点が明らかになった。第1 に,起業家の育成環境における経験が,社会的な起業機会の発見や市場における顧客ニーズの特定に影響を与えていた。第2 に,生育環境をベースとしながらも,起業家の経験学習能力における「思い(信念・ビジョン)」と「つながり(他者との関係性)」が相互作用しながら,理念・ビジョンの形成を促していた。第3 に,起業家の「思い」や「つながり」は,組織体制を構築する際にも,重要な役割を果たしていた。第4 に,マーケティング活動を活発化し,ビジネスモデルを精緻化する上で,起業家の「ストレッチ(挑戦する力)」,「リフレクション(振り返る力)」,「エンジョイメント(やりがいを感じる力)」が有効に作用していた。以上の発見から,本研究は,起業家の「経験学習能力」が事業構築プロセスに欠かせないことを明らかにしたといえる。

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