北海道大学演習林研究報告 = Research Bulletin of the Hokkaido University Forests;第七十二巻

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ニセアカシアへのベッコウタケ腐朽の経年変化とその根返り耐力への影響

大塚, 広介;生駒, 勇二;小泉, 章夫;佐々木, 義久;佐々木, 貴信

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/85241
JaLCDOI : 10.14943/ResBull-HUF.72.1
KEYWORDS : ニセアカシア;ベッコウタケ;根返りモーメント;子実体重量;応力波伝播速度

Abstract

ニセアカシアは北海道内で街路樹としてよく用いられるが、白色腐朽菌ベッコウタケによる腐朽被害を受けると、台風等による強風時に根返りを起こして倒伏する危険性が増すことが知られている。風倒危険木を予め判別できれば伐採等の対策を講じうる。そこで、北海道大学札幌キャンパス構内に生育するニセアカシアを対象として、引き倒し試験、5年に渡るベッコウタケ子実体発生状況の継続調査、および応力波伝播速度測定試験を行って、倒伏危険度の定量的評価を目指した。その結果、837~890本の立木のうち8~10%に子実体が確認され、径級の高い個体ほど子実体が発生していることが判明した。子実体は一度発生すると、ほとんどの場合、翌年以降も発生していた。引き倒し試験の結果、全腐朽木の根返りモーメントは健全木に関する回帰式から求めた推定値の69%であった。また、子実体が全乾重量で約200g以上発生した個体は倒伏危険度が増加していることがわかった。子実体の発生高さや応力波伝播速度により長期間腐朽被害を受けている個体を推定できることが示唆されたが、それらを用いて根返りモーメントを推定することはできなかった。

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