研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第22号

FONT SIZE:  S M L

現代日中両言語における数量詞の意味・機能の対照研究

張, 瑩

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/87859
JaLCDOI : 10.14943/rjgshhs.22.l27

Abstract

これまでの日本語の数量表現研究では,数量詞の意味・機能について多くの指摘がされており,数量詞は数量詞とその先行名詞との関係によって分類されている。一方,日中両言語における数量表現の対照研究では,両言語における数量表現の形式上の対応関係について主に議論されてきた。ところが,日本語でも中国語でも,名詞句と数量詞の結合のパターンや類別詞だけでなく,述語の表す動作の性質も数量詞の意味・機能に影響を与えると考えられるが,述語を視野に入れた数量表現研究は見当たらない。それに,日中両言語における数量表現を対照する際に,形式だけでなく,機能上の対応関係に関する議論が欠けている。  本稿では数量詞とその先行名詞との関係だけでなく,数量詞が述語のどのような面を修飾するかも考慮に入れ,日本語の数量詞の意味・機能を〈動作実現時の累積数量〉を表すものと,〈動作反復による累積数量〉を表すものと,〈動作量〉を表すもの,〈属性〉を表すものとの四種類に分類する。そして,述語が表す動作の反復性・完結性の有無と類別詞の種類が数量詞の意味・機能に影響を与えることを観察する。一方,中国語の数量詞の意味・機能は日本語と同様に四種類に分けられるが,述語が表す動作の反復性・完結性の有無と類別詞の種類による数量詞の意味・機能への影響の与え方が日本語の場合と異なるところがあることを主張する。また,機能の面に基づいて日中両言語における数量表現の対応関係を考察した結果,日本語の場合も中国語の場合も,数量詞が四種類の機能のうち,どの機能を表すのかは文型によっては判断できない場合がほとんどであるが,中国語の場合には〈動作量〉専用,〈属性〉専用の文型があるという点で日本語の場合と区別される。

FULL TEXT:PDF