Permalink : http://hdl.handle.net/2115/89080

KEYWORDS : 学習志向;人的資源管理システム;職場環境;介護士

本研究の目的は，組織における人的資源管理システムおよび職場環境が，従業員の学習志向に与える影響を検討することにある。介護福祉士およびケア・マネジャー258 名を対象に実施した自由記述式の質問紙調査データを質的に分析し，学習志向の促進要因および阻害要因を検討した。その結果，「評価・報酬」，「同僚・上司」，「業務特性」，「成果」に関するカテゴリーが，それぞれ学習志向の促進要因にも阻害要因にもなりうることが明らかになった。学習志向の促進要因としては，評価・承認，給与アップ，同僚との関係やコミュニケーション，上司の支援，挑戦的課題，仕事の成果，利用者からの感謝，教育機会が抽出された。一方，学習志向の阻害要因としては，評価・承認不足，同僚の問題，上司の問題，業務負荷・疲労，失敗・成果不足，叱責・注意，組織の方針・姿勢が抽出された。本研究の主な貢献は，これまで十分に検討されることのなかった学習志向の状況的な規定要因を質的分析によって明らかにしたことにある。