日本語・国際教育研究紀要 = Journal of Japanese language and international education studies;第26号

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地域の多文化共生推進に必要な連携とその課題 : 苫小牧市国際化推進事業における活動から

五十嵐, 啓子

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/89086
KEYWORDS : 多文化共生推進;連携;体制整備;行政;苫小牧市

Abstract

本稿では、筆者が2022年度から携わっている苫小牧市を事業主体とする国際化に関する事業(以下、国際化推進事業とする)の実践について報告する。また、国際交流協会及びその機能を有する組織がない地域の多文化共生推進に必要な連携と課題について実践者の視点から考察する。国際化推進事業では行政と関係者が連携し、多文化共生に対する理解の促進を目的に、外国人と日本人の協働による「多文化共生ワークショップ」「やさしい日本語講座・ワークショップ」「避難所体験」を行った。外国人と日本人が協働で活動した結果、多文化共生に対する理解の促進に一定程度の成果が見られた。また、この取り組みからは、行政が多文化共生の推進に重要な役割を果たすことが示された。一方で、事業全体の成果については何を指標とするか事前に十分な議論がなく、事業実施後の検証が行えなかった。地域日本語教育については体制が整っておらず、専門家との連携には至らなかった。多文化共生推進の萌芽期にある地域では、人的ネットワークの構築など体制整備以前の課題が山積している。

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