北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第99号

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大学生の体力と社会的プロダクティビティ

須田, 力;森田, 勲

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/14781
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.99.1
KEYWORDS : 社会的プロダクティビティ;除雪;体力;大学生;ボランティア活動

Abstract

本研究の目的は,除雪ボランティアに象徴される身体的努力を要する社会的プロダクティビティ的行動に関わる要因を明らかにすることである。全域が豪雪地として指定されている北海道のHK大学及びAG大学の新入生に対して除雪に関する質問紙法による調査を実施し,男子370名,女子157名から有効回答を得た。HK大学の回答者のうち男子 69名,女子13名に体力測定(身長,体重,上体起こし,握力,背筋力,脚伸展パワー,12分間走およびショベリング投擲力テストを実施した。得られた結果を要約すると下記の通りである。1.入試の難関とされている札幌市内の4高校の出身者は,除雪ボランティアの体験率が男女とも有意に低かった。2.北海道の高校出身者は本州の豪雪地出身者に対して,除雪ボランティアの体験率及び除雪ボランティアへの参加希望率が有意に低かった。3.除雪ボランティアを体験した群は,参加経験のない群よりも参加希望の割合が有意に高かった。 4.除雪ボランティアへ参加を希望した男子は,身長,握力,脚伸展パワー,12分間走及びショベリング投擲力が有意に優れていた。これらの結果から,きつい肉体労働を伴う社会的プロダクティビティの高い行動への参加は,学歴志向,地域の社会文化的要因,ボランティア活動の体験及び体力によって影響されることが示唆された。

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