北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第99号

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在宅高齢者に対する受動的音楽療法が自律神経活動と認知機能に及ぼす効果

関谷, 正子;森谷, 絜

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/14795
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.99.157
KEYWORDS : 在宅高齢者;受動的音楽療法;心拍数;自律神経機能;FAB テスト

Abstract

本研究では,12名の在宅高齢者に対し,リズムと曲想の異なる2種類の音楽(穏やかな曲と躍動的な曲)聴取の受動(容)的音楽療法の効果を,自律神経活動と認知機能から検討した。2種類の音楽聴取を各10分間,写真集を見ている安静時を10分間とした。安静時間をセッション前,セッション間,セッション後に各20分間設けた。10分間の穏やかな曲と躍動的な曲聴取と安静の順序は,順序効果を相殺するようにカウンターバランスを取って対象者に割り付けた。自律神経活動として心拍数の変化・心臓自律神経活動(HF,LF/HF)の変化を測定した。認知機能の測定に,A frontal assessment battery at bedside(FAB)を使用した。その結果,穏やかな曲聴取は心拍数が下がる傾向にあり,躍動的な曲聴取は心拍数が上がる傾向を示したことから,2種類の音楽にはリラックスと覚醒の違いがあることが示唆された。HF,LF/HFには影響がなかった。FABの運動プログラミングでは,躍動的な曲聴取時に「認知し行動を発現する」機能に影響し,改善する働きが示唆された。このことから,高齢者の生活で音楽を取り入れることが,QOLの向上に役立つと考えられる。

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