經濟學研究 = The economic studies - 第56巻第3号

地域経済統合の進展と学生の国際間移動 (小野浩教授記念号)

船津, 秀樹

Permalink :  http://hdl.handle.net/2115/18923
KEYWORDS : 地域経済統合; アジア太平洋地域; 留学生交流; 人的資本; グラビティーモデル

Abstract

地域経済統合が進展する中で,学生の国際間移動が活発になっている。欧州における地域経済統合の過程で,域内における共同体意識の醸成のために,政策的に実施された交換留学プログラムに触発される形で,アジア太平洋地域においても,留学生交流が推進されてきた。高等教育機関は,科学的な手法を用いて発見された研究成果に基づいて,高度な人的資本の蓄積に貢献していると考えられる。経済交流の一環として,留学生交流を推進することは,経済統合された地域の持続可能な経済発展に寄与するものと考えられる。国際間学生移動に関するグラビティーモデルを用いた回帰分析は,アジア太平洋地域における学生の国際間移動は,世界の平均的な二国間移動よりも,はるかに規模が大きいことを明らかにした。この結果は,アジア太平洋地域における地域経済統合は,通常の財・サービスの国際貿易を創出するばかりでなく,高等教育サービスの域内貿易をも創出していることを示唆している。日本政府が1980年代後半から実施してきた留学生受入10万人計画も,アジア太平洋地域を中心に,世界経済の持続的な成長に貢献してきたと考えられる。


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