經濟學研究 = The economic studies;第58巻第1号

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インドネシアの労働格差 : 首都圏の日系企業と都市雑業の事例分析

宮本, 謙介

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/33841
KEYWORDS : ジャカルタ首都圏;日系企業;労働格差;都市雑業;不安定就業

Abstract

小論は, インドネシアに関する筆者の過去の調査と同一の企業・職種を対象として, 首都圏の労働格差の時系列変化を追跡した。調査対象は, 外国直接投資の主役である日系企業と労働市場の底辺に位置する都市雑業であり, いずれもほぼ十年前の調査結果との比較検討によって, 同じ労働市場内の労働格差ばかりでなく, 異なる市場間の労働格差の動態も分析してみた。 今回(2006年6月~9月, 2007年2月)調査したジャカルタ首都圏の事例によれば, 首都圏労働市場における労働格差は, 上位労働市場の内部においても, また下位との市場間においても多層化して形成されていることが明らかとなっている。日系企業では, 分節的内部労働市場に規定された企業内労働格差が拡大しており, それは同一企業の追跡調査によっても確認できた。また都市の分厚い底辺労働市場である都市雑業の労働実態をみれば, 同一職種の追跡調査によって, そこには依然として不安定就業(不熟練・単純労働, 技能向上の欠如, 各種労働・生活保障の欠如)が構造化され, 上位市場(とりわけ正規労働者の市場)との労働格差が顕著であった。

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