北海道大学大学院教育学研究院紀要 = Bulletin of Faculty of Education, Hokkaido University;第105号

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幼児の共同遊びの「ルール」に関する分析視座

保坂, 和貴

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/33936
JaLCDOI : 10.14943/b.edu.105.71
KEYWORDS : 共同遊び;ルール;言葉;感情;Spinoza

Abstract

本稿は,幼児の共同遊びにおけるルールの実践について,従来の研究を整理するとともに,今後の研究の方向性を探ることを目的とした。幼児期の共同遊びのルールは,いわゆる「社会的事実」のような遊びから独立して存在する客観的なものとは考えがたい。むしろ,その都度その都度の遊びのなかで行為を方向付けていく具体的な言葉の体系であると考えることができる。幼児は,行為を方向付ける言葉を遊びの文脈から切り離して操作することは困難だが,しかし,遊びのなかではそれを用いて遊びを展開させていると考えられる。また,行為を制約する言葉が遊び集団において生成され,共有されていくとき,そこには感情が動力として働いていると考えられる。とりわけ,それは喜びの感情に支えられて共有化されていくと言えよう。以上の点を,幼児のカルタ遊びを通して検討した。

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