低温科学 = Low Temperature Science;第67巻

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珪藻の培養,入手

榎並, 勲

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/39101

Abstract

珪藻は,海洋,淡水の水域圏で最も豊富に存在する単細胞藻で,世界中の熱帯雨林に匹敵する光合成を行い,水域圏の生態系,炭素循環において最も重要な位置を占める植物プランクトンである.集光性色素タンパク質としてフコキサンチン・クロロフィルa/c結合タンパク質(FCP)をもつため,黄色~褐色をしている.細胞の外に珪酸質の固い被殻をもつ.中心目と羽状目に分類される.すでに,中心目珪藻Thalassiosira pseudonana(http://genome.jgi-psf.org/Thaps3/Thaps3.home.html)と羽状目珪藻Phaeodactylum tricornutum(http://genome.jgi-psf.org/Phatr2/Phatr2.home.html)で全ゲノムが解明されている.しかしながら,上述したように珪藻は水域圏の生態系,炭素循環において重要な位置を占めるにもかかわらず,珪藻の光合成の生化学的研究はこれまで皆無の状態であった.その大きな要因は,珪藻は固い珪酸質の殻をもつため,細胞破壊が困難であると考えられてきたことにある.しかし,最近,中心目珪藻は凍結融解により簡単に細胞破壊できることが見出され,活性のある系Iや系IIの精製にも成功しているので,今後,珪藻の光合成の生化学的研究も発展するものと期待している.そこで,我々が用いている中心目珪藻Chaetoceros gracilisの培養法と入手法について紹介する.
In this chapter, culture and acquisition of a diatom, Chaetoceros gracilis, were described.

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