Permalink : http://hdl.handle.net/2115/39192

光合成の電子伝達反応は，光化学系IIにおいて光照射により水を分解し，得られた電子をチトクロムb6/f複合体を経由して光化学系Iに伝達し，最終的にNADP（NAD）を還元することで終結する．この電子伝達系全体の活性は，電子供与体である水の分解によって放出される酸素量を酸素電極で測定するか，電子受容体であるNADP（NAD）の還元を分光学的に追跡することにより行われる．一方，電子伝達系の反応機構や外部因子による影響を調べるためには，水やNADP（NAD）以外の，人工的な電子供与体及び受容体を加えることによって起こる部分反応を解析することが必要である．また，チラコイド膜を可溶化し，系II及び系I粒子を調製することが簡単にできるので，単離された系IIまたは系I粒子の活性は，やはり外部から電子供与体／受容体を供給して測定する必要がある．これらの解析方法の多くは酸素電極，分光・蛍光測定を用いて行われるが，分光・蛍光測定は第2，第3節で述べられているので，ここでは酸素電極の原理と測定の実際にについて述べるとともに，部分反応の解析に用いられる主な電子供与体・受容体を紹介し，さらに阻害剤や光化学系IIの各種処理法について概説する．
The principles and practical applications of oxygen electrode in photosynthetic research were described. Subsequently, various artificial electron transfer donors and acceptors useful for measuring photosynthetic electron transfer activities were described. Finally, various inhibitors of the electron transfer chain, together with the treatments leading specifically to the deactivation of oxygen evolution were mentioned.