北海道大学演習林研究報告 = Research Bulletin of the Hokkaido University Forests;第六十六巻 第一号

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2000年有珠山噴出物堆積地における植生再生初期動態と菌根共生に関する研究

小長谷, 啓介

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/43039
KEYWORDS : 火山;植生推移;外生菌根;アーバスキュラー菌根;ヤナギ;Arbuscular mycorrhiza;Ectomycorrhiza;Salicaceae;Vegetation succession;Volcano

Abstract

火山性撹乱地における植生の再生過程と、菌根形成の実態、菌種構成の把握、菌接種試験を通じて、植物の定着に菌根共生が与える影響を明らかにした。調査地は2000年に噴火した有珠山の西山火口付近とした。スギナやオオイタドリ、アキタブキなどの多年生植物が、噴火直後から広範囲に裸地に侵入し、被覆を増加させていた。木本植物ではドロノキ、オノエヤナギ、エゾノバッコヤナギが優占し、着実に成長していた。全ての植物種において菌根形成が確認された。スギナ、オオイタドリにおける菌根の形成頻度は低かったが、その他の植物種では高い値を示していた。ヤナギ科3種では、全個体で外生菌根(ECM)が確認され、ウラムラサキ、ワカフサタケ、イボタケ、ラシャタケ属菌が比較的高い形成割合を示していた。接種試験より、優占的に確認された菌種は、樹高、各器官部乾燥重量、根長を増加させることが明らかとなった。噴火直後の植生再生初期の立地においても、侵入してきた植物は高頻度で菌根を形成しており、ECM共生がヤナギ科木本植物の成長を促進させていると考えられた。

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