研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第10号

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「自然」を受け入れる地域社会 : 岩木川下流部河川敷を事例として

寺林, 暁良

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/44611

Abstract

本稿は,地域社会によって利用・管理されてきた「二次的自然」が,地域社会とNPOや科学者,行政の連携によって保全される事例が増えているが,地域環境を生活の場として利用・管理してきた地域社会がなぜ「自然」を守ることを目的とした管理に協力するかを,青森県中泊町武田地区を事例として考察した。地域社会と土地は,生活空間としての結びつきや管理すべき場所としての総有意識から不可分に結びついており,地域社会は土地との関係性を継続するために,社会的なしくみを常に変容させてきた。こうした視点からみると,生態学者らや彼らがもたらす「自然」という言説は新たな価値と社会的なしくみを生み出し,地域社会が土地との関係性を継続するための「資源」とみることができる。地域社会はすでに「自然」という価値を積極的に受容し,新たな資源管理のしくみを立ち上げるための素地を有している。

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