經濟學研究 = The economic studies;第60巻第4号

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偶発資産認識の会計処理判断プロセス : Johnson[1994]における"Lottery Ticketケース"を題材にして

久保, 淳司

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/45002
KEYWORDS : 偶発資産;二事象観;一事象観;最終的便益説;便益派生説

Abstract

アメリカの現行会計基準(ASC, topic 450.30)では, 偶発利得および偶発資産の財務諸表への計上を禁止している。未実現の収益認識の回避が理由とされており, 現行会計基準は偶発利得および偶発資産に対していわゆる収益費用アプローチを基礎にしている。他方, 必ずしも未実現の収益認識を忌避しないいわゆる資産負債アプローチを採る場合, 偶発資産の計上に伴って偶発利得が財務諸表に計上され得る。基礎となる考え方次第で偶発資産は財務諸表への計上が禁止されたり, 容認あるいは強制されたりするのである。 本稿では, どのような考え方を採れば偶発資産が認識されるのか, 認識される偶発資産の性質はどのような性質か, 認識の根拠は何か, 測定値はどのような値か, といった問題を検討した。検討の結果, 便益の発生, 過去事象の生起, 資産の本質, 蓋然性の閾値の規準, 流通市場の役割, 測定へのアプローチなどを巡ってさまざまな見解が存在するが, これらの各論点は密接に関わっており, 二事象観, 一事象観最終的便益説, 一事象観派生便益説という大きく3つの見解に整理できることが明らかになった。

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