北海道歯学雑誌;第31巻 第2号

FONT SIZE:  S M L

4-META/MMA-TBBレジンに止血剤を併用した場合の組織反応

高輪, 泰弘;川村, 直人;菅谷, 勉;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/45790
KEYWORDS : 生体親和性;止血剤;4-META/MMA-TBBレジン

Abstract

根管壁や髄床底の穿孔部の治療に4-META/MMA-TBBレジン(スーパーボンドC&B®)を用い,良好な成績が報告されている.しかし,穿孔部が大きく止血が難しい場合には十分な封鎖が得られないと考えられる.このような場合,穿孔部に止血剤を填塞し,止血してからレジンで封鎖することで高い封鎖性が得られると思われるが,止血剤がレジンの重合に影響し,炎症が生じる可能性がある.そこで本研究の目的は,スーパーボンドC&B®と止血剤を併用した場合の組織反応を病理組織学的に検討することである.止血剤としてテルダーミス®とサージセル®・アブソーバブル・ヘモスタットを用い,スーパーボンドC&B®を混和して各止血剤に塗布し硬化させた.その際,BT群は血液を含浸させたテルダーミス®を用い,T群は乾燥状態のテルダーミス®,BS群は血液を含浸させたサージセル®・アブソーバブル・ヘモスタット,S群は乾燥状態のサージセル®・アブソーバブル・ヘモスタットを用いた.レジン硬化後に止血剤とレジンを一塊としてラット皮下結合組織に埋入し,観察期間を7,21,42日として,光学顕微鏡下で組織学的観察と計測を行った.42日でいずれの止血剤もほぼ完全に消失した.止血剤側のレジン表面の炎症は,BT群が他の3群に比較して有意に少なかった.本研究結果から,穿孔部の止血が困難な場合には,テルダーミス®を填塞し,血液が浸透してからスーパーボンドC&B®で封鎖することにより,炎症がより軽減できる可能性が示唆された.

FULL TEXT:PDF