北海道歯学雑誌;第31巻 第2号

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パロキセチンとロフラゼプ酸エチルが奏効した心因性味覚障害の検討

竹内, 康人;山崎, 裕;村田, 翼;佐藤, 淳;大内, 学;秦, 浩信;北川, 善政

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/45812
KEYWORDS : 味覚障害;心因性;亜鉛;味覚検査

Abstract

味覚障害の原因のひとつに,うつ病などの心因性があることは広く知られているが,適切な診断,治療は確率されていない.そこで,最近当科で経験した2例の心因性と考えられた味覚障害症例を報告する.患者は,56歳男性,65歳女性で,主訴はそれぞれ,味覚低下,口内の塩味であった.病悩期間は,5か月,2週間であった.当科受診前に耳鼻咽喉科,歯科医院の受診歴があり,原因不明とされ,積極的治療は行われなかった.血液検査・カンジダ培養検査は,いずれも正常であった.ろ紙ディスク法による味覚検査は,2例とも高度障害であった.全身性や薬剤性,風味障害などは認めなかったが,心理テストでいずれもうつ状態が示唆された.そのため,心因性味覚障害を疑い,ベンゾジアゼピン系抗不安薬のロフラゼフプ酸エチルと,Selective Serotonin Reuptake Inhibitor(SSRI)のパロキセチンの投与を行ったところ,いずれの症例も短期間で味覚障害の著明な改善を認め,2例とも完治した.

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