經濟學研究 = The economic studies;第61巻第4号

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MD&Aにおける公正価値情報の有用性 : SECによるCFO宛レターの開示項目

杉本, 絢

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/48694
KEYWORDS : MD&A;ディスクロージャー;公正価値;SEC;財務報告

Abstract

本稿は, SECがディスクロージャー政策として, 企業に送付した2通のCFO宛レターにより奨励した詳細な公正価値情報に着目して, MD&Aによる開示情報の拡充およびSECの意図するその有用性について検討している。 公正価値情報は財務諸表の注記にも開示されている。しかしながら, SECは金融危機に対処すべく, 注記には開示されない公正価値情報について, MD&Aにおいて開示を奨励したのである。MD&Aの主たる目的は, 企業の財政状態, その変動および経営成績の理解に必要な情報を提供することにある。財務諸表には直接開示されない情報をMD&Aに開示することにより, 財務諸表を補充し, 財務報告の有用性を高めることができる。 MD&Aにおける公正価値情報の開示対象は, レベル3の入力数値を用いて測定される資産および負債, 活発な市場のない金融商品であった。CFO宛レターにより, 経営者の判断や見積り, 仮定が含まれている公正価値情報の詳細がMD&Aに開示されることになり, 財務報告における公正価値情報の量および質が拡充された。よって, SECは, ディスクロージャーの拡充を図る一環として, 公正価値情報についてMD&Aに開示を求めることにより, 財務報告に対する利用者の有用性向上を意図したといえる。

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