北海道歯学雑誌;第32巻 第2号

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炭酸カルシウムが4-META/MMA-TBBレジン上への骨形成に与える影響

逸見, 優;菅谷, 勉;中塚, 愛;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/48706
KEYWORDS : 炭酸カルシウム;4-META/MMA-TBBレジン;骨形成

Abstract

4-META/MMA-TBBレジンは優れた封鎖性と生体親和性により,歯根破折の接着や穿孔部の封鎖などに用いられているが,レジン上に硬組織を形成させることはできていない.そこで表面に硬組織形成が可能なレジンを開発するために,4-META/MMA-TBBレジンに炭酸カルシウム顆粒を添加して骨髄腔内に移植し,レジン表面への骨の形成に及ぼす効果を評価した.4-META/MMA-TBBレジンのポリマー粉末に,0,30,60%の重量比で粒径5~10μmの炭酸カルシウム顆粒を混合し,直径1mmの円柱状に硬化後,長さ5mmに破断して移植試料とした.10週齢ウィスター雄性ラットの左右大腿骨に,直径1mmの大きさで骨髄腔に穿孔し,試料底部が骨髄腔内に達するように試料を移植した.術後2,8週で大腿骨を採取,脱灰薄切標本を作製してH-E染色し,試料底部の骨形成状態を光学顕微鏡で観察,骨形成率,骨接触率等を計測した.さらに移植8週後の標本の一部は,試料底部と新生骨との界面を走査型電子顕微鏡で観察した.2週後,すべての群で試料全体を取り囲むように新生骨が形成されていた.0%群と30%群では試料と新生骨の間に軟組織が厚く介在していたのに対し,60%群では1~数層の細胞が見られたのみであった.8週後,3群とも試料と骨は近接し,0%群では直接接している部分はなかったが,30%群と60%群では試料と骨が直接接している部位がみられた.2週後の試料と骨の接触率は,0%群が0%,30%群が0%,60%群が0.6±1.5%で3群間に有意差は認められなかった.8週後はそれぞれ0%,6.6±6.5%,18.3±8.9%で60%群は0%群に対して有意に高い値を示した.SEM観察では,術後8週の60%群で,レジンと新生骨との間に間隙が認められない部分も観察された.60%群では光学顕微鏡観察で有意に骨接触率が高かったこと,およびSEM観察でレジンと骨とが間隙なく結合している部分が認められたことから,4-META/MMA-TBBレジンに炭酸カルシウムを添加すると,レジンと骨との直接接触が高まり,骨との結合を促進させる可能性が示唆された.

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