根管充填法の違いが根尖孔の大きい根管の封鎖性に及ぼす影響
三上, 大輔;菅谷, 勉;川村, 直人;川浪, 雅光
Permalink : http://hdl.handle.net/2115/48707
KEYWORDS : 根管充填法;4-META/MMA-TBBレジン系シーラー;根尖封鎖性
Abstract
接着性シーラーであるスーパーボンド根充シーラー(SBS)を,通常の根管に用いた根管充填の封鎖性の報告は多いが,根尖孔が大きく開大した根管でSBSの封鎖性を他の方法と比較した研究はない.本研究ではまず,SBSの硬化時の環境が封鎖性に及ぼす影響を検討した.厚さ1mmに切断した歯根の根管を,直径1.3mmの円形に形成し,SBSを填入,根管上部を開放して空気中で重合したものをAir群,アルジネート印象材で覆って重合したものをAN群として,色素侵入試験を行うとともにSEMで観察した.その結果,AN群はAir群に比較して有意に色素侵入が少なく,SEM観察ではAir群は象牙質とSBSの界面に間隙がみられ,硬化体表面には気泡が多く認められたことから,SBSの封鎖性を評価するためには,根尖孔をアルジネート印象材で被覆してモノマーの揮発を抑制して実験することが必要と考えられた.その結果をもとに,根尖孔が大きく開大した根管にSBSを用いた場合の封鎖性を,側方加圧充填および垂直加圧充填と比較した.ヒト抜去歯30本を用い,根尖孔を楕円形に開大させて次の3群に分け,次の方法で根管充填した.SBS群:SBSを用いた単一ポイント法,LC群:キャナルス®Nを用いた側方加圧充填法,Ob群:ObturaⅡを用いた垂直加圧充填法にて根管充填した.封鎖性を色素侵入試験により評価し,さらにSEMで観察した.その結果,SBS群はLC群とOb群に比較して有意に色素侵入が少なく,SEMでもセメント質,象牙質とSBSの界面に間隙は見られなかった.本研究の結果から,根尖孔が開大した根管では,側方加圧充填法や垂直加圧充填法よりSBSを用いた単一ポイント法が有効である可能性が示唆された.
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