北海道歯学雑誌 = Hokkaido Journal of Dental Science;第33巻 第2号

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化学的根管拡大後にスーパーボンド根充シーラーを用いた根管充填の封鎖性

本間, 啓史;菅谷, 勉;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/52446
KEYWORDS : 化学的根管拡大;スーパーボンド根充シーラー;根尖封鎖性;接着強さ

Abstract

扁平な根管や樋状根など機械的根管拡大が困難な根管では,化学的清掃で根管を無菌化するとともに,根管充填可能なスペースを作ることが必要である.そこで本実験は,酸と次亜塩素酸ナトリウムで根管壁を溶解,清掃を行って,接着性シーラーを用いて根管充填することで高い封鎖性を得ることを目的に行った.実験1として,38%リン酸(PA),10%クエン酸3%塩化第二鉄水溶液(10-3溶液)で象牙質面を5分間処理し,断面をSEM観察して脱灰深度を測定した結果,いずれも5分間で25μm程度が脱灰された.実験2では,PAまたは10-3溶液5分,10%次亜塩素酸ナトリウム(NC)60-120秒の処理を行って象牙質面の形態変化をSEM観察した結果,PA処理後にNC処理を行なうと象牙細管は大きく開口し,著しい凹凸が生じた.10-3溶液5分後にNC処理を行なうと,PAより象牙質面の凹凸は少なかった.実験3では,10-3溶液5分,NC 2分,アクセル10秒,10-3溶液10秒の処理を行なった象牙質面に,スーパーボンド根充シーラー(SBS)を接着し,色素侵入試験と微小引張試験を行った.その結果,色素侵入率も微小引っ張り強さも,通常の10-3溶液10秒処理のみと比べて有意差がなかった.実験4では,ヒト抜去歯扁平根管モデルを作製して,10-3溶液5分,NC 2分,アクセル10秒,10-3溶液10秒の化学的根管拡大を行なって,SBSとガッタパーチャポイントによる単一ポイント根管充填法を行い,根尖からの色素侵入試験を行った.比較対照は,10-3溶液10秒後にSBSとガッタパーチャポイントによる単一ポイント根管充填法と,キャナルスRNとオブチュラⅡによる垂直加圧充填法とした.その結果,化学的拡大を行なった場合の色素侵入距離は,化学的拡大を行なわなかった場合と有意差はなく,垂直加圧充填法より有意に小さかった.以上の結果から,10-3溶液とNCによる化学的根管拡大後に,SBSを用いて根管充填を行うことは,機械的根管拡大が困難な根管で有効な治療法になる可能性が示唆された.

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