北海道歯学雑誌 = Hokkaido Journal of Dental Science;第33巻 第2号

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クエン酸応用が水酸化カルシウムの除去と根管封鎖性に及ぼす影響

鷲巣, 太郎;菅谷, 勉;川浪, 雅光

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/52447
KEYWORDS : 水酸化カルシウム;超音波洗浄;クエン酸;接着性レジン系シーラー;根尖封鎖

Abstract

水酸化カルシウムは良好な殺菌作用や生体親和性により,根管貼薬に広く用いられている.一方,水酸化カルシウムが根管内に残存すると,接着性レジンシーラーを用いた根管充填ではとくに封鎖性が低下する.本研究の目的は,水酸化カルシウムが十分に除去でき,接着性レジンシーラーが接着可能な方法を明らかにすることである.実験1では,ウシ下顎前歯を長軸方向に2分割し,間隙を300μmとして歯根を復位,固定,根管内に水酸化カルシウムを1週間貼薬後,#50Uファイルを用いて次の5つの方法で水酸化カルシウムを超音波洗浄した.①W群:注水下(30/60秒)②G群:10%クエン酸- 3%塩化第二鉄溶液(グリーン)(30/60秒)③G+N群:G群に加え10%次亜塩素酸ナトリウム(NC)(30秒),④CA群:20%クエン酸(30/60秒),⑤CA+N群:CA群に加えNC(30秒).洗浄後に水酸化カルシウムの残存率を光学顕微鏡で計測するとともに,SEM観察を行った.さらに根管貼薬しないC群を加えて,スーパーボンド根充シーラー(SBS)を接着し,色素侵入試験と微小引張試験を行った.実験2では根管壁に幅300μm深さ1.5mmのグルーブを形成して水酸化カルシウムを貼薬し,W群,G60秒+N群の方法で洗浄,C群を加えてガッタパーチャポイントとSBSで根管充填し,グルーブ部で根尖からの色素侵入距離を計測,SEM観察を行った.実験1の結果,G60秒+N群の水酸化カルシウムの残存量は他群と比較して有意に少なく,微小引張試験と色素侵入試験はC群と有意差がなかった.実験2では,G60秒+N群の色素侵入距離はW群より有意に少なくC群と有意差がなく,SEM観察でも根管壁との良好な接着が観察された.以上より,グリーンとNCで超音波洗浄することで,効果的に水酸化カルシウムを除去でき,SBSを用いた根管充填で高い封鎖性が得られることが明らかとなった.

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