北海道歯学雑誌 = Hokkaido Journal of Dental Science;第33巻 第2号

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骨芽細胞様MC3T3-E1細胞の各種ATPaseに対するエストロゲンの作用

孔, 令群;出山, 義昭;工藤, 智也;吉村, 善隆;鈴木, 邦明

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/52456
KEYWORDS : Ca-ATPase;エストロゲン;骨芽細胞様細胞;アルカリ性ホスファターゼ

Abstract

本研究は,骨芽細胞様MC3T3-E1(E1)細胞を用い,石灰化に伴う無機イオンの輸送に関与する可能性のある各種ATPaseに対するエストロゲンの作用を明らかにすることを目的として行なった.各種濃度の17 β-エストラジオール(17 β-E)存在下で10,20,30日間培養したE1細胞のホモジェネートを測定に使用した.アルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性とATPase活性は,反応で遊離した無機リンを定量して測定した.1.ALP活性は,どの日数でも10-9Mから10-5Mの17 β-Eで濃度に依存して増加する傾向を示し,10-5Mでその作用は顕著であった.17 β-EはE1細胞の石灰化を促進し,10-5Mではその作用が強いことを示唆する.2.Na,K-ATPase活性を17 β-Eは20日目に約2倍増加したが,17 β-Eの濃度依存性は認められなかった.3.Ca-ATPase活性は,10-9M及び10-7Mの17 β-E存在下ではコントロールとの有意な差は認められなかったが,10-5Mの17 β-Eではどの日数でも有意に増加した.一方,Ca,Mg-ATPase活性も17 β-Eにより増加したが,17 β-Eの濃度依存性は顕著ではなかった.4.Mg-ATPase活性に対する17 β-Eの作用は,20及び30日ではALPに対する作用に類似していたが,20日での17 β-E濃度依存性は観察されなかった.以上の結果から,17 β-EによるE1細胞の各イオン輸送ATPase活性の活性化時期は異なったが,ATPaseに対する活性化作用は10-5Mという高濃度で強いことが示唆された.石灰化部位に存在すると推測される,アルカリ性至適pHで高濃度のCaを必要とするATPaseは,10-5Mの17 β-Eで顕著に促進されたことから,石灰化部位にCaを供給するATPaseとなる可能性があると考えられた.

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