研究論集 = Research Journal of the Graduate School of Humanities and Human Sciences;第13号

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大都市における子育て支援の現状と課題 : 札幌市事例を中心に

金, 昌震

Permalink : http://hdl.handle.net/2115/54086
KEYWORDS : 大都市;子育て支援;札幌市

Abstract

本稿の目的は,出生率の向上や子育て支援の一環として運営されている日 本の札幌市における子育て支援施設が持つ社会的機能を比較により明らかに することである。 まず,子育て支援を行う公共の施設を素材にして,子育てに励んでいる親 たちが直面している問題を考察する。次に,各子育て支援施設の中で形成さ れているネットワークにどのような違いが見られるのか分析する。最後に, 日本における少子化対策や子育て支援のあり方について検討する。 そこで,本稿では,子育て支援施設で行った半構造化インタビューの調査 結果を用いて分析を行う。その際,子育て支援施設で構築される「ママ友」 集まりや子育てサークルが,コミュニティとしてどのような性質や特徴を 持っているのか,金子の「三段階のコミュニティ論」を援用し,コミュニティ (集まり)の観点から分析する。また,子育て支援施設はどのような社会関係 資本を生み出し,どのような機能を果たしているのかについて,社会関係資 本論とネットワーク論から考察する。 本稿では,以下の手順で考察を進めていく。第1に,日本の少子化問題の 傾向を踏まえて上で,調査対象地である北海道・札幌市の少子化の現状を明 らかにする。また,子育てに対する不安・負担・ストレスの社会的な要因と して第一次集団(Primary Group)の変遷から考察する。第2に,札幌市にお ける子育て支援施設の機能を把握し,それぞれの施設が生み出す社会関係資 本を類型化する。また,各施設で構築された「ママ友」集まりの特徴や性質 を比較し,「三段階のコミュニティ」のうち,どのような段階に該当するかに ついて分析する。第3に,各施設が生み出す社会関係資本の異なる機能を理 解し,子育て支援としてどのように生かすかについて考察する。

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